kibyou脚が動かない…。

小学校1年生の時だったと思う。
へんな奇病にかかった。
まず高熱が出て「風邪かな〜」と皆が思っていたら脚がむくんできた。
むくんだ脚からは徐々に五百円玉大の丸いしこりがあちこちに現れ痛みを伴うようになる。
そして終いには脚に力が入らなくなり立つ事が出来なくなった。
立とうと思い膝を立てると内側から鈍い痛みがやって来る。
おまけに熱で頭がフラフラする。
僕は泣叫ぶ。
痛みとかではなくて立てなくなったことに。

母におんぶされ病院へ行くことになる。
歩いて5分位、駅前にある町で唯一の医療機関H医院へ。
医院までの間、熱でうなされながら何故か屈辱感を抱いていた。
すれ違う人達が僕を見る。
「あんなに大きいのにお母さんにおんぶされてる」
と言われてるように感じたのだ。
「僕は病気で脚が動かないんだ!おんぶはしかたないんだ!」
と心の中で訴えた。

医院に入る。
待合室の人達が一斉に僕を見る。
待ち合い室は畳敷きで四畳半位の広さ。
母は僕を上がり口で降ろし受付をする。
その間、小さな男の子が僕を遠慮なく見つめる。
また屈辱感が。
「僕は病気で脚が動かないんだ!おんぶはしかたないんだ!」
とまた心の中で訴えた。
自分の病気よりも体裁を気にする僕。

診療室へ入ると何時ものお爺ちゃん先生が出迎えた。
この先生は出会った時からずっとお爺ちゃんだった気がする。
僕の主治医であるが、町のほとんどの人の主治医でもある。
僕を診察するとなにやらムニャムニャと母に言っている。
朦朧としていた為か、お爺ちゃん特有のモゴモゴ声のためか何を言っているか分からなかった。
そして何故か今回は注射がなかった。
覚悟していたが薬だけを貰って帰ることに。
注射がないのは良かったけどこれで治るのかとも思っていた。
子供心に注射すればどんな病気でも治ると信じていたのだ。

数日で僕は回復する。
以前のように元気に駆けることも出来た。
あれはいったいなんの病気だったのか今でも分からない。
後で母に訊いたことがあるが、「何かの薬に負けた」とか言っていた。
まあ小さい子は色々と病気にかかると言う事か。