前回の続きです。

2011年に至るまでを振り返ってみよう。

2001年:9・11アメリカ同時多発テロ

2004年:巨大ヘッジファンド、アマランス破綻
2005年:中東バブル
2006年:BRICsブーム
2007年:アメリカ住宅価格ピーク・アウト、サブプライム住宅ローンの崩壊の始まり
2008年:リーマン・ショック
2008年11月:オバマ大統領の地すべり的大勝利
2010年:アイルランド危機(2月)、金融改革法案(4月)、ギリシア危機(5月)
2011年:ギリシア危機本格化、アメリカ格下げ


1970年〜2000年を振り返ると、一番変化したのは、政治だと思う。
もう少し正確に言えば、政策に関する人々の考え方が変わったのだ。
以前は、富と雇用を創造するために規制を強化するという考え方だった。
それが、富と雇用を創造するために規制を緩和するという考え方に変わった。

以前ここに書いたように考え方が時代を創り上げるのだ。
だから、考え方が変わると、時代が変わる

2000年以降、メディアに繰り返し登場するのは、政治の停滞、政治不信という言葉だ。
資本主義とは、経済のこと、
民主主義とは、政治のこと、
政治の停滞、政治不信とは、民主主義の停滞、民主主義の機能不全だ。
換言すれば、以前の考え方が通用しなくなった事はわかっていても、それに代わる新しい考え方を民主主義国家が見つけることができずにもがき苦しんでいるのだ。

富と雇用を創造するために規制を緩和するという考え方の・・・・
(1)行き過ぎを修正するだけで良いのか?
(2)規制を強化する考え方に戻るのか?
(3)別の何か新しい考え方に変えるのか?
2011年11月現在、その「解」は見つかっていない。

そういえば、2011年になって顕著になったと、私が感じていることは、企業に背を向ける日米の保守党(US:共和党、日本:自民党)ということだ。
共和党は内にこもり、Tea Partyや過激な政策に終始している。
自民党はモゴモゴと口ごもりながらTPPに反対している。
本来、保守党は企業の応援団だ。企業活動が盛んになり彼らの利益が増加するように、自由貿易と関税の撤廃を推進する立場だったハズだ。

何故、こんな逆転が起きているのか?
支持基盤、支持者、彼らの考え方が変わったからだ。

支持基盤、支持者とは、先進国の中流階級だ。
中流とは言え、彼らの所得や生活水準は、新興国(その多くは先進国の旧植民地)の中流とその予備軍の数倍も豊かな生活をしている。

しかし、21世紀になって、新興国が台頭し、先進国の中流階級がエンジョイしていた「豊かな生活」が消えたのだ。
何故なら、その豊かな生活」は、旧植民地を上手に利用(=一種の搾取、または隔離、仲間に入れない)することによって得ていた超過利潤だったからだ。その超過利潤の恩恵で「貧しさから脱出して、中産階級に這い上がった」のが、先進国の中産階級なのだ。

今や、先進国の中流階級は、新興国の労働者と真っ向勝負をする羽目になった。
高い賃金&短い労働時間 VS 安い賃金&長い労働時間
人間の能力に大きな差は無いだろう。
勝負は見えている。

地球規模の裁定取引(アービトラージ、割高を売って割安を買う)が進行している。
しかも、加速している。
地球規模で格差が急速に縮小するのだ。

地球規模で言えば、所得の再配分、格差是正、弱者救済が実現しているので、めでたいことだ。
しかし、先進国では親の世代がエンジョイした豊かな生活を、子供の世代は「昔は良かった」と愚痴りながら過ごすことになる。
しかも、政治家が親の世代向けの選挙対策(=一種の買収)として約束した「分不相応な年金・医療福祉」の費用負担の増加に、一生あえぎつづけるのだ。
いわゆる現役世代の負担は、先進国の世代間闘争を激化させ、ますます少子化を加速させることになる。

参考:グローバル格差社会、国と年金の国際化社会主義化するアメリカ 米中「G2」時代の幕開けより抜粋コピペ)

日本の進むべき道

現代の先進国の労働者は、職業選択の自由や機会の平等はあるが、彼らが夢描いたような経済的な成果は得られなくなっている。
正確に言えば、「植民地から搾取していた時代の先進国の労働者」と比べて、現代先進国の労働者は、世界の中での相対的な優越度合いが低下している状況なのだ。
地球規模の格差是正は止められない
かつて19世紀の西欧で始まった市民革命が先進国内での格差是正を実現したように、21世紀に爆発している地球規模の格差是正も長期間継続するだろう。

国家は中流階級から徴収する税収に依存している。
それを前提に福祉を設計してきた。
彼らの超過利潤が消えると、福祉の制度設計が崩壊する。
そういう宿命だ。

しばらくは借金で福祉を延命できるだろう。
しかし、2011年のギリシアのように、ドクター・ストップが宣言される時が来る。

もし、これがギリシアやPIIGSだけの問題ではなく、先進国に共通する問題であるならば、
先進国全てに対して、植民地ありきのDNAをベースとした民主主義(=国境の中だけの民主主義)&社会福祉制度にドクター・ストップが宣言されるだろう。

その時までに、新しい考え方が合意されていることを祈りたい。

*** 続く ***

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