こんばんは。高知県大川村の和田将之です。ゴールデンウィークは天気の良い日が多かったことも幸いし、大川村にも多くの観光客が訪れました。毎年53日に行われる白滝ふるさと祭りに加え、5日には登山ツアーも開催。村のえきの「大川ラーメン」を食べに来たお客さんも多かったようです。


 また、新たな試みとして『´本当の豊かさ`を考える3日間の旅』というイベントが54日から23日で実施されました。コンセプトは、大川の大自然や地域の暮らし、人々の生き様に触れることで生き方を考えるという内容です。村の観光に携わるホールアース自然学校が企画し、私も地域の案内や体験発表などで協力させてもらいました。村や自身のことを語ることで地域や自分のこれまでの歩みと現在を振り返る機会となり、とても有意義な時間でした。様々な想いを抱いて来て下さった参加者の皆さんに、少しでもプラスになる経験や学びがあればと思います。



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 そのイベントの中でも紹介させていただいたのが、今回のテーマの「ミニ四国八十八箇所」です。四国では、八十八箇所とよばれる弘法大師(空海)ゆかりのお寺を巡礼する「お遍路」という文化があります。かつて巡拝は修行僧が行うのが一般的でしたが、江戸時代から願い事の成就や病気の平癒などの目的で庶民も多く参加するようになりました。しかし、足腰が弱い人や重病人はお遍路に行くことができません。そこで誰でも参拝できて同じ功徳を得られるように、集落内に小さな八十八箇所が作られました。


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 このミニ八十八箇所は四国を中心に日本中に存在し、大川村では3つの地域に現存します。車や鉄道などの交通手段がない時代、険しい山奥からお遍路に行くことは困難を極めました。江戸時代に書かれた地図には、大川から高知城下までおよそ10(40キロ)と記されています。身体が丈夫な人でも滅多なことではお遍路が出来ない環境でした。山村の暮らしに信仰を近づけ、人々の支えとなったミニ八十八箇所の存在は大きな意義があります。


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 しかし、遍路道を維持するのは決して簡単なことではありません。私の住む井野川集落の八十八箇所は、数十年前に土砂災害で多くの石仏が埋まってしまったそうです。地域住民が協力して探し出したものの、数体が行方不明に…。その後、近隣のお寺と相談をして集落にある延命寺の周囲に全ての石仏をご安置しました。井野川のミニ八十八箇所は1つにまとまり、現在に至るまで地域の人々に大切に管理されています。

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 今回の記事を書くにあたって、84歳の妻のおばあちゃんに話を聞きました。大川村には、人々の営みの歴史を伝える史跡がひっそりと残っています。そして、その記憶や想いを持っている人たちも少なくなっていますが、まだまだ健在です。そのことを考える度に、「今」という時がどれほど大切なのかと思い知らされます。これからも地域に根を張って村の歴史や暮らしをどんどん吸収し、訪れた人たちや子孫に伝えていけるように精進します!

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