2008年06月

週末の定点観測 : 全体観

2週連続でアメリカの下げが目立った。
金融で食っている国(=借金で消費をしている国)で、金融がガタガタになれば、一番辛い。だから株式市場も辛い。この関連性はある程度甘受せざるをえまい。


さて、再確認の意味を含めて、日本、中国、アメリカの今後1年程度の行く末を書いてみよう。

結論は、過去のエントリーで何回か書いているが、
中国>日本>>>>>アメリカ
という順番だ。

その理由だが、定性的な評価がほとんどだが、以下のように考えている。

<日本>
強気の野村證券の予測でも、2012年までの名目GDPは1%〜2%しか増えない。したがって、給料が日本国人に満遍なく平等に増えることは困難だ。
したがって、日本の内部要因でインフレは起こらない。起こるのは現在のように外部要因で発生する。外部要因だから日本の努力で解決できない。単に日本の富(潜在的なGDP)が資源国に奪われてしまうだけだ。
(右の日経新聞のコピペ参照)

こういう状況でのインフレでは、資産を持たざる者(現役労働者=団塊世代未満)は辛い。少ない貯蓄は低金利で増えないし、月々の支出が増えて貯蓄可能金額も減少する。いわば、ジリ貧インフレが発生しているのだ。日本の富(潜在的なGDP)が資源国に奪われているのだから、仕方がない。

貧者に富めるもの(真の富裕層と、65歳以上の1億円以上の資産持ち)から、所得を移転する、、、言うは簡単だが、富めるものは少数で、貧者は多すぎる。

(mikeexpoさんのコメントでは、日本人の100人に一人が金融資産1億以上だそうですが、夫婦共働きの公務員・準公務員だと、大体そういう資産状態だと推定できます。そういう事例を知りました。)

短期的な政治パフォーマンスが終われば、誰も頑張って富を作ろうとしない『全員貧乏で平等な社会』になって、ジリ貧が加速するだけだ。
それでも、政治は人気取りのために、やってはいけないとわかっていても、そうするものだ。

ジリ貧を我慢するか、戦争をしかけて資源を奪うかの二者択一問題だ。第二次世界大戦前は、我慢ができずに戦争を選択した。しかも、勝つ確率が非常にすくないにもかかわらず、我慢ができずに戦争をした。

しかし、日本の良い点は、サブプライムの被害が少ないことだ。ガラパゴス・ジャパンであったことが、世界の上昇気流からも見放され、暴風雨の勢力圏からも外れているのだ。

世界がヒドイ状態のとき、日本は相対的にマシだとみなされるのだ。
ただし、世界の経済サイクルが下降局面の時代、07年から始まった数年という期間が終われば、また世界の上昇気流からも見放されるかもしれないと思う。

<アメリカ>
世界の上昇気流(住宅バブル&金融バブル)の中心から、暴風雨の真っ只中に突っ込んだのがアメリカだ。
世界の経済サイクルが下降局面の時代、07年から始まった数年という期間は、一番ダメな状態が継続する。
金融がガタガタしている国の株式市場のパフォーマンスが良かったというのは、私は知らない。
90年代以降の日本が良い例だ。





<中国>
株式市場は数年単位の波を打ちながら変動している。
上昇局面では、PER格差は広がる。下降局面では格差が縮小する。

07年夏、PER格差は非常に大きかった。そのPER格差が足元大幅に縮小した。

直近の12ヶ月後の予想EPSベースのPERだが、右のBloombergによれば、
日本:15.9
中国:14.8
アメリカ:11.8

これに、まだ織り込まれていない下方修正を、私の鉛筆で加えて修正すれば、
日本:16.5
中国:17
アメリカ:13

という感じだと思う。

今後辛い時代が終わって、世界経済が回復する(最初は、Less Negativeだけだが・・・)と株式市場が思ったら、どこに金が向かうだろうか?

それは、将来の成長力の可能性が高いところ=名目GDP成長率が高いところだ。
普段は、高い期待成長=高いPERだ。07年の夏までがそういう状況だ。
しかし、現在は高い成長期待を疑うがゆえに、低い成長期待の日本、アメリカとのPER格差が非常に少なくなっているのだ。いわば、お買い得状態なのだ。

買って、3ヶ月でボロ儲け、、、、それはないでしょう。
ただし、トレーディングを上手にやれば、それは何回も楽しめるのも、ほぼ確実でしょう。



右のコピペはGSの推定したA株のPER推移。
ちと、甘い評価だが、変化の感じはこういうものだと思う。
確か昨年は、45倍〜55倍のレンジまでPERは上昇したと思う。
足元は、18倍〜23倍だと思っている。


5番目のチャートは、前FRB議長、グリーンスパンが考案した『不動産の値上がりを担保に、ローンを借りた金額』(=消費を楽しんだ金額)の推移だ。
Mortgage Equity Withdrawalと言われている。
さすが『ミスター・バブル』と呼ばれたグリーンスパンだけあって、本質は理解していたようだ。そこだけはサスガだ。

パーティが終わり、借金は残っている。
だれが、どうやって返済できるのだろう????


週末の定点観測 : 日本

ここまで世界が下がれば、日本も下がるのは当然という週でした。マザーズの新安値が目立ちます。

PE100倍でIPOした株を適正PERまで売って儲けるに類する投資手法は、まだ有効のようです。
EPSが10%しか伸びないのなら、PER=10倍です、、、とはアメリカではよく言われる超単純な見方です。


下げの大きかったセクターは、
ゴム、その他金融、不動産、鉄鋼、金融でした。


Jリートは安値面あわせまで反落してきました。
森ビルの社長の言うように09年3月の決算に向かって辛い時代が続くのかもしれません。
であれば、09年秋〜10年が不動産投資の時期なのかもしれません。
私は不動産はまったくの素人なので、勉強を始めてみようと感じています。今から1年程度勉強すれば、十分に2010年の投資に間に合います。


サラ金の武富士とアイフルは断末魔になってきました。
アイフルは、リーマンが『住友信託が最後まで面倒をみないだろうから、資金繰りに窮するだろう』という趣旨のレポートを出しています。
これに対して、アイフルは『法廷措置!』と叫んでいます。
そしたら、リーマンが『若干訂正しました』と、訂正レポートを出しています。

なんだか、狐と狸の騙しあいのような様相を呈してきました。
真実は誰にもわかりません。

金融機関は、赤字で倒産するのではなく、運転資金の枯渇で消えるのです。
ベアースターンズのように、07年〜08年の欧米金融機関の消滅が、それを証明しています。


円は、ドルと人民元に対しては、少し値を戻しました。
対ユーロ、対豪ドルに対しては、横バイです。
総じて、今週は静かでした


週末の定点観測 : 中国

中国に対する悲観論が相当高まったようです。
今週は、ジム・ロジャースが投資家に向かって『中国をあきらめるのは早い』と語るなどしています。
ジム・ロジャースのところにも、『資源高を主張しながら、資源の大消費国である中国に投資を主張するのはおかしいのでは?』といった質問が飛んできているのでしょう。

中国の国内個人投資家は、かつて(90年代の投資バブルの崩壊時)ほどパニックになっていないようです。
ピークから半値とは言っても、まだ2007年初の水準より高いのですから・・・


三兄弟も大幅に続落です。
内需銘柄なので、反発も大きく、値持ちも良かったのですが、先週はさすがに売りが出ました。まあ、こんなものでしょう。


人民元はヒタヒタと上昇継続です。
台湾が人民元の交換を完全自由化したと聞きました。
株式市場は荒れてますが、中国・台湾の連携はスピード・アップすると思います。
使う場所の無い台湾の資金が中国に流れ込むのです。
中国はしばらくは資金に困らないでしょう。

ここが、中国とインドの違いでしょうね。
インドは世界から金を集めて、10年規模のインフラの巨額投資をこれから始めなければならない。世界は金に余裕が無い、この08年に・・・・


週末の定点観測 : 為替

ドルは静かです。
若干ドル高に戻ろうとしたのですが、結局頓挫して、元に戻りつつあります。

右は、26カ国貿易加重ドル指数


こっちは、先進7カ国貿易加重ドル指数


ユーロですが、ドルの反転上昇/ユーロの反落が頓挫して、戻り歩調です。


ドル円は、金利差が動かないので、ボックス圏で行ったり来たりの動きから出られないようです。
FRBが金利を引き上げないと投資家が判断すれば、ドルの下方プレッシャーが増えるでしょう。



週末の定点観測 : アメリカ(2)

私の観察銘柄も今週は相当下がりました。
アップル、モンサント、セールスフォースは、ここまで良いパフォーマンスだったので、下がるときは大きく下がるのだと思います。


金融セクターに関して、2004年の春以降のチャートを作ってみました。
白:宅建業者
赤:総合金融(Citiなど)
黄:地銀
緑:証券

証券以外、同じレベルまで下がっていますが、それにしてもすごい下げ方です。



景況感の悪化に呼応して、長期金利は下がっています。
インフレ懸念に対応した利上げは、吹っ飛びそうです。


新規の失業者はジリっと増えています。


失業者は、なかなか仕事が見つけにくくなっているようです。
継続的に失業保険をもらっている人は減らないです。


週末の定点観測 : アメリカ(1)

ズルズルと下がり続けた今週でした。
NYダウの”12000ドルは遠くなりにけり”・・・でしょう。


3月の安値を更新して、年初来では▼15%となりました。
5月中旬からの下げ方は恐ろしいほどでした。

年初来(ローカル通貨ベース)
日経平均:▼11.52%
HKハンセン:▼20.75%
オーストラリア:▼17.39%
ドイツ:▼20.4%
フランス:▼21.67%
となっています。


住宅販売(5月データ)が出ていました。
予想通りの低水準です。

右は新築一戸建て住宅販売戸数


毎度おなじみの”ABCP”の残高です。
増える気配はありません。

日本でも、不動産投資用のSPC(ノン・リコース・ローンを使って資金調達)を、本体決算に連結しろという圧力がかかっています。
欧米銀行が、簿外の投資ファンド(SIV)をhんタイで引き取っており、世界的に『簿外バッシング』が広がっています。
この簿外バッシングをはじめとして、規制強化の嵐は初期段階だと思います。
不祥事を契機に規制が強化されるのは世の常ですが、その後は経済活動が停滞するのも世の常です。


LIBORは静かです。
欧米金融機関の資金調達ラッシュは道半ばのようです。
金を持ているのは、アジアの輸出黒字国と、OPECなど資源エネルギー輸出国です。

こういう状況で、資源エネルギー価格が半値になったら、金が消えるだけです。
景気はすぐには良くなりません。先進国の国民は防空壕に入ってしまい、外に出て買い物三昧に戻るには時間を要するのです。
日本の消費者が防空壕から出ないのと同じです。


老後生活資金(郵便局のパンフレットより)

郵便局が混雑していて待っていたら横のパンフレットが目に入りました。
人生って、こんなに金が必要なんですという、『よくあるパンフレット』です。


パンフレットから計算すれば、

結婚費用:400万円
住宅:4000万円
教育:(800〜1500万円) × 2人 =1600〜3000万円
老後:38万円 × 生存年数(例:25年) = 1億1400万円

となりますね。



38万円のうち、年金で23万円まかなえるとなっています。
でも、今後さまざまな税金、保険料が引かれますし、しかもその金額は増えていくと思います。

私思うに、政府が言う『ゆとりのある老後』って、今後のインフレも考慮すれば、2020年前後に定年を迎える人々にとっては、額面で月間50万円は必要だろうと思っています。


私の計算した必用資金と比べてみてください。


”インプレッション・ストリーム”、その(3)(最終回)がアップされました。

[関連したBlog]で紹介した「インプレッション・ストリームのその(2)」がアップされました。

VTRへの直リンクは、これです。

これで、今回の3部作はおしまいです。





アメリカの金融株を振り返ってみた

90年代以降のアメリカの金融セクターの歴史は、「消費者に金を貸し込む歴史」だったと言える。
金融知識を身につけてしまい利幅の薄くなった企業に見切りをつけて、金融知識の低い個人にマージンたっぷりの金融商品を売りつけることで、我が世を謳歌したのだ。

右のチャートを見ても、メリル・リンチ(ピンク)、シティ(黒)といったリテール分野(=一般消費者)に強い金融機関が、SP500(細い青線)をはるかに上回るパフォーマンスだったことからも明らかである。

1990年以降、SP500が、ピークでも5倍に届かなかったわけだが、メリルやシティは、ピークの株価は約25倍になっていたのだ。

反面、大企業中心のホールセール金融機関であったJPモルガンは、この間SP500とほぼ同じパフォーマンスに甘んじている。金融の時代であった20年弱で、SP500並とは劣悪なパフォーマンスだと言うことだ。


99年5月にNY証券取引所に上場されたゴールドマンを加えて、99年5月以降のチャートを作成すると、右のようになる。

資源エネルギー相場を当てて、サブプライムの損失を業界最低水準で切り抜けたゴールドマンだが、過去3年のパフォーマンスは素晴らしいものがある。

ゴールドマンは、消費者をターゲットにせず、「自らが投資家(=ヘッジファンド)となって、リスク・テイクする」という道を選んだ。
金を貸す銀行ではなく、自己資金を投資対象に投下するリスク・テイクを行うバンカーに戻ったのだ。

自分の投資のために調査をするのだ。他の証券会社のように「笛を吹いて客を躍らせてテラ銭を稼ぐ」のではない。それゆえGSのリサーチは吹っ切れていた。売りは売りだと言っていた。今もそうだ。

さて、消費者にマージンたっぷりで金を貸し込むビジネス・モデルからは、当面オサラバせざるをえない。
では、全員がGSのようにリスク・テイクをするのだろうか?

無理だと思う。
銀行はリスク・テイクとか、個人が創意工夫をしないビジネス・マインドの企業体なのだ。本部の示した方針・マニュアルどおりに、ひたすら実行するビジネス・モデルに猛進してきたのだ。
だから、しばらくは低い利益率に甘んじた時代をすごさざるをえない。
これは、崩壊しつつある金融レベレッジの逆回転(=デ・レバレッジ)から来るもので避けられないのだ。

銀行ではないメリル・リンチがどう舵をきるのか?
これには興味がある。


OPEC内の不協和音

[関連したBlog]で書いたことだが、
原油を増産しようと言うサウジに対して、
=====================
イスラエルと一緒になってイランを攻撃しようというアメリカに塩を送る必要はない
=====================
という意見がOPEC内に渦巻いている。

サウジと、1990年の湾岸戦争の終結以来サウジの子飼いの部下のようなクウェートは、増産を発表した。
しかし他の国、特に反米感情を持つ国は「親米過ぎるサウジ」に心穏やかでない。

6月26日には、アメリカ嫌いのカダフィー大佐で有名なリビヤからは、「原油供給は充分すぎるほどある。リビヤは減産の可能性を考えている」というコメントが飛び出した。

また、OPECのケリル議長は、アメリカ&サウジの原油価格の若干の価格下落を画策した言動に対して、「原油先物価格は$170まで上昇するかも・・」という発言をした。

一方のアメリカだが、イスラエル軍との「イラン空爆を想定した合同軍事演習」と、それに続く「北朝鮮のテロ国家解除」の動きを見ていると、北朝鮮の後始末を中国に押し付けて、イスラエル擁護に集中する”レイムダック政権のブッシュ”という見方をされても仕方がなかろう。

残されたブッシュ政権の日数は、「事を起こして引っかきまわすには」まだ充分の時間がある。
9・11から始まって、アフガン進行、イラク進行、、、最後は???
戦争にこれほど金を突っ込んで浪費した大統領も珍しい。
でも、8年間もブッシュに大統領をやらせたこと、これだってアメリカ国民が選んだ道なのだ。

チャートだけ見ていて思うのは、こんなチャートの形で大天井を形成して相場が終わったことはあまり無いということだ。
つまり、まだもう一吹きの高値が控えていると思うのだ。


記事検索
最新記事
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
*****
  • ライブドアブログ