こんにちは。高知県大川村の和田将之です。前回の投稿からかなり時間が経ってしまいましたが、この度ブログを再開することにしました。今回は、ブログを再び始めるまでの経緯と心境の変化について書きます。
まず、ブログを書けなくなってしまった理由が大きく2つありました。1つ目は、子供が生まれたことで世話にかかる時間が増えたことです。
2019年に長女が、昨年8月には長男が誕生しました。日に日に成長を見せる我が子と過ごす時間は、他の何にも代えがたいものです。日中は畑仕事や議員の仕事、朝と夜は子供の世話をし、子供が寝ている間に事務仕事をするという生活スタイルになった結果、ブログを書く時間が失われてしまいました。
2つ目の理由は、書くことに迷いが生まれたことです。2014年に大川村に移住して以来、充実した仕事とプライベートを満喫してきました。そんな日々の暮らしや村のことを発信したいと思い、2016年からスタートしたのがこのブログでした。
しかし、2019年から村議会議員になったことで、自身の置かれた状況が一変しました。これまでは一人の住民として地域づくりに関わる立場でしたが、議員となったことで村の将来や一人一人の村民の暮らしへの責任が高まりました。村議という仕事の責務の重さは覚悟の上でしたが、いざ務めてみるとそのプレッシャーに押しつぶされそうでした。
議員になって以来、議会や日々の議員活動の中でさまざまな地域の課題や住民の声に直面します。何とかしなければいけない、でも、すぐに解決できるほどの力も経験も、知識もない。こんな私が議員を続けていても良いのだろうか―。実績もなく、実現できるビジョンも持ち合わせていない自分に嫌気がさし、ブログを発信することにも迷いが生まれるようになりました。
そんな中、1年ほど前にちょっとした転機が訪れたのでした。私は歴史を学ぶことが趣味の一つなのですが、たまたま知った「コテンラジオ」という音声コンテンツを聴くようになりました。世界の歴史を楽しく学ぶというコンセプトで、さまざまな偉人や出来事を丁寧に面白く解説してくれる番組です。農作業中や運転中などの時間に聞いていますが、大きな学びや気づきがありました。
一番の学びは、価値観や立場の違う人にも好意的になれたということです。世界史にはたくさんの人物が登場しますが、現代を生きる私の価値判断とは全く異なります。しかし、それぞれの行動原理を当時の社会背景や時代の流れなどを含めて考察すると、まったく魅力のない人物など存在しません。これまでの私は価値観の合わない人がいると距離を置きがちでしたが、対話を重ねてその人の背景や行動原理が見えてくると親近感が増してくることに気づきました。
むしろ、価値観や行動原理が自分と全く同じ人は存在しません。日々の生活の中で出会うたくさんの人たちは、それぞれの個性や考え方を持っています。大川村がより魅力ある地域になるためには、一人一人としっかり向き合い、話し合いを重ね、理解しようと努力する姿勢が大切なのでしょう。
また、コテンラジオの中で得た学びの中に「メタ認知」というものがあります。メタ認知は、自らが認知していることを客観的に把握し、コントロールするというものです。世界史上の人物を知ることで、自らの置かれた状況や特性を客観視でき、今後の人生の歩み方の大きな参考となります。これらの学びが腑に落ちた時、私ができること、果たすべき役割がようやく見てきました。
私は群馬県から大川村に移住し、この4月で10年目を迎えます。緑のふるさと協力隊や地域おこし協力隊などを経て、現在は農業や行商、地域アルバイト、そして議会議員と村にある多種多様な仕事に従事してきました。そして、現在は子供が2人いる父親で、妻の実家で4世代生活を送っています。自らが置かれている状況を客観視した時、私は幅広い属性を持ち、多様な人々と繫がっていることに気づきました。
だからこそ、それぞれの人たちと交流を持ち、話をする機会をたくさん持つことができます。この1年余り、私の身近な人たちとの対話を少しずつ進めてきました。その中で、自身の持つ才能が十分に発揮できていないこと、職場や地域での人間関係に不安や不満を持っている人が少なくありませんでした。大川村が好きでより良い地域にしたいと願う私にとって、このことはとても残念な事実です。
現在、大川村は人口400人の維持を目標として掲げていますが、一人一人の住民によって村は構成されています。それぞれの村民がマイナスの感情に囚われず、自らが持つ能力を最大限発揮できる環境を作ることが、ずっと住み続けたい大川村づくりに直結するのではないでしょうか。そのための特効薬は存在しませんが、まずは私が一人一人の課題意識や悩みと向き合い、解決に向けて共に歩んでいくことから始まると考えています。
とは言え、まだまだ私は未熟です。これからも、目の前に現れる一つ一つの課題に心を惑わされ、打ちひしがれ、悩み続けることでしょう。しかし、私は決して一人ではありません。かつて同じように悩み苦しみ、時代を切り開いていった多くの偉大な先人たちがいます。そして何より、喜びや苦労を分かち合う仲間や家族がいます。困難な壁が立ちはだかっても、地道に一歩ずつ超えて行けるでしょう。
このような心境の変化を経て、今の大川村や暮らしの様子を多くの人にお伝えしたいと心から思えるようになりました。小さな村ですが、魅力的な人がたくさんいて、地域を盛り上げようと日々頑張っています。私自身も、家族や仲間たちと充実した日々を送っています。少しずつ前向きに変わっていく地域の姿を、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。
以上、ブログの再開に至った私の想いでした。更新は不定期になってしまうかもしれませんが、村のことや暮らしの様子などを発信していきたいです。今後ともよろしくお願いいたします。