経済に周期的な上下の変動があるように、株式市場にも周期的な変動があります。株価の上昇が長期的に超割高なレベルに及ぶとバブルなどと言われます。バブルが終わって株価が下落すると経済に悪影響を与えます。さて、バブルって何でしょう? なんで発生するのでしょう?

実はバブルは人間の心理に根差しています。本来、株の値段を決めるのは、企業の儲けの水準・将来方向であります。ですから、企業の儲けの水準・方向と、債権など他の投資対象とを比較して、『あれがこんな値段であれば、この値段はこんなものだな』というお互いの相互比較に基づいた値段のバランスというものが存在しています。このバランスが維持されることによって株価は一定の範囲内で上下するものと考えられます。ですから、結果として、『現状では、日経平均株価は、16000円から19000円の間が適正でしょう』といったような判断ができます。たいていは、株価もその範囲で動きます。たまにその範囲をハズレても、普通は3ヶ月から6ヶ月でもとの範囲にもどります。

しかし、非常に希に、適正範囲よりドンドン上にハズレて上昇を継続し、その状態が年単位で続くことがあります。この状態をバブルといいます。景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ような時に発生しています。80年代後半、日本や海外で日本を賞賛(うらやましがる)する本が多く出版されたりしました。バブルは人間の心理に根差していると申し上げましたが、景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ようなこの国の株価は、近隣諸国よりも高くても当然であると考えてしまいます。この、高くて当然という部分がバブルの始まりなのです。なぜなら、今までの『あれがこんな値段であれば、この値段はこんなものだな』というお互いの相互比較に基づいたバランスが崩れる瞬間だからです。

さて、景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態がうらやましがられるようなこの国の株価は、近隣諸国よりも『高くても当然と思う程度がドンドン上昇』し、株価も上昇すると、気持ちが良くなります。優越感の一種です。この気持ちは、最初は、『いつかは終わるかもしれないという不安』も混ざっていますが、その後は、当然と思うようになり、最後は『ずーっと、続いてほしい』と思うようになります

気持ちが良い時代には、株や不動産で儲かったという話をニュースや新聞で目にするようになります。そして、自分の回りでも儲かったと言う人が発生してきます。人間には、欲望・嫉妬というものがあります。自分も、株や不動産で儲けたいと思います。特別な才能を持っているわけでもない同僚などが、株や不動産で儲かったなどと知ると、いてもたってもいられません

特別な才能を持っているわけでもない同僚などに金儲けができるのなら、『自分にもできるし、自分より馬鹿な他人は、もっと値上がりした時でも、その値段で買ってくれる。だって、彼は私より馬鹿なのだから。』と考えます。
これは、個々人でも、会社でも同じです。むしろ大会社のほうが、歯止めが利かないようです。これを、『より馬鹿理論』といいます。人類数千年の歴史で絶えることなく繰り返しています。ネスミ講など、これの典型です。でも、より馬鹿理論はおかしいのです。後々子供たちの時代には、笑われてしまいます。

しかし困ったことに、バブルの初期は『バブル派の勝ち』です。景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ようなこの国の株価は、近隣諸国よりも高くても当然であると考える人が増加します。さらには、そんな状態を正当化する『特別な理論』が登場し、人々を魅了し、更なる投機へとお金を引き付けます。しかも、当然と思う異常な程度が、『ドンドン上昇』してしまいます。これで、バブルが完成します。
私は、『あれがこんな値段であれば、この値段はこんなものだな』というバランス感覚を忘れないようにしたいと思います。