2010年12月

2010年の振り返り(3) : メディアや友人に話したことの振り返り 為替

為替と景気の二兎は追えない。
アメリカは為替を捨てて景気を選択した。

これは2008年10月以降のアメリカの経済政策に対する基本認識だ。

内需(自動車・住宅などを中心としたお買いもの三昧)に期待ができないアメリカはドル安による輸出利益偏重の片肺飛行が続いている。とは言え、貿易赤字が顕著に減少しているわけではない。
ドル安の継続、、、これが2010年だった。
ドル札を大々的に(=事実上の無制限増刷)増やしているのだから、、、ドルの価値が下がるのは算数の回答として仕方が無い

** 参考過去エントリー **
ちょっと真面目に、為替を考えてみる (5) 再開の前振り タヌキの木の葉
ちょっと真面目に、為替を考えてみる (6) 為替レートは単なる交換比率、ではお金って??
ちょっと真面目に、為替を考えてみる (7) オークションはフェアだが、不安定で庶民にはなじまない??


2011年〜2012年の為替に関しても、多くの証券会社の予想とは反対に
ドルは人民元に対して▼20%、円に対して▼10%
という予想をお伝えしてきた。
2012年10月ごろに、ドル/円、73〜75円、ユーロ/円、108円〜110円、人民元/ドル、5.34〜6.00、というレベルを想定している

**
参考過去エントリー **
2011年を考える (7)日本株は、円高/円安で決まってしまう
2011年を考える (3)為替問題を先送りできない


長期のドル指数
(下図)を見れば、2001年〜2002年が大きな転換点だったと見える。
2001年の9・11の発生が、アメリカの為替面でのピークを知らせる鐘だった。その5年後にアメリカの金融不動産バブルがサブプライム問題の噴出を始め、2008年には経済・金融が崩壊を始めた。
景気や企業業績に関しては、オバマ大統領の結果としての大きな政府=政府支出大幅増額で出血は止まった。しかし、
内需(自動車・住宅などを中心としたお買いもの三昧)は世界が変わったかのような低空飛行状況を脱していない。

長期ドル指数_20101230

2002年までは、ドルは新興国(=先進6カ国以外)に対しては上昇を続けてきた。それまでは、新興国の輸出を引き受けたという言い方も可能だ。
ブッシュが「アフガン&中東への戦争費用の大々的な浪費」によってUSドルを終わらせる役割を演じたとも言える

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下図は、2001年末=100とした世界各国の対ドルレートの推移だ。
ベトナムとロシア以外は、対ドルで上昇している。この傾向はQE2でアメリカが完全復活し、QE3は不要だと世界の投資家が判断するまでは継続するだろう。

長期対ドル世界通貨_20101230

次は過去1年の様子だが、ユーロが弱含んでいる。
理由は明白だ。欧州PIIGS危機だ。( 参考:目次 : 欧州金融危機

2010年の対ドル世界通貨_20101230

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様々な事件が起こるたびに円が買われ
日本人投資家は、
(1)こんなひどい日本の通貨が何故買われるのか?
(2)国の借金問題を海外投資家は問題視しないのか?
(3)このままでは日本の輸出産業は崩壊するか、日本を脱出して日本の製造業雇用は崩壊する

、、などと、懸念・憤懣の感情を持っている。

下は主要国の対円レートの推移(過去1年)

2010年の対円為替_20101230

為替レートの決定は色々あるが、
平常状態では、通貨の量が日本以上に増えている国の通貨は減価する
日本の通貨は名目経済が縮小しているのに対応して、日銀がお金の量を殆ど増やしていない。多くの外国ではお金の量を大幅に増やしている。この差が算数の答えとして正確に反映している。

異常事態では、通貨を発行して入る政府の信用問題になる
多数の外人投資家から見れば、日本政府の信用は異常事態にまでは低下していない。
日本人は既に取り返しのつかない異常事態だと考えている。
この認識ギャップが「理解しがたい円高」となっている

なお、認識ギャップの3項目だが・・・・
(1)こんなひどい日本の通貨が何故買われるのか?
ひどいと思う背景の多くは名目経済が拡大していない=デフレが続いているからだ。
デフレ経済の国の通貨はお金の量が増えないので、外国通貨に対して値上がりしてしまう。
この算数の答えを変えるには、名目経済が拡大してお金の量が外国よりも早く増えることが必要だ。

(2)国の借金問題を海外投資家は問題視しないのか?
していないわけでないが、外人投資家に借金を頼っていないので、問題視していないのだ。
( 参考:
(目次) 特集 : 国の借金

(3)このままでは日本の輸出産業は崩壊するか、日本を脱出して日本の製造業雇用は崩壊する
この懸念は当たっている。日産、三菱、自動車会社、家電メーカー、既に脱出を加速させている

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 参考 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
下はBRICsの対円レートの推移(過去1年)

2010年のBRICs対円為替_20101230

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2010年の振り返り(2) : メディアや友人に話したことの振り返り 外国株

外国株への投資に関して、私が一貫していることは、、
(1)中長期投資に適するのは、経済が持続的に成長している「アジア+新興国」
(2)先進国は得意分野だけにフォーカスすべき

、、、と言うことです。

成長のある国だと、時間が経過すれなEPSが大幅に増えますので、仮に短期的な高値で掴んでも、数年後には株価が高値を抜けて上昇します。

成長が無い国だと、時間が経過してもEPSは増えませんので、高値で掴めば何年経過しても株価が買値に戻りません。下手をすれば怖くなって底値で売ってしまいます。
成長が無い国に投資するには高いスキルが必要です。ボックス圏の中を往復する期間が長いので売りと買いのタイミングが投資の損益を左右する割合が大きくなるからです。

要は、下のチャートのようなパフォーマンス格差は、まだまだ継続するだろうと思うのです。

長期飲茶_20101229


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高いスキルが要求される先進国に対しては、
(あ)限定的な量の投資にとどめるか、
(い)自分が好きで何かを調べるのに苦にならない分野や自分の得意な分野(=波長の合う分野)に集中すること

、、、が損をしない投資手法だと思います。

私は個人的な趣味もあって、パソコン、ネットワーク、といった分野が好きです。私と家族合計で、職場と自宅合計で8代のPCが稼働しています。ですから、パソコン、ネットワークに関連する企業を趣味と実益を兼ねて調べています。

2004年ごろから追跡を継続しているのがWeb2.0分野ですが、アメリカ株に興味を持っている友人にも2010年もここは良いと勧めてきました。6銘柄の中でGoogle以外は好調でした。
2011年ですが、6銘柄の順位に関しては上下が入れ替わる可能性もありますが、総じてOK状態だろうと判断しています。友人にも「まだ売る必要はない」と先日もクリスマス・メールしました。

下は、左:Web2.0銘柄で、右:Web1.0です。これは私の個人的な分類です。

Web10_20_20101228

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アジアは明暗バラバラで、Web2.0に比べると期待以下でガッカリでした。
とは言え、中長期のパフォーマンスを考慮すれば、アジアに関しては冴えない=安値でポジションを構築できるという事です。今年は初夏から夏場がポジション構築のチャンスでした。下の1回目、2回目という時期です。

良く友人に話していたのは、
(あ)新興国、アジアは長期的に大きな下げがあって、それが絶好の買い場になる。その後はバブル的な状況が来るまで長く引っ張れば大きなリターンが得られる。国というパッシブ的な投資に関しては、ここをコアのポジションにすべきだ
(い)先進国は、テーマとなる投資分野は長期で保有できるが、国というパッシブ的な投資に関しては、当面は数カ月〜半年のレンジを意識した売買が投資効率を高める
、、ということでした。

単年度ではアジア内でもパフォーマンスの良い国悪い国のばらつきがでますが、私は一種の代わり番こだと考えています。

世界飲茶_20101228_2

アジアで最大の国は中国です。
尖閣問題移行、中国嫌い派が増加しています。我が家でも上海万博の頃まで発展する中国を褒めていた雰囲気が、「中国人は+*+*」と嫌悪する雰囲気に変化しました。人の心とはかくも変わりやすいのです。

中国に関しては、人民元高は10年単位で継続するのだから内需セクターが好ましいと機会あるごとに話してきました。これは2011年に関しても同じです。
さて、2011年〜20112年の中国内需で私が最も期待しているのは商業用不動産です。詳細はここ(中国不動産 : 投資妙味は住宅から商業用ビルにシフトする)に書きましたのでご覧ください。恒隆地産の動きはその辺を織り込み始めたと思います。

不動産_中国_20101228

長期的な安全パイは保険だと思います。理由が何であれ、所得や企業利益が増えれば、保険の加入が急速に増加します。しかも長期的に継続します。保険分野でも公的年金を補完する企業として国が重視しているので、庶民のお金を長期的に大量に吸収して長い成長を謳歌するでしょう

保険_中国_20101228

食品はパフォーマンスの差がかなり大きいです。ブランドが出来てしまえば、他社を上回るマージンを享受できるという点に留意しておけば損をしないだろうと考えています

食品_中国_20101228

ネットは悩みどころです。多くの期待を吸いこんで株価が急騰したのが2010年です。
2011年は悪くはないだろうが。。。と言う程度で臨むほうが怪我をしないように感じています。

ネット&HC_中国_20101228

銀行はあまり好きではないです。日本もそうですが、銀行は国策企業という色彩が濃い業種で、中国はその度合いが強いのです。最終的には日本のバブルのような状況が将来的に訪れるでしょうが、それはまだ先のことでしょう

銀行_中国_20101228

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2010年の振り返り(1) : メディアや友人に話したことの振り返り 日本株

休みでノンビリしているので、一年を振り返っています。。。

昨年10月後半か11月始めだったか(記憶が定かではなくなってきています)、「2010年の日本株は、今後数か月というイメージで、何が儲かりますか?ひとつだけお願いします」と某雑誌社に聞かれた。
春山:うーん、日本株全体にあまり期待はしていないのです。強いて言えば、この一年ほどケチョンケチョンに嫌われてきた銘柄がリバウンドするのを期待するのが投資妙味かもしれませんが、すぐに上がるかどうか定かではないし・・・半年以下の短期の事は私は不得意ですし・・・
取材担当:例えば?
春:いくつかあるでしょうが、例えば任天堂などは配当利回りが6%台に乗るほど売り叩かれていますが、来年のどこかでは今より株価が高くなっている可能性は大きいです。長期のリバウンドの第一局面は業績は改善しなくてもとりあえずは単純リバウンドします。何でも良いので材料になるモノが出れば、それがきっかけになる可能性があります。いずれにしても、6%という配当金は魅力的です。

その後、4月16日に日本株は「4月5日の11408円が、もしかしたら今年の高値だ」と思って日本株からは全面撤退すべしと判断したことはエントリーに書いた通りです。こういう全面撤退の判断をする時は、「この企業だけは・・・」などという後ろ髪は禁句です。全てを白紙にして、新しい気持ちになるのが重要だと、私は考えています。

( 下は、日経平均  )

日経平均_20101228


2010年の春(5月だったと思う・・)になって「昨年の予想銘柄の任天堂が上位ベスト5に入っているので、フォローの取材をしたい」と言われました。( 下は任天堂の株価推移 )

7974_20101228

取材担当:次は何でしょう?
春:しばらくは日本株は何も無いと思う。中国アジア株のほうが将来性があるので、安い時にポジションを構築して来年以降に楽しむ作戦をお勧めする。
取:そうは言わずに何か?
春:うーん、こういう時はインデックスと一緒に下がってしまった、小型株で、出来高が無くて投資家から見放されているけど、実は増益していて、しかも配当利回りが3%程度ある株、、、こういう株を持っておけば、すぐには上がらないけど来年にかけてポコンと+10%〜+20%上がる可能性がある。そういう投資が安全で儲かる確率が高いと思う。上がらなくても、約3%の利回りが美味しいと思う。
取:企業名は?
春:うーーん、一個ですか・・・でも、企業名を書くと読者は「来月にでも上がる」と勘違いをするし、そもそも出来高が無いので、レバかけて回転させたい投資家には適さない。例えば、"*+*+"とかもその範疇にはいると思う。。。でも、書いちゃダメですよ・・・

なお、今年は知り合いに「何が良いですか?」と複数回きかれたが、そのたびに「小型株で、出来高が無くて投資家から見放されているけど、実は増益していて、しかも配当利回りが3%程度ある株」と答えてきた。2010年の日本株は高値を追えないと思ったからだ。

小型株に関しては、10月以降急に見直しが入ってきた。何故なのか私もサッパリわからないが、相場ってこういうものだと思う。あの"*+*+"も、その後もっと安くなったが、今では相当上昇しており驚いている。

今日届いた某証券のモーニング・メールを見ると、「新春セミナー:復活する小型株第一回、第二回」と書いてあった。うーーん、+20%〜+30%以上も上がった株をここから追いかけるのは儲かりにくいと思うのだが・・・

日本株_20101228_2

でも今年一番驚いたのは、Jリートの全面的な復活です。
毎年秋に開催される野村グローバル不動産フォーラムに参加して強気に転じました。改善した状況にも関わらず投資家が弱気に支配されていたからです。
このフォーラムは2007年秋が第一回で、世界の不動産の状況を定点観測するのに最適だと感じています。内容も良質で、この点ではさすが野村証券だと感心しています。

Jリート_20101228

Jリートは、あちこちで推薦しました。
5%台のポジションは宝になる!、、と言って友人にも勧めました。
Jリートは多くの人が賛同してくれました。これは結果的に嬉しかったです。

思いのほか結構な上昇率になりましたが、上の左のチャートで見れるように、短期的には跳ね返されやすいチャートポイントに差し掛かりました。ここからは過去3カ月のような急上昇は望めないと思います。柳の下に2匹目のドジョウはなかなかいないものです。

国債問題 : 金利水準と、価格水準

前回、国債の金利が大幅に上昇すれば、国債の価格が暴落して銀行は多額の含み損を抱え込むと書いた。

債券は、、
金利低下=債券価格上昇
金利上昇=債券価格下落

というものだ。

下のチャートで、1990年以降の20年間の国債の金利水準の推移(緑)価格水準の推移(黄)を見てみよう。

国債先物(利率6%、10年)をベースにしたラフな計算だが・・・・
金利水準:8%=国債価格:89円
金利水準:6%=国債価格:100円
金利水準:4%=国債価格:114円
金利水準:3%=国債価格:123円
金利水準:2%=国債価格:133円
金利水準:1%=国債価格:145円

という関係にある。

( このチャートは利率6%(6%クーポンと呼ばれる)の国債先物の価格変化 )

日本国債の利回りと価格_20101226_2

1%の金利水準が、4%に上昇すれば、、、、、
145円の価格が、114円に下落する。
▼22%弱の価格下落だ。

残存期間(=満期までの期間)が10年の国債を10兆円保有していれば・・・
2兆円の損失を被ることになる

多くの銀行は金利上昇を憂慮して、残存期間を短くしている。
残存期間が短いと、価格変動が小さいのが債券の特徴だ。

( この辺の理論計算は、ここでは触れませんが、色んなHPに出ていると思います )

例えば・・・・郵貯銀行の資本金は、3兆5000億円だ。
150兆円ほどの国債を保有していると思う。
仮に郵貯銀行の保有国債の価格が▼5%という下落を被れば、150兆円×5%=7兆円の損失になる。これは大変なことだ。普通の会社なら「債務超過か!」と大騒ぎになる。むろん、そうならないように各種特別措置(=税金を投入して国営化)が講じられるあろう。

下は、郵貯銀行のHP資料から抜粋

郵貯銀行_20101226

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(目次) 特集 : 国の借金
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1年ぶりのエントリー : 国債問題の再整理

2009年11月に特集 : 国の借金というシリーズで10個のエントリーを書いた。

静態的な計算で、2015年までは計算上は大丈夫というモノだった。
動態的には、日本には毎年巨額の経常黒字がある。この黒字はマクロ経済的には日本国内の余剰資金の増加=貯蓄増加であり、この資金余剰があるかぎり、追加で日本国債を買う余力が生まれていることになる。これを理由に2020年ごろまでは金利の上昇や為替の下落などの問題が発生せずに大丈夫だという論もある。
いずれにしても、2015年〜2020年の間でのっぴきならない事態が訪れる可能性があるようだ。

2010年は国債の問題が相場を乱すことは無かった。金利は上がらず、円も下がらなかった。

今週、2011年度予算が発表されたが、予算編成で一般会計に占める税収が半分にも満たないことが明らかになった。基礎年金の国からの補助金50%の維持問題(=年金特別会計)や事業仕分けのプロセスで一般会計よりも大きな特別会計の問題も認識されてきた。

年が開けて2011年は、国の借金問題が議論される機会が多くなると思う。埋蔵金でやりくりする事は2011年は不可能だと分かってきたからだ。

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様々な事を熟慮した2009年の11月から1年が経過したので、国債の問題に関する論点を再整理しておきたい。
(1)日本国債を個人が買うと、個人的には銀行預金が減って国債が増える。銀行は個人に払い戻す現金を作るために手持ちの国債を売る。企業や個人へのローンを回収することは事実上不可能だ。日本国的には市場に流通している国債の保有者が銀行から個人に変わるだけで、国債の販売金額は増えない

(2)国債の価格が下落しても、個人保有だと満期前に中途換金しない限り、絶対金額的に損をするわけではなく影響がない。

(3)国債の価格が下落する場合、銀行保有だと評価損が積み上がるので年度決算対策で儲かっている他の資産を売ったり、これ以上損が出ないように国債保有量を減らすので、証券市場に悪影響が出る。
含み益儲のある資産を売るが、儲かっている資産が不足する場合は赤字決算になる。ひどい場合は資本金に食い込むので、BIS規制クリアーのために資本金回復が必要で増資をすることになる。


(4)銀行保有国債の価格下落が引き金で、BIS規制クリアーのための増資が必要になるレベルの状況が起こる時は、多数の銀行が同時にその状況に陥る
景気が"本格回復"してデフレが解消され、超低金利が終わり、金利がこれまでのレンジを突き抜けて上昇する場合に、上記のような巨額の評価損リスクが発生する

下チャートは過去の10年国債の金利の推移だが、2.5%を超える時に軽いショックが走るだろう。
現在は景気回復が引き金で金利が上昇するなど微塵も考慮されていない
現状では、私も景気要因での金利上昇は想定していない。
日本国債金利_20101225

以下、想定はしていないが、景気が回復する場合の事態を書き進めれば・・・・

(5)景気が"本格回復"すれば税収は増加するが、10年国債金利が4%に上昇すれば、銀行保有の国債の価格下落で銀行が被る国債の含み損は多くの銀行の資本金を吹き飛ばすと言われている。
これは、あくまでの4%に上昇するまで、銀行が何もせずに傍観する場合の計算例だと聞いている。

しかし、金利上昇を懸念する銀行が国債を大量に売却すれば、景気の本格回復以前に金利が急騰して、売っていない保有分の国債の評価損が急増する。
その結果弱い銀行は資金繰りに窮する事態もおこるだろうから、景気回復で増えた税金は、いくつかの銀行救済で消えてしまう。
現実的なシナリオは、国から売るなと言われる事が容易に想像でき、銀行は巨額の保有国債残高のほんの一部を売るだけで、金利の上昇と含み損の増大を眺めることになるだろう。

(6)国から何を言われようとも、いくつかの銀行は景気の本格回復開始と同時に我先にと保有国債を投げ売りするだろう。売らねば自分が債務超過になる可能性が発生するからだ。
海外勢は売却ラッシュするし、ヘッジファンドはカラ売りを競い合うだろう。

(7)上記のような金融の混乱をさけるために、国債の評価損は決算上は計上不要になるだろう。
同様のことはサブプライム金融危機の対応で欧州がやっているので、とりたたて日本が恥ずかしいことではない

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国債の問題は景気要因の可能性は低いが、社会保障費用の増加要因も考慮するべき問題だ。
ここ(
欧州危機の根本原因と、近い将来のLikelyシナリオ)で書いたように、欧州危機の根本原因は第二次世界大戦後に社会福祉を借金に頼ってしまったことなのだから

(8)増加する社会保障費用を賄うための税収不足は国債で借金するしかないが、これは金利上昇とは無関係に急速激増加する。
非常に高い確率で、日本国債を外人に販売する努力が必要になるだろう。これは、Yes/Noではなく、Whenの問題で、2010年代に来ると言われている

(9)外人に買ってもらう努力をするような時は、国内の買い余力が減少したことを意味するので、今より金利が上がっているだろうから、銀行は一定の損失を被るだろう。

(10)現在国が最も恐れるのは個人が銀行預金を引き出し、しかも国債を買わなことだ。それは銀行が国債を売却することを意味するからだ。個人の銀行預金が引き出されて、その資金が海外投資に向かうのが国が一番困ることだ。国内の資金余剰が悪化するからだ。
ちなみに企業が海外にため込んだ利益金を低税率で日本国内に還流できる特別減税措置が実施されたが、日本国債の買い余力(=国内の資金余剰)を増やすことが主目的だった。

新興国ブームによる外債&外株投信ブームは盛り上がったとはいえ、国債需給に影響を与えるほどの規模には至っていない。円高による機関投資家の日本国債シフトの方がはるかにインパクトが大きかったのだ。

(11)社会保障費用の増加が原因で国内貯蓄を食いつぶし、外国の資金余剰に日本国債の購入を頼ることによって発生する金利上昇は、景気の上昇の無いままの金利上昇だ。
税収は増えない。金利だけが上昇する。

(12)この場合、金利の上昇=円高となるのか、日本ダメ=円下落となるのか、、、、
国債の買い余力の低下のレベル、低下のスピード、金利の上昇のレベル、上昇のスピード、それに対する投資家の心理の変化、この方程式を解くことになる。
いずれにしても、ダメの程度の計算であることは確かだ。

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(13)現実味のある解決は、微妙にインフレ気味の拡大再生産=インフレ率1.5%、名目経済成長3.5%、実質経済成長2%だろう。これ以上の成長だと金利上昇ダメージが大きくなり、税収増加を台無しにする

(14)国債の個人消化促進は「銀行のリスクを減らす」ことが主目的だ。毎年決算 で評価損対策に追われる銀行から国債保有を減らし、決算が無く途中換金の少ない個人に国債価格下落のリスクを移転させたいのだ。

(15)銀行は純粋民間企業ではない。国の出先機関という性格を持っている。銀行が多数破たんする時は、事実上国も破綻するに等しい

(16)国債金利の上昇でダメージを一番大きく被るのは郵貯だと言われている。国債を最も大量に保有しているからだ。小泉改革で民営化された郵貯は民主党の逆民営化法案がなくても、再国営化されるかもしれない。

2011年は選挙がある。
言葉で、その場を取り繕って、有権者を騙すことはできても、
算数の答え(収入&支出&国債問題)を変えることはできない


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(目次) 特集 : 国の借金
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メリー・クリスマス!

メリー・クリスマス!

今年も気ままでやや難解なブログにお付き合いいただき大感謝です。


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日本海側では本格的な雪の季節到来ですね
随分前に大好きだったスキーが懐かしいです

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ぴょンぴょんと小刻みに進んでいくウサギ年が、早く来て欲しいと願っています!

さて、これから↓です・・・
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単なるチャート : スイスに逃げろ!

ユーロで何か不安が起こると、、、資金はスイスへ大挙して避難します。
スイスは金利は低いけど安全
安全の値段がドンドン上がってきました => スイスフランの為替レートが上昇します
過去1年では対ユーロで下のように上がってきました。
1年間で+20%上昇しています

CHFEUR_20101223_1

過去10年だとこんな感じです。
ギリシア危機が引き金になって、資金が大量にスイスに向かっているのが明白です。
2010年になってスイスフランが急騰しています。

CHFEUR_20101223_2

東欧通貨も比較に加えると、短期では・・・・
黒線がスイスフランです
( アイスランド(緑)は超安値からのリカバリーです )

ユーロ・スイス_20101223_短期

11月末までのデータですが、過去10年だと・・・・チェコ(青)が一番上昇しています。

ユーロ・スイス_20101223_長期

対円では・・・・過去1年では
ピンク:スイスフラン、赤:豪ドル
スイス_円_20101223
欧州の金融不安=資金調達不安=ドルの短期資金調達不安でもあります。
=>ドルLIBORが動き出します。
最近の様子は、下のような状態で、わずかな上昇にすぎません。
流動性不安よりは、欧州の特定国の信用リスクが市場の懸念だという事が分かります

US_LIBOR_20101223_2

長期では下のような感じです。
現在は、流動性に関しては異常事態では無いです。

US_LIBOR_20101223_1

中国の様子は。。。。1カ月物、3カ月物が上がってきました。
金利の引き上げが近いのだと思います

上海_LIBOR_20101223_過去9カ月

過去3年だと、こんな感じです

上海_LIBOR_20101223_過去3年

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クリスマス&正月休み入りするマザーズ株

10月からマザーズ銘柄は相当上がりました。

TSEMOTHER_20101222_5

同じ新興市場でも、JASDQのなだらかな回復に比べてマザーズ銘柄は火がついたような上昇でした

TSEMOTHER_20101222_4

直近のボトムから、マザーズは+27%、JASDAQは+13%、という上昇率です。
日経平均は9月始めからだと+18%、11月の底からは+15%です。

TSEMOTHER_20101222

新興市場株は普段は出来高が非常に少なく、割安に放置されることが多いものです。
買っても、売るに売れなくなるので投資家が敬遠するので、割安に放置されるのです。
( 割安とは絶対的な安さではなく、銘柄ごとのサイクルでの高安です )
しかし、何かのきっかけで値動きが活発になるとディトレを中心に「値動きだけに投資するお金」がドカッと流れ込みます。

それが11月に始まりました。
先週今週は、値動きも荒くなって、空中戦が始まりました。
各種モメンタム指標も過熱域の上の方に貼りつきました。
そして、下の赤枠(20日)白枠(22日)の上値で大量のシコリが残るような相場が出現しました。

TSEMOTHER_20101222_2

下は観察している銘柄のひとつですが、前場〜後場で天国から地獄へと変化しています。
今週のように、こんな銘柄が複数発生すると、一旦は相場はシコリをほぐすための休憩に入ります。

TSEMOTHER_20101222_3

ちょうどクリスマス〜正月があるので、休むには適当な時だと思います。

私の予想に反して上昇が2月の節分まで継続するとしたら、それはとんでもない大相場が始まっていると判断した方が良いでしょう。
その場合は、1〜2年は継続するものでしょうから、年明けから参戦しても大丈夫でしょう。

なお、頭と尻尾はくれてやれと言いますが、、、、
仮に18か月の相場で、+100%(倍になる相場)だとすれば、、、、
頭=6カ月、30%、
尻尾=3カ月30%、
胴体=9カ月、40%
というバランスだと、私は組み立てて戦略を立てることにしています。
単なる経験則です。
この可能性を考えるのに明日から1月3日までは適当な時期だと思います。

単なるチャート : 比較 Web1.0 VS Web2.0

Web2.0という言葉が重要になったのは2004年だと思う。
ブログが情報流通に革命をもたらしたからだ。私も飛びついてみた。。。。そして今日まで来た。

2010年も終わりなので、Web1.0  VS  Web2.0 の比較チャートを作成した
細い茶色でマーカー付きがSP500インデックスだ。
比較の基準にしてほしい。

Web1.0
インテル、マイクロソフト、デル、シスコ、ヒューレット、IBM、オラクル、
90年代を牽引した素晴らしい企業群だ。彼らがいたから、Web2.0企業が誕生した
功労者である。株価は冴えない。

Oracleは、CEOのラリー・エリソンの驚異的な奇人変人妖怪天才的なリーダーシップで企業を変貌させ続けている。これが好調な株価の背景だ。
( 彼に関する逸話は数冊の本や映画ができるほど多彩で面白い。オラクル4人姉妹は中でも有名だ )

Web10_20101222

Web2.0
過去5年以上にわたり、このブログで書き続けてきたので説明は不要だろう。
彼らもOracleのように変身を継続しないと、いずれはWeb1.0企業の仲間入りするだろう。

現状では、企業と言うより宗教集団化してしまったGoogleが業績的に低迷している。
が、それでもWorst is Overに思える。2011年は復活するように感じている。
その時Appleはどうなのか?
2011年最大のLong & Short候補かもしれないのいで、興味を持って観察したい

0_20101222


投資家責任を主張するアイルランド VS 「非常事態だから投資家責任は免除」を主張するECB

アイルランドは銀行のマネーゲームを否定した
これはシンプルだが、意味は大きい。
(1)利益追求、株価上昇志向、経営者のオプション貢献優先のために"マネーゲームをする銀行への投資家"の損失負担は当然
(2)国や地方といった"コミュニティに根ざした経済に貢献する銀行への投資家"は損失を免れる
、、、そういう時代を象徴するものだ。

オリジナル記事はこちらをクリックしてください)
マネーゲームを否定したアイルランド_20101215

しかしECBは今は非常事態だから投資家責任は免除すべし、、、そうすると(ECB主導で)決めたルールをアイルランド政府が変更して、投資家責任を主張してはダメだ!と言った。
国家主権が制限されると言う意味で、ECBの主張は意味が大きい

ECBがアイルランドの主張する投資家責任に反対する理由は、
(1)何故なら私(ECB)も債権者だから
ECBがアイルランドの銀行に流動性(=日々の資金繰り用の"お金")を供給する際に担保にしている。 この資金供給オペで受け入れた担保に損失が発生する可能性を「深く憂慮する」との見解を示した。ECBが投資のためにアイルランド関連の債券を保有したわけではない。「ECBが保有する債券だから」という理由で投資家責任を免除するのではなく、分け隔てなく全員免除すべきだ、と言うのだ。

私の推定では、ECBの声かけ(=半分命令)で欧州の巨大金融機関はアイルランドに流動性を提供しているが、その際にECB同様に債券を担保に受け入れている。彼らはECBでは無いから投資家責任だとされれば、アイルランドに流動性を供給するのがECBだけになる。これは困る。

(2)それ以上に重要なことは、スペイン・ポルトガルに対しても、ECBの声かけ(=半分命令)で欧州の巨大金融機関は流動性を提供しているだろう。ECBでは無いから投資家責任だというアイルランドを見れば、民間金融機関はスペイン・ポルトガルに流動性を供給しなくなる。これは困る。
、、、、ということだろう。

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さて、2011年1月1日にエストニアユーロに加入する。
ユーロに入れば、リスクを兄貴が負担してくれる・・・リギ財務相のこの言葉が何を意味しているか明白だ。

( オリジナル記事はこちらをクリックしてください )
エストニアユーロ加入_20101215

エストニアはバルト海3国の一つだ。
長年ユーロに自国通貨を連動させてきた。なみなみならぬ努力を継続してきた。
ユーロに加盟せずにおられるか!、、、という気持ちで一杯だと思う。
小国の他に変え難い戦略だ。

下のチャートを見れば、バルト海3国の対ユーロ為替レートは、横一線。。。

過去1年東欧通貨_20101217

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目次 : 欧州金融危機
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