2013年01月

インフレ率2%の世界

政府と日銀が二人三脚で、デフレ撲滅&適正インフレ率2%を目指すことになった。
本番は4月の日銀新総裁が就任してからだろうが、市場は半歩先、いや10歩先まで先走りしている。

最初にインフレ率2%の世界を図示しよう。
現在10年国債先物金利は、ほぼ1%だ。

足元のインフレ率が、ややデフレ、マイナスなので、
インフレ率+1%強=10年国債金利
という関係だ。

つまり、インフレ率が2%になれば、国債金利は3%になるだろう。

jb1

どういう推移をたどるか?
上図に、赤線、青線、桃線と3個書いたが、もう少し詳細に書けば、以下のようになる。


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過去20年以上、日本の消費者物価はマイナス(=デフレ)が続いている。

デフレ下の経済では、金を借りてビジネスをしても、商品やサービスが値下がりするので、借金の利息を賄えない状態になるリスクが高い。これでは金を借りてビジネス拡大のリスク・テイクをしようという経営者は少ない

 

この冷え切った経営マインドを変えようと政府&日銀が立ち上がった。インフレが2%になれば、年率2%で製品やサービスの値上げが可能になる企業も出てくる。「ならばやってみよう」と言う経営者のマインドに訴える作戦だ。

そして、その気持ちに火がつくまでは、公共支出などの政府支出を増やして経済を膨らませて時間を稼ぐのが安倍政権の作戦だ。

 

経営者の気持ちが変わり始めれば、デフレから弱インフレへと「経済は正常化」へと向かうだろうが、それは長い時間を要する。
正常化とは、長期金利の上昇でもある。
インフレ率+1%という長期金利水準が出現するのだ。
2%+1%=3%、という正常な世界だ。
 

アベノミクスの宣言があっても、最初は、明るい未来を信じる経営者は少数派であり、「少し良くなってもリストラや緊縮を継続する」姿勢を続ける経営者が多数だ。

通常は、経営者が強気になって設備を拡張し、雇用を増やすのは経済のサイクルの後半。最初は残業で対応するものだ。商品やサービスの価格引き上げなどサイクル後半になるまで控えるパターンになる。

 

その結果、インフレ率の変化カーブは一般的には下図のような推移をたどる。前半はほとんど上がらず、後半になって上昇するというパターンだ。

これは使用可能な経営資源(人・モノ・金)が後半になるほど逼迫するというマクロ経済の常識とも合致する。

どの程度の期間で、どの程度インフレ率が上昇するかは、景気回復の速度と資源の逼迫度合いに依存するが、例えば下図のようなイメージ図(景気回復が早い、遅いの2パターン)である。


2%への道のり

 

少し前のFinancial Timesでは、失われた20年から脱却する革命的快挙と報道されるほど、海外からは、変心してリスク・テイクする日本への期待が高まっている。
この期待を裏切らないで欲しいと、心底願っている。


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資産効果から経済効果へのタイムラグ

金融や経済に問題が生じたときに最初に発動されるのは「金融緩和」だ。
財政出動は予算とか議会の承認とか財源探しとかで時間がかかる上に、決まってから実際に現金が発動されるまでに数ヶ月〜半年を要するので、即効性が無い。

一方、金融緩和が実施されると、ほぼ同時に債券や株式が好感して値上がりする。
この値上がりを資産効果と呼ぶ。

資産効果が発生してからしばらくすると消費設備投資が増加する(=実態経済が活性化する)。
これは経済効果だ。

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資産効果が発生してから経済効果が得られるまでには、通常半年〜2年の期間を要する。
大きな経済危機の後は、人々のマインドが極端に冷え込んでいるので、経済効果までのタイムラグが、通常以上に長くかかる。

サブプライム証券化商品の崩壊、リーマンショックという数十年ぶりの巨大ショック後の世界経済は、まさにタイム・ラグが大きくなっている。

チャートでリーマンショック後を振り返ると下図のようになる。

(1)米国
リーマンショック直後から、FRBバーナンキ議長は大幅な緩和を継続し、強化してきた。
株式市場は、2009年初からそれを好感してジリジリと上昇を続けており、(下チャートの白線)、上場来新高値に近づいている。
緩和の継続強化の
4年目(2012年)に経済と住宅価格が改善を見せ始めた。特に住宅価格の底打ち反転の効果は大きく、US経済全体を下支えしている。

(2)ECB
USと同時に緩和したが、「のど元過ぎれば、熱さを忘れる」という危機感の無さで、リーマンショックのパニックが収束した段階で緩和をやめてしまった。
緩和が消えたことで、PIIGS諸国のソブリン・リスク(国債からの資金逃避)が顕在化し、欧州経済は一気に悪化を始めた。
そこで慌てて2011年終盤から大幅緩和を再開(下図濃い水色枠内)した。
株式市場は、これを好感し、ここを起点に持続的な上昇相場が始まった。
このまま緩和の強化が継続されれば、大幅緩和から遅くとも4年目の
2015年には、経済効果が出現するだろう

(3)日本
欧米との比較では緩和と呼べないレベルでしか緩和が実行されず、ずるずる円高デフレを続けた(下図右)
2013年4月の新総裁から、しっかりした緩和を始める可能性が強まっており、欧米を凌駕するほどの超緩和が継続強化されれば2016年後半までには、経済的な効果が出現しているだろうと期待できる。
株式市場はその変化を先取りする形で、11月中旬から急上昇をしている。


緩和と相場

金融が量的に緩和されてから、民間セクターが元気になって資金を借り入れて経済活動を活性化するまでにはタイム・ラグがある理由は・・・・・
企業が設備投資計画を積み増したり、家計が自動車・住宅の購入を決断することは、大きな支出するという重大決定だ。重大決定は金利が下がっただけでは、ホイホイと決断する人や企業は少ない。
特に、バブルが崩壊して不況が訪れた後などは少々景気が改善しても「まだまだ心配だ」などと、羹に懲りて膾を吹く状態が長いものだ。

だから、どうしても実態経済に点火して、資金需要が盛り上がるまでにはタイムラグが生じる。
このタイムラグのフェイズでは、インフレは発生しない

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なお、資産効果のフェイズでは、景気が回復しないのに株だけが上昇する。
金融緩和は金持ち優遇策だ。
金利が下がると預金の利息を当てにしている引退世代は困る。
だから景気回復のためには金融緩和ではなく貧者への財政出動、富の再配分をすべきだ。
という論調もある。

しかし、資産効果が起こらないと経営者や消費者は前向き(=拡大行動)にならない。
財政出動と富の再配分では、おそらく縮小均衡になる確率が高いだろう。

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腹の据わった中央銀行 米国FRB > 欧州ECB >>> 日銀

(1)米国FRB
3年間緩和を拡大して、4年目(2012年)に経済と住宅価格が好転を始めたUS

(2)欧州ECB
USと同時に緩和したが、「のど元過ぎれば=リーマンショックの収束」で、緩和をやめてしまった欧州
経済の悪化で慌てて2011年終盤から再開
2015年ごろから、効果が出現するだろう

(3)日本銀行
効果が無い範囲でしか緩和をせず、ずるずる円高デフレを続けた日本
2013年4月の新総裁から、しっかりした緩和を始める
2016年後半には、経済的な効果が出現するだろうと期待している

中央銀行のBS_1


内閣府資料:第3−1−19図 各国中央銀行のバランスシートの推移
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je12/h05_hz030119.html

構造要因は治癒されないが、循環要因はベストの金融株

デフレが終わるときに、最もビジネス環境が好転するのが「金貸し業」だ。

資金需要の復活で
長期金利(貸し出し金利)は上昇するが、短期金利(調達金利、預金金利)は政策的に低く抑えるフェイズが一定期間継続する。


貸し出しマージンを増大させる。貸し出し需要の増大で量が増え、しかもマージンが拡大する。
縦(マージン)と横(量)が拡大して面積が増大する四角形のように、銀行の利益は大幅増益になる。


サブプライム証券化バブル、金融不動産バブル、これらの崩壊後の「金融機関に対する厳しい態度=規制の強化」という
マージン圧迫トレンド(構造要因)が反転したわけでは無い

しかし、政策変化や景気サイクルという
循環要因では、融資ビジネスは順風の風に恵まれるフェイズが始まりつつある。


自民党政権が現実味を帯び始めた昨年夏頃から、株式市場はローン・ビジネスの環境好転を織り込んで、銀行株を急騰させているのだ。


bnk tpx


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資産運用 : 耳触りの良い言葉 VS 現実

ここに、引っ越しました。

Google & SNSs : 検索は格差を是正し、SNSは助長する

Googleなどの行う検索(Search)は一般的な検索可能なサイトに対する「検索の処理」を実行する。
検索バーに入れる言葉が同じであれば、A氏、B嬢、大人、子供、同じ回答が得られる。
Googleの目指す、「世界に蓄積された知識の有効活用によって世界を素晴らしく変えたい」という志は有名だ。

蓄積された知識がネット上に公開されているから、検索の対象になる。
老若男女にかかわらず、貧富の差に無関係に、同じ検索結果を提供する。
得られる情報が同じなので、向上心さえあれば努力によって知的格差、経済的格差を乗り越えるチャンスが広がっている。

SNS_1

SNSの世界は異なる。
SNSはお互いが仲間と認めた者同士が集まるクラブ組織のような「閉じた世界」だ。
そこに掲載させる内容はGoogleでは検索できない

おそらくSNSの世界は下図にような構成になっているだろう。
1:数多く存在する少人数のSNS、専門的な人で構成されるSNS、熱心なファンだけがつどうSNS
2:一般的な人々が多く集まるSNS、

2は、facebookやミクシー、LINEなど少数のプレイヤーが巨大なユーザー数を独占する形態に到達するだろう。
1は、存続可能な収入させあればOKという考え方で、無数に存在することになるだろうが、検索できないので存在すら知られぬままという状態になるだろう。

SNS_2

検索とSNSの関係だが、SNSのメンバーが見つけた情報をSNS内に持ちより、その情報を相互に評価するプロセスが進行する。

評価結果やプロセスは、インプットされた情報の取捨選択と解釈という付加価値であるが、それはSNS外には公開されない。
その付加価値が高いか低いか、有効か無駄かという議論はあるが、付加価値が蓄積された知識であったとしても、それが検索結果として、広く世界で共有されることはない

どのSNSに所属しているかで、得られる情報が異なるので、向上心や努力では乗り越えられない知的格差、経済的格差が存在することになる。

SNS_3

ネット上に存在する画面は、企業が広告を掲載する場所(広告スペース)だ。
広告業界、メディア業界は、「広告主のCMのターゲッティング配信」の向上に邁進してきた。

一般的な誰でも閲覧する画面よりも、SNSのように似た者同士が濃いつながりを構成している画面に広告を掲載するほうが、広告のインパクトは大きいだろう。
そしてSNS構成員の属性情報は基本的には変化しないので、それを有効活用できるような形で、ビジネスに結び付ける技術が向上すれば、SNSの広告スペースとしての価値は上昇する。

SNS_4

現在は、その属性情報活用の初期段階に過ぎないと、私は判断している。
プライバシーの問題はあるが、属性情報を一定のルールで提供することで得られる外部情報の価値も大きい。
各自が所属するSNSの定める属性情報の提供ルールを見て、それが嫌なら退会すれば良いのだ。
そういうことも含めて、大げさに言えば、どのSNSに所属するか、SNS内のどんな仲間と情報を共有できるか、これはまさにリアル世界の人付き合いと同じく重要な人生の決定になるかもしれない。

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2013年を考える(9) 重要な事は昨年考えていたことだ 

facebookのコメント欄での会話でハッと思った事がある。
2013年を考える上で重要なポイントは、「2012年を考えるシリーズ」に中にあると気付いたことだ。

2013年、特に日本に関しての重要ポイントは、「人々の考え方が変わった」という事だ。
下記を読み返している
(1)2012年を考える(5) 一番変化するのは「人々の考え方」
(2)2012年を考える(4) 時代の流れが変わりる時、前半では変化を認めたがらない

そして、これ、、(3)1979年と、1989年と、2009年

2013
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目次:2013年を考える
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目次 : 2013年を考える

2012年8月25日: 1、(1)もう始めた方が良い
2012年8月25日: 2、(2)政治の年が続くのか? 
2012年10月29日: 3、これまでの成果
2012年11月19日: 4、新資産配分に関する心配事
2012年11月26日: 5、貿易赤字が顕著に改善するか否かの判断は、8月
2012年12月1日: 6、2013年を考える : 11月15日の振り返り
2012年12月11日: 7、High Volatilityの世界から、Low Volatilityの世界へ(1)
2012年12月12日: 8、High Volatilityの世界から、Low Volatilityの世界へ(2)
2013年1月16日: 9、重要な事は昨年考えていたことだ
2013年2月2日:10、新しい相場が立ち上がる時の勢いは壮大だ



超長期の相場観 (9) 2009年から始まった超長期波動の姿<その1>

今こそ、心を落ち着けて、超長期のビューを記録しておくべきだと考えた。

超長期とは、複数の景気サイクルにまたがる株式の流れである。
長期とは、1つの景気サイクルに対応する株式の上下動である。
中期とは、一般的には、長期を構成する前期・中期・後期というパーツである。
短期とは、短・中・後の中に出てくる短い波動(1〜3か月が多い)である。
これらは、私の個人的な定義である。

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2007年初夏から始まった、サブプライム・ローンの崩壊、負債バブルの崩壊、証券化商品の崩壊、
2008年10月のリーマン・ショック
これらの破壊的な事件によって、1982年を起点とした超長期の相場は完全に崩壊した。

そして、2009年1月から、新しい時代、新しい波動が始まった。
それは、複数の景気サイクル(長期波動)を内包する10年以上に渡る超長期の相場だ。

最近になってようやく、その全体像がうっすらと推定できるようになった。
おそらく下図のような姿なのだと感じている。

第一長期波動
世界中の政府が協調して、リーマン・ショックから立ち直ろうと、大規模経済対策を実施した。
そのカンフル効果で短期的には株価は急騰したものの、対策の息切れとPIIGS危機(ソブリン危機)で反落を余儀なくされた。
2011年秋には、相場の完全崩壊(=2009年1月の安値を下回る)のふちに追いやられた。
株価の流れだが、2009年の急騰相場が終わると、2010年、2011年と夏場に下落調整するSell in May相場に陥った。

第二長期波動
2011年10月を起点とするサイクルにおいては、2012年のSell in May相場(夏場の下落調整)への突入が回避された。
2011年末に始まったECBのなりふり構わぬ超緩和の決定を市場が信用したからだ。
その結果、日本以外の株式市場が持続的な上昇基調に変化した。
2013年は、その延長上(=第二長期波動の中)にある。

超長期_1


第二長期波動の特徴は、世界三大中央銀行の超緩和そろい踏みだと言えよう。

負債バブル、リーマン・ショックの後遺症で経済界は依然として委縮している。
彼らが元気になるまでは金融政策と政府の経済対策に依存する世界経済だ。
しかし、予算の制約上、金融政策への期待が非常に大きい。

2009年以降の世界の金融政策を振り返れば、2011年秋までは米国FRBが孤軍奮闘して超緩政策を実施して世界にドル資金を供給していた。
2011年秋には、欧州ECBも加わった。ギリシアなど南欧諸国の危機を回避するために前代未聞の超緩和政策に踏み切ったのだ。

米国や欧州の株式市場は、FRB、ECBの超緩和の開始を合図に上昇基調を鮮明にしてきた。(下図参照)

下図:2008年12月末=100で指数化
超長期_2

一方、日銀はなかなか「清水の舞台から飛び降りる」的な超緩和には踏み切らなかった。
日銀は「日本景気は穏やかに回復している」という主張を続けていた。

しかし、12月の衆議院選挙の自民党大勝による政権交代で出現した安倍政権は「中央銀行は経済再生、円高阻止、雇用促進に協力すべきであり、反対するなら日銀法を改正する」という意志表明をした。

日本の投資家や経済界、そして海外の投資家は、「ようやく日本の政治家が経済再生に本腰を上げた」と評価した。
世界の投資家は、「日銀は、日銀法改正を回避するために、安倍政権に妥協する形で、超緩和を始める」と判断した。
その結果、日銀の新総裁就任以降の本格的な政策変更を事前に織り込む形で、円高修正と株式の反騰が始まった。
上のチャートを見れば、日銀の緩和を合図に日本株も上昇基調に入った事が見える。

2013年は、米国FRB、欧州ECB、日本BOJ、世界の三大中央銀行が「超緩和のそろい踏み」体制となる。
2012年に続いて、2013年も株式市場は好調なパフォーマンスとなるだろう。

参考過去記事:2012年12月1日、2013年を考える : 11月15日の振り返り

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目次:超長期の相場観
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投資家分類

「貯蓄から投資へ」の流れが再度盛り返して欲しいと思うが、この流れの中で増加するのは初心者レベルの投資家だ。
投資家教育の必要性という声が高まるだろう。

リーマン・ショック以降の投資家を観察していて、以下のようなことを感じている。

ハイレベルの投資家:5%
彼らには、リスクの高い不確実情報を素のまま伝えることができる。
自己責任原則を体得して常時わきまえているので、受け取る情報が間違いである可能性を斟酌しつつ情報をインプットする訓練ができているからだ。

普通レベルの投資家:25%
リスクの低い不確実情報であっても、刺抜き表現にすれば、追加的に伝えることが可能だ。
自己責任原則は知っているが、損失を被ると態度が変わる人もいるので、「この情報は不確実である」とか文章で明示しないと後で法的に問題化するリスクがある。
なお彼らは、規則にウルサイ反面、規則の中では安全を過信する傾向がある。

初心者レベルの投資家:40%
確定情報のみを伝えることになる。
何を信じ、何を疑うかの基準を各自が確立していないからだ。

一生無関係な層:30%
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