欧州危機

投資家は決着を求めるが、政治家は避ける

投資家決着を求め

多くの投資家はA=50、B=80というような「答え、決着」を求める。
どっちに転ぶかわからない、イザコザのプロセスの継続を嫌う。

一方、大多数の政治家は決着を避ける
決着とは白黒、勝ち負け、損得を確定させることになる。その決着の時に「損側に属するグループ」に復讐心を植え付けてしまい、かつては仕返しの戦争の端緒にもなった。
現代では戦争にはならないまでも、損確定の決断をした政治家は政治生命を失う。

投資家は、ポジションを持つ持たないの判断をさっさと実行できる、気楽な商売だ。損しそうだ、不利だと思えば、サッサと逃げ出す事も簡単だ。
政治家は、常にポジションを持ち続けなければならない。逃げることもできないし、別の有利なポジション(他国の政治家)に乗り換えることもできない。

決断は強者の特権だ。
特に、欧州の国際政治経済関係に関しては、国境を変更する戦争が消えてしまったがゆえに、弱者が強者にとって代わることがほぼ不可能になっている。それゆえ、弱者が強者が押し付けてくる「正論のようなモノ」に屈する事は、強者が強権発動を実施する場合を除いては、有りえない。

なお、欧州問題は共通通貨ユーロが無ければ起こっていないという論者もいるが、違うと思う。
歴史を振り返れば、交易経済の決済に使用される貨幣は「多数が信頼する金貨、銀貨」あるいは「それらに簡単に交換が可能なモノ」であった期間が圧倒的に長い。
欧州の多くの国が独自通貨を発行し、それらが全て国債決済に使われる状況が維持された期間は、100年にも満たない。
つまり欧州の歴史的視点からは、「多数が信頼する金貨、銀貨、あるいは、それらに簡単に交換が可能なモノ」が「ユーロ紙幣」に置き換わっただけである。この両者に共通するのは、各国が勝手に増やせないという点である。
そして、このことは「欧州の多くの国が独自通貨を発行し、それらが全て国債決済に使われた」状況とは根本的に異なる。
欧州の決済通貨という点からは、昔の欧州に戻っただけかもしれない。

facebookコメントヘ 

嘘つきLIBORの幕引き : 民間に英国中央銀行は責任は無いと主張

純粋に民間の行為である。
過去も現在も、民間の行為である。
BOEは関与しないし、責任も無い

BOEのコメントだ。

民間銀行を管理監督するのが中央銀行だから、責任が無いというのはオカシイ。
BOEが言いたいのは、管理監督の範囲外だ、という事だろう。

つまり、民事裁判はあるだろうが、管理監督命令法令に違反したという刑事裁判は無い
BOEも火の粉が降りかかるのは避けたいから、、、というサインかもしれない。

それで幕引きができるか?
それはわからないが、BOEはそうしたいと言っている。

下記オリジナル記事は、 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2006U_Q2A720C1FF2000/ 
LIBOR_20120721

サブプライム証券化の崩壊〜リーマンショックにいたる過程で、FRB,BOE,ECBは緊密な連絡を取りあった。
しかし、LIBOR問題は2008年当時から問題になってFTにも記事が出たが、BOEは問題化しないとお墨付きを出していたと伝え聞く。

参考過去記事
2008年6月21日嘘つきLIBORフォローアップ2週末の定点観測 : 全体感(2)
2008年5月31日嘘つきLIBORフォローアップ1週末の定点観測 : アメリカ(1)
2008年5月15日嘘つき"LIBOR" (2)
2008年5月5日嘘つき"LIBOR(1) 

下記のロイター記事は、そんな雰囲気を伝えている
オリジナル記事は、 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT820063720120720 
LIBOR_20120721_2

その他、関連記事

「英中銀総裁は知っていた」 BIS、08年にLIBOR不正を示唆

LIBOR報告、「英中銀への言及外した方が良い」−通信記録

facebookコメントへ

手打ち式があるかも、ウソツキLIBOR問題

そろそろ「金融業界全員 VS 規制当局全体」の手打ち式をしたい、、、業界はそう申し出たような記事が出始めた。

そろそろ幕引きにしたい。
業界も金でケリをつけたいと思う。
当局も、自分に火の粉が降りかかる前に、収束させたい。
そうい事だろう。

下は、ロイター記事(オリジナルはこちら: http://uk.reuters.com/article/2012/07/20/uk-banking-libor-settlment-idUKBRE86J00M20120720 )

手打ち


LIBORが過去にさかのぼって修正されたら??!!

資金の出し手
高い金利を過去にさかのぼって、追加で「もらえる」

借りて(企業、住宅ローン)
過去にさかのぼって、金利を「追徴される」

払う側、、全ての損失は、銀行が被るのだよ!
そう主張するでしょう。

そして・・・銀行が破綻するなら、税金で救済するのだよ・・・・という結末がやってきます。

何故、手打ち?
嘘つきLIBORは、企業や消費者が恩恵を受けた側だから、、、という背景かな??


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日経新聞:実況的な分析は不得意ですが、少し時間が経過した次期のサマリーは上手です。
将来のために、記録する価値が大きいです。

日経_20120717_1


日経_20120717_2


日経_20120717_3

facebookコメントへ

フィンランドの異議

先日の欧州の喧々諤々の介護の最大の成果が
EMSからの救済資金ローンと、民間のローンが同列
EMSの優越権を放棄
である。

しかし、さっそく、フィンランドが異議(下記Bloomberg記事参照)

おそらく、
「俺たち同じ釜の飯を食うのだ」グループと、
「お前たちと、同列に扱われたくない」グループに、
欧州は分裂するだろう。

後者の代表は、英国だ。
EUからの脱退というトーンが最近はふたたび盛り上がっている。

ドイツは、口では何と言おうが、政治的&経済的には前者になると思う。 
マルクに戻ると、円高に苦しむ日本企業のような状況になるからだ。

分裂が、即ユーロ離脱になるか?
それは未確定だ。
しかし、今回のPIIGS危機が、「同じ釜の飯」という踏絵を出現させたことは確かなのだ。

同じ釜 = 財政が一つ、、、ということ

記事のオリジナルは、↓ 

欧州危機のフォロー・アップ_3 : 格差問題、政治統合すれば「合計でゼロ」の国内問題

前回レポートで、・・・・
(1)このような状況が、2008年以降の欧州で急速に進展している。 

その結果が、大きくなった欧州内の貿易黒字と赤字の格差拡大だ。 
(2)こういう状況を見れば、銀行は低コスト工場へは金を貸すが、その一方、高コスト工場には「窮状は理解できるが、お貸しできません」という態度になってしまう。高コスト工場は、バブル景気が来ない限りは復活できないと、普通の銀行経営者には理解できるからだ。ますます、格差が固定化する。
・・・・と書いた。

欧州内の経済における南北格差の問題だ。
これは国が分かれているから、ガタガタして、アジアやUSにも影響を与える国際的な金融危機と認識される。
しかし、もし欧州が一か国になれば、問題は消える

日本だって、北海道や九州の経済はガタガタだ。地方交付税でようやくヤリクリができている。
しかし、だからと言って国際的な危機を引き起こしていない。あくまでも国内問題であり、借金を海外勢に依存していないからだ。


同様に、欧州が一か国になれば、貿易赤字問題は国内問題になる。
現在でも、欧州内の貿易などの格差は全部合計すれば、ほぼゼロである。
つまり国内のプラス地域とマイナス地域という構図になってしまう。

そして、地方交付税で所得移転をすることになる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とは言え、そんな夢のような状態は、おそらくは50年後だろうから、足元の問題を整理しておこう。
貿易と銀行とECBの関係の話だ。

(1)貿易には国境を越えた金融取引が必要
輸出入貿易では、契約、出荷、受け取り、支払いに時間差が生じる。
時間差ゆえに、「荷物を受け取ってトンズラ」などといった、契約不履行リスク低減のために、貿易金融(輸入国銀行と輸出国銀行間の貸し借り)が使われる。

( 参考:船荷証券信用状 )

下図は、単純化した輸出入に際してのお金と商品の流れ図だ。

(a)輸出国銀行(Bank A)が、輸入国銀行(Bank B)に資金を融資し、
Bank Bは融資で得た資金を輸入業者に貸付
輸入業者はその資金を輸出業者に支払う。 

A


(b)輸入商品の購入者(消費者)が手持ち資金で代金を支払えば、お金が(1)の流れを逆に遡るように流れて、全ての貸し借りは消える。

しかし、商品の最終購入者(消費者)がローンで代金を支払えば、2個の債権債務が残る。(下図)

1:消費者ローン(債権者:Bank B、 債務者:消費者)
2:国際間の銀行融資(債権者:Bank A、 債務者:Bank B
B


Bank Bは、A国の銀行(Bank A)に返済する資金を、国内の消費者への貸し付けに流用してしまったので、Bank Aに対する借金をロール・オーバーしなければならない。
平時は、このロール・オーバーが問題なくできる。
しかし、金融危機になれば、途端に様相が変わる。
昨日まで喜んで貸してくれた銀行が、手のひらを返したように、貸してくれなくなるのだ。


なお、輸入品の購入が一見手持ち資金であっても、
(1)赤字国債が無ければ維持不可能な公務員給与、年金、その他の公共事業による資金であり、
かつ(2)赤字国債の消化を海外に依存している場合は、
海外からの資金調達に依存した輸入品の購入という意味で、国際的な資金の貸し借りという点では変わらない。

ちなみに、上の図では、 Bank Bは、1の債権者、2の債務者であるから、相殺できる。
結局、残りは、債券者:Bank A  債務者:消費者 という事になる。 

(2)リーマン・ショック後に、銀行間の相互不信が高まった
リーマン・ショックで巨大金融機関がバタバタと消滅した。
世界の銀行は疑心暗鬼になって、他の銀行への融資に慎重になった。

特に欧州においては、国境を越えた融資が激減した。
その結果、国境を越えた銀行間の「貸し借りのロール・オーバ」が困難になった。


貿易赤字国の商業銀行は、外国の商業銀行から借金できなくなった分を、中央銀行から借金で穴埋めするようになった。

国内の債権債務がそれぞれの中央銀行に集約されると、最終的には貿易赤字国の中央銀行が貿易黒字国の中央銀行に借金する状態に行き着いた。

複雑な商業銀行間の債権債務が、シンプルな中央銀行間の債権債務に変化してしまった。

C



(3)中央銀行間に債権債務は急増を続けている
中央銀行間の貸し借りは、ECBが所管する「ターゲット2」と呼ばれるシステム内部の貸し借り勘定に計上される。

2010年のPIIGS危機以降、中央銀行間の貸し借りは、下図に示されているように増加の一途だ。
これは、前回書いた欧州経済の南北問題、経済格差問題を正確に反映している。

D


ターゲット2で問題となっている事は、一定期間ごとに債権債務を決済するルールが無いという事だ。

赤字国はシステム内で借金をするにあたって、ECBに債務の担保(普通は国債)を差し出す必要がある。しかし、ECBが担保を受け入れる限り、赤字国は借金を返済せずに累積させることができる。

投資家金が恐れている事は、
(1)ある日突然、貿易赤字国の中央銀行が、ECBに差し出す担保が無くなって、国内に資金が回らなくなってしまう
(2)貿易黒字国の中央銀行が、これ以上貸せないと言いだして国際貿易が混乱する
(3)上記のような事態を企業が先走って懸念して、輸出企業が赤字国に対して現金決済を要求するようになる
といった事態だ。

そういった事態を未然に防止するために、ターゲット2の問題に関する話し合いが秘密裏に進められるだろう。

facebookコメントへ

=================
目次:欧州金融危機
=================

欧州危機のフォロー・アップ_2 : 拡大した競争力格差

格差撲滅!
気持ちはわからないでもないが、世の中は上手にできる人、失敗する人、違いが出てしまう。
だから、チャンスは平等に、結果の格差は受け入れるというコンセンサスができている。
そして成功した人が、「社会に何がしかの還元、寄付」をする習慣も、人類の知恵として過去から続いている。
切磋琢磨+最低限の援助、という構図だ

同じ国の中、同じコミュニィティ内なら、スンナリと受け入れられるコンセンサスや習慣も、国境を超えたり民族がまたがれば、「お前の事は知ったことか!」になっている。
まだまだ人間社会はこういうレベルが現実だ。

ドイツ人は、「何故、ダメ国家に、俺たちが汗水たらして稼いだ金をくれてやる必要があるのか?!」と怒りを隠さない。
ドイツ人は成功したのだ。
彼らは何がしかの還元、寄付をするの
が人類の古からの知恵だ。
それに従うのが当たり前なのだ。
換言すれば、欧州内の累進課税ということだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
将来は一緒になろう!
1951年位始まった欧州統合の夢は、3歩進んで2歩下がるというペースで、60年を経過して今日に至っている。
経済統合は、半分程度の達成レベルまでこぎつけたかもしれない。
しかし、政治統合は、5%も進んだだろうか?

2010年以降の欧州危機は、そんな政治統合への躊躇という欧州の弱点をめがけて、経済危機という嵐が容赦なく襲ったと言えるだろう。
政治的統合とは、 国境を超えたり民族がまたがっても、 成功した人が、「社会に何がしかの還元、寄付」を自然とするようになることだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
経済危機が起こると、
弱者はより大きな被害を受けるが、強者のダメージは軽微ですむ。 
危機を通じて、弱者はより弱くなり、強者はより強くなる。


リーマン・ショック前は、欧州内の貿易などの黒字や赤字は、ほぼ均衡していた。
バブルだったから、たまたま均衡していた。平常経済では格差が当たり前という事かもしれない。

今日取り上げる問題は、リーマン・ショック後は、貿易黒字国と赤字国の格差が猛烈に拡大している、という事だ

<< 競争力格差は不景気な時ほど顕著に結果に表れる >>

好景気の時は、下図左側のように、高コスト工場も低コスト工場も十分なオーダーを受注できる。
利益もそれぞれ黒字を享受できる。

しかし、不景気になれば、下図右側のように、受注単価が急低下し、オーダー数も減少する。
その結果、高コスト工場は受注できない。
普通の工場であっても、100%の稼働率は維持できない。
低コスト工場のみが、利益率を減らすものの、100%稼働を維持できる。

金融危機のようなヒドイ状況では、三者の格差はさらに大きくなる。

格差_1

そして、下図に示されているように・・・
低コスト工場は、次の景気回復に備えて、設備を拡張するなどの投資が実行できる。
その結果、現実に景気回復が来た時の恩恵は、さらに格差を広げる状況が出現する。 

回復した需要のほとんどを、低コスト工場が享受してしまう。
高コスト工場は、閉鎖したまま朽ち果てて行くだろう。

格差_2

このような状況が、2008年以降の欧州で急速に進展している。 
その結果が、大きくなった欧州内の貿易黒字と赤字の格差拡大だ。 

こういう状況を見れば、銀行は低コスト工場へは金を貸すが、その一方、高コスト工場には「窮状は理解できるが、お貸しできません」という態度になってしまう。
 
高コスト工場は、バブル景気が来ない限りは復活できないと、普通の銀行経営者には理解できるからだ。
ますます、格差が固定化する。

facebookコメントへ 

=================
目次:欧州金融危機
=================


欧州危機のフォロー・アップ_1 : ECBの国債引き受け

欧州危機が最初に爆発したのは2006年だ。

参考過去危機
2006年3月25日:キャリー・トレードの静かな崩壊 : アイスランド・クローナ
2006年3月27日:えーっ、メルトダウン! アイスランドは、"アジア危機の時のタイよりひどい"?
2006年4月3日:
マスコミを賑あわせ始めたアイスランド、中東の株、為替

当時はアイスランドだけの限定的な事件と観られていた。
しかし、その後は、東欧危機、PIIGS南欧危機と発展して今日に至っている。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
6月17日のギリシア&フランスのダブル選挙が終わった。
フランスは、オランデ陣営が勢力を伸ばし、政権の安定度合いが増した
ギリシアは、ND+PASOK+アルファの安定多数が得られた。与党も野党も「緊縮条約の再交渉+ユーロ非離脱」と同じ政策を掲げていたので、「若造に任せるより。。。」という消去法的選択だったのだろう。

ひと段落したので、欧州危機のフォロー・アップ&整理をしておきたい。

なお、欧州危機の復習のためには、下記をお読みください。
(1)特集 揺れるヨーロッパ : 東欧、PIIGS,アイスランド 目次
(2)目次 : 欧州金融危機


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
PIIGSの金利は下記のような状況になった。
20%台のギリシア、10%台のポルトガル、、、この2か国は、アウト
欧州内の金融的植民地状態になったと言えるだろう。

6%台のスペイン、5%台のイタリア、、、、分水嶺にある。
どっちに転ぶか、なんとも危なっかしい状態が続いている。

南欧


ECBは、昨年12月から銀行に対して巨額の融資を実行している
これは「LTRO」と呼ばれる3年融資
2011年12月21日:約489bnユーロ、523金融機関が借入
2012年2月29日:約540bn、800金融機関が借入
2回合計で、1000bnユーロ、約100兆円の規模だ。

金融危機が本格化して以降、米国のFRB、欧州のECB、各地域で中央銀行の経済の中で果たす役割がどんどん大きくなってきた
今回は、複数の重大な役割を同時に果たしているECBの現状を解説したい。

不満はあるだろうが、私は、ECBは、銀行の銀行(=中央銀行)としてシッカリ対応している、と思う。
日本や米国は国が一つだ。他国に相談しなくても決められる。しかし、ECBは寄り合い所帯だ。日本や米国とはお家の事情が異なる。それを考慮すれば昨年来の「貸付の大幅な拡大」は英断だと思う。

PIIGS危機やソブリン危機と呼ばれる「金融危機」に陥っている欧州では、銀行が様々な苦境にあえいでいる。

(1)融資が焦げ付いて不良資産が増加している。銀行の財務の健全性を維持するためには、不良債権処理が必要だ。
不良債権を償却する原資として、利益が必要だ。利益がなければ、償却によって自己資本を食いつぶしてしまい、銀行を規制監督するBIS規制が求める自己資本比率を維持できなくなる。
金融危機のあおりを受けた欧州では、急速に景気が悪化しており、銀行収益は落ち込んでいる。何とかして利益を確保する必要がある。

(2)また、ギリシアやスペインなどPIIGS諸国の銀行は大幅な格下げを食らっており、預金の流出も発生している。
銀行は、預金と言う短期で資金を調達して、住宅ローンや企業向け貸し出しなどの長期で運用している。この調達と運用の期間のミスマッチの中で預金が減少すれば「資金繰り破綻」が発生する。資金繰りをスムーズにする為に流動性の確保も急務になっている。

上記のような銀行の抱える問題に対応するためにECBが2011年12月に開始したのが、LTROと呼ばれる期間3年間の融資だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
LTROを簡単に説明すれば、
(1)ECBは、銀行から「担保を徴収」して、3年間の融資を実行している。
(2)銀行は、国債を担保として差し出して、金利1%で3年間融資を受ける。

担保となる国債は手持ちの国債に加え、市場からも購入するのだが、10年国債金利は下図(6月15日現在)にあるように、イタリア:5.9%、スペイン:6.8%、ポルトガル:10%、ギリシア:25.6%、と高金利だ。

銀行は、金利1%で調達した資金で、高金利の債券に投資することで、大幅な金利差を収益として確保できる。
( 2年債金利でも、イタリア:4.3%、スペイン:4.9%、ポルトガル:7.6%と高金利 )

これは、いわゆるキャリー・トレードである。
ECBが欧州銀行にキャリー・トレードをお膳立てして、儲けさせて(=窮状を助けて)いるのだ。

1

 
ECBのLTRO資金は3年間という長期ローンなので、銀行にとっては、
(1)当面の資金繰りを安定させてくれる上に、
(2)1%という低コスト調達が生み出す金利差利益が銀行経営を安定させ、不良債権処理を可能としている。

LTROは、2011年12月と2012年2月の2回合計で、約1兆ユーロ(約100兆円)の規模に達している。
上図の下段を見れば明らかだが、LTROは本来なら発行が困難な「PIIGS諸国の国債発行を間接的に援助」している。ECBが担保として国債を受け入れる限り、PIIGS諸国は自国の銀行に国債を買わせる事を通じて、赤字国債を発行できる
LTROは、銀行に対する援助(資金繰り対応、利益供与)に加えて、国家財政破綻防止の役割も果たしていることになる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
下図は、ECBが金融機関にどれほどの資金を提供しているかを示した図だ。
ギリシア、ポルトガル、アイルランド、これらは規模が小さいので、アウトであっても、ECBの手の中で処理が可能だ。

しかし、イタリアとスペインは巨大だ。
現状でも、ECBが貸し出している資金のほぼ半分を占めている。
今後も赤字国債は増え続けるだろう。
国外投資家は、南欧の国債には見向きもしない状態が今後も続くだろう。
誰かが買わないとアウトになるのだ。

MRO+LTRO

選挙後が終わった。
7月には、3回目のLTROが盛んに議論されるだろう。
ECBは銀行の苦境を救済する意思はあるが、PIIGS諸国の国家財政の支援をする意思は無い。
中央銀行による国債の直接引き受けは、ECBの最も嫌うところだ。
( 間接協力は、するだろう )

PIIGS諸国の国債は、一般投資家には不人気だから、公的な性格を帯びた機関が何らかの形で関与せざるを得ない状況が続くだろう。
例えばギリシアは、公務員給与、年金、一般予算まで、赤字国債で賄う状況に陥っている。
3回目、4回目、5回目のLTROは必要性なのである

facebookコメントへ

=================
目次:欧州金融危機
=================

2年勝負か、20年勝負か、ドイツが決めるギリシアの運命

2010年5月にギリシアが相場をかく乱し初めてから3年目を迎えている。
いい加減にウンザリ、怒り心頭、色々な思いを投資家は抱いているだろう。

早く解決して欲しいと願っているだろうが、現在のペースだと、イライラが長期化する20年コースだと思われる。
( 徐々にイライラの程度は低減するだろうが・・・ )

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

もし、ドイツが完全に見放して、ギリシアのユーロからの早期離脱が実現すれば、2年コースで終わるだろう。
その間の混乱は、短期で問題を解消するコストと考えるべきだろう。

2年コースの際に参考になるのは、アイスランドだ。
( ここの特集の下の方の2006年に出ているアイスランドの崩壊の始まりの過去記事を読んでください。)

アイスランドは、ユーロ非加盟なので、崩壊が始まると、通貨がみるみる下がり始めた
約2年で、ピークの1/3程度に通貨が下落した。

Iceland

株価の崩壊のほうが激しかった。
通貨の下落で経済の割高が解消することを好感する投資家もいたのだろう。
アイスランドの崩壊時期は世界がバブルに沸いていたので、アイスランドの崩壊が救われると感がえた投資家もいたのだろう。
株価は、一旦は大幅に調整した後に、かえって猛烈な上昇を示した。

しかし、アイスランドの崩壊が救えないとわかると、そこから▼90%以上もの下落をした。(下チャート)

ice2


ギリシアも、ユーロを離脱すれば、新通貨は大幅な下落をするだろう。
株価も下げを被るだろうが、すでに織り込みが進んでいるので、ここから▼90%というような事はないだろう。

むしろ早期に、最近のアイスランドのような堅調さ(下チャート参照)も期待できるだろう。
為替の大幅下落で、競争力を回復したギリシア企業が息を吹き返すからだ。

ice3

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

一方、ユーロに加盟させたまま、問題を解決するという20年コースは、以下のような姿だろう。

最強のドイツと最弱のギリシアの格差を反映した価格差を、為替以外で実現することになる。

端的には、労働力の時間給、社会福祉が、ドイツの1/2〜1/3になるまで、ギリシアの賃金が下落する。
ギリシアの産業用地のコスト(不動産価格)もしかりだ。
長期に渡る猛烈なデフレが起こる。

逆でも良い
ドイツの賃金が、ギリシアの2倍〜3倍になるまで上昇し、ドイツの不動産価格も同様に割高になるのだ。 

賃金上昇はインフレにつながるので、インフレ嫌いなドイツは断固として拒否するだろう。
輸出競争力の喪失も困るだろう。

しかし、それでユーロが下落すれば、輸出競争力は維持できるだろうし、ユーロ加盟国内での競争力は完全には失われないだろう。 

 今週目を疑う記事がFTに出た。
(  https://www.facebook.com/photo.php?fbid=330992753640925&set=a.138215109585358.29202.100001906080968&type=1  )

革命的な出来事だと思うのだが、
it would accept higher inflation in Germany as part of an economic rebalancing in the eurozone
競争力のない国の為に、ドイツは大幅な賃上げを許容するというのだ。

BUBA

シューゲルにも同じ記事がでたので、全くのウソではないだろうが、今年一番驚いた出来事だ。

BUBA2


これで、多少はギリシアが被るデフレ圧力は緩和される可能性がある。
同時に、ドイツは不動産バブルになる可能性もある。
しかし、基本は20年コースの長期ストーリのなかで起こる事件だと判断できる。

このfacebookへの書き込みも参考にどうぞ

facebookコメントへ

二枚腰&三枚舌は欧州国際政治の真骨だが、株式市場はペナルティ・ボックス入り

先週は劇的だった。しかし、セレモニー・・・

現実のPIIGSのデフォルトを防止するための政策を実現するための事務作業は、今週から始まる。


それは、
(1)「そうは言っても」という変わらぬ現実への帳尻合わせ
(2)変わってしまった新しい現実への対応策
が、同時進行的に忙しく動き出すことを意味する。

週明けの月曜日には、メディアも多種多様な分析記事を掲載し始めた。

拒否権を行使したキャメロン首相も、さっそく「二枚腰&三枚舌」の欧州外交という水面下
の再交渉を示唆するコメントを発表した。


( 日本語オリジナル記事は、こちら )

キャメロン_20111212

(英文オリジナル記事は「Cameron Tells Parliament He Protected U.K.’s Interest by Vetoing EU Treaty」)

キャメロン_20111212_2

「二枚腰&三枚舌」の欧州外交、これは小国寄せ集めの欧州の歴史的必然だ。
US、ロシア、中国などの大国には決して理解できない「複雑な神経構造」だ。
大国なら、その他の小国に対して自国の政策を頭ごなしに強制できる。

しかし、似たり寄ったりの国が複数ひしめき合っている状態だと、連合を組まれてしまえば負けてしまう。
だから、常に複数のシナリオに対応して、潜在的な仲間を複数用意しておく必要がある。
しかも、プランAのシナリオでは敵国のA国が、プランBでは味方になる。
日本人なら気が狂ってしまうような複雑怪奇、地味朦朧な世界だ。
こんな国際政治の関係を1000年以上も経験してきた欧州(特に大陸欧州)にとっては、二枚腰&三枚舌の外交交渉は欧州国際政治の当然の姿、この能力なしには国の存在すら危ういのだ。

平和裏に地図上から抹殺されたポーランドの歴史を見れば明らかだ。
参考ウィキペディア:ポーランド分割

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
PIIGSのCDSスプレッドは、変わらぬ現実を前に悪化した。
ギリシアのチャートを見ていると、もう国が独立していない状態、他の欧州諸国に完全におんぶにだっこ状態で既にデフォルトしていることを示している。

PIIGS

複数の欧州銀行は瀕死の状態で分水嶺を歩いているようだ。
昨夜は、コメルツ銀行の国営化(市でに25%国営化だと思う)のうわさが流れていた。

( オリジナル記事はこちら )
コメルツ_20111213

そんな状況だから、US$LIBOR(下チャート左)もまったく下がる気配を見せない。

LIBOR_20111213

この状態が悪化を続けると、2008年の再来になる。
まさかとは思うが、用心しながら、US$LIBORを観察しておきたい。
LIBOR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
危機が収まったとしても、欧州は当分ペナルティ・ボックス入りだと思う。
前回欧州が混乱したのは、1990年代前半だ。
当時は東西ドイツの統合のユーフォリアが盛り上がったが、あっという間に「東西マルクの対等合併の弊害」など後遺症が多発した。
1990年8月のイラクのクウェート侵攻で混乱した世界経済が立ち直る前に発生したので、欧州は長期低迷に陥った。
参考ウィキペディア:ドイツ再統一の再統一後の問題点をご覧ください

今回もサブプライムの余震がおわまらない状態で、PIIGS危機が来てしまった。ダブルで悪材料が来ている訳で、他地域よりも冴えない状況が継続すると判断するのが自然だろう。

下図上段は、1990年代前半の株式市場の推移(円ベース)
下図下段は、1990年代前半のUSと欧州の鉱工業生産指数の推移

ドイツ統合
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以下参考:本日読んだ良いFinancila Timesの記事

財政同盟・・・うまくいくわけ無い、大陸欧州は一枚岩ではない
そりゃそうだ、過去1000年の欧州の歴史を考えれば、誰かが突出して支配しようとすれば、それが欧州全体で正しい(=全体最適)政策であっても「妨害することで国益(=部分最適)を守ろうとする」国が連合を組んで妨害を成功させてきた事実は多数ある。
( またドイツ流という事は、ヒトラーの第三帝国を連想する嫌悪感も一部にはあろうし、ラテンの国々はDNA的について行けないと、私は思う。 )

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_2
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ナショナリズムで高揚するUK保守党の欧州懐疑派だが、ナショナリズムの高揚は、スコットランドやウェールズのナショナリズムも高揚させる。
( そこまでは書いていないが、最悪の場合は、United Kingdomが分裂する? )

しかし、下の部分は読んでいて驚いた
Sir Jon Cunliffe, Mr Cameron’s Treasury adviser, is being blamed. He decreed that the Foreign Office be locked out of summit preparations. This precluded any serious diplomatic groundwork in other European capitals.

Sir Jon insisted that the eurozone could be “bounced” at the 11th hour into accepting a British protocol to protect the City. This was a negotiating tactic.

Mr Cameron had misread Angela Merkel’s intentions following a meeting in Berlin.

Mr Clegg as everyone else had been assured that the Treasury paper was an opening gambit, but in the event it was presented as an ultimatum.
There was no plan B. All in all, as negotiating fiascos go, this one was at the top of the A-list.

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_3
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ちょっと難解だが、欧州国際政治の分析としては良い記事:要保存だと思う。
特に、歴史(上段コピペ部分)を知って今日を行動している欧州各国首脳だと、投資家も知っておく必要がある。

Great Britain’s full engagement and participation were greatly missed by Europe.
The mother of all parliaments might have stopped the European Union straying at times in its democratic behaviour.
British pragmatism would also have been greatly welcomed.

だから今回も話し合いを継続し、影響力を維持することは、UKにとっても大陸欧州にとっても双方の利益になる

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_4

上の記事の続きだが、
小国が複数ひしめく欧州には、UKにはそれなりの役割がある。
City of Londonの金融力はPIIGS危機克服には必要だ。

なお、UKこそ欧州の友人を必要としているハズだ。

( オリジナル記事はこちら )
FT_20111213_5

Financial Timesは基本的に有料だが、登録すれば月間10個の有料記事を無料で読める。
10個を越して記事を読むには、週当たり$3.99(約320円)または$4.99(約400円)が必要だ。
素で申し込めば、$4.99だが、無料読者として登録してしばらくすれば、$3.99の値引きオファーが画面に出る。
私は、$3.99で読んでいる。
海外投資に関係する業界人で、かつ会社が払ってくれない場合、週400円の出費は、二流を卒業するための自分への投資経費と考えて良いと私は思う。私はFTとは無関係で一銭も受け取ってはいないが、1987年からFTを継続して読んでいる。このqualityがこの値段で読めるなら安いと判断している。

コメントはこちらから

歴史が作られた「2011年12月9日金曜日」の記録

当初は、大事になるとは予想されていなかった。

会議の前に書かれたコメントだが、FTは下記のような記事を掲載していた。
なんとかお互いが妥協&協力できるだろうと言うトーンだ。
ただし、フランスにとって、ユーロのあるEUを守ることは国家戦略上この上も無く重要だと指摘している。
For France, the survival of the euro is existential.
Never mind the initial, enormous economic shock that would follow its failure.
The break-up of monetary union would most likely see France slide into the continent's second division.
Europe is the engine room of French power.
Without it there would be nothing left of its global pretensions

ドイツか、英国か、選択を迫られたら、英国を捨てる選択肢しかフランスには無かった。

( オリジナル記事はこちら )
なおJBプレスの翻訳記事はこちらにあります
欧州会議_20111209_4


12月8日の英仏会談で、両者は決裂した。
UKキャメロン首相の要求した「英国は、City of Londonが不利益を被るいかなる規制強化にも反対する」的な態度に、フランス大統領サルコジは匙を投げてしまった。
ドーバー海峡は泳いでは渡れない海となってしまった。

(下記のオリジナル記事はこちら
2011_!2_08


そして、9日早朝の会議で英国が拒否権を発動したのだ。
欧州時間12月8日朝から9日朝のたった24時間で、欧州事情は歴史的な大変動を起こした。

下は、キャメロン首相の拒否権発動を伝える12月9日のFinancial Timesの表紙
キャメロンの表情がなんとも言えない、
まさに「武士は食わねど」的な苦渋の選択

欧州会議_20111209_2


ロイターは、独仏首脳とバローゾ欧州委員長のヤレヤレという表情を伝えている(下の写真)

UKの消えたEU、 今後のEUは文字通り「大陸欧州連合」の色彩を強めるだろう。
ユーロと欧州を救うための討議をしている時に、UKは「Cityの利益を確保が前提だ」とレベルの低い条件闘争に固執した。UKの一番の儲け頭の産業ゆえ、引くに引けなかった。Cityの優位性が棄損すれば、UKは三流国家に陥るリスクもあるから、仕方が無かった。

( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_1

ここ数日は、国際政治の冷徹さを感じた。
また、今後の欧州を支配するルールという観点で言えば、Balance of Powerの復活になるように感じるとともに、名実ともに欧州の第一人者の地位に就いたドイツが、これまでは敗戦国の負い目もあって政治的な発言や行動を遠慮していた方針を180度変えて強大になる事も予想される。後者の場合は、言葉は悪いが、ヒトラーの目指した第三帝国の夢(手法は全然別だが)が復活することになる。

なお、会議後の3首脳のコメントだが・・・
サルコジ:ユーロに加盟していない国に、大きな口を聴いてほしく無い
メルケル:キャメロンが我々と一緒だと一度も感じたことが無かった
キャメロン:どの国もUKに賛同してくれなかった

( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_3


会議から1日経過して、様々な分析予想記事が増えてきた。

下記は、さすが質の高いロイターの分析記事です。
とは言え・・・ここまで言うか!とも思いました。
ナポレオンが、夢に見て、
ド・ゴールが、実現しようと奮闘した、
サルコジは、実現してしまったのかもしれない。
「フランスがコックピットに座り、英国は横に押しのけられている"欧州国家"」
「a Europe of Nations with France in the cockpit and Britain on the sidelines」


( オリジナル記事はこちら )

欧州会議_20111209_5

週明けに掲載されたFTの冷静な分析記事は・・

今週の大事件の原因は、ちょっとしたボタンの掛け違いに見える。
しかし、その伏線は数年前(2009年の出来事)から敷かれていた。
メルケルは、それ以来UK保守党を許さない気持ちを持ってしまった。

大きな歴史の転換点とは、長期の水面下の蓄積が、軽率なトリガーによって爆発する、今週の事件は、そういう好例として記録されるだろう。

(下記のオリジナル記事はこちら

peanuts

今後10年〜20年
UKは自国に影響のある「EU内部の決定」に影響力を行使できない。
大陸欧州は「べき論」の暴走を防止するUKの自由な発想を失う
(下記、オリジナル記事はこちら
Cameron’s catastrophic decision on EU

今後は、会議の興奮が去り、現実のPIIGS救済ファイナンスという実務面に注目が移る。
2012年はPIIGS各国の国債を大量に借り換えする年なのだ。

コメントは、こちらから
記事検索
最新記事
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
*****

春山昇華

  • ライブドアブログ