1:日本がエンジョイする「外国人観光客ブーム」 

東名阪福岡は、オフィス需要回復の恩恵を受けている。
同時に観光地に向かう
外人観光客の宿泊のホテル需要という恩恵も受けている。

京都や鎌倉、浅草などの観光地は外人観光客であふれている
私も実際に京都、鎌倉にいって自分の目で混雑ぶりを確認したが、タクシーの運転手の弁では「2割3割じゃなく、
5割6割の増加」で忙しくて、タクシーの数が足らないので、周辺地域から応援タクシーを集めている
と聞いた。

外人観光客の来日数に関する2015年予想は1−2月の増加ぶりを反映して、1600〜700万人の予想と上方修正されてきた。2014年の1340万人から、+20〜27%の大幅な増加である。

なお、下図を見れば、最近の増加ペースは、前年比+30〜+60%であることがわかる。

不動産7_1

 2月は、中国の旧正月で中国台湾からの来日が激増し、年率1800万人ペースだったが、国内ホテルのキャパは限界に達したと、業界関係者は言っていた。

外人観光客の着実な増加は、円安による日本への旅行の割高感の解消だけが要因では無い。

政府が地道に進めてきた、「VISA発給条件緩和、オープン・スカイ政策、LCCの推進」が寄与している。
それに加えて中国、台湾など
アジア諸国の経済成長による旅行ブームの盛り上がりという恩恵もある。


これらは短期的に終わってしまうものではなく、2015年以降も
政府や民間が交通宿泊インフラの整備改善を進める計画が目白押しであり、2020年の東京オリンピックへ向けて、さらなる外人観光客数の増加が期待できる。

旅行者増加によるホテル稼働率の上昇で、
宿泊系のJリートの収益は短期的にも、長期的にも、昨年までに想定した予想値以上の伸びが期待できるだろう。(株価は、数年先まで織り込むので注が必要だが・・・)

 

2: 
ビジネス好転と団塊世代の自分へのご褒美旅行

旅行者増加によるホテル稼働率の上昇は、外人観光客だけが要因では無い。

過去5−6年で増加した団塊世代の退職者の家族が「ご褒美旅行」を増やしていることも大きい。観光地に行くと、それと思われる高齢者であふれている。特に退職者の配偶者である女性の増加ぶりが目立っている。


またアベノミクスにより景気が回復し、企業業績はリーマンショック前を上回り史上最高水準になってきた。

それを受けて宿泊を伴う国内出張が増えてきた


観光客の利用もあいまって、
東京のシティ・ホテルの稼働率は、80%を超えている。

特にビジネス・ホテルの稼働率は、90%超える状況で、常時満室に等しい。

これは当日では宿泊不可能が頻発する事を意味する

このような現状を踏まえて、東名阪福岡地域では、
ホテル業界では久方ぶりに宿泊料の値上げが始まっている。


3:2020年東京オリンピック、ホテルは足りるの?

東京では、取り壊されるホテルの客室が、再稼働時に減少しているケースが散見される。

つまり、客室が減少させ内容を高級化して、ラグジュアリー・ホテルとして再稼働している。


高級なラグジュアリー・ホテルが不足している現状と、円安になって外人観光客の増加が確実視される中、
外資系ラグジュアリー・ホテルは着実に増加中だ。

 
その先にはオリンピックが2020年に開催される。その時、ホテルは足りるのか?

政府が作成したIOC向けの誘致レポートには、50km圏内(グレイター東京)に14万室あるので、宿泊キャパシティは問題が無い、と書かれている。

ちなみに、ロンドン・オリンピックの時は、グレイター・ロンドン地域で12万室体制だった。

(下図参照) 

不動産7_2

ロンドンの12万室とは、グレイター・ロンドン地域で12万室だったが、グレイター・ロンドンとは、ロンドンの外周の高速環状道路M25の内側地域を言うのが通常であり、30−35km圏内に該当する。(上記地図の青線の少し外側)

下図の
赤丸が、東京の50km圏内だが、2020年のオリンピックは、コンパクト・オリンピック(=競技は基本都心部に集中)だから、近いところに宿泊希望が殺到しそうだ。

不動産7_3


それを考慮すれば、50km圏内では少し遠すぎ、ロンドンと同様に35km圏内のホテル利用が多くなると推定される。

政府がIOCに提出した「50km圏内14万室」の内、35km以遠はオリンピック需要の恩恵が期待以下になる可能性がある。


上記のような事を踏まえて
東京、および周辺地域ではホテルの建設ラッシュになっている。一個の用地をめぐって、ホテルとマンションが競合するケースも散見される。



4: 
オリンピック後は、ホテルは過剰?

足元のホテルの建設ラッシュだが、2020年以降、ホテルは供給過剰になるか?

 実は、そもそもホテル建設は、収益不動産という観点からは、建設のインセンティブが小さい

よほどの事でなければ、更地があった場合、収益力は「オフィス>ホテル」となるのが普通だ。ホテルは殺風景なオフィスと比べて、内装費用が高コストになるからだ。

 
ホテルの建設にあたっては、オリンピック後の需要も踏まえて建設されている。
特に大規模なものはそうである。

なお、需給見通しに関してだが、オリンピック期間中は、一般的な催し、結婚式、**周年セレモニー、++年次会合、のようなホテル利用は、特別なものを除いて、東京から別の都市での開催に変更される。その結果、平年よりも上記のような減少する催し物に付随する未稼働客室が増えることになるが、それをオリンピック需要が埋める構造になる。このような需給見通しに基づいて、現在のホテル建設が進められている。

また、前回のバブル時の2007年ごろのホテル建設投資、ホテル買収は、投資ファンドの資金による短期的な収益狙いが多く見られたが、2013年〜2015年の状態は、さまざまな資金がバランスよく入っており、2007年よりも健全である。



5:
減税の恩恵を受けるホテル 

アベノミクスの企業減税の一環で、交際費の非課税枠が拡大された。

昨年施行されたが、日本企業の多くは、年度の途中では社内の会計システムの課税非課税の仕分けシステム変更をしない。

つまり、企業交際費の非課税枠拡大の恩恵を受けるのは、2015年4月からになる企業が多いことになる。

 
セミナー開催、顧客接待など、非課税枠の拡大は景気回復、企業業績改善の流れの中で、2015年以降に増加することが確実視されている。

既に予約が増加していると聞こえてくる。

下図に見られるように、
企業の交際費は、ピークの6兆円から、23年にも及んだ円高デフレ、緊縮、リストラの影響を受けて、半減している。


不動産7_4

2015年の4月以降、企業のホテル利用が増加に転ずれば、宿泊系リートの収益は改善するだろう。

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