おすすめ

【怖い話】 訳あり物件


つい先日の話。
 

うちは競売にかけられた不動産の調査を請け負ってる会社なんだけど、 こないだ前任者が急に会社に来なくなったとかなんだかで、 やりかけの物件が俺に廻ってきた。
まぁ正直うちの会社は、とある筋の人から頼まれた”訳あり物件”を取り扱うような ダーティなとこなもんで、こういうことはしょっちゅうだからたいして気にもとめず、 前任者が途中まで作った調査資料(きたねーメモ書き)持って、 遠路はるばるクソ田舎までやって来たわけですよ。 その物件はかなり古い建物らしく、壁とか床とかボロボロであちこちにヒビが入ってたり、 湿っぽい匂いがしたりで、相当テンション下がってたんだけど、 まぁとにかく仕事だからってことで気合入れ直してせっせと調査を始めたわけですわ。 1時間くらい経った頃かな、ふと窓から外を見ると一人の子供が向こうを向いて しゃがみこんでなにやら遊んでるのに気づいた。 よそ様の庭で何勝手に遊んでんの?って注意しようかと思ったんだけど、 ぶっちゃけ気味が悪かったんだよね、その子。 なんか覇気がないというか微動だにしないというか、一見すると人形っぽいんだけど しゃがんでる人形なんてありえないし、でもとにかく人って感じがしなかった。 クソ田舎だけあって辺りはありえない位に静まり返ってるし、 正直少し怖くなったってのもある。 建物の老朽化具合からみて3年はほったらかしになってる感じだったので、 そりゃ子供の遊び場にもなるわなと思い直し、「今日は遊んでも良し!」と勝手に判断してあげた。 ひとんちだけど。 んでしばらくは何事もなく仕事を続けてたんだけど、前任者のメモの隅の方に、  
・台所がおかしい
って書いてあった。調査資料はその書き込みのほとんどが数字(部屋の寸法等)なので そういう文章が書いてあることにかなり違和感を感じた。 で気になって台所の方へ行ってみると、床が湿ってる以外は特におかしそうなところはなかった。 でも向こうの部屋の奥にある姿見っていうの?全身映る大きな鏡に子供の体が少しだけ映ってた。
暗くて良くわかんなかったけど間違いない、さっきの子供だ。 そうか、入ってきちゃったんだな。とぼんやり考えてたけど、ほんと気味悪いんだよねそいつ。 物音1つたてないし、辺りは静かすぎるし、おまけに古い家の独特の匂いとかに やられちゃってなんか気持ち悪くなってきた。 座敷童子とか思い出したりしちゃって。 もうその子を見に行く勇気とかもなくて、とりあえず隣にある風呂場の調査をしよう というかそこへ逃げ込んだというか、まぁ逃げたんだけど。 風呂場は風呂場でまたひどかった。多分カビのせいだろうけどきな臭い匂いと むせ返るような息苦しさがあった。 こりゃ長居はできんなと思ってメモを見ると、風呂場は一通り計測されてて安心した。 ただその下に、  
・風呂場やばい
って書いてあった。普段なら「なにそれ(笑)」ってな感じだったんだろうけど、 その時の俺は明らかに動揺していた。
メモの筆跡が書き始めの頃と比べてどんどんひどくなってきてたから。 震えるように波打っちゃってて、もうすでにほとんど読めない。
えーっと前任者はなんで会社に来なくなったんだっけ?病欠だったっけ? 必死に思い出そうとしてふと周りを見ると、閉めた記憶もないのに風呂場の扉が 閉まってるし、扉のすりガラスのところに人影が立ってるのが見えた。 さっきの子供だろうか?
色々考えてたら、そのうちすりガラスの人影がものすごい勢いで動き始めた。 なんていうか踊り狂ってる感じ?頭を上下左右に振ったり手足をバタバタさせたり くねくね動いたり。でも床を踏みしめる音は一切なし。めちゃ静か。 人影だけがすごい勢いでうごめいてる。 もう足がすくんでうまく歩けないんだよね。手がぶるぶる震えるの。 だって尋常じゃないんだから、その動きが。人間の動きじゃない。 とは言えこのままここでじっとしてる訳にもいかない、かといって扉を開ける 勇気もなかったので、そこにあった小さな窓から逃げようとじっと窓を見てた。 レバーを引くと手前に傾く感じで開く窓だったので、開放部分が狭く、 はたして大人の体が通るかどうか。
しばらく悩んでたんだけど、ひょっとしてと思ってメモを見てみた。 なんか対策が書いてあるかもと期待してたんだけど、やっぱりほとんど読めないし、 かろうじて読めた1行が、 ・顔がない だった。誰の? そのときその窓にうっすらと子供の姿が映った。気がした。多分真後ろに立ってる。 いつの間に入ったんだよ。 相変わらずなんの音も立てないんだな、この子は。 もう逃げられない。意を決して俺は後ろを振り返る。 そこには…、なぜか誰もいなかった。 会社に帰った後に気づいたんだけど、そのメモの日付が3年前だった。 この物件を俺に振ってきた上司にそのことを言うと、
「あれおかしいな、もう終わったやつだよこれ」
って言ってそのまま向こうへ行こうとしたんで、すぐに腕をつかんで詳細を聞いた。 なんでも顔がぐしゃぐしゃに潰れた子供の霊が出るというヘビーな物件で、 当時の担当者がそのことを提出資料に書いたもんだからクライアントが 「そんな資料はいらん」と言ってつき返してきたといういわくつきの物件だそうだ。 清書された書類を見ると確かに「顔がない」とか「風呂場やばい」とか書いてあったw まぁこういった幽霊物件は時々あるらしく、出ることがわかった場合は 備考欄にさりげなくそのことを書くのが通例になってるそうだ。 他の幽霊物件の書類も見せてもらったが、なるほどきちんと明記してあった。 なんで今頃こんなものが出てきたんでしょうかね?と上司に聞いたら、


 「んー、まだ取り憑かれてるんじゃないかな。当時の担当者って俺だし」

【怖い話】 お姉さん


オレの叔母さんから聞いた話。 叔母さんが一人暮らしをしている息子から変な手紙をもらった。

以下うろ覚えだけど内容。 「おいで、おいで  おもちゃもあるよ  お菓子もあるよ」 子供のころ家の階段でお姉さんがよく僕を呼んだ。 2階に上がり、お姉さんと絵を描いたりした。 お姉さんが描く絵は首吊りとかさらし首とか不気味なものが多かった。 家族で食事しているときお姉さんは食べずにずっと立って笑っていた。 ある日外で遊んでいると家の床下の風を通す四角い穴からお姉さんが笑いながら顔を出してた。 あんなところでなにをやっていたんだろう。 お姉さんに会おうと2階に上がり、ドアを開けかけたら お姉さんは着替え中だった。お姉さんの体は所々ただれていてできものだらけで なにかの病気を患っているようだった。 お母さん、あの女性は誰だったのですか? 叔母も叔父も息子は大学生なのにもうボケたのかと笑った。 息子に電話をし、
「あんた、うちには私しか女はいないじゃないの」というと息子は
「え?ザザッ…なに?ザザッ…ごめん聞こえなかった。  で、思い出した?今ちょうど家にお姉さん来てるんだけど」ブツッ
電話が途切れた。 血の気が引いた叔母は急いで息子の家に行ったが 息子は近所の公園で焼身自殺をしていた。 叔母から

「あんたはこの家で誰かに誘われても絶対相手しちゃだめだからね」
と怖い顔で言われました。それから出来るだけ叔母の家には行かないようにしてます。
 

【怖い話】恨みます


この話は実話です。

私自身も体験したのですが、当時はなにも気付きませんでした。 霊などはでません。 長い割に怖くないかもしれません。 それはまだ私が幼いころです。 記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年だったと思います。 当時妹はひどい小児喘息で、診察と常備薬を処方してもらうため、 車で1時間ほどかかる遠方の病院に通っていました。 私は病気でもないのに、よくそれについていきました。 なぜなら幼いころはたとえ病院だろうと遠くに行くだけで楽しかったですし、 それに道で外食をすることがあったのです。 一方手間がかかる私をつれていくのを母は嫌がり、家にいなさいと言っていました。 私はそれでも無理を言って病院についていきました。 病院では、私はいつも妹が診察をうける間病院内をうろうろと歩いておりました。 いつものように広い病院を探検する気持ちで歩いていると、 いきなり院内服を着た知らないお婆さんから話しかけられました。
「ぼく、飴いる?」
そのお婆さんは真っ白な白髪にまばらに残る黒髪が印象的で体格は小柄、それに酷く痩せていました。 顔色も悪くて不健康そうに見えました。 思い詰めたように暗くて疲れきったような表情に見えます。 なにより私を見る目が怖かったのを覚えています。 お婆さんは、自分はここに入院しているのだといいました。 前からよく病院内を歩く私をみて話しかけたかったのだそうです。 寂しいから友達になって欲しいといいました。 私はお婆さんを怖いと思ったので嫌だと思い、黙って首を横にふり、母の元に逃げました。 お婆さんがそろそろと私のあとをついてくるのがわかりました。 私は妹を抱く母を見つけると、泣きながら駆け寄り、お婆さんを指差しながら変なお婆さんがついてくるといいました。 お婆さんは、いつの間にか僕のハンカチを持っていて、落としましたよと言いました。 母は、すいませんと謝りハンカチを受け取ると、私には失礼なことをいうなと叱りつけました。 お婆さんは、いいんですよ、と母に近寄りそこで驚いたように口を開けると涙を流しはじめました。 お婆さんは母をみていいました。
「娘にそっくり」
お婆さんには10年以上昔、母にそっくりな娘がいたそうで、その娘さんを病気で亡くされてたそうなのです。 母は、そんなお婆さんを可哀想な顔で見ておりました。 それからお婆さんは、母と妹が病院に行く曜日には入り口で待つようになりました。 そうして妹と僕にお菓子や玩具をくれるのです。 死んだ娘といっしょにいるようだと喜ぶお婆さんを母は断れないようでした。 いつの時間にいっても入口にいるお婆さんが気味悪くなり、私は病院へはついていかないようになりました。 そうして何ヵ月か経ったころでしょうか、母のほうから私に病院についてこない? と誘うようになりました。 私は不思議に思いながらも、帰りに美味しいものをごちそうしてくれるかもと思い了承しました。 病院につき、妹の診察が済んで母と受付を待っているとき、 今日はお婆さんはいないんだ、もう退院したのかもしれない思っていると背後から声がしました。
「見つけた」
振り返ると例のお婆さんが笑って立っていました。 母の顔はひきつっています。 お婆さんは院内服ではなく、私服をきていました。
「○○(母)ちゃん、最近月曜日に見ないから寂しかったのよ。  通院する曜日変えるなら教えてよ」
お婆さんは、私を見て笑いました。
「久しぶりね○○くん、今日はおばさんがご飯につれてあげるね」 断る母を強引に説き伏せて、お婆さんは私達を近くのファミレスにつれていきました。 食事の間お婆さんはずっと笑っていました。お婆さんと母の会話が変な会話をしていたのを覚えています。 「ふたつあるんだからいいじゃないの」
「いい加減にしてください」
「いいじゃないの」
「警察を呼びますよ」
「じゃあこれを読んで」
お婆さんは母に封筒を渡しました。 その日の帰りの車は、いつもとは違う道を走ったのを覚えています。 それと、車の中で母が変な質問をしてきたことも。
「Y(妹)ちゃんを可愛いと思う?」
「……うん」
「あなたはお兄ちゃんなんだから、なにかあったらYちゃんを守らないといけないよ」
「うん」
「来週からYちゃんと一緒に病院にきてそばから離れたらいけないよ」
「うん」 当時は何故母がそんなことを言うのかわかりませんでした。 それから毎回病院でお婆さんと私達は会いましたが、ある日を境に急に見なくなりました。 それから十年以上経ち、母にそういえばあのお婆さんどうしてるんだろうね? と尋ね、返ってきた答えに私は震えました。
「あの人は多分亡くなったよ。それに、お婆さんじゃなくて私と同じ年なの」 私は驚きました、当時の母は30才代ですが、お婆さんはどう見ても60才はいってるように見えたのです。 母から聞いた話はこうです。
退院してからもいつも病院で会うおばさんを不思議に思い母は、 知り合いの看護師にお婆さんはそんなに悪い病気なのかと尋ねたそうです。 おばさんは病気ではなく、自殺未遂で入院していたというのです。 娘が亡くなったショックで自殺未遂をしたお婆さんの外見はみるみる老けていき、 亡くなった娘というのはまだ赤ちゃんだったそうです。 それなら母と似ているはずがありません。 そういえばお婆さんが母に向かって娘にそっくりだと言った時、妹が母に抱かれていたことを思いだしました。 お婆さんは妹に向けて言っていたのです。 最初は優しかったお婆さんは次第に母に妹を譲るよう懇願してきたらしいのです。 もちろん母は断りました。 妹をさらわれるとお婆さんが怖くなった母は、私を見張り役として病院に付き添わせてたそうです。 そして封筒の中の手紙を見せてくれました。 短い文でした。 『近く娘のところに行きます  あなたのせいです  ずっと恨みます』

おわり

【怖い話】ヒサルキ


最近、保育園で保母さんをやってる友達に聞いた話。
その子が行ってる保育園ってお寺がやってるとこで、すぐ近くにお墓があったりする。 お墓に子供が入っていたずらしないように、周りに柵がしてあるんだけど、 柵の杭の尖った先っちょに、虫やトカゲなんかが串刺しになってることが良くあるらしい。 園児のイタズラかもしれないけど、 お寺も兼ねてる保育園だから、けっこう人の出入りは多くて、広場で小学生なんかがしょっちゅう遊んでるから、 誰がやってるのかわからない。 まぁ、鳥のせいかもしれないし~って感じで、誰もたいして気にはしてなかった。 ところがある日、その柵にモグラが刺さっていた。 さすがに哺乳類はグロいんで、すぐに園長先生(=寺のお坊さん)が片づけてくれた。 で、しばらくすると、今度はネコが突き刺さってた。 これはさすがに酷かったんで、保母さんやお坊さんが集まって、誰の仕業か?どうしたらいいのか?って話をした。 でも、犯人はわからないし、再発防止の名案も出なかった。 結局、どーするんだろうね~ってムードでダラダラと時が過ぎたある日、ウサギが突き刺さってた。 保育園で飼っていたウサギだった。これは、友達が見つけたらしい。 早朝に、お坊さんがお墓の掃除に行った時には無かったのに。 その日は、たまたま友達より早く来ていた子供がいたんで、その子に何か見た?って聞いてみた。 その子は一言、


「『ヒサルキ』だよ」
って言った。


「『ヒサルキ』ってなあに?」と聞いても、上手く説明できないみたいだった。 あとで、ほかの子に『ヒサルキ』の事を聞いてみた。みんな知っていた。 でも、誰も『ヒサルキ』がどんなモノなのか説明できなかった。
子供達は、ウサギが死んだのを、あまりかわいそうだと思っていないようだった。 何となく、しょうがない、みたいな感じで醒めていた。 変だと思ったのは、『ヒサルキ』のことは、園児の親も知らなかったこと。 子供がそんな言葉を使っているところも、誰一人覚えていなかった。 テレビや本のキャラでもなかった。 すると保母さんの一人が、昔そんな名前の絵を見たことがある、と言い出した。 子供が描いた絵は返してあげるので、保育園には残っていない。 ただ、絵を描いた子がその保母さんの近所の子だったので、名前を覚えていた。 「その子に聞いたら・・・」と友達が言うと、その保母さんは「引っ越した」と答えた。
そして、「その引っ越しが変だったんで、覚えてる」とも言った。 なんでも、挨拶もなく急に引っ越していったらしい。 さらに不思議だったのは、引っ越す時にチラッと見たらしいんだけど、 その絵を描いた子が、両目に眼帯をして車の中に座っていたんだって。 それで、どこへ行ったのかはわからずじまい。 それからニワトリが串刺しになったのが最後で、『ヒサルキ』騒動は終了。 結局、犯人も『ヒサルキ』の正体もわからずじまい。 前みたいに、虫なんかは突き刺さってるみたいだけど。

【怖い話】特急列車


…今でも忘れられない  とても怖くて不思議な体験。

1年と半年程前になるでしょうか、私がまだOLをしていた時の話です。
毎日、毎日、会社でのデスクワークに疲れて帰りの電車では終着駅まで寝るのが日課のようなものになっていました。
混んでいて座れない日などは立ったまま寝てたりもして(笑)
その日は残業で会社に遅くまで残り、帰りの電車も終電近くで人は数人しかいませんでした。

 私は座席の1番端に座り横の壁(手すり?)によりかかっていつものように浅い眠りにつきました。
 ……ふと、目を覚ますとまだ電車は走っています。
いつもの習慣で終着駅前になると目を覚ますようになっている私は、 もうすぐ着くかな~と思いながら前の窓に写っている自分の姿をぼーっと見つめていました…。

 …ふと、目が覚めました。どうやらまた眠ってしまっていたようです。
しかし電車は未だ走っておりおかしいなー?と思いつつ携帯を取り出して時間を確認しました。

「……!!」

時間を見ると2時1分となっているのです。
 (もうこんな時間…) そんなことを考えていると私の頭は徐々に覚めて行きそれと同時に体もサーッと冷めていきました。

 「え!?どうして!?」

携帯をよく確認しても確かに2時です。
すぐに席を立ち周りを見回してみると誰一人いませんでした。
 電車はずっと同じ速度で走り続けています…。
とりあえず私は親に電話をしてみることにしました(この時、私は実家住み)。

 しかし家に電話してみると 「ただいま、電波の届かない…」 携帯を見てみると圏外になっていました。
決して地下鉄に乗っていたわけではありません。

(圏外…どうして…) そこで私はハッと気がつきました。
(車掌さんのいる一番前の車両にいけばいいんだ!)急いで向かおうとした時…電車がスピードを落とし、駅に到着しました。

半ば呆然としながら駅名を見ると 「高九奈駅」 高九奈? たかくな?こうくな?

 その駅のホームは田舎にあるような駅でホームには人一人いるような気配すらありません。周りは田んぼや山のようで真っ暗です。

 (どこなのここ… 私はどこにいるの…?)

電車のドアがフシューと音を立てて開きます

(降りていいんだろうか?どこかも分からない駅で…)

(どうしよう…)

 「高九奈駅」 聞いたこともないような駅名を前にして色々と考えているうちに、ドアはフシューと音をたてて閉まってしまいました。

そして電車はまた 速度をあげ走りだします。

(あ…、でも変なとこで降りるよりかはちゃんと聞きにいったほうがいいよね。)

私は急いで最前方車両に向かいました。
何車両か走り過ぎましたが人は一人も見かけません。

 (なんで誰もいないの?お願いだから誰かいて…!)

もうすぐ一番前までつくだろうというところで前のほうにポツンと人が座っているのが見えました。

(人がいた!)

急いで近づくと驚いたことにまだ小学校低学年ぐらいの男の子で、何やら携帯ゲーム機に夢中になっているようでした。

 「あ、あの…僕…?」

私の呼びかけに子供は顔をあげると一瞬目を見開き驚いたような顔をして

 「…何?」 と尋ねてきました。

「あ、その、私、電車の中で居眠りしちゃって、いま電車がどこを走ってるか分からなくなっちゃって…ドジだよね、アハハ、 それで僕いまこの電車がどこに向かってるか分かるかな…?」

 「ふーん…、お姉さんには悪いけどここがどこに向かってるかは僕にもわかんないよ」

 「そっかぁ…」

 「ただ…」

「え?」

 「お姉さんはまだここに来ちゃダメってことは分かるよ。」

 電車の速度が段々と下がっていきます。

 「それってどういう事…?」

 「もし、降りる場所を間違えたら…」

 電車が停止しはじめました。
どうやらまた駅に着いたみたいです。
外をチラリと見ると 「敷草谷駅」 なんて読むんだろうか?また聞いたことのない駅名。

「間違えたら、何…?」
 
「あ、僕はここで降りなきゃ。」

「え!ちょっと!」

男の子は開いたドアからホームにピョンと飛び出し
 「たまにお姉さんみたいな人、いるんだけどね…」

 「待ってよ!私も降りるから!」

 「…それはダメだよ。でも、どうしても来たいならおいで?」

その時わたしは心底ゾクッとしました。
今まであまり表情の無かった男の子が初めて笑ったのです。
 悪意で満ちあふれたような満面の笑みで、ニタァーっと…。
 私は金縛りにあったように動くことも声を出すことすら出来ませんでした。

 ドアは音をたてて閉まっていきます。
 ドアの向こう側、ホームに立っている少年はニヤニヤとして私の目を見つめたまま、 電車はゆっくりと動きはじめ、少年は私の前からいなくなりました…。

 この時点でうすうすは考えていたことがあります。
けれど考えないようにして必死にそれを否定していたんです。

 (私は死んでしまっているのだろうか…?)

どこへ向かっているかも分からない電車。
不気味な少年に意味深の言葉。

これは死後の世界?

いつの間にか私は死んでいて気づいてないんじゃ?
事故?病気?それとも…

 (…いや、こんなこと考えるのはよそう。どうかしてる。私は生きてるわ。)

~♪

その時、静かな車内で着信音が響きだしました。
私はとっさに自分の携帯を見ると

 「着信:父」 「お父さん!」

さっきまで圏外だった電波はアンテナが2本になっていました。
 ピッ。電話に出ると

「おいっ!いま何処にいるんだ!!まだ会社で残業してるのか!?ずっと連絡がつかないから心配したんだぞ!」

「お、お父さん!うっ、うわぁ~ん、…」

私は父の声が聞けた安心感からか泣きはじめてしまいました。

 「○○○!?どうしたんだ一体!?」

「うっ、ぐすっ、あのね、お父さん…」

私は今までの経緯を一通り話しました。
電車の速度が遅くなっていきます。

また駅が近い…。

 「そうだったのか…、けどこんな時間に走っている電車なんて聞いたことないぞ?とりあえず駅におりなさい。」

 「でも降りたって場所がわかんないよ…。」

「お前の携帯はたしかGPS機能がついてただろ。それから場所を調べて迎えにいってやるから。」

 電車がタイミングよく駅に到着しました。
ドアが音をたて開きます。

 「そっか!分かった、駅に降りるね。」

私は初めて駅に降りました。夏なのに空気は冷たく人の気配はありません。
駅名は「****駅」ひどく看板が錆びれており読むことは出来ませんでした。
 乗客はもう誰もいなくなっても電車はゆっくり走りだしていきます。
そしてあっという間に遠くの闇へ消えていきました。

 「お父さん?降りたよ?」

「そうか。それじゃ一回、切ってお前の居場所を調べるからな。動くんじゃないぞ。何かあったらすぐ電話しなさい。」

ピッ、ツーツー 冷たい機械音とともに父との電話は終了しました。
あとは父からの連絡を待って迎えにきてもらえればいいだけ。 家に帰れるという安心感と父の声が聞けたため、私は心にだいぶ余裕を持つことができました。

 (自分がもしかしたら死んでいるかもなんて、本当私ったらなにを考えていたのかしら。)

携帯画面を見ると電池の残量が残り2個になっていることに気付き、すぐに携帯電話を閉じました。

(危ない危ない、電池が無くなって電源が落ちたら本当に終わりだわ。 またお父さんからの連絡がくるまでは使わないようにしないと。)

ここで改めて駅のホームを見渡してみます。
 誰もいる気配はなくどうやら無人駅のようで、駅名板をみてみるとやはり酷く錆びれて読めません。
 前の駅と次の駅については書かれていないようです。周りは見渡す限り、田んぼや山ばかりで真っ暗。何もありません。

 (寒いなぁ。お父さん、まだかしら・・・。 でも考えてみれば線路があるんだから最低それを辿っていけば大きな駅とか、少なくとも民家があるところには着くのよね。)

 そんなことを考えていると、

 「着信:父」~♪

 父から電話です。 ピッ

「お父さん?」

「○○?大丈夫か?」

 「私は平気。それより私がどこにいるか分かった?」

 「それなんだが・・・」

どうやら私の携帯のGPS機能を使い調べてみたが、ポイントエラーとなってしまい、何度試しても分からなかった。
 なので父の方から警察に連絡してみることに、私は周りに公衆電話や民家がないか見てくれ。
ということでした。

私が前の駅名(高九奈、敷草谷)を言うとそれも調べてみると言い父との電話は終わりました。
周りをみてもやはり民家、公衆電話はおろか外灯すらありません。

(電池の残りは一個。父は警察に電話するっていってたけどいたずらだと思われるかもしれない。 駅名についても期待はできそうにないし、ちょっと歩いてみようかしら・・ せめて民家だけでも見つかれば・・田んぼがあるんだから近くにありそうだし・・・。)

何分か悩んだ末、私は線路づたいに歩いてみることにしました。
父にそのことをメールし、私は前の駅の方向に歩きだしました。

 1時間ほど歩いた頃でしょうか民家は未だに見つけることが出来ません。
戻ろうかとも思いましたが、もう戻ってはいけない気がしました。
 時々、後ろから視線を感じるのです。

怖くて振り向けませんが…。
それよりも気になるのはまだ前の駅に着かないことです。
 前の駅までは距離がそんな無かったはずなので少し歩けば着くと予想していましたが一向に着きません。
この線路は永遠に続くんじゃないかとさえ思えます。

 (もう、疲れた…。)

足の疲れに加えて、精神的な疲労、一人という孤独感、私はその場にへたり込んでしまいました。

 (家に帰りたい…。お父さん…お母さん…。)

どのくらいその場に座り込んでいたでしょうか。ふと、気づきました。遠くのほうに光が見えます。

 (なんだろう…)

だんだん私のほうへと近づいてきます。しばらくしてそれは車のヘッドライトだと気づきました。

 (お父さん!?)

私は立ち上がり必死に手を振りました。
 お父さんじゃなかったらどうしようとも考えましたが、このさい誰でもよく、藁にもすがる思いで手を振り続けました。

車は私のすぐ近くまで来て停止しました。
間違いなく父の車です。案の定、中からは父が出てきました。

 「○○!!」

 「お父さん!!」

私は思わず父に抱き着いてしまいました。

 「もう平気だからな…。」

 父は私に優しく声をかけてくれます。
私はこの時、本当に安心しました。もう家に帰れるんだ、暖かい家に…と。

「寒いだろう。とりあえず車に乗りなさい。」

「うん。」

父の車に乗り込み、父は運転をしながら今までのことを話してくれました。
あのあと警察に電話をし、父は必死に話してみたけれどやはりまともに取り合ってくれなかったそうです。 しかし、警察に頼るのは諦めて再び何回もGPS機能を試していると、一瞬、私の居場所が表示されたと。

急いでメモを取り地図を使って調べ、私のいるところまで来ることが出来たそうです。
 GPSが機能したのはその時のみでそれ以降は何回やってもエラーだったそうですが…。
 それで肝心の私の今いる場所ですが…

○○県の△△(伏せますが甲信越地方)という場所だそうです
○○県は私の住んでいる隣の県です。
電車に乗って隣の県まで来ていたということになります…。

 「それとな、○○が言っていた駅名のことなんんだけど。あれはもう使われていない駅らしいんだよ。ずっと昔に廃線になったんだ。」

私は今までに溜まった疲れからかひどく眠たくなっていました。

「そうだったんだ…。」

「あまり驚かないな?」

「もう驚く気力もないよ。お父さんこそ私の言ってること信用してくれてるの?」

「信じるも何も実際に〇○がいたからなぁ(笑) もしかして使われなくなった電車が、また人を乗せたくて○○を呼んだのかもしれないな。」

 「そうかもね…。」

(ダメだ、眠たい…。)

 私の意識は徐々に薄れていきました。 ・

・・~♪

「ん……」

うるさい音に目を覚ますと携帯の着信のようです。
私は寝ぼけ眼で携帯をとり通話ボタンを押しました。

 「もしもし?誰?」

 「○○か!?お父さんだ!やっとお前の居場所が分かったよ!いまから迎えにいってやるからな!」

「・・・は?え?何?」

 「だから、さっきお前の居場所が分かったんだ!向かうから動くんじゃないぞ!」

体が冷めていくのを感じます。 横チラリとみると、たしかに車を運転している父がいます。

「え、あ・・・ピー、」

電源が落ちました。電池が無くなったようです。
私はしばらく呆然としながらジッと父を見つめました。

「お、お父さん‥?」

「・・・・・・・」

 「ねぇ!お父さん!?」

「・・・・・・・」

父は無言で無表情のままです。
窓から外をみると、周りは木が多くなっていました。
市街に向かっているはずなのにどうして…。

 「どこに向かってるの…?」

「・・・・・・・」

父は何も喋りません。
黙々と運転し続けているだけです。

私はそこで初めて重大なことに気付きました。
私の地元から○○県にくるまでは車を使っても1時間以上はかかります。
 父が迎えに来てくれてのは最後に電話してからだいたい1時間~2時間ぐらい。
けれど、父は警察にも電話したって言っていたし、GPSを何回も 試し地図で調べてきたとも言っていた。 ・・・そんなに早く私を迎えに来れるものなのでしょうか?
私の思い違い?それにしてもその時の父は明らかに変でした…。

「お父さん?一回車止めて…?」

「・・ブツ・ブツ・・・」

「え?」

 「・・早く・・行かないと・・。・・・俺の・・せいで・・ブツ・・ブツ・・・。」

ゾクっとしました。

それは明らかに父の声のソレではありませんでした。
低くて唸り声のような・・。

(「降りる場所を間違えたら・・・」)

不意にそんな言葉が脳裏をかすめます。
私の前にいる父は父じゃない。
このままだと変なところに連れて行かれてしまう。

逃げなきゃ。逃げなきゃ。

 私はそのことを一心に考え、車がカーブに差し掛かりスピードが落ちた折、意を決して車から飛び降りました・・・。


その後について書きます私が次に目覚めた場所は病院のベットの上でした。
 そこは市街の病院らしく、医師の先生に話を聞くと 山間部のほうの車道脇に倒れていた私を通りかかった人が見つけ、救急車に連絡してくれたそうです。
親に連絡をし迎えにきてもらい私は今度こそ家路につくことができました。
不思議なことに、父に昨日のことについて尋ねた所なにも知りませんでした。
父は電話なんてしてないし、それどころか私から会社に泊まると連絡がきていたそうです。

私が会った父は誰だったのでしょうか。
それに電話口の父やあの男の子、無人駅・・・。 結局のところ何も分からなかったし、これからもこのことについて知ることないと思います。
これで話はおしまいです。私自身こんな長くなるとは思いませんでしたが…。 私の長く拙い文章に付き合ってくださってありがとうございました。
ギャラリー