映画『レディ・プレイヤー1』の公開を記念して、
2015/10/04放送の【ニコ生】岡田斗司夫ゼミより、原作小説について語った部分をお届けします。

「SF小説を読もうよ」という話。

先週ずっと読んでたのが、これ『ゲームウォーズ』。
読んだ方、どれくらいいるのかな?
アメリカの筋金入りのオタクが書いた日本カルチャーへの熱いオマージュ入りの小説です。

ゲームウォーズ

面白いんですよ。
どんな話かというとですね。2041年が舞台です。
その時代、オアシスというシステムが世界中で動いている。

オアシスというのは、昔のセカンドライフみたいなものだと思って下さい。
アメーバピグみたいなもんといえばいいのかな。

人間は自分のアバターを作って、そのオアシス世界の中で生きています。
オアシスの中にログインする人は、仮想ゴーグルをつけ、仮想データグローブをつけてログインします。
そうすると、そのオアシスの中にあるものは本当に触れるし、360度の視界で、その通りになっているという世界なんですよ。

オアシスは、あらゆる情報機器の中で1番安くて1番安全。だから、アメリカ国家から国民全員に、オアシスの機械が支給されているという設定です。
国民全員がそのオアシスのログインIDを持っている。
だから、オアシス内では、もう一つ別の経済圏が出来ています。

主人公はそこで学校に通っています。
オアシスの学校には、成績がいいから行けたんです。小学校の時からオアシスの学校に行けたことが、主人公の最大の喜びです。

というのも、実際の学校じゃなくて、オアシスの学校にはイジメがないからです。
オアシス内の学校では全員がヴァーチャルキャラクターなんですが、学生の間は人種と年齢、性別は実際の自分と同じにしなきゃ駄目なんです。

オアシスの学校がリアルと何が違うのかというと、例えば誰かにイジメられたら、そいつをミュートすることができるんです。
ミュートしたらそれから一生そいつの言うことは何も聴こえないんですよ。
そいつが居ることはわかるんですが、そいつが自分を殴ったりしても全くその動きが見えないんです。
自分に対して、どんな表情を持っているのかとか、もしくはどんなことをやってるのか一切見えない。
それがミュートです。
ミュートしていることは相手にも通知されるんだけども、そいつの言ってることを一生聴かなくてもいいから、相手にミュートというのが知られても平気なんです。
このミュートがあるお蔭で、オアシスの中の学校にはイジメが全くない。本当に僕はオアシス学校に転校できて良かったって主人公が言ってるんですよね。

そのオアシスの創立者が死ぬところからお話は始まります。

お話の中で主人公は、なんかやってるんですけど、そこにバーンと差し込み画面が入って、オアシスの開発者であるジェームス・ハリデーという老人が死んだと、臨時ニュースで入ります。
主人公はビックリするんです。

というのはオアシスの中で強制割り込みで臨時ニュースが入るのは、津波とか地震とか、もしくは隕石が落下してくるとか、それくらい絶対知らせなきゃいけないことだけなんです。
いくら、オアシスを作った人間だからといって、たかだかプログラマーが1人死んだだけで、割り込みが入ってくるはずがないと主人公は思うんですよ。

その臨時ニュースが入った瞬間、世界中でオアシスに何百億もログインしている最中に、いきなり5分間の動画が始まります。
それは世界中の人が見たフィルムです。
そしてのちにも、多分人類の歴史上、最も再生されて研究され尽くされる5分間の動画になります。

その動画にそのハリデーが出てきて、「このオアシスの中で1つのゲームをしよう。」と言います。
昔アタリが作った『アドベンチャー』という迷路ゲームがある。そのゲームの中には、不思議なことがある。

当時のアタリ社はスタッフクレジットを一切出さなかった。
スタッフロールにスタッフ名を一切出さないで、Presented by ATARIとだけ表示している。
昔のアタリ社のゲームだから。

でもその『アドベンチャー』というゲームの、迷路の特定の場所で、小さなドットを鍵がわりに迷路を抜ける。すると、ウォーレン・ロビネットという開発者の名前が出てしまう。
それは作った人間が予め自分の名前というのを知って欲しいと思ったので、イタズラ心で仕掛けた、隠したものだった。
これが世界最初のイースターエッグだというふうにハリデーは説明するんですね。

イースターエッグって、日本人にはあまり知られていないアメリカの習慣です。
卵とかに絵を描いて、いろんなところに隠す。
それを子どもたちが探すんですね。
見つけたら、わーって喜ぶという、キリスト教の不思議な習慣です。

ハリデーは、自分が死んだ瞬間に再生される5分間の動画で、これからイースターエッグ探しをしようというふうに言うんですね。

僕はオアシスの全部の権利を持っているので、推定すると僕の財産は2400億ドルくらいになる。
僕が持っているこれら全てのお金と資産を、実はこのオアシスの中のどっかに隠した。
ヒントのキーは3つ。
この3つのキーは後ろに行くにつれて探すのが難しくなる。

1つ目はカッパーキー、2つ目が翡翠キー、3つ目がクリスタルキー。
この3つのキーを隠した。皆頑張ってくれと。

ただちょっと難しくしすぎたかもしれない。
不安だけども、頑張ってくれ。

と言うんですね。

それから世界中は、パニックになって、イースターエッグ探しが始まるんです。
本当に何億という人が会社に何週間も行かないで探し始めちゃうんです。

その5分間のビデオの中で、ハリデー自身が、俺が本当に子供の頃すごく好きだったゲームや映画や文化の話をします。
特に『フェリスはある朝突然に』とか『ゴースト・バスターズ』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『スター・ウォーズ』とか、80年代映画も大好き。あと日本の日本の映画や特撮アニメとかも大好きだった。
だから、その中にもヒントが入ってる。

そう言ったので、何億という人間が、それから数年間とりあえず、ハリデーのかつて好きだったものを全部調べて、メチャクチャ80年代オタクになるんですね(笑)。

世界中で80年代ムーブメントがやってきます。
80年代カフェがそこら中にできてきて、『ファミリー・タイズ』とかそういう話題がガンガン通じるようになって(笑)、
もうね『トランス・フォーマー』を、人類全員が知っているどころか、『メカニコング』も皆知ってる。
あと俺、ビックリしたのが、途中で出てくる主人公が「これだ!」というロボットが『スパイダーマン』のレオパルドンなんですよ。
それってあの1970年代に東映が作った『スパイダーマン』という実写ドラマの中に出てくる巨大ロボットです。それが、レオパルドンというんですけども。それが中心キャラとして出てくるぐらい(笑)、物凄い80年代オタク文化丸出し。
それをいかに解釈して見つけていくのかっていう話なんですよ。

ところが、ハリデーがあまりにも慎重にイースターエッグを隠してしまったもんだから見つかれないんです。
そのイースターエッグハンター、略してガンターという人達は、一所懸命探したけど、1年後には、ガンターの9割くらいは引退してしまった。
そっから先は、ガンター達のSNSで情報交換とかするようになります。
お互いにこうじゃないかなという情報はあるんだけど、まだ誰も最初のカッパーキーすら見つけることが出来ないんです。

何年も経つうちに、皆ガンターはドンドン諦めるようになってきて、笑いの種になってしまった。
毎年毎年ハリデーの命日になったら、「今年もカッパーキーは見つかりませんでした。ハリデーの遺産なんて本当にあるんでしょうかね。」と、ニュースで流されるようになって、ガンター達の集まりがTVとかニュースで公開されて、皆それを見てせせら笑っているという状態が、何年も続きます。
そしてついに5年経ってしまったんです。

主人公はそのガンターの1人の男子です。
自分自身はデブで顔が吹き出物だらけなんだけど、オアシス内では割とすらりとしてて顔もきれいな状態。
いじめられるのがイヤだから、オアシス内の学校に通っている。でもハリデーの研究は人一倍やってるつもりの高校生なんですよ。

ハリデーが死んだ時には、小学生の高学年くらいだったんだけど、もう高校生になってるんですよ。

これまだ上巻のもうホントにちょっとしか語ってないんですよ。

ここのところで、衝撃の告白があります。

ハリデーが死んでから5年後、ついに最初のカッパーキーがみつかった。
そのカッパーキーを見つけた時の経緯が、再現ドラマとか映画にもなったし、カッパーキーを見つけたヤツの自伝、伝記小説みたいなのもいっぱい出たし、伝記映画もいっぱい作られた。
でも真実を知っている人は殆どいない。

だって、僕が喋らなかったから。僕が最初にカッパーキーを見つけた男の子だった。

という告白から始まるんですよ。

こっから始まって、上下巻どんなに面白いか。

やっと映画化の監督が決まったそうですね。
かなり本格的な映画になるみたいです。

アメリカですから悲惨な実写にはならないと思いますから(笑)、楽しみということで。

SF作家というのは、多分漫画家と同じで、想像力というのをギリギリまで煮詰めて塊の形で出してきます。純粋な状態で見えるんです。
映画のように、わかりやすく崩したり、薄めたり煮込んだりしていないのです。
本当にビジネスで成功したかったら、特に新しいビジネスで成功したかったらSF小説を読んだ方がいいよ、と僕は前から言っています。
これは自分の趣味ぬきで本当にそう思うんですよ。

是非とも皆さん『ゲームウォーズ』を読んで下さい。
読んでくれたらですね、もう本当に読書会やってもいいくらいですね。

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