1:まだまだ認識不足のチャイナ・インパクト 

アベノミクスと同時に起こった感のある日本観光ブームだが、・・・・
リーマンショック後の世界不況、そして3・11後の放射能汚染不安時に、来日外人観光客が急減し、
その後急速に復活した
・・・・ので、アベノミクス効果に見えるだけだ。


小泉政権時代の2003年に始まった「Visit Japanキャンペーン」継続的で地道な超党派の努力が実を結んだと評価するのが妥当だろう。

自民党、民主党の両政権でも、政策の遂行が維持されたことに加え、アベノミクス以降の円安が日本への旅行の割高感を霧散させたこと、東京オリンピックの2020年開催が決まったことなど、次々と好材料が続いたことは大きな追い風だ。

 2020年の2000万人、2030年の3000万人という政府目標は達成できる可能性が大いに高まっている。

 

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外人観光客の日本経済への貢献は巨額だ。

日本国内で消費する金額だけでも、年間2兆円規模に達している。

政府の経済対策が数字は大きいが現実に使われる金額(=真水の経済対策金額)は小さいと揶揄されるが、外人観光客が日本で使う金額は、100%真水の経済対策に等しい。

しかも、単年度では無く毎年継続的に、そして来日数の増加に比例して増加が期待される真水の経済対策である。

 

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2014年の家計平均支出金額は、月間25万円、年間300万円だ。

年間2兆円という外人観光客の貢献は、日本の世帯消費67万世帯分に匹敵する。日本の世帯数が1.4%増加したに等しい。

もし2030年度に3000万人の外人観光客が対日し、現在と同金額の消費をしたら、6兆円規模の消費をすることになり、世帯数が4%増加したに等しくなる。

少子高齢化で縮小する国内消費という逆風を相殺する大きな経済効果だと思われる。

新聞などメディアで、2015年の2月の外人観光客の消費の大きさ(特に、中国人の爆買い)が報道されたが、免罪手続きが完備しているデパートなどは大いに恩恵を受けたようだ。

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不動産価格は、土地の収益力で決まる。外人観光客の恩恵を受ける「小売店」や「ホテル」その他の「観光施設」が立地する不動産価格は、間違いなく上昇が続くだろう。

日本観光ブームが始まっているなかでも、中国人観光客のインパクトは計り知れない。現在の来日中国人観光客数と中国の人口比を考えると、一気に倍増しても不思議では無いというのがコンセンサスになっている。

現在の観光客数は、中国国民の0.26%に過ぎないのだ。

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既に観光地は中国人であふれている状況を見れば、数年後の状況は今以上である事は明らかだろう。

なお、外人観光客の消費のなかでも、中国人の消費金額は突出して大きい。中国の個人所得金額は順調に増加していることを考えれば、中国人観光客の消費金額はさらに増加する可能性がある。

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昨年8月以降、経済分野での日中関係の改善が進んでいる。今後数年はそのトレンドは継続すると予想されている。
下図に見られるように、中国人観光客の伸びは日中関係改善に比例して大きく増加している。2020年の東京オリンピックまでは、この状況が続くだろう。

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 このような状況を反映して、日本に住む中国人の活動も活発になっている。

観光地に溢れる中国人、中国語対応スタッフの不足、そのような状況を見て、中規模のアパートを改装して、中国人専用のホテルに改装する事例も出てきている。

日本人と結婚した中国人であれば、日本人配偶者に対して銀行は融資を簡単に出してくれる。日本在住の中国人にとっては、中国人観光客をターゲットにしたビジネスはハードルの低い、しかも確実に儲けが見えているビジネスなのだ。


また、日本に住む中国人の活動は、不動産投資ツアーにまで及んでいる。中国本土、台湾、その他アジアの華僑がターゲットになっている。彼らは不動産での蓄財志向が強い人々である。

日本の不動産市場に対するインアパクトは既に大きいが、今後はさらに大きくなると思われる。


下は昨年の観光客の国別内訳だが、上位2国はさらに増加が予想されている。

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