食糧危機

新興国 VS 先進国 (3)農産物価格高騰問題 : 短期ではゼロサム・ゲームだから、誰かが割を食う

トウモロコシの在庫率が、過去37年間で最低レベルになったそうだ。

最近の農産物価格の高騰は2008年の再来と言われ、価格高騰の犯人探しが盛んになってきた。
2008年の食糧危機の再来か? 
2011年の原因は、2008年と異なるのか?

農産物価格高騰の要因は2008年と変わっていない。
以下の3点だ。

(1)世界の人口増加
(2)新興国の経済成長による食生活の変化
=>穀類から肉類へ

(3)バイオ燃料としての需要

農産物価格_20110222

価格の予想外の大幅変動は、予想外の買い手、売り手の出現によって引き起こされる。2008年に関しては、(1)と(2)は、以前から分かっていたので穀物相場に織り込まれていた。しかし燃料(エタノール)製造需要が急展開したことで、市場が驚いてしまい価格急騰の引き金となった。

バイオ燃料(エタノール)は、補助金が無ければ穀物を燃料とすることは経済的にペイしない。この意味で、バイオ燃料ファクターは政治的に演出された穀物高騰という面があり、2008年の農産物高騰に関して、先進国のバイオ燃料政策が貧しい国の食料危機を招いたという主張は否定できない。

バイオ燃料の需要急増は終わったが、ジリジリと需要が増えていることは変わらない。だから農産物価格は2006年以前のレベルには戻らないままだ。


新興国の肉食化の影響は長期トレンド

2010年後半から再開している農産物価格高騰の主要因は、(2)新興国の経済成長による食生活の変化の累積効果だ。

21世紀になってから続いている新興国の好調な経済は所得の大幅な上昇をもたらし、食文化を先進国化させている。
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1.たんぱく質の摂取に関して、穀類から肉類へと言う変化が発生する。
2.そして、肉生産用(特に牛)に使われる飼料用穀物が大量に追加的に必要になる
3.それは、人間が食べる量の数倍が必要だ。
===================================
この周知の事実が、農産物の価格上昇をサポートしている。

牛肉、豚肉、鶏肉、卵をおのおの1kgつくるのに、どれだけ多くの飼料が必要なのかを比較すれば、下記のようになる。( 必要な穀物はトウモロコシに換算して表示、農水省データ )

牛肉1kg = トウモロコシ11kg
豚肉1kg = トウモロコシ7kg
鶏肉1kg = トウモロコシ4kg
1kg   = トウモロコシ3kg

( 単純に考えると、親子どんぶりは、牛丼よりも、地球に優しい食べ物だということなる。 )

なお、肉や穀物をどれだけ食べているかと言う点を日本人とアメリカ人を農水省食糧需給表データで比べると・・・・
両国民とも、同じ量の穀物(111kg、 110kg)を口にしている。
しかし、アメリカ人(123kg)は日本人(43kg)の3倍の肉を食べている

世界がアメリカ人の食生活をすることは現状では不可能だ。
将来とも不可能だろう。
アメリカ人は空前絶後の食生活浪費をしているのだと思う。
( 同時に、アメリカ人は空前絶後のエネルギー浪費生活もしているのだと思う。 )

アメリカ人の一人当たり穀物消費量は、、、、
口から食べた穀物:103kg
肉類を飼育するための飼料として間接的に食べた穀 物:561kg
表面的な穀物摂取量の5倍以上の穀物を、間接摂取している。
アメリカ人は、とんでもない量の穀物を浪費していることになる。
また肉を食いすぎて、生活習慣病になって、製薬会社を潤しているようだ。

発展途上国が経済発展をして豊かになれば、肉の消費が増えて、穀類の消費は減る。しかし、穀類を直接食べる場合以上(5倍以上)に肉飼育に穀類を必要とするために、トータルの穀類消費は増加する。
そして、飼料に使われる穀類の約半分は、トウモロコシなのだ。

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経済、所得、食生活、変化のタイム・ラグ

2010年以降の穀物価格高騰には、タイム・ラグ効果もある。
新興国の経済発展は21世紀に入ってから継続しているが、労働者の賃金が顕著な上昇を見せ始めたのは、リーマンショックが起こした経済危機を乗り越えてからだ。
所得の上昇が食文化を発生させるので、
経済=> 所得=> 食文化
という順番で変化が引き起こされる。

しかも、食文化が一旦先進国化したら、元に戻らない
加工食品が増加するので、食生活に費やす時間と手間が減少する。
空いた時間を所得獲得に使える
経済効率性を感じたら、元の食生活に戻らないです。

経済所得食文化_20110222

先進国の国民が浪費的食生活を縮小させられる
農業は、基本的に年に一回しか生産の増加縮小という調整ができない
人工的に春夏秋冬、降雨量の調整、が不可能であるからだ。

食文化の先進国化のスピードと、作付面積増加+生産性アップとの競争だ。

前者が早いフェイズでは、穀物の取り合いになる。
これは仕方が無い。
獲得能力(金銭面+獲得戦略面)が低い国、人は、食生活の修正を余儀なくされる。

一旦定着した食生活を変更するのは困難だ。
ましてや、食生活を手間いらずの浪費から、手間暇かかる質素なものに変化させるのは、庶民の反発が起こり、政治問題化する。
しかし、淡々と進む新興国の食文化の先進国化は止まらない。

先進国の農業政策の歴史

食は、職と防衛とならぶ政権の重要課題だ。
「農民の没落は、食の確保の危機に直結する」と解釈され、多額の補助金(=税金)が所得保障として投入された。

先進国の工業化の進展に付随して発生した「生産性の高い都市労働者の賃金」と「低生産性で所得が増えない農村部」の格差是正と理解され、先進国で長期間にわたって採用され続けている農業政策(非農民から農民への所得移転)だ。

過去30年ほど農地はほとんど増えなかったが、トラクターなどの導入による機械化、優秀な肥料の投入、品種改良による病害虫に強く実りの多い品種の開発などにより、単位あたりの収穫高は激増した。
しかも、農業用地は一般的には悲観されているが結構余っている
経済的にペイしないので作付をしないだけだ。

農作物は余剰になったが、補助金や所得保障が、市場経済、価格メカニズムを機能停止させていた。
こうして余剰の農産物は輸出に向かうしかなかった。補助金をもらって輸出するので、輸出価格は安価でも、農民に痛みは無かった。


痛みは、ダンピング農産物が流れ込む国、補助金をもらっていない国の農民に降りかかった。
先進国、特に欧米は、高額な関税を課して、ダンピング農作物が入ってこないように、障壁を高くした。得られた関税は農民への補助金として使用された。
欧米間で溢れたダンピング農産物は、主として発展途上国へ流れこんだ。

政治的に弱者であった発展途上国はなすすべを持たず、発展途上国の農業は疲弊した

先進国の農業への補助金が、途上国の農業を破壊したのだ。豊かな土地を持つ途上国の農業生産が激減する状況は皮肉と言える。


農業を近代工業化すれば、生産量は大幅に拡大する
農業の担い手が、生産性の低い旧来の農民から、資本と設備を投入できる企業に変われば、ペイしないと思われている荒廃農地が生産農地に変身すると言われている。
その実現には生産性の低い旧来の農民の既得権を切り捨てて、農業に経済合理性を導入する政策が必要だ。しかし、過去100年にわたって先進国の農業政策は「触らぬ神にたたりなし」の態度を継続してきた。

農産物価格の上昇を契機として、途上国においては、豊かな土地を提供して海外に資本と技術を求めて農業を活性化させる政策も始まる可能性がある。近代農業では「安価な労働力」はさほど重要ではなくなってきている。

最近の国家財政の困窮が、これまでのような農業補助金を継続できにくい状況を発生させている。日本においても、年金・医療に次いで農業問題が「仕分け」の課題に登場することになるだろう。

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今日のエントリーは、2008年に書いたエントリーのサマリー的なものです
参考:目次 : 食糧危機
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食料、飼料、燃料の戦い(6)

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農産物に対する補助金は先進国の特徴だ。

1970年代の食糧危機の大増産後に農産物、原油、鉱物資源、などのほぼ全ての価格が20年近くも低迷した。下は、1956年以降のCRB商品価格指数
この商品価格の低迷の時代、非農業部門の経済は我が世を謳歌した。物が安く製造できたため、製造業を中心に利益が増大し、給与所得が長期間増大し、消費は加速した。農民と非農民の所得格差は拡大の一途をたどった。

は、職と防衛とならぶ政権の重要課題だ。
農民の没落は、食の確保の危機と政治的に解釈され、多額の補助金(=税金)が所得保障として投入された。これは、非農民から農民への所得移転だった。

過去30年ほど農地はほとんど増えなかったが、トラクターなどの導入による機械化、優秀な肥料の投入、品種改良による病害虫に強く実りの多い品種の開発などにより、単位あたりの収穫高は激増した。

農作物は余剰になったが、補助金や所得保障が、市場経済、価格メカニズムを機能停止させていた。こうして余剰の農産物は輸出に向かうしかなかった。補助金をもらって輸出するので、輸出価格は安価でも、農民に痛みは無かった。痛みは、ダンピング農産物が流れ込む国、補助金をもらっていない国の農民に降りかかった
先進国、特に欧米は、高額な関税を課して、ダンピング農作物が入ってこないように、障壁を高くした。得られた関税は農民への補助金として使用された。

欧米間で溢れたダンピング農産物は、主として発展途上国へ流れこんだ
政治的に弱者であった発展途上国はなすすべを持たず、発展途上国の農業は疲弊した。
先進国の農業への補助金が、途上国の農業を破壊したのだ。

個別の商品価格の推移をチェックする
最初は、トウモロコシ(1972年〜)

次が、小麦(1972年〜)

そして、大豆ミール(1976年〜)

最後が、牛(1986年〜)

食料、飼料、燃料の戦い(5)

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バイオ燃料(アメリカのバイオ・エタノール、欧州のバイオ・ディーゼル)の問題点は、補助金の存在だ。

地球温暖化対策=二酸化炭素を減らす=バイオ燃料を使おう!
このトレンドが急速に出現し、政治的なトレンドとして確定してしまった。
通常の製造コストでは、アメリカのトウモロコシから製造するバイオ・エタノールや、欧州の菜種油から製造するバイオ・ディーゼルを、車の燃料にするのはコストが合わない

しかし、地球温暖化防止、二酸化炭素防止の御旗の元、バイオ・エタノールやバイオ・ディーゼルを推進することを決めてしまった
消費者に、トウモロコシ原料のバイオ・エタノールや、菜種油原料のバイオ・ディーゼルを買ってもらうためには、通常のガソリンやディーゼルに近い価格になるように補助金を出さざるを得ない。アメリカ、カナダ、欧州で費やされているバイオ燃料製造販売に対する補助金は、110億ドル(1兆2000億円)とも言われている。

補助金は市場経済による価格メカニズム、需要供給の調整、効率化努力、調査研究努力などを妨害する。
これらすべては、長期的な健全な経済社会生活の発展に必須のものなのにもかかわらず。。。

補助金が、「高くても良いから、バイオ燃料の原材料であるトウモロコシ、菜種油をドンドン買う行為を助長」させている。
この1年ほどで急騰した穀類の価格に関して、バイオ燃料政策(=補助金政策)の帰趨は重要だ。
そして、当面政策変更がないのであれば、バイオ燃料の原料としての穀類(トウモロコシ、菜種、サトウキビ)は高値が高止まりすることになる。
また、バイオ燃料に無関係の米、小麦、大豆は、肉生産のための飼料用需給増加と新興国の穀類消費減少という関係を観察すれば良いことになる。

こう考えてくると、
トウモロコシは、バイオ燃料と肉生産用飼料と食料という、三つの需要がある。
菜種はバイオ・ディーゼルと食用という二つの需要だ。
大豆は、飼料と食用の二つの需要だ。
しかし、米や小麦は、ほぼ食用の需要だけだ。
という構造が見えてくる。

下図は、エタノールの生産の状況
サトウキビを使うブラジル、 トウモロコシを使うアメリカ

主食であるトウモロコシのほうが罪つくりだろう


こちらは、バイオ・ディーゼルの生産状況
ダントツでドイツ、、菜種からつくる


困った時の「環境」、、、、水(4) 一応、最終回

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=== 沖大幹氏談 ===
飲める水は、地球上の水のたった1%に過ぎない。
この言い方は、実態を正しくあらわしていない
たった1%で十分に生きていけるのだ

水の足らない国で無理をして、適さない農作物を栽培するのは、地球的に良くない。
水の豊富な地域で水を大量消費する作物を栽培し、乾燥地域では、そういう農作物を栽培すべきだ。
オーストラリアは、将来的な水不足を考慮して米栽培を縮小した(聞き間違いの可能性も・・・)

下図(国連資料からUBS作成)を見て思いました。
牛肉を食う人は、水も浪費している・・・
米も水を大量に消費している




食料、飼料、燃料の戦い(4)

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過去3回の状況を素直に理解すれば、
(1)現状のトレンド(新興国の経済発展による肉食増加)が継続する。
(2)肉生産に使用される飼料用穀類需要(口から食べる5倍規模)が増加を続ける。
(3)飼料用穀類需要(口から食べる5倍規模)に見合う穀類生産量の増加があれば問題は起こらないが、増加ペースが追いつかないと、飼料用と食料用とで穀類の奪い合いが生じ、飼料に使われる穀類の価格上昇が継続する。
(4)この状態に原油価格上昇に端を発したバイオ燃料製造に使う穀類(トウモロコシ、テンサイ、菜種)に対する需要が急増したことが、穀類の価格上昇を加速させた。


現実の農業関連の価格変化をチェックする。
1990年末を100とすると、過去18年間ほどで、、、、
牛(白)・・・・・・・・・・130
トウモロコシ(赤)・・300
小麦(緑)・・・・・・・・320
大豆ミール(黄)・・・260

最終製品の牛の値段の値上がりが少ない。
牛肉の値段が短期間で3倍になったら、さすがに肉の飽食のアメリカ人でも牛肉をホイホイ買えなくなるだろう。しかし、に関しては、18年間で1.3倍にしかなっていないのだ。この程度では、牛肉に対する需要は影響を受けないだろう。


08年になって以降の動きを見ると、、、
牛(白)・・・・・・・・・・+10%程度の上昇
トウモロコシ(赤)・・急騰して、7月になって調整、年初来+30%
小麦(緑)・・・・・・・・急騰し、急落、年初来 ▼15%
大豆ミール(黄)・・・急騰して、7月になって調整、年初来+15%

やはり、バイオ燃料に関係の無い小麦は、ツレ高が剥げているのだろう。

穀物高騰は、燃料との奪い合いが原因らしい
水(1) 水(2) 水(3) 水(4)

食料、飼料、燃料の戦い(3)

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農産物価格の高騰の原因に関しての言い分だが、
欧州の言い分:新興国:バイオ燃料用の需要増加 + 投機資金の流入
アメリカの言い分:新興国の食生活の変化 + 世界の人口増加

と、主張が分かれている。

(1)世界の人口増加に関しては、予測がされており、それに対応する農産物の生産は順調に増加してきている。
農地は増えていないが、単位あたりの収穫量が順調に伸びているので、不足は発生していない。
むしろ、農地を増やしてしまうと、数値上は農産物が余ってしまうことになる。

(2)新興国の食生活の変化も「人間、裕福になれば肉を食う」という性癖は世界共通であるので、ヤメロとはいえないし、この食生活の変化は徐々に起こっているので、価格パニックがおこるほどにサプライズではないのだ。
しかし、この数年の新興国(特に産油国+資源国)の所得の増加ペースは著しいので、穀物から肉類への食生活の変化は相当な程度すすんだのかもしれない。
そして、5倍以上の穀類を浪費する肉類消費の増加がもたらして、「非食用穀物消費の増加」は、相当なものだった可能性がある。

とは言え、(1)や(2)は、予想されていることなので、徐々に&事前に、価格に反映しているファクターと言える。
徐々に価格に反映とは、「新興国の経済発展=食生活の肉食への変化を反映して、そもそも穀類の価格は徐々に上昇する運命にあった。」と言えるということだ。

そして、飼料用穀類の約半分がトウモロコシなので、トウモロコシの非食用需要の増加による価格上昇が最も大きくなることもある程度は想定の範囲内だったハズだ。

食料、飼料、燃料の戦い(2)

[関連したBlog]の続きです。

農産物、畜産物に関して、自然に生えている植物そのもの、または植物の実を採取するとか、野生の動物や魚を捕獲するのなら、コスト計算は単純です。

しかし、肥料やトラクターを使ったり、牧場で大量の栄養価の高い飼料を使用したり、養魚場のエサなど、、、こうなるとコストは複雑です。
動物を育てるためのエサに、植物や動物が使われているからです。

つまり、私たちが、牛肉、豚肉、鶏肉、卵を食べ、穀物を食べるという状態は、お金の支払いは、直接口にする牛肉、豚肉、鶏肉、卵、穀物の対価を払っているだけです。

しかし、資源の消費という面では、直接口にする牛肉、豚肉、鶏肉、卵、穀物にプラスして、その牛肉、豚肉、鶏肉、卵を飼育するために使われる飼料用の穀物も消費していることになるのです。

アメリカを例にすれば、前回エントリーの3番目の表で、
2003年のアメリカは、年間一人当たり、
穀物:111kg
肉類:123kg
を食べているとなっている。

農林水産政策研究所の上林篤幸氏の説明によれば、
アメリカの2005年度の一人当たり消費量は、
口から食べた穀物:103kg
肉類を飼育するための飼料として間接的に食べた穀物:561kg
なのだそうだ。
表面的な穀物摂取量の5倍以上の穀物を、間接摂取しているのだ。
いくら肉1kgと穀物1kgのカロリーが、肉の方が高いとは言っても、5倍以上の差があるわけでは無かろう。

アメリカ人は、とんでもない量の穀物を浪費していることになる。
肉を食いすぎて、生活習慣病になって、製薬会社に多額の薬代を支払っている。
世界の消費を支えるアメリカ人とは、こういう浪費人たちなのだ。
世界を支えるために公共事業として身を犠牲にして浪費していると言うこともできる。

ただ、その代金をドル札で支払っているのだが。。。

食料、飼料、燃料の戦い(1)

農産物価格の高騰の犯人探しが盛んだ。
自分達の主張(投機説、バイオ燃料説、新興国説)を言い張るために「お抱え学者、お抱えエコノミスト」など様々な解説が飛び交っている。

農林水産政策研究所 上林篤幸氏のプレゼンテーションに参加する機会があった。農林水産省の公表資料など割とフェアと思われる資料を使った解説だったので、メモを作成しておこうと思う。

====================
ポイントは、農産物が、食料、飼料、燃料の間で奪い合いになっていることが原因だった。

最初の表は、一ヘクタールから収穫される作物でエタノールがどれだけ製造できるかという比較表だ。
エタノール製造効率で言えば、「 テンサイ > サトウキビ > トウモロコシ 」という順番になる。

米や小麦は、燃料用の需要という対象にはならないのだ。
したがって、バイオ燃料ネタでツレ高しているとしたら、それはおかしいのだ。


2番目の表は、牛肉、豚肉、鶏肉、卵をおのおの1kgつくるのに、どれだけ多くの飼料が必要なのかを比較したものだ。

必要な穀物はをトウモロコシに換算して表示してある。(換算は価格だと思う。筆者推定)
牛肉1kg:トウモロコシが、11kg必要
豚肉1kg:トウモロコシが、7kg必要
鶏肉1kg:トウモロコシが、4kg必要
1kg:トウモロコシが、3kg必要

単純に考えると、親子どんぶりは、地球に優しい食べ物だということなる。


3番目の表は、現実の各国の国民が、肉や穀物をどれだけ食べているかという比較表だ。
日本人とアメリカ人を比べると、
両国民とも、同じ量の穀物を口にしている。(111kg、110kg)
アメリカ人(123kg)は日本人(43kg)の3倍の肉を食べている

ただし、魚の消費が加味されていないようで、完全にフェアな比較ではないようだ。
それにしても、アメリカ人は肉を食いすぎだと思う。しかも、牛肉をたくさん食べているのだ。

発展途上国が経済発展をして豊かになれば、肉の消費が増えて、穀類の消費は減る。しかし、穀類を直接食べる場合以上(5倍以上)に肉飼育に穀類を必要とするために、トータルの穀類消費は増加するのだ
そして、飼料に使われる穀類の約半分は、トウモロコシなのだ。

=============================
ちなみに、野生の牛は肉を食わないと、私は理解している。
=============================

穀物高騰は、燃料との奪い合いが原因らしい
水(1) 水(2) 水(3) 水(4)

穀物高騰は、燃料との奪い合いが原因らしい

価格の予想外の大幅な変動は、予想外の買い手、売り手の出現によって引き起こされる、、、という当たり前のことを、実業に携わる人(日清オイリオ)は言っていた。
いただいた資料を抜粋コピペして、メモを残しておこうと思う。

(1)世界の人口増加
(2)新興国の経済成長による食生活の変化
=>穀類から肉類へ 
=>肉生産用(特に牛)に使われる飼料用穀物は人間が食べる量の数倍が必要


(1)と(2)は、以前から分かっていたので相場に織り込まれていた。
しかし、
(3)バイオ燃料としての需要の急増
これは、まったく相場に織り込まれていなかった。
現状でも、ほとんどの場合、補助金が無ければ穀物を燃料とすることは経済的にペイしない

政治的に演出された穀物高騰だという面を持っていると感じる。



油脂は、BRICs要因と同等に、バイオ・ディーゼル生産の需要が価格を押し上げている


油粕は、BRICs要因が大きい

アメリカのとうもろこし
欧州の菜種油
これらは明白に燃料用の需要が価格高騰の原因だ。
先進国のバイオ燃料政策が、世界の貧しい国の食料危機を招いたという主張は否定できないように思う。


困った時の「環境」、、、、水(3)

[関連したBlog]の続きです

水関連って、儲かるのか?
相場的には、水処理プラント&水処理機器の関連銘柄は好調だ。
水処理膜関連は競争激化でダメだ。
ただ、プラント銘柄(プラント、商社)は水で上がっているわけではなく、資源エネルギー銘柄として上がっていると思う。

水のビジネスは2種類ある。
(1)老朽化した先進国の水関係のインフラの更新需要
(2)新興国などの経済発展に伴う新規のインフラ需要

いずれにしても、水は完全に自由放任の資本の論理で価格が決定されているわけでは無い食と職と安全保障は、国家の責務だから、公的なコントロール・介入(=政治)が存在している。

水がビジネスになる(=水関連が儲かる)ためには、「水の値段が上昇する」ことが必要だと思う。水の価格が上昇する=販売商品価格の上昇=企業や投資ファンドのリターンの上昇、、、という構図なのだ。

資源や原油の価格がとんでもなく上昇したからこそ、関連商社やプラント屋が潤ったのだ。

下は、現在の日本の水価格だ。
ほんの少し水を加工してペットボトルに入れれば、水道水の1000倍の価格でも、消費者は高価格を受け入れている
水道水の価格が2倍になるとすれば、水関連に投資する企業やファンドの経済的リターンが2倍以上になる事を意味する。(2倍でも、ペット・ボトルの1/500の価格だ)

価格が上昇するものには、資金が群がる。研究開発の競争も激しくなる。そして、より良い、より効率的な状況が出現する。

補助金で生き延びている現状よりは、事態は改善するだろう。
補助金とは、水が事実上値上がりしている実態を隠しているだけなのだ。
補助金を撤廃して、経済的にバランスする価格を見せたほうが、経営効率は改善することは常識だと思う。

======================
現在の水関連銘柄に関するレポートには、「狼少年話法」的な部分があると思う。
今、***しなければ大変な事になる。
人間には、水は必要なんだ!
すぐには利益にならないけど、必要なものだから、きっと報われるハズだ。

これって、かつての「困った時のバイオ」を推薦する話法と同じ匂いを感じる。
この開発中の薬は、***のような難病の人には必要なんだ。
世界で患者は***人もいる。
開発までいくら金が必要か不明だが、頑張れば報われるハズだ。

国や地方公共団体には、金が無い

第三者の資金を使ってインフラの更新をするためには、企業やファンドの資金をひきつける必要が生じていると思う。
水に関して「今、***しないと大変なことになる!」という恐怖作戦による水価格値上げの納得強制作戦は想定しておいた方が良さそうだ。

水道インフラに近代化は、企業、役所(権益強化)、ファンドに利益をもたらすだろう。
三者への利益は、支払われる水道代の値上がりを負担する庶民の財布と補助金と言う名の税金投入増加によってまかなわれることになる。

また、沖大幹氏が指摘していたが、
(1)水を含め環境は政治だ、、、真実よりも、表や図がどう受け止められるかが重視される。
「今は、***という方針で政治的に走っている。だから、長期的に***であることや、本当は++++だということが知られることは困るのだ」といって、真実を伝える重要な図表が削除された。
(2)マスメディアも、「真実よりも、センセーショナルな図や文章が欲しい。大変だ!という部分が欲しい」というトーンなのだ。

私が思うに、、、極端に言えば、、、、
(1)沖大幹氏は、真実を伝え、こうしたほうが良いという策を現実的に決定して欲しいというのが目的だ。
(2)政治家は、選挙に勝ち、政権が継続することが目的だ。
(3)メディアは、雑誌の販売増加がの目的だ。
このように、三者の目的が異なるのだから、それぞれが目的に沿った良いところ取りするのは、仕方が無いのだろう。。。。


< 続く、水(4)へ >

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