2011年11月

リーマンショック前夜の雰囲気になった、、、、ので動きが出た?

今週は野村証券主催の大規模セミナーが開催されている。
こんな大変な週に開催されているのだが、大事なスロットに参加して聴いている。

今朝コーヒーを飲みながらFinancial Timesを読んでいたら、後ろのテーブルで野村の有名な日本エコノミスト氏が外人投資家と二人でQ&Aセッションをやっていた。
ちゃんと聞いてはいないが、二人の会話の雰囲気は・・・
外人投資家
欧州も大変な状態だ。野村は中国はリセッションだと主張する5カ月も費やした大レポートを公表している。
アメリカ経済も下降気味だ。こんな状態で日本は大丈夫か?日本国債の金利が上昇して、財政が破綻しないのか?

エコノミスト氏
*+*+、防戦的コメント*+*+*+
こんな感じでした。

今朝のFTを眺めていると、2008年10月リーマン・ショックの直前の雰囲気が漂っている。
民間は、ギリシアのユーロ離脱や、ユーロ崩壊に備えた「万が一の準備」を始めている。
決済機構も、ドラクマ復活に備えたシステム手当を始めたようだし、多国籍企業も「その時どうする」という危機マニュアルを準備し始めた。
一方、欧州各国政府は、危機感が無い。リスク・テイクして、自分で稼ぐ必要がある民間と、税金で生活する政府は、危機感が異なるようだ。
さて、日本企業は? 日本政府は?

Euro_FT_20111130

Finacial Timesは、年間$171.08(14000円弱/年)でオンライン版を購読している。
日経電子版は、48000円/年と、3.4倍も高価だ。
記事の質を考えると、同値段か以下で良いのではと感じている


ルピーが大幅に下落して、インド株も▼35%(円ベース)というインドだが。。。
1998年のアジア危機のパターンがインドに再来しつつある。
外貨建ての借金が、ルピー下落で、返済不可能になるリスクが出てきている。
世界中が「前門の虎、後門の狼」という状態だ。

India_FT_20111130

Martin Wolfは、厳しいコメントを掲載している。
( http://www.ft.com/intl/cms/s/0/81af241a-19b7-11e1-ba5d-00144feabdc0.html#axzz1fBenkabG )

the project(=ユーロ) was premature at best, and unworkable at worst.

A vicious downwards spiral in confidence and activity could emerge, with results far beyond the eurozone
Such turbulence in Europe, with the massive wealth destruction, bankruptcies and a collapse in confidence in European integration and co-operation would most likely result in a deep depression in both the exiting and remaining euro area countries as well as in the world economy

First, there needs to be a credible commitment to halt the contagion
Second, the eurozone must have policies for economic growth and adjustment.
Third, the eurozone also needs long-term reforms that address its true weaknesses. But these will fail if Germany insists that fiscal discipline is all that matters. Fiscal indiscipline did not cause this crisis. Financial and broader private sector indiscipline, including by lenders in the core countries, was even more important.

What role can the IMF play? Not much of one. It lacks the firepower
The only programme that would make sense would be one for the eurozone as a whole, since programmes for troubled countries would have to include a reasonable prospect for higher aggregate eurozone demand

今夕あったルービニの講演会だが、Martin Wolfと似たような事を、もっと過激なトーンで言っていた。
政治統合が無ければユーロの維持は無理だ。しかし、イタリア、ギリシアが同国の国家権力をドイツに渡すとは思えない。ユーロは崩壊する。有効な提案があるだろうが時間切れだろう。
中国はバブル崩壊で大不況になる。日本は政治が崩壊しており、衰退の一本道・・・・などなど。

Euro_help_FT_20111130

28日には、ドイツがトリプルA 国だけで「エリート債」を発行するという提案したらしい。
オーストリアとルクセンブルグは即反対したようだ。
一流、二流という概念が導入されると、ユーロ自体も、一流ユーロ、二流ユーロ、三流ユーロと分割される可能性もある。
また、フランスがAAAから落後すれば、ドイツだけでユーロを支えることになる。
ドイツ政府も否定コメントを出した。

共同債の発行には、ドイツ流の厳格な財政規律が必要だという立場が大きなハードルとなっている。それはドイツ人にのみ遂行可能だ。

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思うに、
1:何がしかの被害者の血を見ないと政治家は「投資家が満足するレベルの動き」を起こさない。
2:投資家が期待する円満解決は、11月23日の下の記事(http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LV65CC6KLVR401.html)で消えた。ドイツが決して越えることのできない「一線」、、、ドイツはユーロ人になる事を拒否している事を意味する。
3:主権よこせ VS 共通債権出せ。。このチキンゲームは政治家には意味があるだろうしかし、欧州経済や欧州国民には、馬鹿な時間の浪費だ。世界経済にも、迷惑千万だ
ルビコン

こんな状況だから、本日の中国の緩和(リザーブ引き下げ)とFedの措置(As part of a co-ordinated action with the Bank of Canada, the Bank of England,the Bank of Japan, the European Central Bank and the Swiss National Bank the Fed is cutting the penalty that it charges over a basic rate from 100 basis points to 50 basis points.)が発動されたのだろう。

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オークマの資料を見て、2012年の貿易収支を考えた

工作機械の大手優良企業、オークマの受注データを頂戴した。
工作機械は、製造業の能力の先行指標だ。
工作機械を沢山購入する企業、国、地域は、モノづくり大国に向かう
昭和40年代、ホンダはキャッシュフローに余裕ができると「海外の優秀な工作機械を購入した」と日本産業史に書いてあった。

日本の工作機械産業は、昭和40年代に産業としてTake-Offした。
最初は模倣、それを工夫して改良、その後日本の製造業とともに発展して世界一の地位に到達した。

しかし、円高を機に、日本の製造業は海外に工場を増やした。
アジアの製造業も大きく飛躍している。

その結果が、オークマの受注実績に如実に反映している。
2006年〜2007年の内外需のバランスと、2010年以降のバランスは明らかに別世界になっている。
花木社長も、海外が70%になると言っていた。

オークマ受注

製造業のcapacityが、日本が+30%、海外が+70%というペースでマザー・マシーンを購入していく。
海外の増加の中心はアジアだ。

今年の貿易収支の赤字は、3.11要因の短期的な現象だと証券会社は声をそろえて合唱している。
オークマのデータを見ていると、モノの生産に関する限り、海外の生産高>日本の生産高というトレンドが強まると推定される。

貿易収支は変動幅が大きいので2012年に黒字になるかもしれない。
しかし、根本的な生産工場の能力が、海外>日本というトレンドが継続するなら、赤字傾向が強まるのではないだろうか?

貿易収支_209111128

かつて、貿易収支が赤字化して、1年程度経過したら、為替が下落すると教えられた。
2012年の3月以降の円が安くなる可能性は高まりつつあると感じている。

jys_20111128

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初冬のバラ

気温が下がってからのバラは、凛とした輝きを発する。
寒さゆえ、開花後の綺麗な姿を維持する時間が長いので、花の形を長く楽しめる。

初夏のバラは大輪で一気に咲くので、庭が明るく豪華になる。
一方、ポツポツと順番に咲く初冬のバラが見せる凛としたオーラは、私の気持ちを引き締めてくれる。

赤いバラ_20111126

この薄紫のバラは、20年ほど前までは、世界で最も青いバラと言われていた。
今では、遺伝子操作でもっと青いバラができている。
つぼみ(左側に見える小さな)の時は赤い色だが、開花すると薄紫色になるのが不思議だ。
紫のバラ_20111126

先週から開花したピンクの早咲き山茶花は満開になりました。
ピンクの山茶花_20111126

来週からは、深紅の山茶花にバトンタッチでしょう。
赤い山茶花_20111126

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2012年を考える(10)  既得権者が多数になったら、民主主義では、是正は不可能

今回と次回は、過去9回にわたって書いてきた「2012年を考えるシリーズ」で、政治に関して触れた部分を集めて加筆したものです。
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2012年に世界中で起こったガッカリは、民主主義体制の問題解決能力の喪失だろう。

2000年以降、メディアに繰り返し登場するのは、政治の停滞、政治不信という言葉だ。
資本主義とは、経済のこと、
民主主義とは、政治のこと、
政治の停滞、政治不信とは、民主主義の停滞、民主主義の機能不全だ。
換言すれば、以前の考え方が通用しなくなった事はわかっていても、それに代わる新しい考え方を民主主義国家が見つけることができずにもがき苦しんでいるのだ。

為政者の政治的な目標は、国富を増やすこと、国民にを与えることだ。
衣食足りて、礼節を知る、という言葉がある。「武士は食わねど〜」では、善政は実現されない。
それをどうやって達成するか、時代とともに変わってきた。

1900年ごろから1970年頃までは、政府が規制を導入して民間経済に介入することで「バランスのとれた富と職の増殖」が達成されると考えられた。
しかし、1960年頃から政府の規制は「かえって非効率や汚職を蔓延させる」ことが判明し、規制緩和の時代が始まった。
(参考:自由と規制


サッチャーリズム、レーガン革命に代表される規制緩和は経済成長を加速させ大成功に見えた。しかし、1990年代以降、特にブッシュ政権下の共和党が「政府は民間に一切口出ししない。」という自由放任資本主義を貫徹する姿勢を示したことで、資本主義は図に乗って羽目をはずしてしまった。
それがサブプライムローン証券化をはじめとする金融業界の激しい堕落を生んだことは明らかで、2007年以降は反省の時代になっている。

民主主義体制は、放任しすぎた資本主義に反省を強いるフェイズにあるが、目標とする姿を描いているのだろうか?
富と雇用を創造するために規制を緩和するという考え方の・・・・
(1)行き過ぎを修正するだけで良いのか?
(2)規制を強化する考え方に戻るのか?
(3)別の何か新しい考え方に変えるのか?
2011年11月現在、民主主義体制は、その「解」を見つけていない。

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現時点で感じている変化のトレンドは・・・・
一つは、放任されすぎた資本主義に対する規制強化というトレンドだろう。
もう一つは、堕落した民主主義に対する規制強化というトレンドだと、私は判断している。
両者に共通するキーワードは、規律の回復である。

放任されて暴走&堕落した資本主義が規制されるのは理解されやすい。
しかし、政治の王道である民主主義が何故規制されるのだろう?
民主主義も暴走&堕落して、自浄作用を喪失したからだ。

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1980年代以降、特に1990年代の資本主義体制は高成長をエンジョイした。
( 日本は、お先に頓挫したが・・・ )
先進国の資本主義国家は、経済成長のオコボレに預かり、福祉を充実させた。労働者の収入も増えた。
政治家は、民間経済が頑張ってくれているので、ほとんど何もせずに、
国富と国民の職を与える成果が達成され、自分の手柄だと自慢できた。

しかし、21世紀になって先進国中産階級労働者が思い知った事は、充実福祉と収入増加は、グローバリゼーションの流れの中で、世界資本主義体制に徐々に深く組み込まれてきた新興国を上手に利用してコストを下げることで実現していたという事実だ。

資本主義が「先進国と新興国の格差を目ざとく見つけて」ビジネスに組み込んだのだ。
格差とは、今よりも少々高い給料なら喜んで長時間労働をしてくれる新興国労働者と、もっと高い給料でしかも短時間しか働かない先進国労働者の格差だ。

先進国中産階級労働者のエンジョイした
豊かな生活」は、新興国を上手に利用することによって得ていた短期的な超過利潤だったが、今や、先進国の中流階級労働者は、新興国の労働者と真っ向勝負をする羽目になった。
高い賃金&短い労働時間 VS 安い賃金&長い労働時間
人間の能力に大きな差は無いだろう。
勝負は見えている。


経済成長のオコボレでエンジョイした充実福祉が、長期的にフェアに維持可能なモノなら、少々苦労しても頑張れば良い。
一方、不当なモノだったとしたら、社会を維持するために是正するしかない。無い袖は振れなくなる。時間の問題だ。
それをフェアに冷静に熟慮して、判断結果を受け入れることが、
民主主義が保持すべき自浄作用だ。

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現在進行中の地球規模の裁定取引(アービトラージ、割高を売って割安を買う)は、長期的なものだ。しかも、加速している。地球規模で格差が急速に縮小するのだ。
この地球規模の格差是正に文句を言っているのが先進国の中産階級労働者だ。

社会主義化するアメリカ 米中「G2」時代の幕開けよP.112〜114より抜粋コピペ)
地球規模裁定取引


民主主義は多数決の制度だ。
多数が嬉しいことは良いことで、多数が困ることは悪いことだ。
先進国が地球規模の裁定取引で「Long&ShortのShrot側」に立たされることは、先進国の有権者(=多くは中産階級労働者)にとって困ることだ。彼らは、メディア的には「多数と同義語」だ。

だから民主主義の多数決の答えは「地球規模の裁定取引=悪いこと」となってしまう。
しかし、それは狭い範囲の国内民主主義だ。
グローバル民主主義で見れば、地球規模の裁定取引で、収入が増えてうれしい人の数が、困る人の数を大幅に上回っている。先進国労働者1人の失業で、新興国2人以上の雇用が生まれているだろう。グローバル民主主義の多数決の答えは「地球規模の裁定取引=良いこと」となる。

裁定取引でShort側に立たされるのは、多くは不当超過利益を得ている「既得権者」だ。
民主主義は、限定された地域での選挙をベースにしている。
特定地域内で選出された政治家が、地域を超えた利害調整をするのが不得意な政治制度だ。
既得権者が多数を占める状況になってしまったら、それが不当な超過利益であったとしても、民主主義の多数決では修正できない。
人間は「1円であっても、失うことに対しては、感情的に反対する」生き物だ。
感情的に反対する人が多数を占めたら民主主義は堕落と迷走に陥る。
非常に強力で優れたリーダーが出現するまで迷走が続く。

経済は数千年前から、民主主義の基盤である選挙地域を超えてグローバルに活動している。
活動の源泉は、格差を見つけて裁定取引(安く仕入れて、高く売る)をすることだ。
資本主義のDNAは生まれながらの地球規模裁定取引なのだ。

政治とは民主主義のことであり、経済とは資本主義のことである。
裁定取引という経済合理性至上主義を基準に、柔軟に大胆に変化を続ける経済(=資本主義)
ようやく獲得した既得権にしがみつき変化を嫌う政治(=民主主義)
両者は呉越同舟である。
両者が大喧嘩を始めれば、船自体が転覆してしまう。
20世紀の2度の大戦は、そういうモノであったように思う。

政治の世界で、立派なリーダーが出現すれば良いいが、
甘言を弄して民心を操縦するヒトラーのようなリーダーが出現するリスクもある。
国内民主主義の構成員に不満があふれ、その不満がアンフェアであればあるほと、甘言に乗って馬鹿な選択をするのが人間の歴史だ。
2010年以降の世界情勢は、そんな懸念を拭い去れない状況になってきたように思う。

社会主義化するアメリカ 米中「G2」時代の幕開けよP.193〜194より抜粋コピペ)
リーダーシップ

TPPの是非に揺れる日本の賛成派と反対派
PIIGSソブリン危機で大揺れの欧州各国
( ゴミを他地域に輸出する問題でもめている小金井市と周辺のような「おいおい」というレベルも、そうかな? )
これらは、上記のような視点で観察していきたい。

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目次 : 2012年を考える
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2012年を考える(9)外部要因に翻弄される日本経済

2011年は、1000年に一度の甚大な震災被害、原発事故、そして50年に一度のタイの洪水被害が、日本経済を襲った。
何故こんなに悲惨な目に合わなきゃいけないの、、、と感じてしまう一年だ。

だが、GDPのへこみ具合を日本経済の被害のモノサシとして見れば、
サブプライム崩壊〜リーマンショック〜世界同時不況の2008年の方が段違に悲惨だ。

1990年代中盤以降、日本の名目GDPは横バイだった。
サブプライム崩壊〜リーマンショック〜世界同時不況のショックは、100年に一度的なダメージを日本経済にもたらした。名目GDPは約50兆円も減少した。

その後、ふらふらとしながらも、GDPは500兆円レベルに戻ろうとしていた。
2011年日本経済は、ようやく立ち直ろうとした「病み上がり」状態の時に、不幸にも、「震災被害、原発事故、タイの洪水被害」の三連発を食らってしまった。
経済のへこみという数値以上に精神的なダメージが大きいように感じる。
もう一回頑張ろうというファイティング・ポーズが弱くなっているかもしれない。

日本GDP

2012年は、少なくとも前半に関しては海外経済(特に欧州)が足を引っ張る
急速にモメンタムを失いつつある欧州経済だが、株価は2011年に大きく下げたが、経済の実害はこれからが本番だ。2012年前半の欧州経済は、日本の輸出企業には困った存在となろう。

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必要以上に欧州経済が懸念されている背景は、PIIGSソブリン危機問題だ。
少し前に書いたように、
(1)ドイツが、ギリシアなどPIIGSに、様々なモノを売って黒字を貯め込んでいる。反面、ギリシアなどPIIGSは、輸入代金のツケ(赤字)がたまっている。
ドイツが、ツケの回収をしたければ、ドイツがギリシアなどPIIGSからモノを買うしかない。

(2)彼らがドイツに輸出するモノがなければ、彼らの資産を売って換金しなければならない。
国有産業の民営化で資金をねん出することになるだろう。まわりまわってドイツ企業の資金が流れ込む(=ドイツ企業が買収する)ことになるだろう。

(3)ただし、(1)や(2)には時間がかかる。2012年の経済や株価には間に合わない。そもそも国債の借り換え(自転車操業の維持)には即効性が無い。
その間は、ECBだろうが、IMFだろうが、どんな体裁・形式を採用しようが、日本・中国・ドイツも含めて、金を持っているところが生命維持装置として金を貸してあげるしかない。
それはそういうものだ。。。。破たん清算処理するなら、話は別だが・・・

にもかかわらず、欧州共通債券最後の貸し手としてのECB、、、これら全てに反対しているのがドイツのメルケル首相だ。
それを許せば通貨の信頼が失われ、インフレが襲ってくるという、第一次世界大戦後の悪夢がトラウマになって正常な判断ができない金縛り状態になっている。

普通の国の中央銀行は最後の貸し手だ。
彼らは自国の通貨を増発して特別融資することで、困窮した自国の金融機関を救済する。
加えて、金融機関への融資を通じて、一般企業の救済に手を貸す。

しかし、ユーロ加盟国の中央銀行は、最後の貸し手になれない
通貨を増発できないのだ。
通貨の発行は、ECBの手にあるからだ。

したがって、最後の貸し手になれるのは、通貨発行の権利を持つECBしかいないのだ。
にも拘わらず、ECBが最後の貸し手になるのを反対するドイツは、困窮するドイツ以外の金融機関や一般企業を見殺しにしていることになる。
( 彼らがいなくなれば、ドイツ企業の天下かもしれない。 )

メルケル首相は、ドイツの為だけに政治をするか?
欧州全体に奉仕する政治をするか?

問題は、メルケルは欧州全体の有権者に選出された訳では無いことだ。
しかし、それを乗り越えた政治家が後世一流と評価されてきた。
さて、彼女はどうする?
インフレ懸念のトラウマに負けて、EUやユーロを破壊したドイツの首相として歴史に名を残すのだろうか?
翻意することを願いたい。

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ECBの最後の貸し手としての役割とユーロ共同債の構想、このいずれも拒否を貫いた場合だが、
ギリシアもイタリアもスペインも全員が「支出を削減」して赤字を減らす、縮小均衡(デフレ)の選択しか無い。
借り換え国債は少額しか発行できないし、その金利は殺人的なレベルに高止まりする。
彼らの経済はボロボロになるだろう。
その地域へのドイツの輸出品は激減する。そしてドイツ企業は、、アメリカとアジアに輸出攻勢をかける事になる。
国際関係は非常にギスギスした時代が来るだろう。
ヒトラー登場前夜といった雰囲気に匹敵しそうだ。

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もしメルケル首相が、欧州全体を考えた政治に舵を切れば、急速に雲は晴れる
それは、厳格なドイツ人の規律を欧州全体に押し付けることをあきらめて、言い方に語弊はあるだろうが、ダメ民族(←ドイツ的な評価では)を含めた平均的な欧州の民度に応じた政治をすることを意味する。
これが起こった時は、持続期間は別として、一旦は大きな反騰局面がくるだろう。

そして、それはユーロ債権の大量発行、ユーロ通貨の大量増刷を意味する。
ユーロ安円高は避けられないだろう。

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目次 : 2012年を考える
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2012年を考える(8)侵食、または下剋上

2012年に関して、スマホの大競争時代が続くことは明白だ。
これは考えておくべき事項だ。

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3年前に聞いた時に驚いた会話がある。

IT企業の経営陣K氏:最近の若い人、PCを持っていないのですよ
春山:えっ、ネット不要なの?
K氏:彼らは自宅にいる時間が短いので、固定電話は持たず、ケータイで全部済ましちゃうんです。
H:でも、あの小さな画面じゃ・・・
K氏:大画面PCじゃないと困る事は、会社のPCでやっちゃうのです。私生活はケータイでネットですよ。

そして、2011年、スマホの時代になった。

ガラケー、スマホ、タブレット、ノートPC、デスクトップPC

これら全てがネットに常時接続されている。
2012年だが、何が、どうなるのだろう?

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1980年代に、初めて携帯電話が登場した。
当時の巨大なモトローラ製の携帯電話(大きさ:大根半分程度、重さ:大根1.5本分)にも触らせてもらった。
以来、趣味や仕事で、携帯電話、ケータイ、PHS、PDA、モバイルカードと、密着観察&利用してきた。

下記は、過去エントリーを「携帯電話」で検索した中から抜粋したものだ。
それを読み返しながら再認識したことは・・・

何でもできるPCは、万能の神のような存在として、Windows95出現以降のインターネットの世界を牛耳っていた。
通話のみの携帯電話(1980年代)、メールができるようになった1997年以降のケータイ、imodeが始まった1999年、、、この辺までは「PCでインターネット」は不動の地位だった。そもそもケータイでネット(1分=200円以上だったと記憶)するなど、富裕層で無い限り経済的に不可能だった。

しかし、2004年京セラ製PHS AH-K3001Vの発売を皮切りに、ケータイ・インターネット定額制の扉が開かれた。
そして、2007年のiPhone登場を境に、スマホ大競争時代になり、モバイル・インターネットの花が大きく開いた。

< 参考過去エントリー >
2011年6月8日:恐るべしアップル 「iCloud」へ全力疾走するけれんみのなさ
2011年2月27日:3DS 任天堂 使ってみて、感じたこと、将来性など
2010年9月9日:アップル (6) : 9月1日のアップル・イベントを踏まえて  アップルのメディア・ビジネス(アップルTV)
2010年4月1日:生産性と、セキュリティ要請
2007年11月8日:グーグルの携帯電話ビジネスへの進出は、disruptionを加速させるはずだ (2)
2007年7月6日:商品(iPhone)のプロモーション・ビデオも最高にCool! アップル、恐るべし
2006年12月13日:アップル、 iPhone、 iTune Music Store
2006年7月2日:このキーボードは使いやすそうです CINGULAR 8125
2006年3月8日:(テレコム・リベンジ(2))KDDIの"FMC"が、ビジョンの最先端だと思う
2006年3月5日:ナンバー・ポータビリティは、熾烈な消耗戦か
2005年12月25日:シトリックス(1)
2005年10月22日:Dark Fiberが消える日 (1)
2005年5月15日:これはすごいぞ!"非対称マルチコア":NEC e-Trend Conference 2005"(4)
2005年5月13日:ユビキタス???"NEC e-Trend Conference 2005" (2)
2004年9月24日:PDAは、単独では生き残れない(3)ボーダーフォンの新携帯!!
2004年9月22日:PDAは、単独では生き残れない(1)


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今週経験した会話

A男:スマホ買ったんです。テザリングもできるので、タブレットも買いたいなぁ
B女:スマホから直接印刷できるようになったし、家の光回線って不要だよね
A男:えーっ、家とモバイルは別でしょう!
C女:私なんか、ケータイもほとんど使わないし、解約しようかと思ったり・・・
D男:それじゃ、連絡取れなくなるから、私たちが困ります!
B女:ケータイだと画面を見なくても片手でメールを打てるけど、スマホは両手使わなきゃいけないから、スマホは嫌い。通勤時間など自宅や会社以外だと、片手がふさがっている事が多いし・・・
D男:(リュックにしろ!、と女性には言えないなぁ。。ブツブツ)
E女:もしスマホでPCでやってることが出来るのなら、PC要らないと思うけど、画面小さいから私には年齢的に無理だわ

この会話を通じて、再確認したのだが・・・
以前は新しい携帯の機能やサービスが出現した時に、「それは便利だ。じゃあソレも欲しい(=PCはそのまま利用を継続して)」、という反応にとどまっていた(=ケータイとPCの両者棲み分けの時代)ものが、
ケータイ、スマホの高機能化&低料金化によって、
「それは便利だ。そこまでできるのなら、私にはPCは要らない」という、ケータイ&スマホがPCを侵食する下剋上が明確化した、
もちろん、この変化は徐々に起こっていたのだが、ついに分水嶺を超えたと感じた。

自宅の光回線、PCがどうなるか?
2012年に関しては、全員が等しく「光回線+PC+スマホ」に向かうという時代ではないと思う。
使い方次第だろうが、スマホを買ったので、New PCは買わない、固定回線・ADSL・光回線は解約するというパターンが周囲で散見されるだろう。

私の場合だが、自宅で高速ネット回線とPCは手放せない。
このブログ・エントリーは、高機能スマホやタブレットでも事実上できない。
フォント・サイズや色を色々と変化させたり、画像・グラフを挿入したり、リンク・URLを埋め込んでいる。
下作業として、ネットを通じた縦横無尽の検索調査も長時間実行している。
こんな作業には大画面のPCが欠かせない。

一方、一回5分〜10分程度、ニュースをチラチラ見て、SNSに2〜3行程度ちょこちょこっと書き込む、、、、
それならスマホでOKだろうし、自宅のADSLや光回線、固定電話、PCも不要だろう。
そして、2012年に関しては、それで十分というユーザーが相当多いと思う。

2013年以降の話だが、信行政が進化して、
家では固定通信(=光回線)、外出時は無線通信(携帯、WiFi、WiMax)これらがシームレスに自動接続変更されて、かつ低価格化が進めば別世界が来るだろう。
例えば、光回線=3000円、スマホ=2500円定額、4人家族で月額13000円というレベルが来れば、一段と飛躍したネット時代がくると思う。

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浸食とか、下剋上というキーワードに関しては、日本の消費分野でドンドン進展するだろう。

ネットを通じて、魅力的な商品やサービスの存在を知る。
SNSでその情報が伝播する。
これまで「商品の存在を知らないがゆえに、低レベル&高価格の商品・サービスに甘んじてきた」人々が、知ったがゆえに購入先を変更する大変動がこれまで以上に顕著になる。
スマホ利用者の拡大は、SNSの隆盛と相まって、PCで起こった商品購入パターンの変動を加速度的に拡大させるだろう。

2011年はモバイルゲームの伸びが加速した。ネットゲームが盛んとはいっても、利用者の主流はオタク的傾向のユーザーが多いだろう。
2012年以降は、一般ユーザーのモバイル・ネット利用が主役になるだろう。ならば、注目すべきはネット・ゲームでは無く、一般的なモバイル・ネット小売だろう。
勿論、日本の消費はゼロサムだろうから、ネット小売の増加の裏には、売り上げ減少で沈滞が加速する企業も続出するだろうが、それは仕方が無い。

欧米景気の沈滞が懸念される。
これは、新興国企業との競争激化も相まって、景気敏感的な輸出企業は「マイナス・サム」に悩まされる事を意味する。
反面、国内消費は「ゼロ・サム」だ。
浸食
とか、下剋上というキーワードの中で活躍する消費分野の企業は注目すべきだろう。

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目次 : 2012年を考える
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2012年を考える(7)慢性疾患と正面対峙させられる

欧州危機
21世紀になって以降、この言葉の示す内容は、地理的にも内容的にも、大きく変化をしてきた。

当初は、アイスランド危機
その後、東欧危機
そして、PIIGS危機
再び、PIIGSが拡大中にもかかわらず、東欧危機が再登場
こんな推移をしてきた。

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危機で倒産の分水嶺に立たされるのは銀行だが、その原因になるバブル的放漫融資を扇動するのも銀行だ。
PIIGS危機の影響で倒産の分水嶺に立たされる欧州銀行だが、欧州では、「集めるのに手間暇がかかる預金」を集める努力を省略し、「一瞬で大量に借りられる市場」から、USドル資金を調達してビジネスを拡大してきた銀行が結構多い。

一瞬で大量に借りられる = 一瞬で資金が脱げだす、、、と表裏一体だ。
今や資金取り入れのドアを閉められた彼らは、毎日が綱渡りのUSドルの資金繰りを強いられている。
投資家から「逃げ出し」を食らっている彼らは、黒字倒産を避けるために、高金利でも良いから借りられるだけのUSドル資金を必死にかき集めている。

だから、USドル金利が上がり続けている。
8月14日のエントリー(欧州の金融機関は大変な状態)に掲載したUSドルLIBORの金利水準と、下左の水準を比べて欲しい。

3か月金利で比べれば
8月14日:0.29%
11月20日:0.49%
と、0.2%も上昇している。

銀行ビジネスにとって、調達金利が、0.2%も上昇すると、利益が激減してしまう。
貸し出すローン金利は上昇していないので、ストレートに利ザヤが小さくなるのだ。


LIBOR_20111120

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望む金利での国債発行が不可能になったギリシアなどPIIGS諸国だが、
私は、「そもそも、望みが高過ぎる」と私は判断している。

現状は1980年代〜1990年代に戻っただけで、それが正常な姿なのだと、私は思う。
通貨を統合しても、財政政策はバラバラなのだから、金利がバラバラになるのが正常な姿だ。
放漫財政&貿易赤字の国の金利は高く、倹約財政&貿易黒字の国の金利は低い。この状態が、誰が見ても合理的な姿だ。

その意味では、1997年〜2007年(各国の金利水準が、各国のファンダメンタルを無視して、低く収斂した)は、理想に心を奪われて、現実を見てみないフリをした無責任な時代だったと、後年評価されるだろう。

欧州金利_対ドイツスプレッド

ギリシアなどPIIGS危機に対して、何をするべきかは見えてしまった
日本のようなデフレ縮小均衡か、手術をして一気に処理をするか、いずれにしても痛みのある政策だ。
ユーロ採用国は民主主義国家なので、国民が判断する。選挙で判断する。

選挙期間中に「痛みの無い手法で解決する」との甘言で政権の座に就いても、新首相や新大統領の机の上には、痛みのある選択肢しか乗っていない。

政策の選択肢が消え
・・・これは程度の差こそあれ、先進国に共通することだと判断している。
だから、やる/やらない、早期に着手する/いつまでも放置する、、、これが各国の将来の分水嶺だろう。

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今月になって、欧州危機の内容が増えた。
かつての東欧危機が再登場してきた。

7月〜8月ごろかポーランド、ハンガリー、チェコなど東欧通貨が売られ始めている。(下チャート)
1


2006年〜2009年の東欧危機が再度表面化しつつある。
内容と原因は変わっていない。

参考として当時のエントリーを紹介する。
これらを丹念に読み返すと、現在のPIIGS危機と同様に、
1:最終的に外部の資金で救済を受けるが、
2:その数年前に危機は発生している
3:当初は「大した事ではない」とか、「自分で何とかしろ」という政治家の態度に翻弄され、事態は悪化する

という状況が読み取れる。

2010年1月6日民主主義の暴走 : 英蘭の預金を人質に金融支援の拡大を狙うアイスランド
2009年12月17日2010年の羽音 : ユーロ諸国の苦悩(負債の増加)
2009年11月9日戦いが続いているラトビア
2009年10月14日(図版の補足)図 4 : 東欧・中欧向けローンは、時限爆弾 (社会主義化するアメリカ)
2009年7月23日十把ひとからげで"ダメ組"に分類される欧州
2009年7月14日EUと、IMFの対立は、目指すところと目的の相違があるので仕方がない
2009年6月5日ラトビアの崖プチ
2009年4月14日ポーランド :ミセス・ワタナベよりダメ
2009年3月15日(1)米国債安全宣言、 (2)資源エネルギーがありますか? 無ければ、EUに丸抱えしてもらいなさい
2009年2月27日ハンガリー、230bnドルの救済資金を要求
2009年2月26日(資料)記録:ウクライナ格下げ、東欧中欧危機、欧米銀行のディ・レバレッジ
2009年1月24日英国ポンドの凋落 +アイルランド不動産王の自殺
2008年11月27日タイと、ポーランドの類似性を感じてしまった
2008年11月6日過去と未来のギャップ(2)
2008年11月1日2008年10月を振り返る(4) オバマ時代を織り込み始めた世界経済
2008年10月31日+9.96%の上昇の10月30日 +アイスランド & IMF
2008年10月18日週末の定点観測 : 全体感(3)
2008年10月15日アイスランド株式の記録的な暴落
2008年10月8日10月7日のハイライト:誰かが死んだ・・(2) アイスランド & プーチンの戦略
2008年8月8日銀行は、リスクを縮小せよ!、、、、指令レポートで、お墨付きか??
2008年6月15日週末の定点観測 : 全体感(アイルランド、国民投票否決)
2007年2月26日エストニアの銀行ローン・ポートには驚きました、、、
2007年2月22日庶民が住宅ローンで、キャリートレード、、ですか、、、、
2006年4月20日世界のバランスが変調気味です
2006年4月3日マスコミを賑あわせ始めたアイスランド、中東の株、為替
2006年3月27日えーっ、メルトダウン! アイスランドは、"アジア危機の時のタイよりひどい"?
2006年3月25日キャリー・トレードの静かな崩壊 : アイスランド・クローナ


東欧危機は、IMFの救済で鎮静化したように見えたが、現在の彼らの状況は、
A:西欧経済におんぶにだっこの存在である事は変わっていない。
B:PIIGS危機を背景に、西欧は景気が低迷しつつある
C:なら、彼らへの投資は危険だと投資家が懸念を強め
D:資金を一斉に回収し始めた。
という、流動性危機が起こり始めたと判断できる。

ベルリンの壁の崩壊後に、安価な労働力&高い教育水準&元同胞&同じキリスト教文化圏という背景で、東欧に資金と設備投資が雪崩を打って流れ込んだ。
そして、彼らに負けじと、アイスランドやアイルランド雇用確保を旗印に国策として税優遇などの大盤振る舞いをして、世界中の資金を呼び込んだ。
両地域とも、結果的にバブルとその崩壊という経済の大変動に直面した。
そのような経済の大変動は、流動性の大規模急速流入(ブーム時)とパニック流出(崩壊時)と同時に起こっている。
もし、2011年後半から、流動性危機が始まっているとすれば、2回目の危機だということだ。

下チャートは、2001年末を起点とする欧州諸国の対ユーロ・レートの推移だ。
ポーランドとハンガリーは、10月末時点で、すでに2008年の危機時の水準に再下落している。
チェコは経済の相当な改善が見られた後に、現在の反動が起こっている。
ポーランド・ハンガリーは深刻になる可能性があるが、チェコは耐えられるかもしれない・
( 参考過去記事:流動性の引く時の恐ろしさ (1)、 流動性の引く時の恐ろしさ (2)
2

拡大してきた欧州危機は、一過性のパニックというよりは、慢性疾患と考える方がよいだろう。
欧州共通債券だろうが、IMFだろうが、ECBだろうが、出来る援助を長期的に継続せざるを得ない。

なお、欧州は歴史的には一度は先進国だったわけで、アジアの新興国と比較すれば、所得水準や社会保障の水準が高い
東欧の中産階級労働者と、アジア新興国の労働者(特に、中産階級予備軍)との競争は、世界需要を誰が担当するかの競争だ。
東欧諸国が、熾烈な競争に疲れ果て、内にこもる、保護主義に走る、、、など国際的な通商が緊張する事態が2010年代いっぱい継続することも想定しておきたい。

<< 参考過去エントリー >>
2011年1月8日:ドイツ企業だけがウハウハに儲かっても欧州全体やユーロを支えることはできない
2011年1月3日:フランスの視点で見るPIIGS危機
2010年4月2日:揺れるヨーロッパ : 東欧、PIIGS,アイスランド (3)宴の後(下)
2010年4月2日:揺れるヨーロッパ : 東欧、PIIGS,アイスランド (2)宴の後(上)
2010年2月6日:PIIGS(落ちこぼれ先進欧州) VS CCE(欧州新興国)


コメントはこちらから、
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目次 : 2012年を考える
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2012年を考える(6) 催促は突然やってくる

貿易の赤字・黒字問題、財政の赤字問題は、時間差の利用(=悪い言い方だと、世代間搾取)と規律の問題だ。
時間差利用の善し悪しの議論は、神学論争になるので、私は関与しない。
将来世代も使うものだから、借金やツケで買っても良いじゃないか!
貿易赤字や国債は将来世代の為にやっているのだ!
本当に将来の人も必要だと判断するの?
そこまで大規模・立派なものが必要なの?

議論は尽きない。

規律は、サブプライム破たんを契機に、修正が進んでいる。

赤字問題(=借金問題)に関して、緊急課題であるギリシアPIIGS危機の来年に向けての展望を考えると、以下のようになる。

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欲しいモノ(=需要)はあるが交換相手に渡すモノ(=供給)が無い」状態・・・これが全ての始まりだ。

昔は、金を掘って、金貨を鋳造して、相手に支払っていた。
交易決済に使える「お金」を作り出すことが必須だった。
だから、金鉱山を求めて世界中を探し回る(=正確には、侵略?)する大航海時代が生まれた。
コロンブスもマルコポーロも、「金」ゆえに長い旅に出たのだ。

しかし現代社会では、金掘って、金貨を鋳造す努力は、今すぐには不要だ。
当座は、金が無くても、ツケで買い物ができる、、、借金が利用できる。
車も、家も、医療サービスなど有形無形のサービスも借金で買わしてもらえる。
借り主は個人や企業にとどまらない。政府だってツケを利用できる。だから年金だって借金で賄うことができる。
ただし、すべては「当座は」という条件での話だ。

借金は、一旦返して即借りるという自転車操業を許してもらえる間は、ある時払いの催促無しに見えるが、契約上・法律的には、催促有り(=毎回催促に応じて返済している)だ。
しかし、借金している方は、次第に出世払いだと思い込んでしまう。
毎回、自動的に借り換えができるので、「あなたの物を買ってあげるために、私はワザワザ借金までしてあげている」という感覚になる場合もある。

そもそも借金をしたら・・・・・
返済資金の工面は、ツケをさせてくれた人に物を売って、その売却代金を充当するしかない。
その辺の詳細は、以下を参考にしてください。
( アリとキリギリス(1) : お金と借金、返済資金は「あなたが持っているお金」です )

借金の「返済催促&借り換えできません」通知は、ある日突然同時にやってくる
しかも、困っている時に限って、大挙してやってくる。
現在のギリシア危機は、まさにこの状況にある。

借金とは、困っている人には貸さない性格のものだ。
銀行は、「なくなったら困るお金」を庶民から集めて、その金を貸している
損をする危険が高い人には貸せない。
銀行を非難するのは間違いだ。
私のお金が無くなっても良いから、かわいそうな人に貸せ、、、そんな人はいない。

結局、借金をしたら、
突然やってくる返済催促に備えて(=自転車操業ができなくなる時に備えて)、返済資金を確保しておかなければならない。もしくは換金できるモノを保有しておかなければならない。

ここまでで、三つのことがわかる。
(1)ドイツがギリシアに様々なモノを売って(輸出)、代金のツケがたまっている。
ツケの回収をしたければ、ドイツがギリシアからモノを買うしかない。

(2)ギリシアがドイツに輸出するモノがなければ、何かを売って換金しなければならない。
ギリシアの国有産業の民営化で資金をねん出することになるだろう。
まわりまわってドイツ企業の資金が流れ込む(=ドイツ企業がイタリア企業を買収する)ことになるだろう。

(3)ただし、(1)や(2)には時間がかかる。借金の催促は待ってくれない。
その間は、ECBだろうが、IMFだろうが、どんな体裁・形式を採用しようが、日本・中国・ドイツも含めて、金を持っているところが貸してあげるしかない。
それはそういうものだ。。。。破たん清算処理するなら、話は別だが・・・

コメントは、こちらから
参考:アリとキリギリス

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目次 : 2012年を考える

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良い考えが浮かぶのは、静かな時が多いですね

重たい内容のエントリーが続いたので、息抜きの与太話をひとつ・・・

毎年11月になると「来年の事」を考えます。
多分、一年の中で一番いろいろと考える時間が多い月だと思います。
11月は、考える人になるのですね

考える人_1

普段もいろいろ考えるのですが・・・・
アイディアがひらめくのは、考えるとは違う事をし始めた瞬間〜5分以内ということが、私の場合は多いです。

布団に入って眠りかけた頃に、「あっ、コレコレ、そうなんだ」と気が付いて、ゴソゴソ起き出して紙に殴り書きしてまた寝る。。。。結構多いです。

以前は、翌朝起きてからメモしようと考えて、寝てしまってましたが、それでは何も覚えていない(←私の場合)と判明したので、とにかく、「起きて、書き残して、また寝る」ことにしています。

もうひとつ、、、これは日中の話ですが、
トイレで思いつくことが多いです。
これも、違う事をし始めた瞬間〜5分以内という意味では同じです

 (こんなに素敵な場所ではありませんが・・・・・ )
考える人_2

考える人のポーズになれるのが、トイレだから・・・これが理由???

考える人_3

もうひとつ、考えをまとめるコツですが、
書きかけで一晩寝かせることです。

興奮しながら書くと、多面的な考察が未完成のまま結論を出してしまうので、誤判断の確率が上昇します。
時間を置くことで、自分の書いたモノを冷静に見つめ、有意義な修正や付加、もしくはアイディアの訂正ができるのです。

以上、与太話でした。
コメントは、こちらから




2012年を考える(5) 一番変化するのは「人々の考え方」

前回の続きです。

2011年に至るまでを振り返ってみよう。

2001年:9・11アメリカ同時多発テロ

2004年:巨大ヘッジファンド、アマランス破綻
2005年:中東バブル
2006年:BRICsブーム
2007年:アメリカ住宅価格ピーク・アウト、サブプライム住宅ローンの崩壊の始まり
2008年:リーマン・ショック
2008年11月:オバマ大統領の地すべり的大勝利
2010年:アイルランド危機(2月)、金融改革法案(4月)、ギリシア危機(5月)
2011年:ギリシア危機本格化、アメリカ格下げ


1970年〜2000年を振り返ると、一番変化したのは、政治だと思う。
もう少し正確に言えば、政策に関する人々の考え方が変わったのだ。
以前は、富と雇用を創造するために規制を強化するという考え方だった。
それが、富と雇用を創造するために規制を緩和するという考え方に変わった。

以前ここに書いたように考え方が時代を創り上げるのだ。
だから、考え方が変わると、時代が変わる

2000年以降、メディアに繰り返し登場するのは、政治の停滞、政治不信という言葉だ。
資本主義とは、経済のこと、
民主主義とは、政治のこと、
政治の停滞、政治不信とは、民主主義の停滞、民主主義の機能不全だ。
換言すれば、以前の考え方が通用しなくなった事はわかっていても、それに代わる新しい考え方を民主主義国家が見つけることができずにもがき苦しんでいるのだ。

富と雇用を創造するために規制を緩和するという考え方の・・・・
(1)行き過ぎを修正するだけで良いのか?
(2)規制を強化する考え方に戻るのか?
(3)別の何か新しい考え方に変えるのか?
2011年11月現在、その「解」は見つかっていない。

そういえば、2011年になって顕著になったと、私が感じていることは、企業に背を向ける日米の保守党(US:共和党、日本:自民党)ということだ。
共和党は内にこもり、Tea Partyや過激な政策に終始している。
自民党はモゴモゴと口ごもりながらTPPに反対している。
本来、保守党は企業の応援団だ。企業活動が盛んになり彼らの利益が増加するように、自由貿易と関税の撤廃を推進する立場だったハズだ。

何故、こんな逆転が起きているのか?
支持基盤、支持者、彼らの考え方が変わったからだ。

支持基盤、支持者とは、先進国の中流階級だ。
中流とは言え、彼らの所得や生活水準は、新興国(その多くは先進国の旧植民地)の中流とその予備軍の数倍も豊かな生活をしている。

しかし、21世紀になって、新興国が台頭し、先進国の中流階級がエンジョイしていた「豊かな生活」が消えたのだ。
何故なら、その豊かな生活」は、旧植民地を上手に利用(=一種の搾取、または隔離、仲間に入れない)することによって得ていた超過利潤だったからだ。その超過利潤の恩恵で「貧しさから脱出して、中産階級に這い上がった」のが、先進国の中産階級なのだ。

今や、先進国の中流階級は、新興国の労働者と真っ向勝負をする羽目になった。
高い賃金&短い労働時間 VS 安い賃金&長い労働時間
人間の能力に大きな差は無いだろう。
勝負は見えている。

地球規模の裁定取引(アービトラージ、割高を売って割安を買う)が進行している。
しかも、加速している。
地球規模で格差が急速に縮小するのだ。

地球規模で言えば、所得の再配分、格差是正、弱者救済が実現しているので、めでたいことだ。
しかし、先進国では親の世代がエンジョイした豊かな生活を、子供の世代は「昔は良かった」と愚痴りながら過ごすことになる。
しかも、政治家が親の世代向けの選挙対策(=一種の買収)として約束した「分不相応な年金・医療福祉」の費用負担の増加に、一生あえぎつづけるのだ。
いわゆる現役世代の負担は、先進国の世代間闘争を激化させ、ますます少子化を加速させることになる。

参考:グローバル格差社会、国と年金の国際化社会主義化するアメリカ 米中「G2」時代の幕開けより抜粋コピペ)

日本の進むべき道

現代の先進国の労働者は、職業選択の自由や機会の平等はあるが、彼らが夢描いたような経済的な成果は得られなくなっている。
正確に言えば、「植民地から搾取していた時代の先進国の労働者」と比べて、現代先進国の労働者は、世界の中での相対的な優越度合いが低下している状況なのだ。
地球規模の格差是正は止められない
かつて19世紀の西欧で始まった市民革命が先進国内での格差是正を実現したように、21世紀に爆発している地球規模の格差是正も長期間継続するだろう。

国家は中流階級から徴収する税収に依存している。
それを前提に福祉を設計してきた。
彼らの超過利潤が消えると、福祉の制度設計が崩壊する。
そういう宿命だ。

しばらくは借金で福祉を延命できるだろう。
しかし、2011年のギリシアのように、ドクター・ストップが宣言される時が来る。

もし、これがギリシアやPIIGSだけの問題ではなく、先進国に共通する問題であるならば、
先進国全てに対して、植民地ありきのDNAをベースとした民主主義(=国境の中だけの民主主義)&社会福祉制度にドクター・ストップが宣言されるだろう。

その時までに、新しい考え方が合意されていることを祈りたい。

*** 続く ***

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