2005年12月

山一證券 役員たちの背信

山一證券は歴史上、二度倒産して消滅した会社である。

上司が自分を昇進させてくれる。そして、『**君、+++は社外にバラすと大変な事になるから、そこんとこ考えて、しっかりやってくれ、、、』、、、そうやって全員が真実を隠しながら偉くなった、、、、

これは当時日経新聞を上回る質を誇っていた読売新聞社会部の渾身の作品と思う。80年代に日本のバブルが発生したが、その精神的な背景、、、最終意思決定者を欠いた集合体の暴走、、、、が見事に描かれている。バブルに関して多くの書籍が出版されているが、その本質に迫るという点では第一級の本と判断される。


本とは無関係だが、山一證券は創業100周年を記念して時計を製作している。
当初はスイスの時計メーカー、スウォッチに打診したが、同一製品を一定数量以上製作しないというルールに抵触するという理由で断られ、日本のSEIKOになったと聞いた。

私はSEIKOでよかったと思う。美しい時計である。



これはある方からいただいたものだが、いろんな意味で大切にしている。そして日常的に使っている。結構使っているので、裏側の『山一證券創業100周年記念』の刻印が薄れてきていて見づらいです。

私はこの腕時計をするたびに、当時のことを忘れまい、日本の証券界のために微力ながらも何かをしたいと心に感じます。

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グリーンスパンと、バーナンキ << Volatilityの増大 >>

FedのChairmanが、グリーンスパンからバーナンキに変わる。グルーンスパンは、“Mr. Flexibility”と呼ばれていた。彼の発する言葉やFOMCの議事録の特徴は、『複雑、不透明、いかようにでも解釈可能』である反面、彼の行動は金融市場の必要に応じて、理論的な事前説明無しに手のひらを機敏に、大胆に返すという実践的であることが特徴であった。

その結果、市場参加者は事前に“あーでも無い、こーでも無い”という議論に終始するため、事前予想がどちらかに大きく傾くことが少なく、その後現実の結果に直面した際にサプライズが起こりにくいという傾向が定着した。このサプライズの少なさが証券市場のvolatilityの低下を促し、証券のリスク・プレミアムを低下(PERの上昇、金利の低下)させた。これが、マーケット・フレンドリーと言われるゆえんでもある。

それに対して、バーナンキは、(1)理論に裏付けられた明解な政策を好み、(2)政策変更に際しての数値的な証拠に基づく理論的な整合性といったものを好む傾向があるとされている。

そうであれば、市場参加者はバーナンキの理論的に明快でシンプルな説明に対応して、コンセンサスを形成しやすくなり、事前予想の収斂が起こりやすい傾向になると思われる。事前予想の収斂は、その後現実の結果に直面した際にサプライズが起こりやすいという傾向を発生させるが、このサプライズの頻度の増加は証券市場のvolatilityの拡大を促し、証券のリスク・プレミアム(PER低下、金利の上昇)を拡大させる可能性がある。

換言すれば、バーナンキ時代の金融政策の特徴は『理論整然と誤りを犯してしまい、事後的な修正も“証拠を確認するまで待つ”ことから遅れてしまう』ことかもしれない。


シンス・イエスタディ SINCE YESTERDAY

オンリー・イエスタディ(ONLY YESTERDAY)と並ぶ、フレデリック・L・アレンの名著です。

1929年の株式の大暴落以降の苦難のアメリカの時代の政治・経済・文化・生活の生々しい記録です。オンリー・イエスタディ同様、アメリカで株式の運用に携わる人で、この本を知らない人はモグリであると言われるほどの名著とされています。

ニューディール政策の決断に到達するまでの苦難の道のりが描かれています。

ちなみに、リンゴ売りの話はこちらの本に出ています。
ーーー豊作によるリンゴの供給過剰をもて余した国際リンゴ積荷協会が一計を案じ、小売価格一個5セントのリンゴを卸値で失業者に貸し与えたために、にわかにどの街角にも寒さに震えながらリンゴ売りがーーー



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オンリー・イエスタディ ONLY YESTERDAY

フレデリック・L・アレンの名著です。

アメリカの大恐慌の前後、1919年5月から1929年の株式相場の大天井とその後の大暴落を経て1931年までのアメリカの政治・経済・文化・生活の生々しい記録です。アメリカで株式の運用に携わる人で、この本を知らない人はモグリであると言われるほどの名著とされています。

ちなみに、当時は、1925年にフロリダの土地ブームとその崩落があり、株式ブームはその後に発生しています。


こちらは英語版です。

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日本株、強気の確認 (11) 過去の連関上昇率

[前回Blog]で、中期的な過熱感が無い! と書きましたが、この数日の勢いは超驚き!!です。

そこで過去(1971年以降)の日経平均株価の年間リターンを調べてみました。
上の図をクリックして拡大して見てください。まだ今年は終わっていないのですが、1972年の+91.91%という驚異的な数値、1986年の+43.85%というのが飛びぬけてスゴイことが分かります。


ことしは+40%強ですから、2位か、3位に位置することになります。
下はグラフ化したものです。これもクリックして拡大して見てください。
1970年代は12年間プラスリターンの年が連続しました、、、、

1971年から2005年までの単純平均上昇率は、+9%強です。
さて、来年が楽しみです。


高級品の季節 (4) コーチは、やはり心配

[前回Blog]で、次回の決算発表までに売ってしまいたいと書きましたが、昨夜以下のようなニュースがありました。

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クリスマスセールのてこ入れをするために、1月〜2月に予定していた春物商品の販売を開始する。
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うーーん、今の商品が売れてないのでしょうか?
今の商品の失敗に気づいて、いち早く商品路線を変更することを決定したのでしょうか? 失敗を素直に認めて、すばやく修正をするのは立派なことです。 人間、なかなか間違いを認めないものです。しかも、成功を収めた人ほど、認めたがらないものです。

いずれにしても、新商品(春物)をサイトでチェックしました。テーマは、ポピーです。右の写真のようなものです。
うーーーん、、、、まだ心配です。
シックとか、上品とか、高級感とは、ちょっとズレているように思います。




昨夜の株価は、+3%程上がっていますが、もう少し上がったら処分するべきだろうと思っています。




アンバンドリング爆弾 (4) せめぎ合い

前回前々回書いたことは、アンバンドリングの扉を開くということは、第一の扉だけでなく、すべての扉を次々に開けることになるということを述べたものです。

インターネットのホームページが、数年前はトップページから読んでいたものが、現在ではホームページがバラバラに細分化されて、RSSで直接目的の記事を読むようになったことを考えれば、アナリストのリサーチ・レポートも同様な運命をたどると思うのが自然の流れだと思います。

しかし、そうは簡単に、直接的にはならない可能性が結構高いのです。リーマン/フィディリティの報道後、他のブローカーにも確認したのですが、フィディリティは数年前から証券会社のレポートに対して定額払制度の導入を強く迫っていたのです。つまり、**証券に対して、『年間**億円払うから、すべての情報を一番先によこせ!』というのです。いわば情報誌の年間契約のようなものです。

巨大証券会社の方でも、リサーチと注文執行のアンバンドリングにとどまり、リサーチ・レポート全体の一括抱き合わせ販売が維持できるのであれば譲歩しても良いかなと考えるものです。
巨大運用会社の方も、個々の運用商品・ファンドではなく、その会社の提供する商品全体を一個の商品・ブランドとして評価すべきであるという議論・土俵に持ち込みたいわけで、アンバンドリングのコントロール権は維持したいのです。
こういう状態であれば、リサーチも運用商品も巨大企業同士の馴れ合いが維持でき、かつ小規模運用会社、小規模証券会社を追い出すことができるというものです。巨大企業のエゴイズム、カルテルのようなものです。

リサーチに話を戻すと、個々の銘柄の判断/個々のレポートを判断するのでは無く、『リーマンのリサーチ』として一体での評価/購入をする状態を維持したいのです。『個々の判断/レポートの切り売り・個別アクセス・つまみ食い』には、小規模の投資家(特に個人投資家に近いヘッジファンド)は立ち入るべきではない、このような個別銘柄の判断は巨大企業の専門家に任せておけ!というのです。情報へのアクセスの優位性(ほとんど崩れているのに)を必至で維持しようというのです。しかし、企業から発せられる情報がFair Disclosureの原則の元、時間・空間を越えて世界に同時配信されているのですから、結局のところ、一般人(非専門家)の情報への同時アクセスを防ぐことなど不可能なのです。

運用に関しても、ETFなどが個人でも簡単に投資できるようになった現在では、巨大ファンドを構築しなくても、得意分野にフォーカスした投資手法がリスク/リターンを高いレベルでバランスさせた状態で実行可能になってしまったのです。むしろ、巨大ファンドの不利が表面化しているのが現実です。
今まさに、フォーカスしたピンポイントの質の高い情報への直接アクセスが求められているのです。


アンバンドリング爆弾 (3) フィディリティの意に反してpersonalizationを加速させる?

リサーチも商品です。全ての商品はオークション(需要と供給の接点)で価格が決定されるという原則に帰着しています。
アンバンドリングは、リサーチという商品の価格設定を抱き合わせ販売という製造者の押し付け価格から、オークションの世界(フェアな根付)に引きずり込むのです。
これが、『誰が、どんな形で、リサーチのpricingをするのか?』という疑問に対する私なりの答えです。

そして、リサーチのオークション化と同時に起こるのは、リサーチを利用する人々の"様々な異なる要求"に合わせて、リサーチを提供する側の提供形式も変化・多様化するという事です。郵送、メール、ウェブ、、、、電話の会話も、、、それぞれ価格設定が異なるでしょう。

高い価格を支払ってくれる人には、他人よりも早くリサーチ情報が提供されるでしょう。このことは現在でもこっそり実行されている当然の行為なのですが、オークション化はこの行為をより明示的にかつ大規模に進展させるでしょう。換言すれば、同じリサーチでも、価格は変化し、リリース直後は価格も高いでしょうが、時間がたてば価格は下がるわけです。リサーチは情報です。情報は鮮度が命です。

当然のことですが、良く当たるリサーチは高いでしょう。読み手の側に立ったリサーチは、押し付け的なリサーチよりも多く売れるでしょう。人気のアナリストのリサーチは超人気化し価格も高騰するでしょう。しかし、同時にWeb2.0的な世界で提供されるリサーチはLong Tail的な需要を掘り起こして、それなりの需要があると感じます。

以上のような、オークション化多様化に共通すること、底流に流れるものは、パーソナル化(personalization)なのです。
運用会社がヘッジファンドの増加で、小規模、多様化、個人化しているのです。彼らの小規模、多様化、個人化にあわせて、リサーチの提供される形態も小規模、多様化、個人化するだろうと思います。最近モルガンスタンレーを退職した有名はバイロン・ウィンの最後のレポートは、『証券会社はもっとヘッジファンドに対応したビジネスモデルに変化しなければならない』という内容だったと聞きました。(私は現物を読んでおりません)

このような事の推移は、実は『有象無象のヘッジファンドを蹴散らして、巨大会社のヘッジファンドだけが存立する仕組みにしていきたい』というフィディリティの意図とは反対のことが推進されてしまうのです。

ただ、フィディリティの欲望が実現する可能性もあります。リサーチ料金を会社の経費として支払うような要求が高まり、ファンドから支払うのをファンドの購入者が断固拒否することが多数になった時です。そうなれば、小規模運用会社は打撃をこうむるでしょう。しかし、そうは簡単ではないかもしれません。ファンドの購入者は各種手数料控除後の最終受け取りリターンが高ければ良く、リサーチ費用をファンドから払っても良いとおもうかもしれないからです。これはやってみなければ答えはでません。

==続く==

アンバンドリング爆弾 (2) リサーチが裸にされる

前回の続きです。リーマン(右のチャート)とフィディリティが投下した『アンバンドリング爆弾』の影響(被害?)は来年にならなければ分かりません、まだ始まっていないのですから、、、、、

さて、リサーチっていったい何なのでしょうか? 整理しておきましょう。
私は、リサーチを以下のように分類してみました。
(1)業界の基礎知識(なりたち、歴史、そもそも論的な部分)
(2)業界の現状認識・分析
(3)業界の将来展望・ビジョン
(4)個別企業の認識・分析・展望・ビジョン
(5)個別企業の投資判断(売り、買い、タイミング)

私も仕事柄多くのアナリストに会うのですが、(1)から(5)までを完璧にこなすスーパーアナリストは非常に稀です。必ず個々人には得意分野があります。

運用会社によっては、自前の優秀なアナリストを多数かかえているので、(3)、(4)だけ欲しいという会社もあるでしょう。一方経験の長いアナリストやファンドマネージャーのあと独立したヘッジファンドなどは、(4)、(5)だけで十分ということもあるでしょう。

要は、アンバンドリングの扉を開けたとたんに、抱き合わせ(bundling)販売・どんぶり勘定営業とは違った個別部品((1)から(5)の)の査定・根付けが始まるのです。換言すれば、現状は不要なものまで一緒に買わされているのです

私は、2006年は、『リサーチという部品の価格を決定するのはなのか? どんな方法でなされるのか?』というせめぎあいが起こるかもしれないと思っています。抱き合わせ販売だからこそ買ってもらえていたリサーチは即売れなくなるでしょう。そんなリサーチを書いているアナリストは失業です。

==続く==



アンバンドリング爆弾 (1) どんぶり勘定は捨てがたい、、、

12月のアメリカの証券運用業界に古くて新しい話題がありました。

証券会社の提供するサービスは、(1)『どの株を買い、どの株を売れ、理由・背景は***だから』というリサーチと、(2)売買注文を円滑になるべく良い値段で執行するというエクスキューションです。

これまでは、運用会社は、株を売買するときにリサーチ代金とエクスキューション代金の合計を支払うという形で両者を区別せず併せた形、どんぶり勘定で、『一株5セント』というような形で支払ってきました。

これに対しては以前から、
(1)良いリサーチには対価を払うが、役にたたないリサーチには金を払いたくない、
(2)エクスキューションなら、それ専門のブローカー(ディスカウント・ブローカー)の方が上手だ、
(3)うちは、自前でリサーチ要員を持っているので、リサーチ代など払いたくない、
などといった議論が盛んでした。しかし、お互いあまり触れたくない部分なので、ウヤムヤにしてきました。

しかし、12月にアメリカ大手の運用会社のフィディリティが、大手証券会社のリーマンとの間で、『リサーチ料金とエクスキューション料金を別々に支払う(unbundling)』という契約をしたという報道がなされました。

最終的な詳細は12月中旬現在は不明ですが、骨子は、、
(1)リサーチ料金を年間$7m(8億4千万円)支払う。支払いは、ファンドからではなく、フィディリティが会社の経費として支払う。
(2)売買執行は、一株当たり2セント〜2.5セント支払う。これは、ファンド(投信)から支払う
というものです。

リーマンの社内でも、大口顧客(大手運用会社)の担当セールスは新聞にでる前の数ヶ月間は顧客対応で多忙だったそうです。

両社の狙い
フィディリティの狙い
(1)会社の規模が小さく、絶対的な収入が劣る運用会社は自分の経費としてリサーチ料金を払うことが出来ない。その結果、『ファンドの顧客の受け取る成績が負けますよ!、だから、そもそも経費が少なくて有利なフィディリティの投信を買いなさい!』という営業を強力に推進できる。

特に、最近メキメキとシェアを増加させているヘッジ・ファンドを追い落す営業が展開できる。ヘッジファンドは規模が小さく、リサーチを外部に頼るところが多く、しかも運用フィーが高いから、その点が不利だと顧客に吹聴するのです。特に今年のヘッジ・ファンドは成績が悪いので、来年はヘッジファンドから資金を奪い返すチャンスなのです。

リーマンの狙い
リサーチの評価が業界でもっとも高いので、その点を運用会社に『リーマンはリサーチ代を請求できる』と訴えることが出来る。
同時に、過去数年リーマンはトレーディング・システムに莫大な資金をつぎ込んで、低コストのトレーディング・システムを構築したので、売買執行単独で利益を出せるので、ディスカウント・ブローカーからシェアを奪還できる。

==続く==


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