2011年12月

製造業ベースの貿易黒字と、証券投資ベースの所得黒字は、別世界

前回の続きだ。

自動車の輸出、ハイテク製品の輸出、製造用機械の輸出、大型建設機械の輸出などが、日本の貿易黒字を稼いでいる。
製造業は下請けの中小企業などを含め、広大なすそ野を持ち、多数の雇用を支えている
貿易黒字を生み出すと同時に、多くの企業で働く労働者の生活を支えている。

一方、証券投資の利息配当金などの所得収支の黒字の場合は、極端に言えば、雇用は不要だ。
投資されたお金が淡々と利息や配当金を稼いでいるだけだ。
証券投資を管理するビズネスは必要であり、そこで働く労働者へ雇用は提供するが、製造業の提供する雇用の巨大さに比べれば微々たるものだ。

貿易黒字と、所得黒字では、雇用の吸収力が段違いなのだ。
経常収支の黒字の主体が、貿易黒字から所得黒字に変化すると、社会全体としての雇用の吸収力は減少するだろう。日本の産業構造が劇的に変化することになる。

経常収支黒字の構造変化と雇用


雇用の吸収力の低下=賃金の減少・・・であるが、この数量的な減少以外に、別の重要な変化が生じる。

製造業、投資業という言い方で話を進めれば、
投資業に参加するグループは、総じて企業や富裕な個人(その多くは高齢者)だ。
製造業に参加するグループは、投資業に参加するグループよりも、若年層であり、ゆえに非富裕だ。

経常収支黒字の主役の変化(貿易黒字→投資黒字)は、製造業が支払える賃金総額を減少させる。投資業の受け取る賃金は増加する。この変化は長期的に継続強化される。
企業や富裕な個人と、若年労働者との格差は構造的に拡大する。
しかも、このプロセスは長期間継続するだろう。
1600年代の産業革命を経て世界の工場の地位に就き、その後は海外投資(=多くは植民地経営)の投資収益黒字の国家になり、そして現在に至った英国の栄枯盛衰の歴史を参考(下図参照)にすれば、日本の場合でも、格差の拡大プロセスは、最低でも数十年間は継続するように思われる。

参考:ウィキペディア:経常収支
発展段階説

なお、最近散見されるようになった「2013年に貿易赤字の定着が始まる」という予想が当たるなら、政府想定の2030年よりも、かなり早い段階で貿易赤字に転落することになる
===== 赤枠内抜粋引用 ====
>2005年4月に経済財政諮問会議の専門調査会が取りまとめた「日本21世紀ビジョン」によると、2030年度の日本は、貿易収支は赤字になるが、中国等東アジアへの直接投資からの収益により所得収支の黒字が拡大し、これまでの輸出立国から投資立国、すなわち上記の「成熟した債権国」になるとされている。一国の経済規模としては、現在では通常国内総生産 (GDP) が利用されるが、所得収支の黒字が拡大するとこれを含んだ国民総所得 (GNI) の方が経済政策の目標としては適切であるという議論が起こっている。
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過去10年ほど、日本の貯蓄率は低下してきた。
上記の構造変化を考えると、企業と富裕な個人は利息配当金の受け取りが増加するので、貯蓄をそれほど減らさなくても済むだろう。
しかし、製造業に従事する若年労働者が受け取る賃金総額は減少するので、貯蓄を増やすのは困難さが増すだろう。
今後の貯蓄率の上昇下落にかかわらず、両者の格差は拡大するだろう。

上記は全て、格差の再生産メカニズムだと言える。
貿易赤字が始まる年は、格差元年と言うことができそうだ。

ここまではかなり単純化して話を進めたので、次回は少し詳細に分析してみたい。
格差拡大の痛みを和らげる選択肢も説明したい。
***次回に続く***

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特集目次 : 経常収支の構造変化と新生日本
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お金の対外収支の黒字(経常収支黒字)は、20〜30年先まで続きそうだ

お金の外国との「支払い/受け取り」には、

(1)衣服、自動車、食品、石油などモノの輸出入代金の支払い/受け取り
(2)海外企業へ提供する(または日本企業が海外に委託する)コール・センター業務などのサービス料金受け取り(または支払い)、特許料の支払い/受け取り、海外旅行など支払い/受け取り、
(3)証券投資などの利息配当金の支払い/受け取り

それ以外に、(4)政府間のやり取り、という項目もあり、4分野に分けて集計されている。
いずれも支払いと受け取りの差し引き金額だ。

(1)貿易収支
(2)サービス収支
(3)所得収支
(4)経常収支移転
と言われる。

(1)+(2)+(3)+(4)=経常収支
経常収支が黒字だと、お金を外国から受け取っている黒字国
経常収支が赤字だと、お金を外国に払っている赤字国
と言われる。

農産物や鉄鉱石、原油、自動車、コンピュータ・ソフトを海外に販売して、そのお金を受け取る、ということはイメージしやすい。それ以外の事は、普段の生活に密着していないのでピンとこない。
しかし、国としては、物だろうがサービスだろうが証券投資だろうが、何でお金を稼いでも、黒字であれば、PIIGS危機のような事には直面しない

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さて、日本だが、円高の影響で1980年代から日本の製造業は海外進出を増やしてきた。円高で国内工場が高コスト化し、輸出競争力が低下することに対応してきたのだ。
2011年は、震災を契機に、地震国日本という立地のリスクを回避するための工場の海外への移転が加わった。またタイの洪水を機に、工場の集中は危険だと理解し、工場を世界の複数地域に分散すると言う意味での工場の海外移転も始まった。

随分前から言われてきた事だが、現地生産&現地販売の増加に伴い日本から輸出が減少するので、いずれは貿易黒字は大幅に縮小すると予想されてきた。
最近では、震災後の輸出減少と工場の海外脱出の加速を受けて、貿易黒字の赤字化の時期が速まったと指摘され始めている。

現在の状況、および将来の姿を考えてみたい。
下図は日銀のHPからデータをダウンロードして作成した1995年以降の経常収支の状態だ。2011年は上期を単純に2倍している。単位は億円だ。

貿易黒字(緑)も大きいが、海外証券投資からもたらされる利息配当金の所得収支黒字(赤)が大きいことがわかる。

経常収支_20111217

今後の姿だが、
経常収支の黒字=外貨を受け取っている・・・だから、溜まった外貨の一定割合は海外投資される。タンス預金では利益を生まないからだ。

だから、経常収支が黒字であれば、徐々に所得収支の黒字は増えて行く。
上のチャートに今後数年の所得収支の黒字の増え方を書き加えれば下のようになる。

経常収支_20111217_2


経常収支の内訳について、別の表現をすれば下図のようになる。
貿易収支(茶色)は、
2010年:約8兆円の黒字
2011年:震災とタイの洪水の影響で約3兆円の赤字

そして今後のイメージを書けば・・・・
2012年:ゼロ程度(プラス化もある)
2013年:工場の海外脱出の影響がじわじわ効いてきて、約2兆円の赤字

貿易収支(茶色)は冴えなくなるが、海外から受け取る利息配当金(青色)は累積的に増加するので、
トータルで海外から受け取る金額(黄色)の黒字は、約13兆前後に維持されると考えられる。


経常収支_20111217_3

日本国としては、黒字が継続するので、海外に借金を依存する心配は、ほとんど無用だろう。
黒字が継続するので、円高圧力は続くだろう。
国全体では問題がなさそうだが、個々の国民レベルでは、大きな社会の変化に直面すると、私は思う。
*** 次回に続く ***

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2012年を考える(12) 突発大規模リスク・オフ・パニックを防げるか?

先週前半は「Risk ON」期待が大きかった。
欧州の首脳会議をきっかけに相場が良くなって、年末ラリーにつながる、という切なる願いが多かった。

しかし、期待裏切りの「UKキャメロン首相の拒否権行使」事件が起こり、結局「Risk OFF」が継続された。
一部の投資家は「フライング気味にRisk ON」しており、彼らは手仕舞を余儀なくされた

それにしても、2011年は「リスク・オフ、リスク・オン」という言葉が市場を席巻した。
株などのリスク資産を十把一絡げに「リスク・オフ=売る、リスク・オン=買う」というパッケージ売買に、世界の投資家は「右に倣え」した。
( しかも、4月以降の多くの時間はリスク・オフだった。 )

「リスク・オフ、リスク・オン」・・・これは「グローバル・マクロ」にベットしたトップダウン戦略だが、投資家が冷静さを失い浮足立っている状況で流行する特徴がある。
ファンダメンタルの善し悪しの程度は、国ごと、企業ごとに異なるが、日々のニュースの葉音におびえて「リスク・オフ=売る、リスク・オン=買う」を繰り返す潮流に飲み込まれた投資家の眼中からは、その違いが消えている

まるで丁半ゲーム(ルーレットの赤黒)みたいだ。
経済や企業の状況を見ない人が増え、周りの人の行動を見る人が顕著に増加しているわけで、一種の「危険信号」だと考えている。何の危険かは後段で述べたい。

2012年を見通せば、11月30日の世界の中央銀行の協調行動(ドルスワップ金利の引き下げと、中国の預金準備率の引き下げ)を転換点として、「2012年は、リスク・オンの時間が長くなる」と私は予想している。

1〜3月のPIIGS諸国の国債借り換えをやり過ごすことができれば、事態は改善に向かうと想定している。
これはリーマン・ショック後に世界の中央銀行が協調利下げをして以降に起こった2009年と同じような状況の再現なのだが、当時の半分程度の規模で再現されると想定している。

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2011年11月に見られた「リーマン・ショック前夜の雰囲気」は、11月30日の先進国と中国の金融緩和措置でパニックが回避されたように見えるが、問題の根本は解決しておらず、「欧州問題=慢性疾患」との戦いである。
この戦いは、事実は2010年代にわたって継続するだろう。

長期治療期間で怖いのはパニックによるTail Risk(=投資家心理の悪化による投げ売り暴落)だ。

現代の資本主義は大量の負債利用を前提にしている
紙幣も国債も負債だ。
金本位制の時代でも国債は発行されていた。
しかし、当時の国債発行残高の金準備高(保有うゴールド)に対する倍率は、今日とは比べ物にならないほど低かった。

1971年に金本位制が廃止されて以降、金準備を大幅に上回る不換紙幣が発行され、国債も同様に大量発行されている。
不換紙幣も国債も、物的裏付けは無く、「人々の信用」の上に成り立っている
その意味では、現代新本主義は信用をベースとした信用本位制の資本主義だ。
信用は心理的な変動に左右されるので不安定だ。


( 下図は単純化の為に、金本位制時代の紙幣残高は金準備額と同額、信用本位制時代は金準備額を上回る紙幣残高を不換紙幣と表示している )
信用本位制



経済が縮小し税収が低迷すると、国債の借り換えや償還を含む財政政策への信用が失墜する。
これがまさにPIIGS諸国で起こっているソブリン危機の本質だ。
信用の維持を重要視して、パニックによるTail Riskを防止しつつ、長期の治療手段・方法を決定しなければならない。
現在のように、リスク・オン&オフという行動をするに際して。周りの人の行動を見る人が顕著に増加しているわけで、冷静に考えずに周りに同調するパニック行動のリスクが高まっている。


PIIGSソブリン危機の現状は「交通事故にあって救急病棟に運び込まれた状態」だ。
長期治療の前に信用崩壊という出血を止め、パニックによるTail Risk(=投資家心理の悪化による投げ売り暴落)を封じ込める為の緊急処置の実行が必要だ。

まずは、銀行の取り付け騒ぎを未然に防止し、投資家の不安を鎮める「見せ金の山」が必要だ。リーマン・ショック後にFRBが主導して世界の中央銀行が実施した前例がある。今回も11月30日のスワップ金利引き下げを皮切りに、中央銀行が中心となって、同様な措置が始まっていると考えている。

次に、不良資産で穴のあいた銀行資産を回復させる為の増資が必要だ。
2012年6月までに完了させる予定だが、民間投資家はリーマン・ショック後と同様にリスクを回避して洞穴に閉じこもっている。Tier1に算入できる債権への投資などを含め、公的資金で銀行増資をサポートするだろう。欧州委員会は既に公的資金投入に関するルールを緩和する方針を打ち出した。

そしてPIIGS諸国の国債の借り換えサポート制度だ。
欧州共同債権が望ましいが、条約改正に2年もかかる。国会議決等の政治的な手続きが必要な資金(政治的資金)は、緊急処置としては役に立たない。
ギリシア、アイルランド、ポルトガルのような小国サポートは、現在の政治的資金であるEFSF(欧州金融安定化基金)で対応できるが、イタリア・スペインのような大国サポートは、各国の国会議決が不要な資金(非政治的資金)であるECBとIMFが出動せざるを得ない

上記の3個の緊急処置が実施されて、パニックによるTail Risk(=投資家心理の悪化による投げ売り暴落)を封じ込めた後に、漢方治療(需要を喚起して名目GDPを増加させ続ける)を始める事が出来る
そして漢方治療は10年単位で継続することになる。

なお、ギリシアなどPIIGS諸国の今日の苦悩の背景に関しては、下記を参照いただきたい
特集 揺れるヨーロッパ 東欧、PIIGS,アイスランド ( http://blog.livedoor.jp/okane_koneta/archives/51486952.html )


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目次 : 2012年を考える
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円高 VS 人民元高

円高ペースを計算してみました。
1971年1月末〜2011年11月末
年率3.8%の円高です。
円高

次に、人民元の対ドルレートの歴史ですが・・・・
(1)文化大革命(=内戦)による経済の荒廃とインフレで通貨価値が劣化しました。
それを改革開放路線決定(1978年)後に、1994年まで時間をかけて実勢(人民元安)にアジャスト
1.589→8.822、年率14.1%で人民元安

(2)短期間の修正高局面後、2004年6月まで「ドル・ペッグ」

(3)2004年7月以降の現在の人民元高局面

8.276→6.379、年率3.45%の人民元高

円高ペース(3.8%)に近いスピードです。
人民元

最後に、円安の歴史を見てみましょう。
ここに掲載したチャートを見ていただければ明白ですが、
1874年:$=0.984円
1943年:$=4.25円
戦後
1945年:$=12円
昭和20年(1945年) 1ドル=15円(2月〜3月、新円への切り替え、同じ通貨として連続している)
昭和22年(1947年) 1ドル=50円(1月、復興金融公庫の発足
昭和23年(1948年)1ドル=270円
昭和24年4月25日(1949年) 1ドル=360円
という推移をたどっています。

1874年〜1949年の75年間で、0.984円〜360円になりましたが、原因はインフレで90%以上の説明ができると思います。
なお、年率8.19%の円安ペースです。
円下落

勿論、新円に切り替えた後のハイパー・インフレ(1945年:15円〜1949年:360円)の下落率が大きいです。
そこで、2期間に分けて計算すると
1874年(0.984円)〜1945年(15円):3.9%の円安
1945年(15円)〜1949年(360円):121.3%の円安
となります。
円下落_2

ドイツが第一次背r回大戦後に味わったハイパー・インフレは、計算していませんが、もう少し激しかったようです。
だから、メルケル首相が頑強にインフレを連想される政策に反対しているのです。


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二枚腰&三枚舌は欧州国際政治の真骨だが、株式市場はペナルティ・ボックス入り

先週は劇的だった。しかし、セレモニー・・・

現実のPIIGSのデフォルトを防止するための政策を実現するための事務作業は、今週から始まる。


それは、
(1)「そうは言っても」という変わらぬ現実への帳尻合わせ
(2)変わってしまった新しい現実への対応策
が、同時進行的に忙しく動き出すことを意味する。

週明けの月曜日には、メディアも多種多様な分析記事を掲載し始めた。

拒否権を行使したキャメロン首相も、さっそく「二枚腰&三枚舌」の欧州外交という水面下
の再交渉を示唆するコメントを発表した。


( 日本語オリジナル記事は、こちら )

キャメロン_20111212

(英文オリジナル記事は「Cameron Tells Parliament He Protected U.K.’s Interest by Vetoing EU Treaty」)

キャメロン_20111212_2

「二枚腰&三枚舌」の欧州外交、これは小国寄せ集めの欧州の歴史的必然だ。
US、ロシア、中国などの大国には決して理解できない「複雑な神経構造」だ。
大国なら、その他の小国に対して自国の政策を頭ごなしに強制できる。

しかし、似たり寄ったりの国が複数ひしめき合っている状態だと、連合を組まれてしまえば負けてしまう。
だから、常に複数のシナリオに対応して、潜在的な仲間を複数用意しておく必要がある。
しかも、プランAのシナリオでは敵国のA国が、プランBでは味方になる。
日本人なら気が狂ってしまうような複雑怪奇、地味朦朧な世界だ。
こんな国際政治の関係を1000年以上も経験してきた欧州(特に大陸欧州)にとっては、二枚腰&三枚舌の外交交渉は欧州国際政治の当然の姿、この能力なしには国の存在すら危ういのだ。

平和裏に地図上から抹殺されたポーランドの歴史を見れば明らかだ。
参考ウィキペディア:ポーランド分割

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PIIGSのCDSスプレッドは、変わらぬ現実を前に悪化した。
ギリシアのチャートを見ていると、もう国が独立していない状態、他の欧州諸国に完全におんぶにだっこ状態で既にデフォルトしていることを示している。

PIIGS

複数の欧州銀行は瀕死の状態で分水嶺を歩いているようだ。
昨夜は、コメルツ銀行の国営化(市でに25%国営化だと思う)のうわさが流れていた。

( オリジナル記事はこちら )
コメルツ_20111213

そんな状況だから、US$LIBOR(下チャート左)もまったく下がる気配を見せない。

LIBOR_20111213

この状態が悪化を続けると、2008年の再来になる。
まさかとは思うが、用心しながら、US$LIBORを観察しておきたい。
LIBOR
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危機が収まったとしても、欧州は当分ペナルティ・ボックス入りだと思う。
前回欧州が混乱したのは、1990年代前半だ。
当時は東西ドイツの統合のユーフォリアが盛り上がったが、あっという間に「東西マルクの対等合併の弊害」など後遺症が多発した。
1990年8月のイラクのクウェート侵攻で混乱した世界経済が立ち直る前に発生したので、欧州は長期低迷に陥った。
参考ウィキペディア:ドイツ再統一の再統一後の問題点をご覧ください

今回もサブプライムの余震がおわまらない状態で、PIIGS危機が来てしまった。ダブルで悪材料が来ている訳で、他地域よりも冴えない状況が継続すると判断するのが自然だろう。

下図上段は、1990年代前半の株式市場の推移(円ベース)
下図下段は、1990年代前半のUSと欧州の鉱工業生産指数の推移

ドイツ統合
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以下参考:本日読んだ良いFinancila Timesの記事

財政同盟・・・うまくいくわけ無い、大陸欧州は一枚岩ではない
そりゃそうだ、過去1000年の欧州の歴史を考えれば、誰かが突出して支配しようとすれば、それが欧州全体で正しい(=全体最適)政策であっても「妨害することで国益(=部分最適)を守ろうとする」国が連合を組んで妨害を成功させてきた事実は多数ある。
( またドイツ流という事は、ヒトラーの第三帝国を連想する嫌悪感も一部にはあろうし、ラテンの国々はDNA的について行けないと、私は思う。 )

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_2
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ナショナリズムで高揚するUK保守党の欧州懐疑派だが、ナショナリズムの高揚は、スコットランドやウェールズのナショナリズムも高揚させる。
( そこまでは書いていないが、最悪の場合は、United Kingdomが分裂する? )

しかし、下の部分は読んでいて驚いた
Sir Jon Cunliffe, Mr Cameron’s Treasury adviser, is being blamed. He decreed that the Foreign Office be locked out of summit preparations. This precluded any serious diplomatic groundwork in other European capitals.

Sir Jon insisted that the eurozone could be “bounced” at the 11th hour into accepting a British protocol to protect the City. This was a negotiating tactic.

Mr Cameron had misread Angela Merkel’s intentions following a meeting in Berlin.

Mr Clegg as everyone else had been assured that the Treasury paper was an opening gambit, but in the event it was presented as an ultimatum.
There was no plan B. All in all, as negotiating fiascos go, this one was at the top of the A-list.

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_3
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ちょっと難解だが、欧州国際政治の分析としては良い記事:要保存だと思う。
特に、歴史(上段コピペ部分)を知って今日を行動している欧州各国首脳だと、投資家も知っておく必要がある。

Great Britain’s full engagement and participation were greatly missed by Europe.
The mother of all parliaments might have stopped the European Union straying at times in its democratic behaviour.
British pragmatism would also have been greatly welcomed.

だから今回も話し合いを継続し、影響力を維持することは、UKにとっても大陸欧州にとっても双方の利益になる

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_4

上の記事の続きだが、
小国が複数ひしめく欧州には、UKにはそれなりの役割がある。
City of Londonの金融力はPIIGS危機克服には必要だ。

なお、UKこそ欧州の友人を必要としているハズだ。

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_5

Financial Timesは基本的に有料だが、登録すれば月間10個の有料記事を無料で読める。
10個を越して記事を読むには、週当たり$3.99(約320円)または$4.99(約400円)が必要だ。
素で申し込めば、$4.99だが、無料読者として登録してしばらくすれば、$3.99の値引きオファーが画面に出る。
私は、$3.99で読んでいる。
海外投資に関係する業界人で、かつ会社が払ってくれない場合、週400円の出費は、二流を卒業するための自分への投資経費と考えて良いと私は思う。私はFTとは無関係で一銭も受け取ってはいないが、1987年からFTを継続して読んでいる。このqualityがこの値段で読めるなら安いと判断している。

コメントはこちらから

歴史が作られた「2011年12月9日金曜日」の記録

当初は、大事になるとは予想されていなかった。

会議の前に書かれたコメントだが、FTは下記のような記事を掲載していた。
なんとかお互いが妥協&協力できるだろうと言うトーンだ。
ただし、フランスにとって、ユーロのあるEUを守ることは国家戦略上この上も無く重要だと指摘している。
For France, the survival of the euro is existential.
Never mind the initial, enormous economic shock that would follow its failure.
The break-up of monetary union would most likely see France slide into the continent's second division.
Europe is the engine room of French power.
Without it there would be nothing left of its global pretensions

ドイツか、英国か、選択を迫られたら、英国を捨てる選択肢しかフランスには無かった。

( オリジナル記事はこちら )
なおJBプレスの翻訳記事はこちらにあります
欧州会議_20111209_4


12月8日の英仏会談で、両者は決裂した。
UKキャメロン首相の要求した「英国は、City of Londonが不利益を被るいかなる規制強化にも反対する」的な態度に、フランス大統領サルコジは匙を投げてしまった。
ドーバー海峡は泳いでは渡れない海となってしまった。

(下記のオリジナル記事はこちら
2011_!2_08


そして、9日早朝の会議で英国が拒否権を発動したのだ。
欧州時間12月8日朝から9日朝のたった24時間で、欧州事情は歴史的な大変動を起こした。

下は、キャメロン首相の拒否権発動を伝える12月9日のFinancial Timesの表紙
キャメロンの表情がなんとも言えない、
まさに「武士は食わねど」的な苦渋の選択

欧州会議_20111209_2


ロイターは、独仏首脳とバローゾ欧州委員長のヤレヤレという表情を伝えている(下の写真)

UKの消えたEU、 今後のEUは文字通り「大陸欧州連合」の色彩を強めるだろう。
ユーロと欧州を救うための討議をしている時に、UKは「Cityの利益を確保が前提だ」とレベルの低い条件闘争に固執した。UKの一番の儲け頭の産業ゆえ、引くに引けなかった。Cityの優位性が棄損すれば、UKは三流国家に陥るリスクもあるから、仕方が無かった。

( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_1

ここ数日は、国際政治の冷徹さを感じた。
また、今後の欧州を支配するルールという観点で言えば、Balance of Powerの復活になるように感じるとともに、名実ともに欧州の第一人者の地位に就いたドイツが、これまでは敗戦国の負い目もあって政治的な発言や行動を遠慮していた方針を180度変えて強大になる事も予想される。後者の場合は、言葉は悪いが、ヒトラーの目指した第三帝国の夢(手法は全然別だが)が復活することになる。

なお、会議後の3首脳のコメントだが・・・
サルコジ:ユーロに加盟していない国に、大きな口を聴いてほしく無い
メルケル:キャメロンが我々と一緒だと一度も感じたことが無かった
キャメロン:どの国もUKに賛同してくれなかった

( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_3


会議から1日経過して、様々な分析予想記事が増えてきた。

下記は、さすが質の高いロイターの分析記事です。
とは言え・・・ここまで言うか!とも思いました。
ナポレオンが、夢に見て、
ド・ゴールが、実現しようと奮闘した、
サルコジは、実現してしまったのかもしれない。
「フランスがコックピットに座り、英国は横に押しのけられている"欧州国家"」
「a Europe of Nations with France in the cockpit and Britain on the sidelines」


( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_5

週明けに掲載されたFTの冷静な分析記事は・・

今週の大事件の原因は、ちょっとしたボタンの掛け違いに見える。
しかし、その伏線は数年前(2009年の出来事)から敷かれていた。
メルケルは、それ以来UK保守党を許さない気持ちを持ってしまった。

大きな歴史の転換点とは、長期の水面下の蓄積が、軽率なトリガーによって爆発する、今週の事件は、そういう好例として記録されるだろう。

(下記のオリジナル記事はこちら

peanuts

今後10年〜20年
UKは自国に影響のある「EU内部の決定」に影響力を行使できない。
大陸欧州は「べき論」の暴走を防止するUKの自由な発想を失う
(下記、オリジナル記事はこちら
Cameron’s catastrophic decision on EU

今後は、会議の興奮が去り、現実のPIIGS救済ファイナンスという実務面に注目が移る。
2012年はPIIGS各国の国債を大量に借り換えする年なのだ。

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大きな財布を持つ高齢者に優しいパナソニックの株価

Faxが送信できなくなったと言われて、Fax電話を急遽買いに行きました。
壊れたのは、1997年末に購入したシャープ製のFax電話なのですが、かれこれ14年も使っていたことに驚きました。かつて愛用していたノートPCもそうでしたが、我が家ではシャープ製は丈夫で長持ちです。
近所のヤマダがセールをやっていた事もあり、また今度のFAXも10年程度は使うだろうと考えて、一番新しい機種を買って帰ってセッティング。

驚いた!
家電ってこんなに進歩しているのかと感心。

とりあえずデッカイ液晶画面を適当にタッチすると、良くできた音声ガイドが目的をかなえてくれます。基本部分に関しては、マニュアルは不要ですね。

パンフレットを見た時は馬鹿にしていた手書き入力は、使ってみると便利。
CPUが進化したからでしょうか、動作もサクサクで気持ち良いです。

親機のディスプレイは大型で白色液晶なので、非常に見やすいし、本体の小型軽量さは驚きです。
子機も大型ディスプレイで、Goodです。親機も子機もACアダプタが無いのでコンセントがスッキリです。
1.9Ghzのデジタルコードレス子機は、無線LANや電子レンジの2.4Ghzと混信しないと言う歌文句ですが、まだ未体験です。

下記は、ココの画像です
KX-PD701DW


とは言え、こんなに沢山の機能があるのですが、我が家では一体いくつ使うのだろう?
丈夫で長持ちしてくれれば良いです。

KX-PD701DW_2

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パナソニックは、若者重視のSONYとは異なり、非若者(分厚く字の小さな取扱説明書を読むのが苦手な人々)を重視した製品造りをしている。日本では後者の方が圧倒的に大きな財布をもっているので、パナソニックの戦略は正しい。SONYが小さなサイフの中での熾烈な奪い合い競争で疲弊しているのとは対照的だ。

我が家でも、かつてはSONY製品があふれていたが、今ではDVDレコーダー、デジカメを始めにパナソニック製品がどんどん増加している。
とは言え、家電メーカーの株価は押しなべてダメダメ状態だ。

先週、たまたま家電メーカーに関する将来見通しをアナリストに聞くチャンスがあった。
話を聞いていて私は約30年前にタイムスリップしてしまった。

ロンドンで頻繁に開催されていた欧米企業のセミナー、欧米家電メーカーのセミナーも開催された。
彼らの説明を聴きながら、いつも感じたことだが・・・・
あんたらは、日本の家電メーカーの攻勢に勝てないにので、輸入制限したり、特別関税を課したりしているが、日本企業の顧客目線の商品開発と低価格戦略には全然対抗できないよ。
高付加価値製品&高価格製品に特化する戦略だと熱弁するが、そんなこと言っても売れ筋の大量生産商品を日本勢が牛耳っているのだから、あなたたちはR+Dのコストを出せなくなるよ。早く撤退した方が傷が浅くて済むよ。

・・・・・そして現在、欧米の家電メーカーだが、ニッチ企業以外は消えてしまった。

ふと、我に返ると、SONY、Panasonic、 Sharpの説明が続いていた。
30年後、いや20年後、この3社はどうなっているのだろう?

sps

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2012年を考える(11)民主主義にはインフレが必要だ

経済政策は政治家が決める。
「有権者に選ばれる政治家」は存在するが、「経済家」という制度は存在しない。
「経済が上手か下手か」とは関係なく、政治家に経済がゆだねられている。

2011年12月の欧州の政治状況だが、各国の政治家は国内有権者に縛られて「バラバラの部分最適」を主張している。
投資家が最も関心を持って見ている「欧州全体の最適政策」という点では、にっちもさっちも行かない状況に陥っている。

国益を乗り越える政治家が出るしか無い。
現在の欧州では、その役割の適任者は欧州最強パワー国家ドイツのメルケル以外にいない。
最強でないフランスが何を言っても、ドイツに反対されれば決まらない
メルケルは、時代が求める演目を間違えずに、演じきれるか、それとも出演を拒否するか、21世紀の欧州の分水嶺だ。

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個人でも、企業でも、国でも、ビジネス能力(=金銭獲得能力)には差がある。
同じ条件の畑を耕作しても、農民間で収穫量に差が出る。
運動会、学芸会、何であれ、格差が生じる
しかし、格差を是正しすぎるのは、アン・フェアだ。
社会の健全性の維持に様々な不都合を引き起こす。

民主主義とは、政治であり、政治とは選挙民の感情だ。
格差是正を提唱するのは、選挙民の買収手段としては、最もパワフルな武器だ。
1円でも貰えるなら貰っておくのが人情、
一旦貰ったものは、不当利得であっても、1円でも減らされることには反対する、
こうやって既得権者が累積的に増加する。
既得権者が多数になったら、民主主義では、是正は不可能だ。

社会保障制度を作っても、経済的に持続できるものでなければ、絵に描いた餅、
しかし、一旦作った(有権者に約束した)社会保障制度は、破たんの前日まで絶対に後退できない。

社会保障制度は、当って玉砕する特攻隊では困る。
城に立てこもって長期持久戦を戦って勝ち抜く籠城軍団に似ている。
不相応に過大な人数では城内の食料が尽きてしまう。
規模の最適化は重要事項だ。
社会保障制度も同じだ。
受益者を疲弊させるのは分不相応だ。

社会が負担できる適正な社会保障の規模は、国の経済的な栄枯盛衰ともに変化する
伸び盛りの時に設計された制度は、老大国時代には縮小を余儀なくされる。

だから、民主主義にはインフレが必要だ
分不相応に膨らんだ社会保障(負債、借金と同じ)を縮小するために、適度のインフレを起こして、社会保障を「経済が負担できる適正値まで目減りさせる」のが、民主主義の多数が感情的に受け入れられる手法だ。
名目的な絶対額を減らす方が理論的には正しくても、「民主主義とは、政治であり、政治とは選挙民の感情」という理不尽で非合理的な壁は一人一票の選挙制度では高すぎて乗り越えられない。

日中米インフレ_20111209
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目次 : 2012年を考える
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11月末の予想EPS & PERの状況 +マイクロソフトと日本株はバリュー・トラップが続いている

市場の関心はすっかり2012年に移った。

2012年の利益見通しは、5月頃から出始めている。
それをグラフ化してみた。

右側が、2012年の利益予想の推移だ。
中国は、横バイだ。
日本と米国は減少しているが、日本の減少が大きい

左下が、PERの推移だ。
中国はどんどん下がっている。
2012年に関する悲観度合いが増しているのだろう。
一方、米国は、一旦下がったが、戻ってきた
2012年に関するセンチメントが好転しているのだろう。
日本のPERは、若干下がっている。

左上の株価だが、最近好調な米国株と、ダレダレの日中株という状態だ

2012年

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業績とPERの関係は、神学論争的な側面があるので、ザックリ言えばみたいなことは、言えません。
今日は代表的な事例で、マイクロソフトを考えてみます。
1987年9月末〜2011年9月末の四半期ごとの分析です。

まずは単純な、EPS(赤)株価(紫)の推移
EPSはぐいぐい上昇していますが、株価は10年以上にわたって横バイです。

MSFT_EPS_1

では、業績の伸び率PERの推移です。
下のチャートをご覧ください
MSFT_PER_1

説明をするために、上のチャートに、線を入れて見ましょう
( 下のチャートをご覧ください )
1986年3月のIPOの直後は、約40倍だったようですが、
その後、1987年のブラックマンデーを経て20倍に落ち着きます。

そして、2000年のITバブルのピークに向かって、PERも50倍まで上昇します。
増益率も、平均して約10%だったのが、20%まで上昇します。
バブル要因もありますが、
増益率:10% & PER:10倍 ==> 増益率:20% & PER:50倍
と推移しました。

その後ですが、最近10年間の増益率は約8%
PERは、30倍前後だったものが、約10倍に低下しました。

概して言えば、増益率の上昇・低下は、PERの上昇・低下にある程度比例して動きます。
( 勿論、市場全体のPERの上昇や低下というトレンドにも影響されます )

MSFT_PER_2

バブル期を捨象して俯瞰すると、(下のチャートをご覧ください)、マイクロソフトの増益率は、
〜1999年:10%
2000年〜:8%
階段を下りるようなレベルダウンがあったと考えられます。

一方、現在のマイクロソフトは、成熟した巨大産業です。
同時に、地球より大きくなれないという天井に接触しています。
( PCを一人で2台も3台も所有する人は少数派ですから・・・ )

MSFT_PER_3

Windowsは独占状態に近いので、通常は毎年利益が8%増えて、配当利回りが3%を超えているなら、もう少しPERが高くても良いです。
それが、PER=10倍まで低下しているのは、アップルの攻勢、PCからスマホへというマイクロソフトを取り巻く環境の悪化が原因だと思います。

PERがこんなに下がった=安い=買い場・・・これは安易すぎるバリュー投資です。
罠にはまった投資家=バリュー・トラップに落ちた投資家です。

環境悪化が終わり、改善すると正しく判断できた時には
PERがこんなに下がっている=安い=買い場
になります。


一般的に、
高値は短く、安値は長いものです。
人間は基本的に臆病です。
たま〜に楽観に浮かれます。バブルです。
崩壊の痛手の記憶は長〜く残ります。
だから、高値は短く、安値は長くなるのです。

バリュー・トラップの時間は、普通は想定以上に長くなります。
何故なら、「あなただけが、間違って、楽観している」からです。

2004年末以降の日本株の状況
が、まさに、こんなバリュー・トラップにあるように思います。
日本株を取り巻く、環境悪化が終わり、改善すると正しく判断できた時には
日本株のPERがこんなに下がっている=安い=買い場
になります。

現在では、まだ私はYesとは判定できません。
あくまでも、戦略の大半部分は、季節変動(10月&11月から4月に向かっては高くなりやすい)と割り切って投資すべきでしょう。

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根こそぎが始まった 安川電機ロボット製造工場の中国進出に思う

11月28日のオークマの資料を見て、2012年の貿易収支を考えたに続いて、将来の貿易収支赤字定着を懸念させるニュースが出てきた。

ロボット産業がついに中国に生産拠点を作る。
産業用の工作機械は、高度産業技術として政府が「軍事転用可能技術」と位置付けて、海外工場を事実上禁止している、と先週のオークマの説明会で聞いたばかりだったから、このニュースは驚いた。

中国の自動車工場では、高付加価値化、賃金上昇に対応するために、国策としてロボットの大量導入が加速中だ。
中国への進出に際しては、一定の技術移転が条件だ。日本に影響の少ない低性能&低価格品から始めるだろうが、10年程度で中国はキャッチアップしてくるだろうから、安川電機も高機能製品の中国内製造にへシフトするだろう。

オリジナル記事は下記URL
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20111206-OYS1T00219.htm

安川電機_20111206

なお、中国は2009年ごろから安川電機に秋波を送っていたようだ。
次期国家主席と目される習近平が安川電機を訪問している。
かつて小平は新幹線に乗って近代化&資本主義化(=社会主義市場経済)を決断したと聞く。それと同じDNAを習近平に感じる。

下記(http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2009-12/17/content_19085610.htm)はfacebookのコメントで「都 夢」さんに教えてもらいました。
安川電電機_習近平_20111206

日本の工作機械産業は、昭和40年代に産業としてTake-Offした。
最初は模倣、それを工夫して改良、その後日本の製造業とともに発展して世界一の地位に到達した。
ロボットは、製造工場の副産物、工場大国=ロボット王国になる。

かつて工作機械は欧州企業が席巻していた。
それを昭和40年代以降に、日本企業が「最初は低価格品、その後徐々に高付加価値品」と商品開発を増やして、世界一の座に到達した。

今後、マス領域が日本国外に移転することになる。
その際、日本企業の戦略として、「マスを捨てて、高価格品に特化」というシナリオが描かれるだろう。
これは、一見美しい戦略に見える。
しかし、マス領域を捨てた企業が繁栄を続けるのは非常に困難だ。欧州の工作機械産業の多くは、日本企業の安値攻勢の前にマス領域を捨てた。そして衰退した。
マスを捨てることは、一般的には、衰退への一本道だ。
ごく少数の企業が、限定的な分野で「の企業」として生き残ることはできるだろう。

ロボットは、製造工場の副産物、工場大国=ロボット王国、、この意味は大きい。
工場で作る製品と、その工場で使う機械、、、両者を合わせた雇用と輸出金額は巨額だ。
日本の製造基盤が、オセロの石をひっくり返すように、消えていくような気がする。
個別分野では、製造基盤が根こそぎ消えるかもしれない。

その懸念が正しいか否か、、その一部は、今後の為替レートの推移が押しててくれるだろう。

jys

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春山昇華

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