今日は、2019/08/25配信の岡田斗司夫ゼミ「『崖の上のポニョ』を精神分析する〜宮崎駿という病」からハイライトをお届けします。


 じゃあ、『ポニョ』の話に行きます。

 『崖の上のポニョ』という作品は、宮崎駿の女性観を真正面から描いた、かなりの問題作だと僕は思っているんですよ。
 その中には、ちょっと怖い描写もあるんですけど。
 このところ、岡田斗司夫ゼミでは、毎週、都市伝説とか、ちょっと怖い話をやっているので、折角だから今日も「ちょっとエロくてかなり怖い『崖の上のポニョ』」という話をしようと思います。

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 ポニョの母親グランマンマーレというのは、海の中にいる女神みたいな存在であり、フジモトの妻でもあります。
(パネルを見せる)

【画像】グランマンマーレとフジモト ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 これが、人間の男フジモトというキャラなんですけど。この船の舳先にちっちゃくいるのがフジモトですね。それに対して、グランマンマーレというのは、すごくデカいんですよ。
 まあ、おおらかで優しくて、何事にも動じず、母性の塊のような存在です。
 フジモトもグランマンマーレにゾッコンで「あの人に会えると思うと、もうドキドキが止まらない!」とか言います。……まあ、その結果、ちょっとドアの建て付けが悪かったということもあって、大災害になるんですけども。
 そんなグランマンマーレの初登場シーンというのは、宗介の父親の乗る船小金井丸の下を通るシーンです。
 ところで、僕、この映画を3回くらい見たんですけど、『ポニョ』のキャラクターの中で唯一名前が覚えられないのが宗介のお父さんなんですよね。
 宗介のお母さんの名前がリサであることは覚えているんですけど、宗介のお父さんは長嶋一茂という声優の名前で覚えてて(笑)。
 なぜかというと、この一茂が、もう、一茂っぽさが抜群で良いんですよ。本当に「家にロクに帰って来なくて、頼りない」というお父さんのキャラクターが、一茂っていう感じなんですよ。
 なので、すみませんけど、このゼミの中では宗介のお父さんのことは一貫して一茂と呼びますが、気にしないでください。

 グランマンマーレの初登場シーンは、宗介の父親・一茂の船、小金井丸の下を通るシーンなんですけど。とんでもなく巨大なんです。
 一番最初、一茂が「あっ! あれを見ろ!」と言うと、海の彼方から光る波がやって来るのが見えるんです。
(パネルを見せる)

【画像】海の光 ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 まず、海の中に光る波が現れるんですけども。その光る波の中に、よく見ると赤い宝石みたいなものが見える。これが特徴なんですよ。
 その光る波が小金井丸の下を通り過ぎる時にわかるんですけど、実は、赤い宝石のように見えたのは、ネックレスなんですね。
 つまり、その上に顔があって、ここが首で、ここが胸元。胸元が凄い開いた服を着ていて、いわゆる女の人の身体でいうデコルテという、ドレスとかを着ている時に見える胸元の肌の部分。この胸元のところまで、緩いネックレスがあるんです。
 この「赤い宝石の部分が盛り上がってる」というのはどういうことかと言うと、グランマンマーレって海の中をほとんど上を向いて海面スレスレを背泳ぎみたいな感じで泳いでいるんですけど、「おっぱいがデカすぎて、そこだけ巨大な波のように盛り上がっている」ということなんですね。
 つまり、「波を蹴立てて巨乳がやって来た!」という……まあまあ、宮崎駿はなかなかに描きたいものを描いてるわけですよね(笑)。
 僕、このシーンを一番最初に見た時から、なんか変だなと思ってて。実際に画面を止めて調べてみたら、胸元のネックレスだけ見えたんですよ。「ということは、やっぱり、あれはおっぱいの位置じゃん! すごいな!」と。

・・・

 ただ、なんか僕、このグランマンマーレという人が、ちょっと怖いんですよ。
 というのも、まあ、このカットの1分後くらいなんですけど、フジモトという人間の前に、彼の妻であるグランマンマーレが、バーッと巨大な頭を出すシーンがあるんです。
 ところが、フジモトと手を繋いで話すシーンになると、フジモトと同じサイズにいきなり変身するんですね。
(パネルを見せる)

【画像】巨大サイズグランマンマーレ ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 これ、どういうことかと言うと、一番最初は、フジモトからの報告を聞いているだけなんですね。
 この2人の関係は、奥さんの方が旦那を尻に敷いているタイプで。旦那が「こんなことになってしまったんだ、妻よ」と言うと、「ふんふん。まあ、それは良いことなんじゃないの?」というふうに、奥さんが報告を聞く。この時は報告を聞くだけだから、巨大サイズのままなんですよ。

【画像】人間サイズグランマンマーレ

 しかし、「ポニョが人間になりたいと言い出してる」とフジモトから聞いた時には、聞くだけでなく、フジモトを説得しようとするんですね。「それでいいじゃない。あなた、人間にしてあげましょうよ」と。そうやって、説得しようという時だけは、急に人間大に変身して、フジモトの手を取る。
 それまでは、デカいままで、フジモトとすごく距離を置いてたのに、説得する時にだけ人間大になって、急に手を取って触りに来るという。「夫を色仕掛けで説得する」という、なかなか大したタマだなと思うんですけど。そんな、やり手のお姉さんなんですね。
 このデカいグランマンマーレが人間大に変身するシーンが、ちょっと僕、すげえなと思ったんですけど。4コマで分解して見てみました。
(パネルを見せる)

【画像】グランマンマーレ変身1 ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 巨大なマンマーレが振り返ると、夫のフジモトと同じサイズに変わるんです。なので、一番最初は上手側(画面左側)にいるフジモトに、視線だけを送っているんですね。
(パネルを見せる)

【画像】グランマンマーレ変身2 ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 次は、この視線の先にいるフジモトから見えている側はそのままで、見えない右側の顔だけが段々と小さくなって行くんです。ここ、映像が手元にある人は、ぜひ、確認して見て見てください。顔の右側だけが、いきなり変身を始めて小さくなりますから。
(パネルを見せる)

【画像】グランマンマーレ変身3 ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 その次が、この3コマ目です。このコマになると、顔の左右の縮尺は同じなんですけど、ところが、首から下は巨人のままで顔だけ人間大に縮小し始めているので、首の付根の位置とかが、もう、おかしなことになっている。
(パネルを見せる)

【画像】グランマンマーレ変身4 ©2008 Studio Ghibli・NDHDMT

 そして、最後、一気にフジモトにガッと身体を寄せる時に、全ての辻褄を合わせるんですけど。まだ、首が長いままになっているという。
 こういうふうに、すごく丁寧に、この女の人、グランマンマーレのバケモノ性というのを見せているんです。
 本当にね、このシーンを見てると「あれ? 一瞬キャラが崩れたかな?」と思うようになっているんですよ。だけど、こんな重要な女性キャラクターが初登場の時に、それも、振り返りをゆっくり見せるという時に、作画ミスをするはずがないんですね。
 この「変身する時に顔の右側から縮み始めて、次に顔だけがすっかり縮んでしまって、首だけが長いような変なプロポーションになって、最後に寄って行く時にグッと全部のプロポーションの辻褄を合わせて行く」というのは、「変身する時に、バケモノな部分を夫にだけは見せないようにしている」ということなんですね。
 そして、これを描写することで、観客にだけは、この女性のバケモノ性をわざわざ見せようとしているんですけども。


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