高畑勲さんが4月5日の木曜日にお亡くなりになったということで、追悼ということではないですけど、最初に少しだけ話しをさせてください。

 ジブリによる公式の訃報によりますと、
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 長年に渡り、数々の名作アニメーションを世に送り出し続けていた高畑勲さんが、2018年4月5日木曜日午前1時19分、帝京大学医学部附属病院にて、ご逝去なされました。死因は肺がんで、享年82歳でした。
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 ということで、僕もすごいビックリしました。

 82歳という年齢は、若いみなさんにとっては“大往生”というふうに見えるかもわからないんですけども。
 まだ現役の作家というか、本当に、ついこの間、『かぐや姫の物語』という大長編アニメを発表したくらいですから、「あと1作品や2作品くらい」ということはないんですけども、90歳を過ぎても作り続けてくれると思ってたんですよね。


 死因は肺がんというふうに発表されてるんですけども。実は、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫というこの3人は、ヘビースモーカーということで有名だったんですよね。
 で、みんな「タバコをやめなきゃいけない、やめなきゃいけない」と言っていて、結局、ちゃんと禁煙したのは高畑勲さんだけだったんですよ。なんで、ちゃんと禁煙した高畑さんが……って言っちゃ失礼なんですけど。
 おまけに、宮崎駿にも「怠け者」というふうに言われるくらい、この3人の中では、一番働いてないというか、勉強量はすごいんですけど、労働量としては、この3人の中では、どちらかというと一番おっとりしていた人なのに。
 「なんで、高畑さんが最初なんだろう?」というところが、なんかすごく皮肉に思います。

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 朝日新聞社から出た“手塚治虫文化賞”の20周年ムック本のインタビューの中で鈴木敏夫さんがこう答えています。

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 2013年に公開された2人の最新映画『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』は、当初同日に別々の劇場で公開する予定だった。
 だが、高畑監督が完成を4ヶ月遅らせてしまったことで、同時公開は叶わなかった。
「両方とも公開し終わってしばらく経った去年の年末くらいかなあ。宮さんと高畑さんと僕、3人きりになったんです。
 でね、僕はそこでこう言ったんですよ。『2本同時公開が上手くいかなかったので、ちょっと思いついたことがあるんです。高畑さんと宮さんは年齢も年齢だから、いずれこの世から去る。なので、同じ日に死んでもらえませんか? 2回お別れ会をやるのは面倒くさいので』と(笑)。
 こういう時の2人が本当に面白いんですよね。宮さんはね、『僕はパクさんよりは長生きするよ!』って言う。
 で、高畑さんは笑っているだけなんですよ。にこにこと。」
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 この話は、なんというか、この3人の性格をすごく端的に表しているエピソードだと思うんですよ。
 鈴木敏夫は鈴木敏夫で、「もう、この2人を看取って、葬式を出すのは俺しかいない」と考えてるし、高畑勲は、「そういう例え話みたいなものには付き合ってられない」というか、そんなに「この3人で」みたいなことは考えていなかったのかもわかんない。
 ただ、宮崎駿だけは、バリバリに意識しまくって、「あんたより1日でも長く生きてやるわよ!」と言うという、何か“倒錯した恋愛感情”みたいなものが見えて、僕なんかは「この3人らしいな」って思うんですけども。

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 あと、やっぱり、高畑さんの追悼の時には、この話を紹介せざるを得ないんですけども。鈴木敏夫さんの名著『仕事道楽』の117ページに、こんな事が書いてあります。

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 高畑・宮崎のコンビは本当に面白い関係です。
 宮さんというのは、実はただ1人の観客を意識して映画を作っている。宮崎駿が一番作品を見せたい相手は高畑勲。これは宮さんの言葉の端々に出てきます。
 宮さんは、今でもよくジブリの3階に来て、若い連中と喋ったりしますが、話の半分以上は高畑さんのことです。
 ある時、彼はカメラの前で言い切りました。「宮崎さんは夢を見るんですか?」という問いに、「見ますよ。でも、僕の夢は1つしかない。いつも登場人物は高畑さんです」と。
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 こんなふうに、やっぱり、この2人の繋がりというのは、ものすごいんですよね。

 まあ、高畑さんの話は、今回はちょっとだけになってしまうんですけども。来週、改めて、きちんと話をしたいと思います。


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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』4月8日(#225)から一部抜粋してお届けしました。

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