2012年06月

(4)名目経済が成長しなければ、財政再建は成功しない by 春山

消費税10%法案が衆議院を通過した。
増税を続ける事で財政再建を完成させれば・・・・・おぞましい姿になると思う。

現在の低レベルの名目経済成長の日本の状態で、新規の国債発行が必要でなくなるほどの増税が実施されると、

下図の上段の状態 → 下段の状態、という変化が生じる

1:家計消費と企業支出に回っていた一部が、税金に取られる
2:家計貯蓄と企業貯蓄に回っていた余裕資金の一部、が税金に取られる
この1+2が増税で国家に持っていかれる部分だ。


財政債券完成


家計貯蓄と企業貯蓄は、これまで銀行預金を経由して、国債に投資されていた。(上段)

しかし、もう投資できる国債は市場に無いので、海外投資に回るしかない。(下段)


何故なら、
既存の国債は既に誰かが全部保有しており、売りが出ない。
新規の国債も出ない。
一方で、時間とともに国債は満期が来てドンドン減少する
という状況になるからだ。

(注)
(a) 正確には、満期の過半数部分は借換国債が発行されるが、ここでは既存の投資家が全て債投資するとし、非保有者には回ってこないことにした
(b) 貯蓄は全て国債に投資されているという事にした。 
 

景気に与えるインパクトは・・・
国内で回っていたお金の一部が海外に流出する。
1:お金が減る = 金融引き締め効果が生じる
2:国内で何らかの投資・消費に使われていた資金が消える = 経済活動が縮小

・・・・という事なので、景気悪化要因だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

上記は、国債の消化を国内で賄っている日本のようなケースだ。
しかし、国債発行の多くの部分を海外投資家に依存する国の場合は、下図のようになる。
ここでは、全額を海外投資家に依存している図にした。

毎年の国債発行が消える。
消えた分がソックリ、増税されて、家計消費と企業支出が削減される。

外人投資家は、満期で受けとったお金を売却して外貨に交換して、自国に持ち帰る
つまり、国債が消えた金額と同額が海外流出する。

日本の場合(上記)よりも、資金の海外流出インパクトは大きくなる。
海外流出インパクトが大きい分だけ、国内経済の悪化も大きい


財政債券完成_2

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私が思うには、
(1) 財政再建は、名目経済が成長して、それによって増加した税金によってなされるべきだ。
(2) 成長していないのに増税すれば、景気をドンドン悪化させて、税収はかえって減少する。

つまり、名目経済が成長しなければ、財政再建は成功しないのだ。

facebookコメントへ

(1)国債を減らしてはならない by グル―ンスパン

(2)国債はお金です  by グリーンスパン

(3)国債が激減する = 円安になってしまう状況に陥る by 春山

風邪が吹けば桶屋が儲かる : シェールガスの影響

シェール・ガスの影響

理解しやすいのは・・・・
北海道に巨大油田があって、そこから日本全体に原油を供給していたら、
20年前から開発していた九州の巨大シェールガスの生産が急増してきた。
ただし、現状ではパイプ・ラインが九州内だけしかない。
液化設備は計画段階で、3年後から一部稼働が始まる。
液化輸送コストを加味すると、現在では2割ほどの価格差だ。
・・・・という状況を考えてみる事だ。

発生する現象
1:九州では原油でもガスでOKという分野では安価なガスに徐々に置き換わり、長期間にわたって原油には戻らない

2:北海道の油田業者は、長期間にわたって九州向けの需要が低迷する。

3:九州で売れなくなった分は、本州・四国に販売攻勢をかける

4:北海道の原油企業は短期的には苦しいが、過去何十年とため込んできた資産(株・債権)を少し取り崩せば事足りる。ただし、中小の油田業者の中では一時的な操業中止が起こっている。

5:資源エネルギーに使う予算は、当初はトータルでは変わらなかったが、原油価格の低下がエネルギー節約意識を低下させはじめ、徐々に無駄使いが復活する。

6:無駄遣いが要因か、別が要因かは不明だが、九州は無論、本州・四国でも景気が少し良くなってきた。

7:本州や四国で発生した景気回復にともなう資金需要は、豊かになった九州が獲得し貯めた資金が流れ込んだ。

8:豊かになった九州では、バブル的な状況も見られ、本社ビルの新築、豪華歓楽街の拡張などが盛んになってきた。

9:九州の経済活動の活況は、九州の銀行の信用創造活動を大いに高めている。
九州の銀行は新規貸し出しでウハウハ状態だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

現代世界に置き換えれば・・
米国が世界各地から石油を購入しなくなることで、
中東などの産油国への米ドルの流入供給は減るが、時間差はあるものの景気が良くなった非産油国(特にアジア)の資金需要を満たすために、ドル建て債券&ローンが増加して、そこに吸収される
むしろ、全体では後者が多くなる。

原油はさまざまな製品の原材料であり、企業にとってはコスト削減効果となり、企業利益は回復傾向になる。

facebookコメントヘ

(3)国債が激減する = 円安になってしまう状況に陥る by 春山

参考過去記事
(1)国債を減らしてはならない by グル―ンスパン
(2)国債はお金です  by グリーンスパン

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日本の場合、国が金を使わなくなると、お金は海外に出る運命が待っている。

家計も企業も、お金を使わずに、タンマリと貯めこんでいるのが日本の現実
(個人的には非タンマリ族は多いだろうが・・・)

使われないお金を、政府が国債発行を通じて、せっせと使っているという構図だ。

この状態から、政府が国債を発行しなくなると、どうなるか・・・・かなり、オソロシイ


税金と国債_2


1:政府が国債を発行しなくなる・・・・これは、発行できなくなるという状態が現実的に想定できる状態だろう・・・オソロシイ

2:これは、政府サービスの縮小を意味する・・・・これは年金・医療等社会保障の縮小、切り捨て という状態が現実的に想定できる状態だろう・・・オソロシイ 

3:国債に回っていた家計貯蓄と企業貯蓄は、海外投資に振り向けられる・・・・・ これは資本逃避 という状態が現実的に想定できる状態だろう・・・オソロシイ 

1、2、3、が起こっている国・・・・・通貨は下落しているだろう。

逆に言えば、1,2,3までは、なかなか持続的な円安は来ないと言うことだろう。

次回で、最終回

facebookコメントへ

(2)国債はお金です  by グリーンスパン

昨日の続きです。

米国債券の発行が減少することは避けなければならない!
財政黒字を国債の償却に使ってはならない!
 
とグリーンスパンが叫んだのは、
国債が減ると、地球上からお金が減るからです。

正確には、お金と同じ働きをするものが減るからです。

1:を掘りだして、 得た紙幣(資金)で商品を買う。
2:紙幣を印刷して、その紙幣(資金)で商品を買う。
3:国債を発行して、得た紙幣(資金)で商品を買う。
4:銀行ローンで、得た紙幣(資金)で商品を買う。
5:ツケで商品を買う。
この5個は、商品を買う事が出来る「お金グループです。

細かい部分は捨象してズパリ言うと、・・・・
上記1、2、3、4、5のどれが減少しても、金融引き締めになって、景気が悪化します。
お金が減る=金融引き締めですから

年間の稼ぎを、国が税金としてピンハネし、国家支出に使います。
残りを、企業家計で分けあって、企業支出と家計消費に当てているのが、現代の経済です。

そして、現代のほぼ全部の国が、下図下段のように、
国家支出の財源の全てを税金で賄わず、国債発行で調達しています。

その結果、家計と企業は、意図せざる過剰消費&過剰支出をしていることになります。
この過剰部分で、資本主義国家は経済成長を謳歌してきました。

税金と国債

この状態が、常態化している時に、税金で国債を買い入れ償却すると、
(1)国債の減少=世の中のお金グループが減少・・・・金融引き締め効果で景気が悪化する
(2)国家全体の負債が減少(=レバレッジが低下)・・・・・ディ・レバレッジ効果で景気が悪化する
(3)家計と企業の 過剰消費&過剰支出 が縮小・・・・過剰の縮小効果で景気が悪化する
という、経済的には景気抑制効果が生じるのです。

なお、 5:のツケは、正確に書くと 、商品を買う時に、代金相当額のお金を融資してもらい、即商品と引き換えにお金を払う。。。。という行為をしていることになります。 

また、国債を発行しなければ、その金額が全て家計消費と企業支出になるから。。。という事は間違いです。
使われずに未稼働資産化する部分があります。

さらには、政府支出は、お金があるから無駄に支出している割合が相当多く存在します。
税金部分が多くなると、政府支出の無駄な割合が減少します。国債発行によって得た資金は乱暴に支出される政府の態度を助長しています。国債発行が減ると、緊縮経済の色彩が強まります。
緊縮=反浮かれ・・・・景気悪化要因です。


<参考>下記は、関連する過去記事です。
ちょっと真面目に、為替を考えてみる (5) 再開の前振り タヌキの木の葉 
ちょっと真面目に、為替を考えてみる (6) 為替レートは単なる交換比率、ではお金って?? 
償還されない国債は存在しない
目次 : ちょっと真面目に、為替を考えてみる

facebookコメントへ

もうチョイ、続きます、多分

(1)国債を減らしてはならない by グル―ンスパン

面白い話がある。

クリントン政権の第二期目の事だ。
ハイテク景気の長期化で、税収が大幅に増えて、財政が黒字になってきた。
国債の発行を減らす事が出来る。
長年悩まされた国債の増加&利払いの増大という悩みからアメリカが解放される。

素晴らしい事だ!
多くの人が称賛した。

一人例外がいた。 
グリーンスパンFRB議長だ。
彼は明確に懸念を発言した。

米国債券の発行が減少することは避けなければならない!
財政黒字を国債の償却に使ってはならない!


US財政収支

これを真面目に議論する前に「大浪費家ブッシュ大統領」が、グル―ンスパンの懸念を吹き飛ばした。
アフガニスタン、イラクとの戦争で金を使いまくり、同時に金持ち減税を実施した。
財政赤字は天文学的数値に増加した。

しかも、サブプライム、証券化バブル、負債バブルの崩壊〜リーマン・ショックを引き起こして、オバマ時代にまで影響を長引かせる財政赤字の大幅な増加を招いた。

グリーンスパンは、密かに笑っている。
ブッシュ、良くやった。
お前は米国債を増やしてくれた!

次回へ続く

facebookコメントへ

1分間余計に考えてみる  : 紙の消費量

メールやパソコンが普及すると紙の使用量が減少すると言われていたが全く逆の結果となった。
単純に、そうだよね、と受け取らずに、ちょっとだけ考えてみる。
多分、こういう事が起こっていると推定できる。

インターネット、PC、スマホ、これらの利用に伴い、情報が簡単に得られるようになった。
コストも急速に低下した。
しかも、TVや雑誌を読んだり、喫茶店でボーっとする時間が減少し、 インターネット、PC、スマホを見ている時間が増えてきた。

その結果、年間で受信する情報量は飛躍的に増加してきた。
紙に印刷する割合は、年々低下している。
両者の積数である印刷量、コピー量は、増えるは増えるが下記のようなトレンドなのだろう。

情報と印刷_画像

一日=24時間、睡眠時間を削るのは限度がある。
受信できる情報量は、徐々に横ばいになるだろう。
紙の消費量も、頭打ち傾向がやってくるだろう。
特にスマホで受け取る情報の印刷は限りなくゼロになるだろう。

facebookコメントへ

PERの暴力 : 優れた投資家は、PERという空気を感じて生き生きと目が輝く

株価はどういう風に決まりますか?

予想利益  × 強欲恐怖変動係数 = 株価
予想EPS  ×      
PER     =   株価

(  なお、PERをPBRと読み替えても同じです。PBRも、 強欲恐怖変動係数 ですから ) 

EPSは、計算で出てくるものなので、さすがに馬鹿みたいな数字をぶちあげるわけにはいきません。
( 芸で出すアナリストも、おりますが・・・ )

反面、PERは「これが正解」というモノが無い、まさにアート、夢想の世界の生き物
その生き物は、強欲と恐怖を食べて生きている。
大きくなったり、小さくなったり、自由自在に動き回る。

株価を当てる為には・・・・ 強欲恐怖変動係数 を、当てる、感じる、つかみ取る、読み取る、こんな技術がモノを言うのです。
優れた株の投資家は、コレを持っています。
優れた投資家は、強欲恐怖変動係数という投資家の間を流れる空気を感じて生き生きと目が輝くのです

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4月以降、本を読み返し、ネットで調べ、色んな図表を作成した。
それは自分が理解しているかを自己確認するためだ。

その図表の一つを使って、個別株でも 強欲恐怖変動係数は重要だが、国全体でも同じようなことが言える、という事を今日は書いてみたい。

戦後の日本株に関して、
赤線:GDP成長率
黒線:日経平均

GDP成長率は1973年のオイルショックを境に、下方屈折してしまう。
しかし、株価は1980年に飛躍的に上昇した。
その主たる部分は、 強欲恐怖変動係数 の2倍アップ、3倍アップだ。

w4

下図は、日本証券史3(P.180)に掲載されている、予想EPSベースのPER推移だ。
1976年以降、大幅に上昇したことが分かる。

IMG_0024

同、P.177にはグラフもある。

IMG_0023


さて、 強欲恐怖変動係数 が、
(1)上がるのか、
(2)下がるのか、
(3)今が妥当でこのまま1年間後も変わらないのか?
コレを当てる重要性は、2012年でも全く変わりなく重要だ。
さあ、空気を感じよう!


参考 : 20年以上かかって、ようやくマトモになったPER


下は、オマケ
y7

facebookコメントへ

欧州危機のフォロー・アップ_3 : 格差問題、政治統合すれば「合計でゼロ」の国内問題

前回レポートで、・・・・
(1)このような状況が、2008年以降の欧州で急速に進展している。 

その結果が、大きくなった欧州内の貿易黒字と赤字の格差拡大だ。 
(2)こういう状況を見れば、銀行は低コスト工場へは金を貸すが、その一方、高コスト工場には「窮状は理解できるが、お貸しできません」という態度になってしまう。高コスト工場は、バブル景気が来ない限りは復活できないと、普通の銀行経営者には理解できるからだ。ますます、格差が固定化する。
・・・・と書いた。

欧州内の経済における南北格差の問題だ。
これは国が分かれているから、ガタガタして、アジアやUSにも影響を与える国際的な金融危機と認識される。
しかし、もし欧州が一か国になれば、問題は消える

日本だって、北海道や九州の経済はガタガタだ。地方交付税でようやくヤリクリができている。
しかし、だからと言って国際的な危機を引き起こしていない。あくまでも国内問題であり、借金を海外勢に依存していないからだ。


同様に、欧州が一か国になれば、貿易赤字問題は国内問題になる。
現在でも、欧州内の貿易などの格差は全部合計すれば、ほぼゼロである。
つまり国内のプラス地域とマイナス地域という構図になってしまう。

そして、地方交付税で所得移転をすることになる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とは言え、そんな夢のような状態は、おそらくは50年後だろうから、足元の問題を整理しておこう。
貿易と銀行とECBの関係の話だ。

(1)貿易には国境を越えた金融取引が必要
輸出入貿易では、契約、出荷、受け取り、支払いに時間差が生じる。
時間差ゆえに、「荷物を受け取ってトンズラ」などといった、契約不履行リスク低減のために、貿易金融(輸入国銀行と輸出国銀行間の貸し借り)が使われる。

( 参考:船荷証券信用状 )

下図は、単純化した輸出入に際してのお金と商品の流れ図だ。

(a)輸出国銀行(Bank A)が、輸入国銀行(Bank B)に資金を融資し、
Bank Bは融資で得た資金を輸入業者に貸付
輸入業者はその資金を輸出業者に支払う。 

A


(b)輸入商品の購入者(消費者)が手持ち資金で代金を支払えば、お金が(1)の流れを逆に遡るように流れて、全ての貸し借りは消える。

しかし、商品の最終購入者(消費者)がローンで代金を支払えば、2個の債権債務が残る。(下図)

1:消費者ローン(債権者:Bank B、 債務者:消費者)
2:国際間の銀行融資(債権者:Bank A、 債務者:Bank B
B


Bank Bは、A国の銀行(Bank A)に返済する資金を、国内の消費者への貸し付けに流用してしまったので、Bank Aに対する借金をロール・オーバーしなければならない。
平時は、このロール・オーバーが問題なくできる。
しかし、金融危機になれば、途端に様相が変わる。
昨日まで喜んで貸してくれた銀行が、手のひらを返したように、貸してくれなくなるのだ。


なお、輸入品の購入が一見手持ち資金であっても、
(1)赤字国債が無ければ維持不可能な公務員給与、年金、その他の公共事業による資金であり、
かつ(2)赤字国債の消化を海外に依存している場合は、
海外からの資金調達に依存した輸入品の購入という意味で、国際的な資金の貸し借りという点では変わらない。

ちなみに、上の図では、 Bank Bは、1の債権者、2の債務者であるから、相殺できる。
結局、残りは、債券者:Bank A  債務者:消費者 という事になる。 

(2)リーマン・ショック後に、銀行間の相互不信が高まった
リーマン・ショックで巨大金融機関がバタバタと消滅した。
世界の銀行は疑心暗鬼になって、他の銀行への融資に慎重になった。

特に欧州においては、国境を越えた融資が激減した。
その結果、国境を越えた銀行間の「貸し借りのロール・オーバ」が困難になった。


貿易赤字国の商業銀行は、外国の商業銀行から借金できなくなった分を、中央銀行から借金で穴埋めするようになった。

国内の債権債務がそれぞれの中央銀行に集約されると、最終的には貿易赤字国の中央銀行が貿易黒字国の中央銀行に借金する状態に行き着いた。

複雑な商業銀行間の債権債務が、シンプルな中央銀行間の債権債務に変化してしまった。

C



(3)中央銀行間に債権債務は急増を続けている
中央銀行間の貸し借りは、ECBが所管する「ターゲット2」と呼ばれるシステム内部の貸し借り勘定に計上される。

2010年のPIIGS危機以降、中央銀行間の貸し借りは、下図に示されているように増加の一途だ。
これは、前回書いた欧州経済の南北問題、経済格差問題を正確に反映している。

D


ターゲット2で問題となっている事は、一定期間ごとに債権債務を決済するルールが無いという事だ。

赤字国はシステム内で借金をするにあたって、ECBに債務の担保(普通は国債)を差し出す必要がある。しかし、ECBが担保を受け入れる限り、赤字国は借金を返済せずに累積させることができる。

投資家金が恐れている事は、
(1)ある日突然、貿易赤字国の中央銀行が、ECBに差し出す担保が無くなって、国内に資金が回らなくなってしまう
(2)貿易黒字国の中央銀行が、これ以上貸せないと言いだして国際貿易が混乱する
(3)上記のような事態を企業が先走って懸念して、輸出企業が赤字国に対して現金決済を要求するようになる
といった事態だ。

そういった事態を未然に防止するために、ターゲット2の問題に関する話し合いが秘密裏に進められるだろう。

facebookコメントへ

=================
目次:欧州金融危機
=================

欧州危機のフォロー・アップ_2 : 拡大した競争力格差

格差撲滅!
気持ちはわからないでもないが、世の中は上手にできる人、失敗する人、違いが出てしまう。
だから、チャンスは平等に、結果の格差は受け入れるというコンセンサスができている。
そして成功した人が、「社会に何がしかの還元、寄付」をする習慣も、人類の知恵として過去から続いている。
切磋琢磨+最低限の援助、という構図だ

同じ国の中、同じコミュニィティ内なら、スンナリと受け入れられるコンセンサスや習慣も、国境を超えたり民族がまたがれば、「お前の事は知ったことか!」になっている。
まだまだ人間社会はこういうレベルが現実だ。

ドイツ人は、「何故、ダメ国家に、俺たちが汗水たらして稼いだ金をくれてやる必要があるのか?!」と怒りを隠さない。
ドイツ人は成功したのだ。
彼らは何がしかの還元、寄付をするの
が人類の古からの知恵だ。
それに従うのが当たり前なのだ。
換言すれば、欧州内の累進課税ということだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
将来は一緒になろう!
1951年位始まった欧州統合の夢は、3歩進んで2歩下がるというペースで、60年を経過して今日に至っている。
経済統合は、半分程度の達成レベルまでこぎつけたかもしれない。
しかし、政治統合は、5%も進んだだろうか?

2010年以降の欧州危機は、そんな政治統合への躊躇という欧州の弱点をめがけて、経済危機という嵐が容赦なく襲ったと言えるだろう。
政治的統合とは、 国境を超えたり民族がまたがっても、 成功した人が、「社会に何がしかの還元、寄付」を自然とするようになることだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
経済危機が起こると、
弱者はより大きな被害を受けるが、強者のダメージは軽微ですむ。 
危機を通じて、弱者はより弱くなり、強者はより強くなる。


リーマン・ショック前は、欧州内の貿易などの黒字や赤字は、ほぼ均衡していた。
バブルだったから、たまたま均衡していた。平常経済では格差が当たり前という事かもしれない。

今日取り上げる問題は、リーマン・ショック後は、貿易黒字国と赤字国の格差が猛烈に拡大している、という事だ

<< 競争力格差は不景気な時ほど顕著に結果に表れる >>

好景気の時は、下図左側のように、高コスト工場も低コスト工場も十分なオーダーを受注できる。
利益もそれぞれ黒字を享受できる。

しかし、不景気になれば、下図右側のように、受注単価が急低下し、オーダー数も減少する。
その結果、高コスト工場は受注できない。
普通の工場であっても、100%の稼働率は維持できない。
低コスト工場のみが、利益率を減らすものの、100%稼働を維持できる。

金融危機のようなヒドイ状況では、三者の格差はさらに大きくなる。

格差_1

そして、下図に示されているように・・・
低コスト工場は、次の景気回復に備えて、設備を拡張するなどの投資が実行できる。
その結果、現実に景気回復が来た時の恩恵は、さらに格差を広げる状況が出現する。 

回復した需要のほとんどを、低コスト工場が享受してしまう。
高コスト工場は、閉鎖したまま朽ち果てて行くだろう。

格差_2

このような状況が、2008年以降の欧州で急速に進展している。 
その結果が、大きくなった欧州内の貿易黒字と赤字の格差拡大だ。 

こういう状況を見れば、銀行は低コスト工場へは金を貸すが、その一方、高コスト工場には「窮状は理解できるが、お貸しできません」という態度になってしまう。
 
高コスト工場は、バブル景気が来ない限りは復活できないと、普通の銀行経営者には理解できるからだ。
ますます、格差が固定化する。

facebookコメントへ 

=================
目次:欧州金融危機
=================


欧州危機のフォロー・アップ_1 : ECBの国債引き受け

欧州危機が最初に爆発したのは2006年だ。

参考過去危機
2006年3月25日:キャリー・トレードの静かな崩壊 : アイスランド・クローナ
2006年3月27日:えーっ、メルトダウン! アイスランドは、"アジア危機の時のタイよりひどい"?
2006年4月3日:
マスコミを賑あわせ始めたアイスランド、中東の株、為替

当時はアイスランドだけの限定的な事件と観られていた。
しかし、その後は、東欧危機、PIIGS南欧危機と発展して今日に至っている。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
6月17日のギリシア&フランスのダブル選挙が終わった。
フランスは、オランデ陣営が勢力を伸ばし、政権の安定度合いが増した
ギリシアは、ND+PASOK+アルファの安定多数が得られた。与党も野党も「緊縮条約の再交渉+ユーロ非離脱」と同じ政策を掲げていたので、「若造に任せるより。。。」という消去法的選択だったのだろう。

ひと段落したので、欧州危機のフォロー・アップ&整理をしておきたい。

なお、欧州危機の復習のためには、下記をお読みください。
(1)特集 揺れるヨーロッパ : 東欧、PIIGS,アイスランド 目次
(2)目次 : 欧州金融危機


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
PIIGSの金利は下記のような状況になった。
20%台のギリシア、10%台のポルトガル、、、この2か国は、アウト
欧州内の金融的植民地状態になったと言えるだろう。

6%台のスペイン、5%台のイタリア、、、、分水嶺にある。
どっちに転ぶか、なんとも危なっかしい状態が続いている。

南欧


ECBは、昨年12月から銀行に対して巨額の融資を実行している
これは「LTRO」と呼ばれる3年融資
2011年12月21日:約489bnユーロ、523金融機関が借入
2012年2月29日:約540bn、800金融機関が借入
2回合計で、1000bnユーロ、約100兆円の規模だ。

金融危機が本格化して以降、米国のFRB、欧州のECB、各地域で中央銀行の経済の中で果たす役割がどんどん大きくなってきた
今回は、複数の重大な役割を同時に果たしているECBの現状を解説したい。

不満はあるだろうが、私は、ECBは、銀行の銀行(=中央銀行)としてシッカリ対応している、と思う。
日本や米国は国が一つだ。他国に相談しなくても決められる。しかし、ECBは寄り合い所帯だ。日本や米国とはお家の事情が異なる。それを考慮すれば昨年来の「貸付の大幅な拡大」は英断だと思う。

PIIGS危機やソブリン危機と呼ばれる「金融危機」に陥っている欧州では、銀行が様々な苦境にあえいでいる。

(1)融資が焦げ付いて不良資産が増加している。銀行の財務の健全性を維持するためには、不良債権処理が必要だ。
不良債権を償却する原資として、利益が必要だ。利益がなければ、償却によって自己資本を食いつぶしてしまい、銀行を規制監督するBIS規制が求める自己資本比率を維持できなくなる。
金融危機のあおりを受けた欧州では、急速に景気が悪化しており、銀行収益は落ち込んでいる。何とかして利益を確保する必要がある。

(2)また、ギリシアやスペインなどPIIGS諸国の銀行は大幅な格下げを食らっており、預金の流出も発生している。
銀行は、預金と言う短期で資金を調達して、住宅ローンや企業向け貸し出しなどの長期で運用している。この調達と運用の期間のミスマッチの中で預金が減少すれば「資金繰り破綻」が発生する。資金繰りをスムーズにする為に流動性の確保も急務になっている。

上記のような銀行の抱える問題に対応するためにECBが2011年12月に開始したのが、LTROと呼ばれる期間3年間の融資だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
LTROを簡単に説明すれば、
(1)ECBは、銀行から「担保を徴収」して、3年間の融資を実行している。
(2)銀行は、国債を担保として差し出して、金利1%で3年間融資を受ける。

担保となる国債は手持ちの国債に加え、市場からも購入するのだが、10年国債金利は下図(6月15日現在)にあるように、イタリア:5.9%、スペイン:6.8%、ポルトガル:10%、ギリシア:25.6%、と高金利だ。

銀行は、金利1%で調達した資金で、高金利の債券に投資することで、大幅な金利差を収益として確保できる。
( 2年債金利でも、イタリア:4.3%、スペイン:4.9%、ポルトガル:7.6%と高金利 )

これは、いわゆるキャリー・トレードである。
ECBが欧州銀行にキャリー・トレードをお膳立てして、儲けさせて(=窮状を助けて)いるのだ。

1

 
ECBのLTRO資金は3年間という長期ローンなので、銀行にとっては、
(1)当面の資金繰りを安定させてくれる上に、
(2)1%という低コスト調達が生み出す金利差利益が銀行経営を安定させ、不良債権処理を可能としている。

LTROは、2011年12月と2012年2月の2回合計で、約1兆ユーロ(約100兆円)の規模に達している。
上図の下段を見れば明らかだが、LTROは本来なら発行が困難な「PIIGS諸国の国債発行を間接的に援助」している。ECBが担保として国債を受け入れる限り、PIIGS諸国は自国の銀行に国債を買わせる事を通じて、赤字国債を発行できる
LTROは、銀行に対する援助(資金繰り対応、利益供与)に加えて、国家財政破綻防止の役割も果たしていることになる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
下図は、ECBが金融機関にどれほどの資金を提供しているかを示した図だ。
ギリシア、ポルトガル、アイルランド、これらは規模が小さいので、アウトであっても、ECBの手の中で処理が可能だ。

しかし、イタリアとスペインは巨大だ。
現状でも、ECBが貸し出している資金のほぼ半分を占めている。
今後も赤字国債は増え続けるだろう。
国外投資家は、南欧の国債には見向きもしない状態が今後も続くだろう。
誰かが買わないとアウトになるのだ。

MRO+LTRO

選挙後が終わった。
7月には、3回目のLTROが盛んに議論されるだろう。
ECBは銀行の苦境を救済する意思はあるが、PIIGS諸国の国家財政の支援をする意思は無い。
中央銀行による国債の直接引き受けは、ECBの最も嫌うところだ。
( 間接協力は、するだろう )

PIIGS諸国の国債は、一般投資家には不人気だから、公的な性格を帯びた機関が何らかの形で関与せざるを得ない状況が続くだろう。
例えばギリシアは、公務員給与、年金、一般予算まで、赤字国債で賄う状況に陥っている。
3回目、4回目、5回目のLTROは必要性なのである

facebookコメントへ

=================
目次:欧州金融危機
=================
記事検索
最新記事
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
*****
  • ライブドアブログ