映画主題歌

2009年08月14日

昭和28年(その8)

1.コロムビア篇(8)

今回は昭和28年の10月から12月にかけて、コロムビアから出た映画主題歌を取り上げてみた。

他に曲名特集として、昭和の流行歌のなかから、「昼顔」のついた曲名を纏めてみた。

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☆「新東宝:わが恋はリラの木蔭に」(監督;井上梅次) 28/9月封切 現代劇 白黒版

主題歌「わが恋はリラの木蔭に・宮城野由美子」(西条八十詩・田村しげる曲) 28/10月
○歌いだし「ふるさとの緑の牧場 音もなく落ちる夕陽に・・・・・・」

B面曲「若い日は風のように・岡本敦郎、宮城野由美子」(詩曲とも同上)   同上
○歌いだし「空は青く雲白く 風はみどりさわやかに・・・・・・・」

映画の原作は、「馬喰一代」で名を知られた作家の中山正男である。

「北海道に帰省した牧場主の娘・伏見啓子(宮城野由美子)を出迎えたのは、幼友達の久我信太郎(中山昭二)だったが、彼の気持ちは複雑にゆれた。
というのは、啓子が東京からボーイフレンドらしい男(高島忠夫)を連れて帰省したからである・・・・・」

他に、片桐余四郎、関 千恵子、藤田 進、江川宇礼雄らが出ていた。

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☆「洋画:紳士は金髪がお好き」(監督;ハワード・ホークス) 1953年公開 20世紀フォックス カラー

主題歌「田舎生まれの伊達娘・星野みよ子」(藤浦 洸詩・スタイン曲)  28/10月
(歌詞不詳)

B面曲「バイバイベビー・星野みよ子」藤浦 洸詩・Jスティニー曲)    同上 
○歌いだし「バイバイベビー いま別れても・・・・」

この映画では、二人の悩殺女優が顔をあわせている。

「ローレライ(マリリンモンロー)とドロシイ(ジェーンラッセル)は友達同士だが、共にパリに行くため船に乗った船内で、いろいろな出来事が起きてきる・・・・・・」。

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☆「大映:こんな別嬪見たことない」(監督;西村元男) 29/1月封切  現代劇 白黒版

主題歌「こんなベッピン見たことない・神楽坂はん子」(関根利根雄詩・古賀政男曲)28/10月
○歌いだし「こんな別嬪見たことない とかなんとかおっしゃって・・・・・」

映画のタイトルは「別嬪」なのに、主題歌の曲名は「ベッピン」になっている。

この主題歌がヒットしたためか、翌29年には「こんな美男子見たことない」というアンサーソングみたいな主題歌が出た。この「美男子」のほうも同じ神楽坂はん子が唄っているが、同時に同名の映画も作られている。

この「別嬪」さんという美人にたいする褒め言葉は、最近の若い人の会話では滅多に聞かれなくなった。
思えば明治、大正から昭和初期にかけての頃は、年配の女性たちの会話に盛んに使われており、私のような年寄りになると、大変ノスタルジックな響きを感じる。

大正末生まれの私は、子供の頃から自然と耳にしていた言葉なので、特に「別嬪」の語源について気にしたことはなかったが、改めて辞典などをみると「別品」(普通とは違う品物・・・・・特別な品物)から来ているようである。

ただし、いくら美人が普通の人より別の目で見られると言っても、相手の女性を「別品」と品物扱いでは失礼なので、女性を示す「」の字に置き変えたのが「別嬪」なのだそうだ。

映画は、小唄の師匠の悦子(霧立のぼる)、芸者をしているかん子(神楽坂はん子)、それに末娘の悠子(南田洋子)という三人姉妹の物語になっている。

他に船越英二、、北原義郎、潮 万太郎、村田知英子、早川雄二らが出ていた。

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☆「松竹:山を守る兄弟」(監督;松田定次) 28/10月封切  時代劇 白黒版

主題歌「山ぶどうの実る頃・美空ひばり」(西条八十詩・米山正夫曲)  28/11月
○歌いだし「アー甲斐は山国笛の音が ふもとにひびく秋祭り・・・・・・」

B面曲「山を守る兄弟・美空ひばり」(詩曲とも同上)        同上
○歌いだし「鞭をならせば竜胆の 花が散る散る朝霧に・・・・・・」

映画の原作は大仏次郎。

「甲州の山奥で、豪族の玉置家と角倉家が争っていた。角倉家では番頭の黒川銑次郎(戸上城太郎)が勢力を伸ばし、玉置家の伊織(北川彌太郎)、大三郎(美空ひばり)兄弟を亡き者にしようとする・・・・・」        
と言う事で、ひばりが珍しく男装の麗人に扮している。

他に、月形竜之介、淡路恵子、永田光男、横山エンタツ、香川良介、堺 駿二らが出ていた。

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☆「松竹:君の名は 第二部」(監督;大庭秀雄) 28/12月封切 現代劇 白黒版

主題歌「花の命は・岡本敦郎、岸 恵子」(菊田一夫詩・古関裕而曲)28/12月
○歌いだし「ゆけよ幌馬車唐松林 雲の流れのさいはてに・・・・・・」

B面曲「黒百合の歌・織井茂子」  (詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「黒百合は恋の花 愛する人に捧げれば・・・・・・・」

第1部につづきこの第二部も、映画・主題歌ともにヒットしたことは、周知のとおりである。

「北海道で牧場を営む友人のところへ行った春樹(佐田啓二)を、真知子(岸 恵子)が追いかけるが、生憎二人はすれ違いになってしまう。    
その頃、真知子が春樹を訪ねてきたことを知ったアイヌ娘ユミ(北原三枝)は、嫉妬で胸をいためていた・・・・・・・」

他に淡島千景、月丘夢路、川喜多雄二、小林トシ子、笠 智衆、日守新一、らが出ていた。

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2.「昼顔」のついた曲名

前回の「朝顔」についで今回は、「昼顔」のついた曲名を取り上げてみた。
昼顔」と言えば、五木ひろしのヒット曲で知られている「浜昼顔」も、「昼顔」曲に入っている。

鮮やかな色彩を豊富に持っていて大輪咲きの「朝顔」に比べると、「昼顔」は花も小さい上、色も薄ピンクか白とビンクまじりに限られているので、大変地味な感じのする花と言えるだろう。

しかも「昼顔」の花は道端や野原などに咲いており、「浜昼顔」も海岸の砂地に自生しているから、園芸種の「朝顔」の華やかさには到底及ばない野の花なのだが、うつむいて喋らないウブな田舎娘みたいな風情が、あるとでもいえるだろうか。

そんな「昼顔」のついた曲名を昭和初期から調べてみると、戦前1曲、戦後6曲だけ見つかった。(戦後は昭和56年まで)

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「戦前」

昼顔・奥山彩子」(西条八十詩・佐々紅華曲)コロムビア  S15/9月
(歌詞不詳)

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「戦後」

ラジオ歌謡「浜昼顔・(淀かおる)」(長田恒雄詩・入江 薫曲)NHK S32/7/14日放送
♪「浜の砂丘しろいみち たったひとりで行きました・・・・」

(淀 かおる)は放送の時唄った歌手で、この曲のレコードは多分出ていないと思う。

昼顔・ポポ」(-詩・-曲)クラウン   S45/3月
(歌詞不詳)

昼顔・山川みどり」(ちあき哲也詩・鈴木邦彦曲)キング  S46/9月
 ♪「まぶしく熱にうかされて あたしはあなたに・・・・・」

浜昼顔・五木ひろし」(寺山修司詩・古賀政男曲)ミノルホン S49/7月 
 ♪「家のない子のする恋は たとえば背戸の赤とんぼ・・・・・・」

昼顔の朝・ダウンタウンブギウギバンド」(阿木燿子詩・宇崎竜童曲)エキスプレス S53/12月  
 ♪「取れかかってる肩のヒモを ずり上げながらアクビを一つ・・・・・・」

昼顔・春風亭小朝」(戸塚なおこ詩・春風亭小朝曲)エキスプレス   S55/8月
 ♪「ぬれた縁側蝉時雨 片膝立てて爪を切る・・・・・・」


この中で「五木ひろし」のヒット曲「浜昼顔」のメロデイーは、古賀政男が戦前に作曲した流行歌「さらば青春」の歌詞だけ変えたもので、それも3度目の登場になっている。

原曲「さらば青春・藤山一郎」(佐藤惣之助詩・古賀政男曲)テイチク S11/7月
♪「愛と希望に身は傷つきて 帰る故郷の山の蔭・・・・・」 ☆「日活 慈悲心鳥」主題歌

戦後の昭和30年になって、この曲に別な歌詞がついた2番目の流行歌が生まれた。

都に花の散る夜は・青木光一」(丘 十四夫詩・古賀政男曲)コロムビア S31/1月
♪「花の都に身は住み慣れて 遥か故郷の空恋し・・・・・・」

そして3番目の曲が、上掲の「浜昼顔・五木ひろし」になる。      

3曲とも古賀政男の曲調に合わせた様に、淋しさがにじんだような内容の歌詞が、それぞれにつけられていた。

改めて手元にある音源で、この3曲を聞き比べてみた。
まず戦前の原曲は、イントロ部分が短くすぐ歌に入るのに対して、戦後の2曲はイントロに倍以上の時間をかけている。この辺が違いといえるかもしれない。        

しかし戦後の2歌手も、ほぼ忠実に原曲を追って唄っているので、誰が聞いても直ぐ同じ作曲によるものだなと判るように思う。
                    
全体の印象としては「五木ひろし」盤が最も重く沈んだ唄い方で、「藤山一郎」盤はやや明るく、「青木光一」盤はその中間といった感じがした。

まぁ他人の作曲を盗むパクリ曲ではないのだから別に問題もないし、ある年数を経て人の記憶が薄れた頃ならば、作曲した曲自体を再利用、或いは再々利用するのも悪いことではないだろう。

以上で「昼顔」のついた曲名は終わりとしたい。

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3.まとめ

8月に入ってからも、天候不順の日々が続いていたが、やっと昨日あたりから盛夏らしさが戻ってきた。異常気象により西日本では豪雨の被害も出たし、そのあとには台風9号の接近、更に静岡付近で大きな地震も起きた。

一方で国民の関心が高まっている「総選挙」の公示も、間近も迫ってきた。    
はたして政権交代がなるのか?ならぬのか?と、政局がゆれ動く騒ぎだけでも沢山なのに、この夏日照不足、豪雨、台風、地震と自然界でも日本列島が落ち着かないのは、どうも困ったものだと思う。

せめて昔の歌でも振りかえり、現世の憂さをひと時でも忘れてみようと、老体に鞭打って・・・・とはちとオーバーだが、デスプレーをみつめながら今日もキーを叩いている。

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さて曲名特集も「朝顔」「昼顔」が終わって、次回は「夕顔」の曲名に入ることになる。

古来から歌にうたわれている「夕顔」は、正式にはひるがお科の「ヨルガオ」であり、その清楚な装いの白い花は、多くの人々に愛されてきた。

他に瓜科にも「夕顔」があって、こちらは西瓜ほどの大きさの実がなって「干瓢」に加工されているが、どちらも一般には「夕顔」と呼ぶので、大変ややこしい。

本題である次回の映画主題歌は、「昭和28年(その9)」でコロムビア篇の最終回を予定している。
                       (つづく)


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2009年08月07日

昭和28年(その7)

1.コロムビア篇(7)

今回は昭和28年の9月から10月頃出たコロムビアの映画主題歌を載せたが、「君の名は」のようによく知られた主題歌も含まれている。

他に戦前・戦後を通じて、昭和の流行歌のなかから「朝顔」のついた曲名を纏めてみた。

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☆「松竹:ひばりの悲しき瞳」(監督;瑞穂春海) 28/8月封切 現代劇 白黒版

主題歌「シャボン玉の少女・美空ひばり」(西条八十詩・万城目 正曲) 28/9月
○歌いだし「あがれよあがれよ 可愛い虹のしゃぼん玉・・・・・・」

B面曲「悲しき瞳・美空ひばり」(詩曲とも同上)          同上
○歌いだし「空は小鳥のためにある 唄は淋しい乙女のために・・・・・」

「美空ひばりは、下町に住んでいる瞳という中学生に扮している。、定年まじかの中学教師である父・真一郎(日守新一)が、人の借金を肩代わりしたことから、不幸のどん底におちてしまった。そんななかで彼女は、明るく健気にもに一家を支えて働くことになる・・・・・・」。

他に、川喜多雄二、三井弘次、藤乃高子、草間百合子、川田晴久、多々良 純、望月優子らが出ていた。

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☆「東映:片目の魔王」(監督;佐々木 康) 28/8月封切 現代探偵劇 白黒版

主題歌「マンボムーン・織井茂子」(石本美由起詩・万城目 正曲)  28/10月
○歌いだし「ビルの屋根に昇る月よ 更けゆく夜のお洒落な幕が開く・・・・・」


戦後ペレスプラード楽団によって日本国内に流入し、たちまち広まったキューバ発祥のラテンリズム「マンボ」を、邦楽のレコード業界が目をつけない筈はない・・・・ということで、この年は流行歌でもマンボが流行った。。

マンボ」のついた流行歌の曲名が、はじめて登場したのは昭和26年の暮れで「花のマンボ・越路吹雪」と「マンボチャイナ・渡辺はま子」の2曲だった。

翌27年も「マンボ」のついた流行歌の曲名は2曲しかなくて、特に目立たなかったのだが、28年に入ると一挙に16曲と急上昇して「マンボ」ブームが爆発した。

昭和28年内に出た流行歌で「マンボ」のついた曲名を各社別に見ると

コロムビア    4曲    ビクター    6曲    キング    1曲
テイチク     2曲    タイヘイ     3曲                
となり、ポリドールだけが出していない。

さて映画のほうは、片岡千恵蔵が十八番の「多羅尾伴内」シリーズ作品のひとつになる。

「海上を筏にくくりつけられて漂流する男が絡む、巨大なダイアモンド殺人事件の謎を、名探偵の多羅尾伴内(片岡千恵蔵)が見事解き明かす」といった内容になっていた。

千恵蔵以外には、花柳小菊、進藤英太郎、千原しのぶ、三浦光子、原 健策、らが出ていた。

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☆「宝塚映:かっぱ六銃士」(監督;斉藤寅次郎) 28/8月封切 現代喜劇 白黒版

主題歌「かっぱソング・伴 淳三郎、泉 友子」(高木史郎詩・河村篤二曲)28/10月
○歌いだし「皆さん河童をご存じですか カッパと云っても・・・・・・」

B面曲「かっぱマンボ・伴 淳三郎、泉 友子」(原 六朗 詩・原 六朗曲)同上
○歌いだし「河童の恋は水の中・・・・・・」

昔から人を化かすといわれてきた「狸、 狐」のうち、愛嬌のある「」がもっぱら擬人化されてミュージカル映画に度々登場しているが、「河童」も人々に親しまれており、幾つかの映画に擬人化されて取り上げられている。

漫画家「清水 崑」の描くあのユニークな河童像も、この映画と同じ昭和28年に朝日新聞に連載した「かっぱ天国」から始まったそうだから、この年あたりから「河童」が盛り上がってきたのかもしれない。

「カッパが住んでいる池を、人間が埋め立てしょうとしたことで、カッパ社会は大恐慌になった。カッパ大王(花菱アチャコ)は、何とか埋めたてを中止させるために、埋め立てを企画している会社社長(伴 淳三郎)を、カッパの美女が誘惑して池の中にに誘い込んだ・・・」

他に堺 駿二、清川虹子、八千草 薫、梓 真弓、益田喜頓らが出ていた。

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☆「「松竹:君の名は」第一部 (監督;大庭秀雄) 28/9月封切  現代劇 白黒版

主題歌「君の名は・織井茂子」(菊田一夫詩・古関裕而曲)     28/10月
○歌いだし「君の名はとたずねし人あり その人の名も知らず・・・・・・」

B面曲「君いとしき人よ・伊藤久男」(詩曲とも同上)       同上
○歌いだし「君 名も知らぬうるわしき人よ 君はしあわせか・・・・・」

菊田一夫が原作であるNHKラジオの連続ドラマ「君の名」が映画化されて、ヒロイン「真知子」に扮した「岸 恵子」がアイドル的人気に沸いたのは、年配者ならよく知っておられることだろう。

映画の人気とともに、この織井茂子と伊藤久男の主題歌も大ヒットしており、その後映画が第二部、第三部と続編が出るたびに、それぞれ新しい主題歌が生まれており、いずれもヒットした。


この映画は、昭和20年の戦争末期からはじまる。

「東京大空襲の最中に有楽町は数寄屋橋で、互いに名も明かさず再会を約して別れた後宮春樹(佐田啓二)と氏家真知子(岸 恵子)だが、いろいろな障碍のためその後なかなか逢えない。そしてやっと逢えた時、真知子は浜口勝則(川喜多雄二)と結婚していた・・・・」

他に、淡島千景、月丘夢路、小林トシ子、野添ひとみ、淡路恵子、笠 智衆、らが出ていた。

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☆「東京映画:夕立勘五郎」(監督;沢英滝輔) 28/9月封切 時代劇 白黒版

主題歌「江戸姿夕立勘五郎・永田とよ子」(石本美由起詩・上原げんと曲)28/9月
○歌いだし「お江戸月夜に にっこり笑う・・・・・・」

B面曲「恋慕三味線・永田とよ子」(詩曲とも同上)         同上
歌いだし「爪弾きの 三味も淋しや・・・・」

戦前二代目「天中軒雲月」として人気の高かった浪曲師の次女として「永田とよ子」は生まれている、最初三代目「天中軒雲月」として母の後をついだのだが、昭和26年7月に歌謡界に転身して「涙の娘浪曲師」のレコードでデビューしている。

さて映画のほうは
「江戸の街なかを、突然暴れ馬「夕立」が走ってくる。それを素手で張り飛ばして抑えたことで伊賀屋勘五郎(小堀明男)は、みんなから「夕立勘五郎」と呼ばれるようになった・・・・」という、男伊達の大侠客を中心とした物語になっている。

他に花柳小菊、内海突破、永田とよ子、広沢虎造、塩沢登代子、遠山幸子らが出ていた。


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2.曲名特集「朝顔のついた曲名」 

前回の「まとめ」の項で、戦前は「朝顔」のついた曲が「昼顔」「夕顔」のついた曲より多く、戦後は逆になつたと書いたが、今回「朝顔」曲だけを年代順に並べてみると、結構戦後の曲も多かった。

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「戦前篇」

朝顔の唄・関 種子」(佐藤惣之助詩・古賀政男曲)コロムビア S7/7月
♪「暁の白い浜辺の貝殻を 一つ拾えば捨てるもさびし・・・・・・」

国民歌謡「朝顔の歌・四家文子」(佐藤惣之助詩・古関裕而曲)ビクター  S11年
♪「明けの光よ瑠璃染めて 露の朝顔咲きいでぬ・・・・・」

むすめ朝顔・桜井健二」(−詩・−曲)コロナレコード         S12/9月
(歌詞不詳)

朝顔日記・如月俊夫」(一条忠彦詩・飯田景応曲)ポリドール    S16/7月
 ♪「露か涙か朝顔の 濡れて乾かぬいとしさに・・・・・・」

以上戦前の4曲のなかで、今でも復刻盤などで知られているのは「関 種子」の「朝顔の唄」あたりだろうか。

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「戦後篇」

朝顔ながし・三門順子」(佐藤惣之助詩・大村能章曲)キング S21/7月
 ♪「露の命を朝霧に泣けば 涙で眼は見えぬ・・・・・・」

朝顔しぼり・よし子」(小野金次郎詩・小村三千三曲)ビクター S27/7月
 (歌詞不詳)      「よし子」は新富町出身の芸妓歌手

朝顔日記・市川松蔦」(石川潭月詩・古賀政男曲)コロムビア  S35/1月
 (歌詞不詳)                                 
「市川松蔦」は歌舞伎の女形だが、他にも全て石川潭月詩・古賀政男曲で「お里沢市」「お俊伝兵衛」「お園恋しぐれ」といった歌舞伎シリーズ流行歌を出していた。

露の朝顔・神楽坂はん子」(石川潭月詩・芳賀 稔曲)コロムビア S47/1月
(歌詞不詳) この曲は舞踊歌謡のようだ。

朝顔荘アパート・石川さゆり」(吉岡 治詩・市川昭介曲)コロムビア S50/3月
 ♪「シベリアケーキあなたが好きで お風呂の帰りにいつも入ったミルクホール・・・・・」

朝顔の詩・高倉 健」(阿木耀子詩・宇崎竜童曲)キヤニオン  S51/4月
(歌詞不詳)

九月の朝顔・宮川 竜」(瀧口洋子詩・森山進治曲)ポリドール S51/7月
(歌詞不詳)

石川さゆりが唄う「朝顔荘アパート」の歌いだしに出てくる「シベリアケーキ」は、私にとっては昭和一桁の子供時代に、よく食べた懐かしいお菓子だ。   
しかし最近はあまり見かけなくなった。

この菓子に「シベリア」がついた由来については、諸説あってはっきりしないようだが、私の記憶では昭和の5〜6年頃に、住んでいた家の近くの駄菓子屋でも、売っていたような気がしている。

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3.まとめ

朝顔」といえば、早朝に咲いて午前中までが見ごろだが、最近は夕方までしぼまないで咲く「西洋朝顔」をよく目にする。

私も一度、この「西洋朝顔」を育てたことがあったが、生育が大変盛んでアッという間に、近くの樹木の枝に蔓がからんで、見上げるような高さで花を咲かせたのに懲りて、ひと夏限りで栽培は止めてしまった。

明治以来舶来もの好きな日本人でも、朝顔だけは江戸時代から続く伝統の在来種のほうが親しみやすい・・・・・と思うのは、私のような高齢者だけの感想なのだろうか。

さて次回は、同じつる性の植物だか「西洋朝顔」みたいに昼間元気な「昼顔」のついた流行歌の曲名に移りたい。

本題の映画主題歌の次回は「昭和28年(その8)」として、コロムビア篇(8)を予定している。
                (つづく)


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2009年07月31日

昭和28年(その6)

1.コロムビア篇(6)

今回は昭和28年の6〜9月ごろ出た、コロムビアの主題歌を載せた。

他に「日傘」曲名の姉妹篇として、「パラソル」のついた流行歌の曲名を纏めてみた。

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☆「東映:素浪人奉行」(監督;佐々木 康) 28/7月封切  時代劇 白黒版

主題歌「お江戸投げ節・鶴田六郎、神楽坂はん子」(野村俊夫詩・万城目 正曲) 28/6月
○歌いだし「あの娘十七花ざかり 蝶に浮かれて通うとさ・・・・・・」

B面曲「恋すがた・神楽坂はん子」(詩曲とも同上)                    同上
○歌いだし「逢えぬ辛さを口三味線に 涙かくしの小唄ぶし・・・・・・」

この映画の主題歌は、テイチクも同じ頃出しており2社で競作になっている。

映画の原作は高木彬光で、お馴染みの「遠山の金さん」が活躍する町奉行ものなのだが、遠山金さん奉行と浪人神尾左近の一人二役を、市川右太衛門が演じている。

江戸は北町奉行として名の知れた遠山金四郎景元。 実は自分と瓜二つに似ている浪人・神尾左近の手を借りて、大江戸に跳梁する魔童子なる怪盗を退治するという物語になっている。

右太衛門の他には島崎雪子、三浦光子、進藤英太郎、小沢 栄、らか出ていた。

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☆「東映:ひめゆりの塔」(監督;今井 正) 28/1月封切

主題歌「ひめゆりの塔・伊藤久男」(西条八十詩・古関裕而曲) 28/8月 現代劇 白黒版
○歌いだし「首途の朝は愛らしき 笑顔に母をふりかえり・・・・・・」

昭和20年3月、沖縄県立第一高女と沖縄師範の女生徒が、「ひめゆり部隊」と名づけられた特志看護婦として、野戦病院で健気に働くことになったが、上陸した米軍の猛攻を浴びて島尻に追い詰められる。                           そして前途ある多くの乙女たちが、無念にも蕾のままで散ってしまった。  

こうした沖縄戦を描いた劇映画は、アメリカ進駐軍の施政下では製作がまったく不可能だったのだが、前年(昭和27年)にサンフランシスコ講和条約が締結されたため、やっと製作できるようになった。

この映画では津島恵子、香川京子をはじめ多くの女優が女学生や引率教師に扮し、砲煙弾雨の戦場を背景に泥まみれの体当たり演技を見せており、見ていて胸にジンとくるものがある。

他に信 欣三、岡田英次、藤田 進、殿山泰司、関 千恵子、原 保美、利根はる恵、岩崎加根子らが出ていた。

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☆「松竹:天馬往来」(監督;内出好吉) 28/9月封切 時代劇 白黒版

主題歌「金比羅参り・高田浩吉」(石本美由起詩・上原げんと曲)28/8月
(歌詞不詳)

B面曲「天馬往来・高田浩吉」(詩曲とも同上)       同上
○歌いだし「ほめりゃのぼせる けなせば拗ねる・・・・・・」

映画の原作は村上元三で、幕末の時代を背景に勤皇の志士と大侠客との交流を描いている

「幕末の志士・高杉晋作(水島道太郎)は、一時長府藩士から命を狙われたため、おうのを連れて四国は金毘羅の大侠客・日柳燕石(竜崎一郎)のもとに身を寄せたしいう史実をなぞつており、これにペテン師・猪三郎(高田浩吉)、その妻・おとせ(高峰三枝子)をからませて話を面白くさせている」

他に幾野道子、藤代鮎子、千秋みつる、らが出ていた。

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☆「中田プロ:鉄の花束」(監督;中田晴久) 28/8月封切

主題歌「鉄の花束・青木光一」(サトウハチロー詩・大森盛太郎曲) 28/8月 現代劇 白黒版
○歌いだし「真心そそぎて来る日も来る日も そだつ蕾をいまぞ見る・・・・・」

B面曲「愛の花束・織井茂子」(詩曲とも同上)       同上
(歌詞不詳)

この映画は、山田晴玉、近藤 宏、久保春二が出演している他は、資料がなくてどんな映画なのか、まったくわからない。

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☆「新東宝:名探偵アジャパー氏」(監督;佐伯幸三) 28/7月封切 現代喜劇 白黒版

主題歌「名探偵アジャパー氏・伴 淳三郎」(石本美由起詩・上原げんと曲) 28/9月
○歌いだし「俺はアジャパー名探偵 街の売れっ子人気者・・・・・」

B面曲「不思議なブルース・伴 淳三郎、泉 友子」(石本美由起詩・上原賢六曲)同上
○歌いだし「街角の灯も消えて 黒猫が泣いてる夜更け・・・・・・・」

「アジャパー」で一躍人気が高まった伴淳が、この映画では探偵と脱獄囚の一人二役で登場する。

「私立探偵・阿地弥八(伴 淳三郎)とは、瓜二つというほどよく似た脱獄死刑囚・ダバオの狼(伴 淳三郎)が、荘田博士(古川ロッパ)を誘拐して山荘に立てこもった。阿地探偵はなんとか博士を救出したが、逃亡したダバオの狼はバレリーナの洋子(星 美智子)を人質にとってしまった・・・・・」

他に柳家金語楼、横山エンタツ、関 千恵子、清川虹子、フランキー堺らが出ていた。

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2.「パラソル」のついた曲名

洋傘の日よけ傘を「パラソル」と呼ぶのは、昭和初期の頃でも結構普及していたように思う。

ただ当時の「パラソル」は、現在の晴雨兼用洋傘よりもかなり高価な贅沢品だったことが、昭和12年に流行った流行歌の歌詞の中からもうかがえる。

若しも月給が上ったら・林伊佐緒、新橋みどり」(山野三郎詩・北村輝曲)キングS12/7月
♪「もしも月給が上がったら 私はパラソル買いたいわ ぼくは帽子と洋服だ・・・・・・」

そんな戦前の時代から戦後にかけて、「パラソル」のついた流行歌の曲名を集めてみた。

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「戦前のパラソル曲名」

年代順にならべてみたが、最初から3曲目までは(歌詞不詳)である

パラソルの調べ・淡谷のり子」(菊田一夫詩・佐々紅華曲)コロムビア  S6/9月

恋のパラソル夏の海・横田良一」(−詩・−曲)テイチク        S7/6月

恋のパラソル・丸山和歌子」(水町かをる詩・松岡虹二曲)リーガル  S8/8月

花のパラソル・小林千代子」(佐伯孝夫詩・加藤しのぶ曲)ビクター  S9/8月
 ♪「花のパラソル深紅の海水着 乙女十八夏姿・・・・・・」

歌詞の中に出てくる「深紅の海水着」には「まっかなみずぎ」と振り仮名がついていた。

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「戦後・昭和20年代のパラソル曲名」

ソフトとパラソル・ベティ稲田」(島田磐也詩・平川浪竜曲)テイチク    S25/9月
 ♪「ソフトがパラソルと散歩してる どこへ行こうときくだけ野暮さ・・・・・」

パラソルと青いソフト・千代田照子」(石本美由起詩・平川英夫曲)コロムビア S28/10月
♪「パラソルが青いソフトを待っている 街角のみどりの柳・・・・・・」

どうやら若い二人のデイトでは、男はソフト帽子、女はバラソルが、お洒落とみられた時代だったようだ。

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「昭和30年代のパラソル曲名」   該当曲なし

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「昭和40年代のパラソル曲名」

想い出の赤いパラソル・出光 功」(菊地平三郎詩・三沢聖彦曲)クラウン  S42/4月
(歌詞不詳)

パラソルありがとう・ロペ」(−詩・−曲)ビクター           S49/9月
(歌詞不詳) カネボウ化粧品のCMソング

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「昭和50年から56年までのパラソル曲名」

白いパラソル・松田聖子」(松本 隆詩・財津和夫曲)CBSソニー    S56/7月
 ♪「お願いよ 正直な 気持だけ聞かせて・・・・・」


昭和時代の後半に「パラソル」曲が少なくなったのは、次第に「日傘」という呼び名が、一般的になってきたためと思われる。


最近の新聞を見ても、夏の街頭風景写真の説明では「パラソル」よりも「日傘」とする場合が多いのではないだろうか。
もっとも海浜の「ビーチパラソル」だけは、いまでもそのまま呼ばれているようだけど。

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3.まとめ

今月の14日に関東地方には梅雨明け宣言が出た。待望してた夏の到来と、子供や若者たちは喜んだことだろう。                  

それにあわせるようにこのブログでも、「日傘」曲「パラソル」曲と流行歌の曲名特集を組んでみたが、皮肉なことにその後梅雨が戻ったような不順な天候が続いている。

ここ連日の日照不足のため野菜が品薄になり、価格もあがり始めたようだ。

こんなことなら、いっそ「雨傘」曲名の特集をすればよかったと思ったけど、これは後の祭りで、今はあの輝く夏空の到来が待ちどしい。

ところで毎年暑い夏の頃、可憐な花を咲さかせる草花のなかに「朝顔」「昼顔」「夕顔」というゴロ合わせのよい名がある。

このどれもが、昭和の時代に出た流行歌の曲名に散見されるのだが、面白いことに戦前は「朝顔」のついた曲名が他より多いのに、戦後は「昼顔」「夕顔」の曲名のほうがが多くなっている。

これはなにかしら、ラジオ体操の盛衰と同じ流れのような気がしてきた。
つまり、夜は早寝して朝早起き型だった「戦前」では、子供は夏休みの間に毎朝校庭のラジオ体操に通うのか日課だった。       
まさに朝から元気な「朝顔」型だったのだ。

ところが、テレビが普及して夜更かし朝寝坊型になってしまった「戦後」では、いつのまにか夏休み中の早朝のラジオ体操は消えてしまった。    
それに影響されたわけでもないだろうが、「朝顔」の曲名もぐっと減ってしまった。

こうして振り返ってみると、昭和という時代の流れの変化が「朝顔」「昼顔」「夕顔」の曲名にも、見えてくるような気がして興味深い。

そこで次回から3回に分けて、「朝顔」「昼顔」「夕顔」のついた曲名特集を組んでみようと思っている。

まず次回では「朝顔」のついた曲名を取り上げてみたい。

本題の映画主題歌は、「昭和28年(その7)」としてコロムビア篇(7)を予定している。
                         (つづく)


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2009年07月24日

昭和28年(その5)

1.コロムビア篇(5)

今回のコロムビアの映画主題歌は、昭和28年の6〜7月頃に出たものを載せている。

他に曲名特集としては、前回につづき「日傘」曲の「戦後篇」を纏めてみた。

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☆「宝塚映:旅はそよ風」(監督;稲垣 浩) 28/5月封切  時代劇 白黒版

主題歌「旅はそよ風・八千草 薫、大谷友右衛門」(虹 二郎詩・上原げんと曲) 28/6月
○歌いだし「旅はそよ風日はまだ高い 笠に蝶々がもつれ合う・・・・・・」

この映画を作った「宝塚映画製作所」は、昭和27年から劇映画の製作をはじめ、昭和30年代にかけてかなりの本数を製作し、東宝系で上映していた。

戦前にも「宝塚」のついた劇映画製作会社は2社あった。昭和7〜9年にかけて「宝塚キネマ」が79本ほど出しており、また戦時下の昭和14年から16年にかけては「宝塚映画」が5本ほど出したが、企業統合で「東宝」に吸収されてしまった。
この会社が戦後復活して、「宝塚映画制作所」になったという経緯がある。

この映画の主題歌は「八千草 薫、大谷友右衛門」という、大変珍しいデュエットになっている。 

八千草 薫の唄ったレコードは大変少なくて、この主題歌と「チックタッククロックの歌・深路夏代、明石照子、八千草 薫」コロムビア S29/3月ぐらいしかない。

当時これほど純情な娘役で人気の高かった女優が、ソロで唄ったレコードがないというのも珍しいことだろう。

私はこの「旅はそよ風」の音源を持っているので改めて聴いてみたが、友右衛門の唄はあまり上手ではないのに比べて、さすが宝塚歌劇出身の八千草 薫は、高音の澄んだ声で、力まずさらりと唄っている。

人気の高かった彼女が、どうしてもっと沢山の流行歌を唄わなかったのだろうかと、今更ながら不思議な気がしている。

ところで、この主題歌の作詞をした「虹 二郎」は、この映画の監督をした「稲垣 浩」なのだが、この筆名で作詞した曲はこの1曲しかない。

さて映画に目をむけると、旅人で賑わう東海道のある宿場で、泥棒・敵討ち・カサマ師など、次々と騒ぎが巻き起こる筋立てになってる。

「東海道筋で"ごまの蝿"をしているおりゃんこ文治(大谷友右衛門)は、道中旅姿でひとり旅をしている娘のお銀(八千草 薫)に目をつけ、宿場まで追い続けた・・・・・・」というあたりから物語が展開して行く。

他に浅茅しのぶ、竹腰みゆき、多々良 純、上田吉二郎、杉 狂児、らが出ていた

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☆「新東宝:憲兵」(監督;野村浩将) 28/4月封切  現代劇 白黒版

主題歌「ああふるさとは雲の果て・伊藤久男」(西条八十詩・古関裕而曲)   28/6月
○歌いだし「夕やけ空のあかね雲 ゆれて流れてどこへ行く・・・・・・・」

B面曲「春怨花・胡美芳」(西条八十詩・梁楽音曲)             同上
○歌いだし「あの日思えば あふれる涙・・・・・・・」

春怨花」は「ツオンユアンフォ」と読む。この曲は戦時中李香蘭が主演した中華電影・満映合作『萬世流芳』の挿入歌である「戒煙歌」に、西条八十が邦訳詩をつけたとされている。

「戦争末期に中国は漢口の部隊にいた宮崎憲兵曹長(中山昭二)は、暴漢に襲われた護婦の葉白蘭(岸 恵子)を救ったことから彼女に慕われた。実は葉白蘭の正体が重慶政府側の諜報員だったため、宮崎曹長は危機に直面することになる・・・・・・」

他に、藤田 進、小沢 栄、、三浦光子、堀 雄二、片山明彦らが出ていた。

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☆「松竹:あっぱれ五人男」(監督;斉藤寅次郎) 28/5月封切  時代喜劇 白黒版

主題歌「あなた無しでは・伴 淳三郎、神楽坂はん子」(西条八十詩・万城目正曲)28/5月
○歌いだし「惚れた欲目か わたしのあなた・・・・・・・」

B面曲「お糸十三郎・神楽坂はん子」(詩曲とも同上)             同上
○歌いだし「あやめ咲く日見染めたあなた 粋な細身の大小さして・・・・・・」

終戦の年の暮れに封切られた「東京五人男」は、焼け跡の野天でロッパがドラム缶の風呂に入りながら唄うシーンが知られているが、以後も「音楽五人男」「びっくり五人男」「なやまし五人男」「大江戸五人男」と続き、今回の「あっぱれ・・・」が6作目になる。    

1作目から4作目までは現代劇だったが、「大江戸」と「あっぱれ」は時代劇に変っている。
そしてこの「あっぱれ・・」では、お芝居の「白浪五人男」の人物像をなぞったような筋立てになっていた。

日本駄右衛門(花菱アチャコ) 青木十三郎(北上彌太郎) 利平(川田晴久) 力蔵(堺 駿二) 菊太郎(伴 淳三郎)がこの映画での五人男で、女優陣では高千穂ひずる、清川虹子、千秋みつる、神楽坂はん子らが出ていた。

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☆「松竹:陽気な天使」(監督;斎藤宗一) 28/5月封切 現代劇 白黒版

題名を「ひばりの陽気な天使」としている資料も多いようだ。   
この映画の脚本を、主題歌を作曲した「米山正夫」と「大町龍夫」が合作で書いており、そのせいか音楽映画といった感じになっている。

主題歌「小さな水たまり・美空ひばり」(米山正夫詩・米山正夫曲) 28/7月
○歌いだし「ゆうべの雨が残した 私は水たまりよ・・・・・・」

B面曲「パパは話しがわかる・美空ひばり」(詩曲とも同上)    同上
○歌いだし「我侭云っても パパは怒りません・・・・・・・」

「泉牧師(十朱久雄)の娘・ゆかり(美空ひばり)は、音楽好きで特に大のジャズフアンである。ある日貧しい兄弟(本多康彦、小島輝明)と会い、自分と同じ母なし子だと判って同情する。ゆかりは兄弟のために、豪華な誕生パーティを開こうとした・・・・・・」

他に森川まさみ、、松竹歌劇団が出ていた。

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☆「松竹:唄祭り八百八町」(監督;斉藤寅次郎) 28/7月封切 時代劇 白黒版

こちらも副題として「ひばり捕物帖」がついている。

主題歌「唄祭八百八町・美空ひばり」(西条八十詩・万城目 正曲)  28/7月
○歌いだし「ヤンレー お江戸名物娘にきけば 火事に喧嘩に・・・・・・」

B面曲「お小姓すがた・美空ひばり」(吉村比呂詩詩・万城目 正曲)  同上
○歌いだし「紅いかんざしさようなら 花の振袖さようなら・・・・・・」


「目明かし善七(市川小太夫)の三女・おみよ(美空ひばり)は、歌がうまくて投げ縄の名人というチャキチャキの江戸っ子娘なのだが、、実は大名の落とし胤という素性が秘められている。このおみよが大名側近の陰謀をくじき、晴れて親子対面を果たす・・・・・・」
女賊お鶴には、清川虹子が扮している。

他に、堺 駿二、伴 淳三郎、北上彌太郎、水原真知子、川田晴久、らが出ていた。

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2.「日傘」のついた曲名 (戦後篇)

戦後の昭和21年から同56年までの長い間に出た「日傘」のついた曲名は、戦前より少なくて僅か6曲しかなかった。
他に戦前に出た舞踊用「日傘」曲の再発買レコードが幾つかあるが、これは省略した。

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「昭和30年代」

紅い日傘で・花村菊江」(野村俊夫詩・上原げんと曲)コロムビア  S31/8月
♪「紅い日傘をちょいとさしかけて 傘でかくした仲のよさ・・・・・・・」

そよ風日傘・美空ひばり」(石本美由起詩・米山正夫曲)コロムビア  S34/8月
♪「お染さん久松さん ここは野崎の村はずれ・・・」 ☆「東映:そよ風日傘」主題歌

絵日傘剣法・美空ひばり」(西沢 爽詩・遠藤 実曲)コロムビア  S36/3月
♪「花の絵日傘くるりと廻しゃ またもを白刃がはじけ飛ぶ・・・・・・」

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「昭和40年代から同56年まで」

日傘の中の恋人・高石かつ枝」(門井八郎詩・牧野昭一曲)テイチク  S41/6月
♪「わたくし達は恋人よ・・・・・・」

恋の絵日傘・天津羽衣」(−詩・-曲)テイチク           S45/2月
(歌詞不詳)    この曲は戦前曲のカバーかなのか、新曲なのかわからない

絵日傘おどり・岩井きよ子」(三谷 勉詩・竹田 喬曲)テイチク  S565/12月
(歌詞不詳)

以上並べた戦後の「日傘」曲のなかで、美空ひばりが唄った曲以外は、あまり知られていないような気がしている。

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3.まとめ

日傘」曲は、前回の戦前篇で10曲あったのに、今回の戦後篇は6曲と減っている。
しかし「日傘」自体は日用必需品として、現在でも盛んに使われているし、最近は男性用の「日傘」まで出てきているようだ。

そもそも考えてみると、「日よけの和傘」は間違いなく「日傘」と呼ぶけれど、「日よけの洋傘」となると「日傘」以外に「パラソル」とも呼ぶことも多いのだ。    

となると、歌の世界でも「日傘」曲だけで、昭和の時代の流れを論じるのは、いささか片手落ちのような気がしてきた。

そこで次回は、戦前から戦後にかけて半世紀の間に出た「パラソル」のついた曲名を載せることにして、昭和に出た「日傘」曲の總締めくくりをしたいと思っている。

本題の映画主題歌の次回は「昭和28年その6」としてコロムビア篇(6)を予定している。
                     (つづく)


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2009年07月17日

昭和28年(その4)

1.コロムビア篇(4)

今回は昭和28年の4月から6月頃にかけて出た、コロムビアの映画主題歌を取り上げた。

他に曲名特集としては、梅雨明けの季節にちなんで、「日傘」のついた流行歌の曲名を選んでみた。そのなかで今回は戦前篇として、古い曲ばかり10曲ほどを載せてみた。

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☆「東宝:午前零時」(監督;渡辺邦男) 28/2月封切 現代劇 白黒版

主題歌「午前零時のルンバ・越路吹雪」(岩谷時子詩・仁木多喜雄曲) 28/4月
○歌いだし「ああ夜の酒場の屋根に まだ雨が降っている・・・・・・・」

B面曲「涙は眼から出る・越路吹雪」(井上友一郎詩・仁木多喜雄曲) 同上
○歌いだし「きょうわたしは涙が出た 涙は眼から出る・・・・・・」

この映画の主題歌はビクターも出しており、2社で競作になっていた。

映画は井上友一郎の小説を原作としている。

「新劇の女優内海映子(久慈あさみ)は、恋人の玉木辰也(小林桂樹)を捨てて、物部 修(二本柳 寛)と婚約した。ところが物部との結婚式の当日、彼の子を身ごもつた女が現れたため、式はめちゃめちゃになってしまう・・・・・」

他に藤田 進、浜田百合子、三条利喜江、小杉義男、小室 耕が出ていた。また越路吹雪が特別出演している。

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☆「東宝:抱擁」(監督;マキノ雅弘) 28/3月封切  現代劇 白黒版

主題歌「黒い百合・山口淑子」(岩谷時子詩・芥川也寸志曲)    28/4月
○歌いだし「黒い百合が月の照る夜に咲くと云う 遠いふるさと遠い思い出の花・・・・・・」

山口淑子の主題歌を含む流行歌のレコードは、昭和27年→8曲、昭和28年→4曲、昭和29年→2曲と次第に減って、昭和30年以降は音楽の活動の場を、セミ・クラシック部門に移してしまった。

彼女の流行歌としての最後の曲は、あの黒沢監督の大ヒット作「七人の侍」の主題歌であり、S29/11月に出していた。

その「山口淑子」が主役をつとめるこの映画では、相手役の「三船利郎」が山奥に勤務する真面目な営林署技師と、追い詰められた殺人犯いう役の、一人二役をやっていた。

「雪子(山口淑子)が山で知り合って恋した営林署技師・伸吉(三船)は、その冬に雪崩にあって死んでしまった。その後都会に戻った雪子の前に、伸吉そっくりの男・早川(三船)が現れた。二人は急速に親しくなったが、早川はギャングの一味で官憲に追われていたのだ。そして雪子は、早川とともに恋の逃避行をつづける・・・・」

他に、志村 喬、小泉 博、平田昭彦らが出ていた。

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☆「新東宝:アジャパー天国」(監督;斉藤寅次郎) 28/4月封切 現代喜劇 白黒版

主題歌「アジャパー天国・伴 淳三郎、泉 友子」(石本美由起詩・上原げんと曲)28/5月
○歌いだし「はじめ浮気で恋したけれど 今じゃまったく命がけ・・・・・・・」

B面曲「アジャパーサンバ・伴 淳三郎、泉 友子」(詩曲とも同上)     同上
○歌いだし「はじめて逢う時ゃ純情で モジモジソワソワ・・・・・・」

「丘 十四夫;歌暦五十年」の昭和28年の項には、伴 淳三郎が流行らした「アジャパー」という流行語のことが載っていた。

「たまたま「吃七捕物帖」という映画で、「アリャー」というところを、(伴淳が)少年時代をすごした東北のナマリを出して「アジャー」とやったのが受けて、これをしばしば使うようになった・・・・」とある。

この「アジャパー」は瞬く間に全国にひろまっており、今思えば当時は小学生までが盛んに口にしていたような記憶がある。

勿論映画のなかでも「伴 淳三郎」は主役で、このギャグを飛ばして観客を笑わしていた。

「ズンさん(伴 淳三郎)はキャバレー「バン」のボーイをしている。同じキャパレーで皿洗いをしているゆき(清川虹子)は子供を抱え夫(田中春男)が外地から引揚げを待っていた。実は夫は既に引揚げており、悪の道に染まって恐喝をやったりしていた。やがてゆきは夫と再会することになる・・・・・・」

他に、古川ロッパ、、花菱アチャコ、柳家金語楼という喜劇の大御所も出ており、若手では南 寿美子、高島忠夫の顔も見える。

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☆「新理研映画:恐妻キュット節」(監督;毛利正樹) 28/5月封切  現代喜劇 白黒版

戦後に優れた文化映画を制作したことで知られた「理研映画」が、、昭和27年に「新理研映画」と改称するとともに、新たに劇映画の製作もはじめて、昭和30年までに6本ほど世に出している。   
そのなかには日本相撲協会と提携して製作した☆「三太と千代の山・監督;小田基義」なども含まれていた
これらの劇映画は、新東宝が配給していた。

主題歌「キュッーと一杯・久保幸江」(野村俊夫詩・米山正夫曲)  28/5月
○歌いだし「キュッーと一杯やろうじゃないか のどがグイと鳴る日暮れ・・・・・」

B面曲「女房なんか怖くない・若山 彰」(上山雅輔詩・レイモンド服部曲)同上
○歌いだし「トラもクジラも俺らの仲間 女房なんか怖くない・・・・・・」

虎も鯨もおいらの仲間・・・・・という歌詞のうち、酔いつぶれで「大虎」になるは判るが、鯨のほうは? 多分お酒を「鯨飲」するという意味なのだろうか。

「会社では威張っている中田庄助社長(河津清三郎)も、家庭では怖い久美子夫人(坪内美子)には、まったく頭があがらない恐妻家である。また隣家の久我勇作(杉 狂児)も、同病相憐れむの恐妻家なので、二人は気が合って仲がよい・・・・・・・」

他に久保幸江、宗像規子、、若山 彰、胡美芳、本郷秀雄、岡村文子らが出ていた。

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☆「東宝:安五郎出世」(監督;滝沢英輔) 28/4月封切  現代劇 白黒版

この映画の題名では「時代劇」だと思われがちだが、森繁久弥、越路吹雪が主演している現代劇になっている。

主題歌「煙突さんから煙が出た・越路吹雪」(サトウハチロー詩・仁木多喜雄曲)  28/6月
○歌いだし「煙突さんから煙が出た 今にお風呂がわくから・・・・・・」

映画は藤原審爾の小説を原作にしている。

「瀬戸内海に面した貧村に住み着いた侠客志願の風来坊・安五郎(森繁久弥)は、最初土工として水道工事で働く。やがて水道工事を妨害する悪者(小杉義男)をやっつけて、念願の土地の顔役である親分になり、お静(若山セツ子)と所帯を持っことが出来た・・・・・」

他に越路吹雪、加東大介、、藤原釜足、中北千枝子らが出ていた。

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2. 流行歌で「日傘」のついた曲名  (戦前篇)

梅雨が明けて真夏の街路に、色とりどりの花を咲かせている「日傘」は、今は殆ど「洋傘」になっている。

しかし戦前で「日傘」といえば和服に似合う「和傘」が主で、特に子供や娘さんたちがさす「絵日傘」は、派手な彩りの絵模様が目についたものだ。

童謡では今でも「絵日傘」(大村主計詩・豊田義一曲)が広く知られているが、戦前に出た流行歌となると、私は真っ先にこの曲を思い出してしまう。

恋の絵日傘・上原 敏」(矢島寵児詩・島口駒夫曲)ポリドール  S11/12月
♪「濡羽鴉の黒髪香る 江戸の名残の繻子の襟 柳がくれの手柄もゆれて・・・・・・・」

上原 敏がレコードデビュー当時に出したこの「恋の絵日傘」は、詩も曲も下町情緒にあふれており、私の好きな曲の一つでもある。

この曲の1番2番の歌詞のなかには「日傘」はなくて、3番の終わりのあたりでやっと出てくる。
♪「・・・・・恋の萌黄の日傘にかくし 逢いにゆくやら帰るやら


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戦前の他の「日傘」曲は、あまり知られていないようだが、レコードが出た年代順に並べてみることにしたい。

濠端日傘・立石喬子」(玉置光三詩・江口夜詩曲)パーロホン  S5/−月
(歌詞不詳)

たんぽぽ日傘・内山金子」(西岡水朗詩・古関裕而曲)ヒコーキ S6/9月
(歌詞不詳)

恋の絵日傘・渡辺光子」(吉見紫紅詩・近藤政二郎曲)コロムビア S7/4月
(歌詞不詳)

紅傘日傘・弥生ひばり」(時雨音羽詩・倉田俊男曲)キング  S8/7月
♪「くるくるくるり絵日傘の 蔭にかくれたあの袂・・・」


春じゃ絵日傘・松平不二男」(久我荘太郎詩・片岡志行曲)テイチク S9/5月
♪「花はくれない柳は緑 乙女心に眸も燃えて・・・・・・」

絵日傘娘・青葉笙子」(村雨紅二詩・安東夏生曲)コロナレコード  S12/4月
(歌詞不詳)

祇園絵日傘・三門順子」(林 柳波詩・大村能章曲)キング  S12/3月
日傘さして傘さして 太鼓たたみの帯しめて・・・・・」

紅日傘・豆千代」(西条八十詩・佐々紅華曲)コロムビア    S13/8月
(歌詞不詳)  この曲は舞踊小唄として、戦後までひろまっていた。

春の絵日傘・早川良三」(矢島寵児詩・島口駒夫曲)ビクター S15/3月
(歌詞不詳)

戦前では10曲のうち6曲が「絵日傘」で占められていたことになる。    
今ではもう、お芝居や舞踊以外では「絵日傘」姿を目にすることもなくなり、なんとも淋しいかぎりだ。

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3.まとめ

関東地方では数日前に梅雨明け宣言が出た。梅雨が明ければ「日傘」が主役だが、それまでは「雨傘」が手放せなかった。

梅雨時の主役の「雨傘」のついた曲名を、戦前の流行歌で調べると「日傘」曲よりもに少なくて、半分の5曲しかなかった。

しかも、その5曲の全てが、「雨傘」であっても「あまがさ」ではない?・・・・・という曲ばかりになっている

春雨傘・音丸」コロムビア S11/4月     「時雨傘・三門順子」キング  S12/10月
春雨傘・喜代丸」タイヘイ S12/2月     「五月雨傘・きみ栄」ポリドール S13/7月
勤王春雨傘・三門順子」キング S16/5月

雨傘」を「あまがさ」と読む曲名が生まれたのは戦後になってからで、昭和56年まででも数えると約10曲ほどある。   
そのなかには、昭和39年に邦訳詩がついて邦楽盤で発売された「シェルプールの雨傘」がよく知られている。

ではどうして、戦前には「雨傘(アマガサ)」曲が生まれなかったのだろうか?

戦前に流行った童謡に♪「雨 雨 降れ降れ母さんが 蛇の目でお迎えうれしいな・・・・・」とあるように、あの頃は総称的な「雨傘」とは呼ばす、個々の傘の名前「蛇の目傘・唐傘・番傘・蝙蝠傘」などと呼んでいたように記憶している。

それが戦後になって和傘が廃れ、殆ど洋傘で占められるようになると、「雨傘」の呼び名が普及したのではないだろうかと私は思う。

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さて連日のうだる暑さに、私もいささかバテ気味だが、次回は「日傘」のついた曲名の「戦後篇」へ進めることにしたい。

本題の映画主題歌のほうは、次回「昭和28年(その5)」として、コロムビア篇(5)を予定している。
                     (つづく)


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2009年07月10日

昭和28年(その3)

1.コロムビア篇(3)

今回は、昭和28年4月ごろコロムビアが出した映画主題歌を取り上げた。

他に、「曜日曲名」特集は最終回として、「月曜日」と「水曜日」の曲名で締めくくってる。

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☆「松竹:女性の声」(監督;堀内真直) 28/3月封切 現代劇 白黒版

主題歌「女性の声・並木路子」(西条八十詩・万城目 正曲)  28/4月
○歌いだし「泣けばとて何を嘆くぞ 恨むとて何を恨むぞ・・・・・・」

B面曲「紅いベレー・コロムビアローズ」(詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「夢に咲いた 夢に咲いた・・・・・・・」

映画の原作は、小糸のぶの小説からとっている。

「由紀子(水原真知子)には三上達哉(佐田啓二)という恋人がいた。ある日由紀子は妹や三上たちとハイキングに出かけたが、途中休んだホテルのロビーで父(柳 永二郎)が見知らぬ婦人と会っているのを目撃した。
やがてその時の婦人・加藤八重(市川春代)が、由紀子の実の母親であることが判り、彼女はショックをうける・・・・・」

他に、川喜多雄二、東谷暎子、草間百合子、三宅邦子らが出ていた。

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☆「松竹:花吹く風」(監督;川島雄三) 28/2月封切   現代劇 白黒版

主題歌「花吹く風・神楽坂はん子」(木下忠司詩・松尾健三曲)  28/4月
○歌いだし「泣いたわよ 泣いて別れて・・・・・・」

B面曲「君を愛すと・コロムビアローズ」(詩・曲とも木下忠司)        同上 
○歌いだし「吹く風 気ままな恋風よ・・・・・・」

この頃「神楽坂はん子」は人気が急上昇して、色もの歌謡の先輩である「久保幸江」をしのぐ勢いになっていた。
ライバルのビクターは、「市丸」や「榎本美佐江」を当てて対抗したものの、とても「神楽坂はん子」人気には追いつけなかった。

彼女は、北条誠原作のこの映画のなかでも、芸者役として出演している。

「病気の父親(富本民平)を養っている姉妹、姉の紀子(幾野道子)は小唄の師匠、妹の美樹(紙 京子)は事務員として働いている。以前の紀子恋仲だった石狩(竜崎一郎)をめぐって姉妹の心の行き違いが表面化してゆく・・・・・・」

他に大木 実、藤代鮎子、市川春代、夏川大二郎、進藤英太郎、らが出ていた。

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☆「東京映:ママの日記」(監督;春原政久) 29/1月封切 現代劇 白黒版

主題歌「ママの日記・安藤まり子」(寺尾智沙詩・田村しげる曲)  28/4月
○歌いだし「どんな楽しい夢なのか 可愛い寝顔の枕元・・・・・・」
 
B面曲「南のかもめ・鳴海日出夫」(西岡水朗詩・田村しげる曲)   同上
○歌いだし「かもめよかもめよ海のかもめ 南の丘に春はきた・・・」

安藤まり子」は、この主題歌が出たのと同じ月に、よく知られているヒット流行歌も出していた。  
今でも北海道の道央を観光すると、ガイドさんが必ず唄うという「毬藻の歌」(岩瀬ひろし詩・八州秀章曲)である。  
             
♪「水面にわたる風さみし 阿寒の山のみずうみに 浮かぶマリモよなに思う・・・・・・・」
この歌詞は、雑誌「平凡」が募集したなかでの当選歌詞だったそうだが、多分あの頃を知ってる年配者の方々にとっては、懐かしい曲だろうと思う。

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さて映画は、ラジオ東京の連続放送劇を映画化したものとされている。

「大世帯を切り盛りする道代夫人(木暮実千代)は、毎日がてんやわんやで忙しい。  ところが良人・卓夫(佐野周二)の浮気話に振り回されてイライラして、つい気晴らしに土屋(田島義文)という青年と遊んできたため、その晩良人と大喧嘩になった・・・・・・」

他に岡田茱莉子、小泉 博、沢村貞子、益田順二、伊沢一郎、島 秋子らが出ていた。

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☆「松竹:疾風からす隊」(監督;内出好吉) 28/3月封切  時代劇 白黒版

主題歌「流転侍・高田浩吉」(石本美由起詩・上原げんと曲)  28/4月
○歌いだし「天下御免の旗本育ち それも落日の江戸の春・・・・・・」

B面曲「木曽の旅唄・高田浩吉」(詩曲とも同上)       同上
○歌いだし「江戸で見染めて 木曽路で逢うて・・・・・・」

主題歌「そよ風街道・島 はるみ」(詩曲とも同上)         同上
○歌いだし「山のうぐいす 一声鳴いて・・・・・・」

B面曲「かっぱの金助・島 はるみ」(詩曲とも同上)     同上
○歌いだし「おいら江戸っ子捕物稼業 持った十手は伊達じゃない・・・・・」

映画の原作は村上元三になる。

「幕末の頃、幕府の重臣を次々と襲う「からす組」という黒衣、黒覆面の暗殺団があった。この連中の手により殺された重臣・野添民部の子息・勝馬(高田浩吉)は、妹のさくら(草間百合子)とともに、父の仇討ちのため敢然と「からす組」に立ち向かう・・・・・・」

他に岸 恵子、岩井半四郎、、北上彌太郎、月形竜之介らが出ていた。

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☆「松竹:姉妹」(監督;岩間鶴夫) 28/4月封切  現代劇 白黒版

主題歌「歌がはずめば・美空ひばり」(和田隆夫詩・万城目 正曲)  28/4月
○歌いだし「唄は世につれる 世は唄につれる・・・・・」

B面曲「乙女ごころの唄・美空ひばり」(詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「白い雲はどこへ流れる 今日も一人ジッとみつめる・・・・・・・」

主題歌「春のサンバ・美空ひばり」(藤浦 洸詩・万城目 正曲)   28/4月
○歌いだし「ほらほら釣鐘草が 土から首を出したよ・・・・・・」

B面曲「私はシンデレラ・美空ひばり」(詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「愛はやさしく幸福は楽しい うつってるゆれている・・・・・・」

「美空ひばり」の主題歌ばかりが4曲も並んでしまったが、映画のなかでも「ひばり」は、三人姉妹の末娘を演じている。

「犬飼夫婦(笠 智衆、沢村貞子)には、三人の美しい娘がいた。長女・鷹子(津島恵子)次女・つぐみ(淡路恵子)そして末娘の美鳩(美空ひばり)。この美鳩が二人の姉の結婚相手を取り持つて奔走する・・・・・・・」

他に若原雅夫、伊沢一郎、、多々良 純、吉川満子、望月優子らが出ていた。

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2.「曜日」曲名特集の最終回

七曜日」のついた流行歌曲名も、今回でとうとう最終回となった。
昭和のはじめから同56年までの間に、「火曜日」と「木曜日」のついた曲名だけはなかったので、今回取り上げた「月曜日」と「水曜日」で終わりということになる。

2−1. 「月曜日」のついた曲名

戦前には「月曜日」曲は無いので、戦後の昭和24年からはじまるが、あまり知られている曲は見当たらない。
特に20年代30年代の3曲は歌詞もわからないので、土日で遊びつかれて後の「ブルーマンデー」らしい雰囲気が表現されているかどうかは判らなかった。

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「昭和20年代」

雨の月曜日・山下智子」(門田ゆたか詩・松井八郎曲)ビクター 24/6月
(歌詞不詳)
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「昭和30年代」

月曜日の男・水原 弘」(持統院丈太郎詩・沢田駿吾曲)東芝 37/2月
(歌詞不詳)     TBSテレビドラマ「月曜日の男」の主題歌

月曜日のデイト・西条由美」(東条寿三郎詩・安部芳明曲)キング  39/12月
(歌詞不詳)

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「昭和40年代」

月曜日はからっぽ・スパイダース」(阿久 悠詩・中村泰士曲)フイリップス 46/1月
♪「からっぽなのさ みんな燃やして・・・・・・」

月曜日は泣かない・平山三紀」(橋本 淳詩・筒美京平曲)コロムビア 47/10月
♪「降りしきる雨の朝 捨てられた私・・・・・・」

月曜日の朝・八代亜紀」(悠木圭子詩・鈴木 淳曲)テイチク  47/8月
(歌詞不詳)

雨上りの月曜日・結城 大」(林 春生詩・馬飼野俊一曲)キャニオン 48/8月
♪「それはあの花火 月曜日でした・・・・・」

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「昭和50年〜同56年まで」

月曜日にはブルースを・江高マモル」(杉 紀彦詩・猪又公章曲)
(歌詞不詳)

どうして今日は月曜日・けい子とエンディ・ルイス」(岡田冨美子詩・沖田宗丸曲)ミノルフォン 51/7月 
(歌詞不詳)

雨の月曜日・アグネスチャン」(松本 隆詩・加藤和彦曲)ワーナー 52/11月
♪「映画を見た雨の昼下さがり 悲しい ラストシーンに・・・・・」

月曜日のプロローグ・ハイファイセット」(竜 真知子詩・佐藤 健曲)エキスプレス 54/5月
(歌詞不詳)

どうして今日は月曜日・鴎」(岡田冨美子詩・沖田宗丸曲)ラジオシティ  56/10月
(歌詞不詳)

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2−2.「水曜日のついた曲名」

水曜日の恋人・中山恵美子」(中山恵美子詩・中山恵美子曲)? レコード発売は未確認
(歌詞不詳)

水曜日の約束・太田裕美」(松本 隆詩・筒美京平曲)CBSソニー S50/8月
♪「あなたを待っていたの 映画街で一人・・・・・・・」

柿の実色した水曜日・ふきのとう」(山木康世詩・山木康世曲)CBSソニー S54/7月
♪「柿の実色した水曜日 はじめて君をみた・・・・・・・」

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日曜日」から始まって長々と続いた「曜日」曲名も、やっと終ることが出来た。

振り返ってみると当たり前の話かも知れないが、各年代とも「日曜日」曲が圧倒的に多かったことだけが、印象として残ったような気がしている。


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3.まとめ

七曜日の曲名特集はすべて終わったが、他に七曜ではない「曜日」のついた曲名が、私の資料に2曲ほどあったので、おまけに載せておきたい。

恋曜日・広野ひかる」(-詩・-曲)ローヤルレコード  S50年頃  (歌詞不詳)

泣き曜日・和田弘とマヒナスターズ」(浜口庫之助詩・浜口庫之助曲)ビクター 40/6月     
♪「ひとりで飲んでひとりで帰る 夜は僕の泣き曜日・・・・・」

ふっと「寝て曜日」なんて流行歌の曲名も、あってもよさそうな気がしたが、意外と歌の世界というものは、カレンダーの曜日の呪縛から抜け出せないのかも知れない。

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さて、私の住んで居る東京近郊でも、そろそろ梅雨も明けそうな季節になってきた。      
梅雨が明ければ、真夏の太陽がジリジリ照り付けるため、梅雨どきの必需品の「雨傘」から「日傘」へと、「」も模様替えになる。

炎天下の舗道に色とりどりの花を咲かせる「日傘」・・・・・・この「日傘」のついたの曲名となると、果たしてどれくらいあるのだろうか?

調べてみると、昭和のはじめから同56年ころまでに出た流行歌の中に、「日傘」のついた曲名は、私が想像していたよりは少なくて、戦前で10曲、戦後で6曲ほどがあった。    


そこで次回から「戦前篇」と「戦後篇」の2回に分けて「日傘」曲名特集をやってみることにした。

本題の映画主題歌の次回は「昭和28年(その4)」として、コロムビア篇(4)を予定している。
                  (つづく)


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2009年07月03日

昭和28年(その2)

1.コロムビア篇(2)

今回は、昭和28年の2月から3月頃に出たコロムビアの映画主題歌を取り上げた。

ほかに今回の曲名特集は「金曜日」にしたが、前回の「土曜日」と比べると、曲数はぐっと少なくなっている。

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☆「大映:新婚のろけ節」(監督;田中重雄) 28/3月封切  現代劇 白黒版

主題歌「こんな心持ち察してね・高倉 敏、久保幸江」(西条八十詩・古賀政男曲)28/2月
○歌いだし「お顔みながら手をとりながら なぜに言えないあなたのあの字・・・・」

B面曲「そんなのないわよ・久保幸江」(水上京弥詩・古賀政男曲)      同上
○歌いだし「今日は会社がいそがしい おそくなるとの電話です・・・・」

久保幸江と組んで色っぽい調子でうたっている「高倉 敏」は、昭和14年にコロムビア・リズムボーイズの一員として専属となり、戦争末期には「かくて神風は吹く」などの戦意高揚の歌ばかり唄っていた。
戦後は「恋のマドロス」(S24年)がヒットしてから、第一線歌手として脚光を浴びている。

この映画には2組の新婚夫婦が出てくる。
「大木君(三田 隆)とマリ子さん(三条美紀)、平野君(船越英二)ときぬ子(久保幸江)さん。
この二人の若奥さんが家計の赤字補填のため、一緒にキャバレーに勤めることになった・・・・・・」

ほかに進藤英太郎、小川虎之助、高倉 敏、荒川さつき、神楽坂はん子が出ていた。

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☆「東宝:七色の街」(監督;山本嘉次郎) 27/12月封切 現代劇 白黒版

主題歌「風の落葉・越路吹雪」(野上 彰詩・仁木多喜雄曲)      28/2月
○歌いだし「逆巻く木枯しに おののく落葉は・・・・・」

B面曲「月のしずくに・岡本敦郎、安藤まり子」(詩曲とも同上)    同上
○歌いだし「今宵別れて南と北と 幾山河へだてる空に・・・・」

原作は武田麟太郎の小説「銀座八丁」から。

「新聞社の社会部記者・大久保(池部 良)は、山田組のボスの娘・みどり(岡田茱莉子)の行方を求めて銀座を探索している。そのうち大久保の昔の恋人・町子(広瀬嘉子)の話から、みどりが町子の部屋に居ることを知った・・・・・・」

ほかに、越路吹雪、古川ロッパ、藤原釜足、佐々木孝丸、村上冬樹らが出ていた。

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☆「松竹:江戸いろは祭」(監督;内出好吉) 28/1月封切 時代劇 白黒版

主題歌「江戸いろは祭・高田浩吉」(西条八十詩・上原げんと曲)   28/3月
○歌いだし「蛸は酢でもつ鮪はさびで 花の江戸っ子意地で持つ・・・・・」

上の歌詞を見ると、なにか都々逸の文句ような感じがしないでもない。  
もともと花柳界にも詳しい粋人「西条八十」らしい一面が見える。

B面曲「人待ち柳・高田浩吉」(石本美由起詩・上原げんと曲)    同上
○歌いだし「宵の隅田の小雨にぬれる 橋のたもとの人待ち柳・・・・・・」

高田浩吉主演のこの映画は、村上元三の小説を原作にしている

「め組辰五郎(月形竜之介)の子分で纏持ちの半次(高田浩吉)を中心に、神明の町芸者小稲(宮城千賀子)、御家人やくざ、悪旗本、力士などが、江戸の下町を舞台に入り乱れてドラマが展開する・・・・・・」

他に山田五十鈴、、高千穂ひづる、戸上城太郎、菅井一郎、吉川満子らが出ていた。

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☆「大映:とこ春じゃもの」(監督; 仲木繁夫) 28/3月封切  現代劇 白黒版

主題歌「とこ春じゃもの・鶴田六郎、高倉敏、久保幸江」(野村俊夫詩・平川英夫曲)28/3月
○歌いだし「アリャサ春じゃ 花見じゃ浮き浮きじや・・・・・」

B面曲「にこにこしゃんしゃん・伊藤久男、奈良光枝、伴久美子」(詩曲とも同上) 同上                                   ○歌いだし「春はうれしや心ははずむ 花をながめて浮き浮きブギよ・・・・・・」

ハテ「とこ春じゃもの」の「とこ」とはどんな意味なのか?

昭和26年のヒット曲「ヤットン節・久保幸江」(野村俊夫詩・レイモンド服部曲)のなかにも♪「・・・・トコねえさん 酒もってこい」という歌詞がある。

戦前の流行歌曲名をみても「とこ」のついた歌が3曲もあった。
トコイットだね・二村定一」(サトウハチロー詩・井田一郎曲)ポリドール S6/2月

トコトッテモ嬉しいね・二村定一」(佐々木緑亭詩・大村能章曲)ヒコーキ S7/9月

トコ張さん・藤本二三吉」(柳 水巴詩・中山晋平曲)ビクター S7/9月

3曲目の「トコ張さん」の張さんとは、一体誰なのだろうか?            
実は満州事変当時に東三省軍閥の親玉だった「張学良」のことで、日本軍とは積極的に戦おうとしなかつた人物なのだが、なぜか「時の人」として流行歌にまで登場している。
(東三省は、現在の遼寧省・吉林省・黒竜江省からなる)

柳 水巴(西条八十の別名)の歌詞を、ちょいと見てみよう。
親のゆずりの東三省を 灰にするのも天の罰 チョッカイ出したが身の詰まり トコ張さん、どうしたね」 

「張学良」は、昭和3年に奉天郊外の列車爆破事件で死んだ「張作霖」の長男なので「親ゆずりの領土」という意味になる。

まさに満州事変も西条八十の手にかかると、花柳界のお座敷調の唄で茶化してしまってる。
まだまだこの事変当時には、戦の歌にもおおらかさがあったようだ。

とにかく「トコ○○」というのは、明治大正の頃から、花柳界で唄われる俗曲・戯れ唄のなかに時々出でくるのでが、語源についてはよく判らない。

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サテ話がそれてしまったので、映画の「とこ春じゃもの」に戻ろう。

「金造(小川虎之助)銀作(益田喜頓)という親同士が反目しあったため、愛し合いながら結婚も出来ない一郎(船越英二)とはる子(長谷川裕見子)、二人はとうとう家出をしてしまった。家出の原因をお互いになりす合っていた親たちが、ひょんなことから仲直りをしたため、若い二人に春が訪れる・・・・・」

他に伏見和子、久保幸江、鶴田六郎、高倉 敏らが出ていた。

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☆「東宝=東京映画:恋人のいる街」(監督; 阿部 豊) 28/2月封切 現代劇 白黒版


主題歌「ガラス張りの青春・藤山一郎」(野上 彰詩・原 六朗曲)同上 28/4月ごろ?
○歌いだし「ほほえむ春風 君と二人寄りそえば 世界は僕のもの・・・・・」

NHK新聞の昭和28年4月18日の紙面に、この「ガラス張りの青春」という映画主題歌が歌詞つきで載っていた。
ところが「加藤正義;昭和流行歌総覧(戦後篇)」には、この曲は記載されていない。

映画のほうは現実に封切公開されているので、主題歌のほうだけが幻の主題歌になってしまった

またやはり当時の新聞に「恋人のいる街・池 真理子」という曲が紹介されているが、これも前記の「流行歌総覧」には記載されていない。
若しかしたらこの2曲がAB面で組んで、レコードが出る予定だったのかなとも思えるが、真相は判らない。

さて映画の方は、若き日の三国連太郎が主演している

「バクさん(三国連太郎)は、人がよくて漂々とした街のサンドイッチマンである。その彼の家に、由美(旭 輝子)という娘が転がり込んできた。それ以来彼の周辺には、トラブルが次から次へと起きてくる・・・・・」

他に、青山京子、、大泉 滉、関 弘子、田崎 潤、田代百合子、らが出ていた。

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2.「金曜日」のついた曲名

昭和のはじめから56年間をみると、「金曜日」曲名は11曲で、同数の「月曜日」曲と並んで3位になる。しかし1位の「日曜日」2位の「土曜日」からみると数ははるかに少ないので、今回は全曲を載せてみることにした。

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「昭和20〜30年代」

戦前には「金曜日」曲はなかったので、最初は昭和25年からになる。


金曜日のブルース・黒木耀子」(門田ゆたか詩・竹岡信幸曲)コロムビア S25/6月
♪「暗い酒場のランプの影に あの日忘れた琥珀のパイプ・・・・・・」

金曜日の女・園浦ひろみ」(八反ふじを詩・倉知 輝曲)東芝  S34/11月
♪「きまっていつでも金曜日 きまっていつでも二番テーブル・・・・・・・」

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昭和40年年代

まず「13日の金曜日」という曲が、昭和45年から46年にかけて3曲も出ている。

13日の金曜日」というアメリカ・パラマウント製作のホラー映画が、昭和55年ごろ公開されているが、流行歌のほうがそれより10年近くも前に出ているので、この映画の影響とはどうも思えない。

13日の金曜日・中山恵司」(−詩・−曲)CBSソニー       S45/8月
13日の金曜日・松村幸子」(深沢健三詩・赤星健彦曲)東宝レコード S46/2月
13日の金曜日・サスケ」(−詩・−曲)ユニオン          S46/12月

いずれも(歌詞不詳)のため、それぞれ別曲なのか或いはカバー曲も含まれているのかは判らない。
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後は年代順に並べてみよう。

金曜日の奇跡・ピーター」(なかにし礼詩・筒美京平曲)CBSソニー  S45/-月
♪「名前も知らない身の上もきかない ただ愛が欲しくてこの部屋に来たの・・・・・」

金曜日の朝・吉田拓郎」(安井かずみ詩・吉田拓郎曲)CBSソニー  S48/12月
♪「トロリトロトロ目が覚める 霧も晴れてた赤い屋根・・・・・」

金曜日には奪いに行く・江川ひろし」(阿久 悠詩・中村泰士曲)コロムビア S49/12月
♪「これが恋だと知って じつとしてはいられない・・・・・」

金曜日の晩に・戸川昌子」(佳村昌季詩・神戸真理子曲)東芝 S50/-月
♪「金曜日の晩にあなたは手をふり 金曜日の晩にちょと振り向いて 金曜日の晩にもどってくると言った・・・・・・」                        
これは1番の歌詞の中に、ご丁寧にも3っも「金曜日」がはいっているというシャンソン曲。

わがまま金曜日・榊原郁恵」(藤 公之介詩・森田公一曲)コロムビア S52/6月
♪「ウウウわがまま わがまま わがまま放題し放題・・・・・」

金曜日の微笑・コンドルス」(伊達 歩詩・梅垣達志曲)コロムビア  S55/-月
♪「あなたの微笑が雨の中で光る 静に手を伸ばし水玉くちづける・・・・・・」

嵐の金曜日・ハウンド・ドッグ」(詩曲とも八島順一)CBSソニー  S55/3月
♪「ワイングラスのシェリー飲み干せば ガラスの中にお前のラブリーアイズ・・・・・」

金曜日の天使・近田春夫&ビブラトーンズ」(近田春夫詩・福岡 裕曲)ブローアップ S56/10月
♪「金曜日の夜遅く 港区のディスコティックは・・・・」

以上で「金曜日」のついた曲名は終わりとしたいが、休日の前の日らしい雰囲気の曲が多い印象は感じられた。

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3.まとめ

今回「13日の金曜日」という曲の話が出たが、暦を見ると今年は11月に、この縁起の悪い組み合わせの日があるようだ。                           
「13日の金曜日」といっても、クリスチャンの少ないわが国では西欧の人々ほど気にする人は少ないようだ。    
私なんかは時々「あれ?明日は13日で仏滅か・・・・」なんて、意味のない早とちりをしたりしている。

因みに昭和の流行歌の中には、縁起の良くない曲名も多少はあるものの、さすがに「仏滅」のついた曲名はないようだ。

一方で縁起が良くて喜ばれる「大安吉日」という曲名は、2曲だけ見つかった。

大安吉日・谷岡としおとトム&ジェリーズ」(-詩・-曲)東宝タム S47/12月
大安吉日・野路由紀子」(吉田 旺詩・遠藤 実曲)RCA  S49/11月

2曲とも(歌詞不詳)なので内容はわからないが、多分結婚式の日のことを唄っているのだろうと思う。

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さて次回は、曜日特集の最後として「月曜日」曲11曲、と「水曜日」曲3曲で締めくくることにしたい。

映画主題歌の次回は、「昭和28年その3」を予定している。
                  (つづく)



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2009年06月26日

昭和28年(その1)

1.コロムビア篇(1)

今回から戦後の「映画主題歌」も、昭和28年という年に入ることになった。

昭和28年のレコード業界の現状について、「丘 十四夫;歌暦五十年」の中ではこの様に触れている。

「流行歌界は不況・・・といわれながら、昭和28年にはいって世に現れた流行歌の数は、ついに戦前をしのいだ。
コロムビアの28年1月の新譜をみると、発売された流行歌は30曲を越え、戦前流行歌の活況時代ともみられる昭和15年ころをみと20曲あまりだから、はるかにしのいでいる・・・・・」

冒頭の「流行歌界は不況・・・といわれながら」という意味のなかには、どうやら西欧から押し寄せてきたジャズの流行が、日を追うて激しくなってきたあたりも含まれているように思われる。

更に「丘 十四夫;歌暦五十年」によれば、昭和28年にコロムビアに在籍していた流行歌歌手の数は56名にも達したと書かれており、強力な陣容を抱えていたようだ。       

随ってこれから始まる同社の映画主題歌のほうも、前年の活況につづいて業界トップを走ることになってゆく。

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☆「松竹:ひばり姫初夢道中」(監督;大曽根辰夫) 27/12月封切 時代劇 白黒版

主題歌「初夢道中・美空ひばり」(西条八十詩・万城目 正曲) 28/1月
○歌いだし「旅だよ旅だよ未練はおよし 旅は青空爪先まかせ・・・・・・」

B面曲「乙女旅・美空ひばり」(詩曲とも同上)        同上
○歌いだし「眉は三日月桜のえくぼ 結ぶ紅緒の旅笠さびし・・・・・・」

この縁起のいい題名の作品は27年12月28日封切なので、勿論華やかな「正月興行」を当て込んだ映画ということになる。

「城主が老齢に達した青空城でのなかでは、権力に心を奪われた悪家老が、城主の縁つづきで痴呆の大之亮をまつり上げて、蔭で実権を握ろうとした。     
それを知った城主の娘・ひばり姫(美空ひばり)は、忠臣の甲田弘之進(高田浩吉)と乙川落兵衛(森川 信)とともに、悪人どもと対決する・・・・」

他に川田晴久、宮城千賀子、神楽坂はん子、西川ヒノデ、堺 駿二、らが出ていた。

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☆「新東宝:伊豆の佐太郎」(監督;中川信夫) 28/5月封切 時代劇 白黒版

主題歌「伊豆の佐太郎・高田浩吉」(西条八十詩・上原げんと曲)28/1月
○歌いだし「故郷見たさにもどってみれば 春の伊豆路は月おぼろ・・・・・・」

B面曲「恋の忍び傘・高田浩吉」(詩曲とも同上) 同上
○歌いだし「しだれ柳かやらずの雨か ぬれてくるくる相合傘の・・・・・・」

唄える俳優第一号として戦前に人気の高かった「高田浩吉」が、戦後になってポリドールからコロムビアに移って最初に大ヒットしたのがこの「伊豆の佐太郎」でだった。       
その後も「五十三次待ったなし」「白鷺三味線」「名月佐太郎笠」とヒット曲が続くことになる。

映画でも、高田浩吉は渡世人の「伊豆の佐太郎」に扮していた。

「土地の親分・雷魚の儀十(三島雅夫)の片腕を斬り、許嫁のお美代(嵯峨美智子)とも別れて、佐太郎(高田浩吉)は伊豆を去った。彼は旅芸人一座に匿われて地方を巡り、3年ぶりに故郷伊豆に戻ると、お美代は儀十の毒牙にかかろうとしていた・・・・・・」

他に、田崎 潤、岡 譲二、小島洋々、田中春男、久保菜穂子、三浦光子、柳家金語楼らが出ていた。

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☆「松竹:わが母に罪ありや」(監督;佐々木啓祐) 27/12月封切

主題歌「母恋千鳥・高倉 敏、奈良光枝」(西条八十詩・万城目 正曲)28/1月
○歌いだし「母はあれども顔知らず 生きてさみしい兄妹・・・・・・」

B面曲「まぼろしの母・コロムビアローズ」(詩曲とも同上)        同上
○歌いだし「赤い初着で抱かれて 母をみつめたあの目つき・・・・・・」

昭和26年にコロムビアが開催した府県対抗のど自慢大会で第一位になった斎藤まつ江が、「コロムビアローズ」という覆面歌手になって「娘十九はまだ純情よ」の大ヒットをとばしたのは、前年(S27年)のことだった。

また、あの「渡る世間は鬼ばかり」のドラマを書いている橋田寿賀子が、この映画では既にオリジナル脚本を手がけているから、思えば随分息の長い作家といえるだろう。

「二十年前に我が児の永之介(佐田啓二)、雪子(紙 京子)を置いて家出した神原登世(市川春代)は、その後流転の生活を送っていた。ところが成長して家庭を築いた我が子に危機が迫っていることを知った時、母は殺人の罪を犯してまでも、我が子を護ろうとした・・・・・」

他に若杉英二、草間百合子、吉川満子、小林十九二、桜 むつ子らが出ていた。

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☆「大映:乾杯!東京娘」(監督;木村恵吾) 27/12月封切  現代劇 白黒版

主題歌「乾杯!東京娘・宮城野由美子」(米山正夫詩・米山正夫曲)28/1月
○歌いだし「歌をうたえば陽気に 手紙を書いては涙を流す・・・・・・・」

B面曲「君送る小径・宮城野由美子」(詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「いつまでもいつまでも 君を送ったこの小径・・・・・・・」 

映画の原作は「中野 実」なのだが、映画のあらすじの資料がみあたらず、内容はわからない。

出演しているのは宮城野由美子、三田 隆、香川京子、菅井一郎、荒川さつき、らになっている。

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☆「松竹:新東京行進曲」(監督;川島雄三) 28/4月封切  現代劇 白黒版

主題歌「新東京行進曲・藤山一郎、奈良光枝」(西条八十詩・古賀政男曲)28/1月
○歌いだし「あの夢この夢抱きしめてさまよえば 若き日の東京思いではなげく・・・・・」

B面曲「東京夜景・久保幸江」(詩曲とも同上)           同上
○歌いだし「今夜待ちましょ銀座の柳 柳数えて七本目 あなたこなけりゃ柳の糸が・・・・」
追伸  (DJ AJIさんから歌詩の提供をいただきました)

この「新東京行進曲」は、東京日日新聞と都交通局の企画で世に出たものだが、同じ西条八十の作詞でも昭和初期の大ヒット曲「東京行進曲」には到底及ばなかった。

映画は、雑誌平凡に連載された小説(入江徳郎、辻本芳雄、戸川幸夫)を原作としている。

「新聞記者の真砂 隆(高橋貞二)は、同僚の一ノ瀬文子(小林トシ子)からの恋情に気づかず、須田美代子(淡路恵子)に恋していた。一方で真砂の幼な友達である林 三郎(北上彌太郎)も美代子に好意を寄せていた・・・・・・・」

他に北原三枝、三橋達也、、大阪志郎、桂 小金治、多々良 純、坂本 武らが出ていた。

追伸  (DJ AJIさんから下記のような、この映画を観たご感想が寄せられました。有難うございます)

「この映画は筋はあまり面白くなく、いろいろな話を入れ込みすぎている感じです。
しかし当時の東京の風景として貴重な場面が多く、勝鬨橋の中央部が上方に開いている風景、須田町行きの都電、木製の長椅子であった後楽園球場の客席、などが出てきます。もとの「東京行進曲」は昭和11年に真砂、林らが行っていた小学校で真砂たちが歌って教師に叱られる場面、戦後の同窓会で真砂たちが歌う場面の2回出てきます。
ラスト近くでは後楽園球場で「ミス職場コンテスト」(冒頭の字幕から見ると実在のもよう)の発表会が行われ、マウンド上に建てられたステージでゲストの藤山一郎と奈良光枝が「新東京行進曲」を歌うシーンがあります。野球場などにステージを建ててコンサートやイベントを行うのはもっと後になってからの発想かと思っておりましたが、この時代に行われていたのは驚きでした。」

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2.「土曜日」のついた曲名

今年の4月頃「日曜日」の曲名特集を取り上げだが、その時七曜日の順位と曲数を書いているので、再度載せてみよう。

「昭和のはじめから約半世紀(昭和56年まで)の間に出た流行歌曲名を見ると、七曜日では日曜日のついた曲名が圧倒的に多い。

日曜日→86曲  土曜日→28曲  月曜日及び金曜日→11曲づつ
水曜日→ 3曲
  火曜日と木曜日はなかつた」

今回取り上げる「土曜日」は「日曜日」に次ぐ順位になる。    
曲の数では「日曜日」の三分の一しかないとは言っても、1回で全曲載せるのは数が多すぎる。

そこで特に多い昭和40以降の曲については、当方で適当に選んでみることにした。

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土曜日」のついた流行歌の曲名は、戦前と戦後初期の昭和20年代には見当たらないので、「昭和30年代」の2曲から始めることにしたい。

「昭和30年代」

一人ぼっちの土曜日・大竹規子」(横井 弘詩・佐伯としを曲)キング  S35/4月
○歌いだし「あなたを待った想い出の 土曜日はイヤイヤイヤ・・・・・・」

土曜日の午後・ビクターうたごえグループ」(生田 圭詩・山下毅雄曲)ビクター S39/7月
(歌詞不詳)


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「昭和40年から同56年まで」

この17年間には、26曲という沢山の「土曜日」のついた曲名が集中している。
そこで、一部の曲だけを選んでみることにした。
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まずは「ちょっと気になる土曜日の曲名」

土曜日はきらい・ダニー飯田とパラダイスキング」(詩曲不詳)クラウン  S41/12月
(歌詞不詳)

土曜日の夜はこわい・美樹克彦」(星野哲郎詩・鈴木邦彦曲)クラウン S45/3月
(歌詞不詳)

土曜日の午後は悲しくて・山内 賢」(仁織勝博詩・仁織勝博曲)東芝 S45/4月
♪「たしかに雨が降ってた あれは土曜日の午後・・・・・・」

危ない土曜日・キャンデーズ」(安井かずみ詩・森田公一曲)CBSソニー S49/4月
♪「ふたりっきりになったら どうしたらいいかしら・・・・・・」

土曜日の夜だというのに・宮原芽映」(宮原芽映詩・宮原芽映曲)ワーナー S56/4月
(歌詞不詳)

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さて今度は、明るくて期待の持てそうな土曜日」曲を5曲ほど選んでみた

愛の土曜日・シャープホークス」(尾中美千恵詩・鈴木邦彦曲)セブンシーズ S42/4月
 ♪「ギターを抱いて土曜の午後は 君と行こう青空の下・・・・・・・」

土曜日は私と・倍賞千恵子」(横井 弘詩・小川寛興曲)キング      S43/4月 
 ♪「なにもいらないわ 傍にいるだけで とても幸せな気持ちになるの・・・・」

土曜日の恋人・小橋玲子」(峰 文人詩・山田隼人曲)ミノルホン  S44/5月
 ♪「連れていってほしい ふたりだけの木蔭 蜜のようにあまい恋の夢をみたい・・・・」

土曜日は一番・ピンキーとキラーズ」(岩谷時子詩・いずみたく曲) キング   S45/1月
 ♪「土曜日は土曜日は一番 あの人と遊びに行けるわ・・・・・・」

土曜日はしあわせ・小鹿ミキ」(北山 修詩・田辺信一曲)エキスプレス  S46/-月
 ♪「時計の音が気になる コチコチ聞えてくる・・・・・」

最後には、もっともシンプルな「土曜日」という3文字だけの曲名を取り上げて、締めくくることにしよう。

土曜日・山崎 功」(-詩・-曲)コロムビア 44/12月   (歌詞不詳)

土曜日・川口 豊」(-詩・-曲)クラウン 44/2月     (歌詞不詳)
川口 豊はその後「夏木ゆたか」に改名している

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3.まとめ

梅雨本番で、じめじめとした蒸し暑い日が続いている。     
体力のない私のような年寄りには、この蒸し暑さがじわじわと身体にこたえてきて、辛いものだ。

おまけに、脳の中にまでカビが生えてしまったのか、脱力感に加えて思考力まで減退してしまい、次回の「曲名」特集は何にしたらいいか、なかなかいい案が浮かんでこない。

こうなったら曜日特集を更につづけて、当面をしのぐしかないと弱気になってきた。
つまり、今回の「土曜日」曲に続いて「金曜日」や「月曜日」をピンチヒッターとして登場させようかという案なので・・・・・・こうした安易な考え方に、私は簡単に妥協してしまった。

もっともらしい理屈をつければ、今まで取り上げた「日曜日」「土曜日」が「休日・曜日」であるに対して、ウイークディの「働く・曜日」となると、何か曲名にも雰囲気の違いがあるのではないだろうか?との期待もある。

ということで、次回は「金曜日」次々回は「月曜日」と、曲名特集を組んでみることにしたい。

本題の映画主題歌の次回は、「昭和28年(その2)」としてコロムビア篇(2)を予定している。
                      (つづく)

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2009年06月19日

昭和27年(その18)

1. タイヘイ篇

昭和27年映画主題歌の最後を飾る「タイヘイ篇」では、「瀬川 伸」の活躍が目立っているが、一方で女性歌手陣は低調だったようにみえる。
またタイヘイの主題歌がついた映画を見ると、どちらかと言うとB級作品を寄せ集めたような感じがした。

他に「笑顔」のついた曲名特集の第3回目として、昭和40年から同56年までの17年間の中から該当曲を選んでみた。

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☆「大映:あばれ熨斗」(監督;安達伸生) 27/2月封切 時代劇 黒白版

主題歌「あばれ熨斗・瀬川 伸」(藤田まさと詩・島田逸平曲) 27/2月
○歌いだし「浮くも沈むもこころから 生まれ変わったこの俺に・・・・・・・」

B面曲「恋慕月夜・瀬川 伸、青葉笙子」(詩曲とも同上)  同上
(歌詞不詳)

「月刊美術」というサイトをみると、「あばれ熨斗」についてちょっと触れている。    
それによると、江戸時代に写楽が画いた役者絵の着物の図柄の説明で、「藍地に貝絞りの柄、袖なしは鼠で模様があばれ熨斗(のし)の白抜き・・・・・」とある。     

随って我々が知っている一般に贈答品の包み紙につける「熨斗」とは、形がちがうデザインの「あばれ熨斗」が昔からあったということのようだ。

この映画は、夕刊毎日新聞連載された土師清二の小説を原作としており、劇中にも江戸中期の人気歌舞伎役者中村仲蔵(嵐 寛寿郎)に、紀州家家老の寺西弥六郎(荒木 忍)から「あばれ熨斗」の画かれた引幕が贈られる・・・・・というくだりがある。

映画のなかで「嵐 寛寿郎」は、盗賊の稲葉小僧と中村仲蔵の一人二役になっていた。
他に三浦光子、市川春代、長谷川裕見子、阪東好太郎らが出ていた。

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☆「東映:最後の顔役」(監督;小杉 勇) 27/2月封切 現代活劇 白黒版

主題歌「最後の顔役・瀬川 伸」(藤田まさと詩・飯田景応曲) 27/3月
○歌いだし「広い世間に背を向けて 浮いた勝ったの勝負沙汰・・・・・・」

B面曲「愛怨夜曲・エト邦枝」(詩曲とも同上)        同上
(歌詞不詳)

映画は、山岡荘八が「講談倶楽部」に書いた小説を原作としている。

「夜の歓楽街を牛耳るボス・山野万吉(薄田研二)の娘の京子(宮城千賀子)には、幼馴染で恋心を抱いていた専太郎(竜崎一郎)がいた。しかし父親の万吉は専太郎の相手として、春子(御園裕子)を結び付けようとしたため、京子は泣く泣く身を引こうとする・・・・・・・」

他に、加藤 嘉、八汐路恵子、汐路恵子、夏川静江、上代勇吉らが出ていた。

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☆「東映=連合映画:遊侠一代」(監督;小崎政房)27/8月封切 現代劇 白黒版

主題歌「遊侠一代・藤島恒夫」(藤田まさと詩・島田逸平曲) 27/9月
(歌詞不詳)

B面曲「恋慕草紙・豆千代」(藤田まさと詩・飯田景応曲)  同上
○歌いだし「同じ想いに生きながら 西へ東へ別れ笠・・・・・」

映画の原作は尾崎士郎、同氏の名作「人生劇場」と同じ尾張三河地方を舞台にした映画だか、こちらは時代劇になっている。

「阿濃徳が神戸の長吉の縄張りの荒神山を横取りし、苦境に立った長吉は吉良の仁吉(田崎 潤)に協力を求める。仁吉は二人の子分とともに、荒神山に決死の斬りこみをかける・・・・・」という浪曲や講談でお馴染みの話に、仁吉と恋仲のおうた(野上千鶴子)の話がからむことになっている。  

荒神山で仁吉を斬った用心棒の浪人には、大友柳太朗がなっている他、水野 浩、尾上菊太郎、朝雲照代、露原千草らが出ていた。

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☆「松竹:若君罷り通る」(監督;冬島泰三) 27/10月封切 時代劇 白黒版

主題歌「若君罷り通る・瀬川 伸」(藤田まさと詩・島田逸平曲) 27/12月
○歌いだし「花の都で見せたいものは 三つ葉葵ちらし紋・・・・・・・」

B面曲「浮かれ旅唄・浅草紅香」(藤田まさと詩・飯田景応曲)   同上
(歌詞不詳)

罷り通る(まかり通る)とは、堂々と大手を振って闊歩するする、つまり傍若無人な行動を意味する言葉だが、どういう訳か戦前に出た映画題名には無くて、戦後になってから使われている。

     「罷り通る」のついた映画の題名
昭和戦前期      0本   
戦後20年代      7本
同  30年代      6本

罷り通る」という人物像のイメージからすると、普通は豪傑や無法者などが思い浮かぶけど、次のように意外と女性をテーマとした映画題名も多くある。

☆「松竹 お嬢さん罷り通る」S25年  ☆「東宝 お姐ちゃん罷り通る」S34年
☆「富士映画 爆発娘罷り通る」S35年 ☆「東映 べらんめえ芸者罷り通る」S36年

ではこの4本の映画で「罷り通った」女傑?の女優さんはと言うと、作品順に
S25年→淡島千景   S34年→団 令子、中島そのみ、重山規子
S35年→大空真弓   S36年→美空ひばり    になってる。

若君罷り通る」では、徳川家の縁つづきの松平長七郎という若君役に、北上彌太郎がなっていた。        
更に北上彌太郎は、歌舞伎役者の花井左近役にもなって、一人二役をこなしている。

「将軍後継問題で暗躍する二つの勢力が駆け引きするなか、箱根の宿で密書をめぐり伊會(高千穂ひずる)が苦境に陥ったとき、長七郎が駆けつけ花井左近と協力して伊會を救い出した・・・・・」

他に、市川小太夫、柳 永二郎、宮城千賀子、永田光男、吉川満子らが出ていた。

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☆「宝プロ:ちょび髭漫遊記」(監督;丸根賛太郎) 27/12月封切 時代喜劇 白黒版

主題歌「チョビヒゲ漫遊記・藤島恒夫」(大倉芳郎詩・飯田景応曲)27/12月
○歌いだし「晴れた街道ぶらぶら風に 旅は気まかせララ脚まかせ・・・・・・」

B面曲「トンチンカン娘・浅草紅香」(詩曲とも同上)      同上
○歌いだし「廻る絵日傘くるくると 待てばいとしい人がくる・・・・・・・」

エンタツちょびひげ漫遊記」という(S27〜28年)にNHKラジオから放送された劇を原作としてる。
随って題名の「ちょび髭」は、勿論横山エンタツのトレードマークになっているあの髭になる

「剣豪をめざして武者修行中のちょび髭侍(横山エンタツ)が、剣聖とうたわれた無敵尊者(森繁久弥)に弟子入りしたが、たちまち師匠をノシてしまい、また漫遊の旅に出てゆく・・・・」。

他に、大泉 滉、丹下キヨ子、岸井 明、坊屋三郎、益田喜頓たちと、歌手の美ち奴、久保幸江、藤島恒夫も出演していた。

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昭和27年にポリドールは映画主題歌を出していないので、これで各社別の項は終わりとなった。
次回からは昭和28年篇に移ることになる。

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2.「笑顔」のついた流行歌の曲名  (戦後篇−下)
           昭和40年代から同56年まで

今回は年代からみても、もっと「笑顔」のついた曲名が多いのではないかと思っていたが、戦前、戦後初期なみの少ない曲数になっている。

笑顔をみせて・梓 みちよ」(松原雅彦詩・白石 真曲) キング  40/12月
(歌詞不詳)

涙を笑顔に・ザ・テンプターズ」(松崎由治詩・松崎由治曲)フイリップス 43/3月
♪「俺たちは いつまでも 笑顔すてずに 苦しかった・・・・・」

悲しい笑顔・梶 芽衣子」(- 詩・- 曲)テイチク  46/3月
(歌詞不詳)

今日も笑顔で今日は・森 昌子」(藤田まさと詩・荒井利昌曲)ミノルフォン 49/7月
♪「春が静かにさようなら シャバシャバシャバラパラ・・・・」

Mr.Smile男はいつも笑顔がいい・藤原 誠」(バルコマルノ詩・大野雄二曲)バーボン 55/9月
(歌詞不詳) 丸井のCMソングでもあるようだ。

笑顔をありがとう・鶴田浩二」(藤田まさと詩・吉田 正曲)ビクター  55/11月
(歌詞不詳)

涙をふいて笑顔をみせて・ヒストリー」(-詩・-曲)エキスプレス 56/6月


これで終わりなので、いささか拍子抜けするような感じさえしている。



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3.まとめ

今回のなかに「Mr.Smile男はいつも笑顔がいい」という長い曲名が出てきたが、何事も横文字やカタカナばやりの昨今なので、もしかしたら昭和40年代から同56年までの期間では、「笑顔」よりも「スマイル」の曲名ほうが多いのではないか思って調べてみた。

するとやはり昭和50年代では、「スマイル」のほうが「笑顔」よりも多くなっていることが判った。

          「スマイル」  「笑顔」              

昭和戦前期      0曲      7曲
昭和20年代     1曲       3曲
昭和30年代     2曲      6曲
昭和40年代      2曲      4曲
昭和50〜56年  11曲      3曲

恐らくレコードからCD盤に替ってしまった最近でも、この傾向は変わらないないだろうと思う

別に「笑顔」「スマイル」どちらでもよい。ただこうした明るい曲名が、今後も減ることのないように念じながら、3回に分けた「笑顔」曲名特集は終わりとしたい。

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さて次回の曲名特集についてだが、「土曜日」を取り上げてみようかと思っている

2月前の4月後半に「日曜日」のついた曲名特集をしたが、「日曜日」に次いで多かった「土曜日」の曲名は、戦前の流行歌には見当たらず、戦後もSP盤時代にはなくて昭和30年代の末の頃から現れて、次第に数が増えてきている。

どうやら「土曜日」が完全休日に組み入れられて、2連休制になつたころから「曲名」のほうも増えたということのようだ。

さて本題の「映画主題歌」は、次回からいよいよ昭和28年に入る。
昭和27年」篇は今年の2月末から始まり丸4ケ月かけてようやく完結したから、「昭和28年」篇も此れからかなりの長丁場になることだろう。

長いといえば、私事で恐縮だが、今月2日に満84歳の誕生日をむかえた。
大正14年の生まれだから、昭和、平成と、思えば長い道のりを歩んできたものと思う。     

おかげさまで、このブログのなかの昭和の流行歌の世界を、あれこれ彷徨っている今が、生涯で最も心休まる時間になっていると、自分では思っている。

今更の感もなきにしもあらずだが、新聞や本を読むよりも駄文であっても文章を書くほうが、認知症になり憎いという巷間の説を信じることにして、もう暫く頑張ってみる積もりで居る。                                                       (つづく)














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2009年06月12日

昭和27年(その17)

1.テイチク篇(5)

テイチク篇の最後になる今回は、3本の映画の主題歌だけになった。

他に「笑顔」のついた曲名の第2回として、戦後初期の20年代と高度成長期に入った30年代の流行歌のなかから、あわせて9曲を選んでみた。

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☆「大映=新映画社:佐渡ケ島悲歌」(監督;安田公義) 27/9月封切 現代劇 白黒版

主題歌「佐渡ケ島悲歌・菅原都々子」(萩原四朗詩・陸奥 明曲) 27/8月          
○歌いだし「丘にのぼれば思い出の 君待草も花散りぬ・・・・・」

B面曲「君住む島・真木富二夫」(萩原四朗詩・福島正二曲)   同
○歌いだし「別れやませに君泣きし 港は雨か宵月か・・・・・」

昭和24年にテイチクからデビューした「真木不二夫」は、昭和27年、同28年のころだけ「富二夫」を名乗り、同29年以降になると再び「不二夫」に戻っている。

また菅原都々子は、27年暮れの紅白歌合戦では「江ノ島エレジー」を唄い、翌28年の紅白で「佐渡ケ島悲歌」を唄っているから、2年続いて「エレジー」づいていた。。

その後も菅原都々子は、「悲歌」のほうの「エレジー」曲では
「鴨川悲歌」 「新江ノ島悲歌」 「七重浜悲歌」 「北上川悲歌」

カタカナのままの「エレジー」曲では                  
「広東エレジー」 「初恋エレジー」 「名古屋エレジー」 「春のエレジー」
「流れのエレジー」 「博多エレジー」 「連絡船エレジー」 「海峡エレジー」

などなど、まさに「エレジー」の女王というに相応しい、数々の曲を世に送っている。

映画のほうは、現代版の「佐渡情話」といったところだろうか。

「医大の学生立花(根上 淳)は、夏休みに友人多胡(小原利之)の故郷の佐渡へ一緒に行った。
そこで文代(藤田泰子)という娘と知り合いになった。しかし文代を育てた祖父の浩平(清水 元)は、二人の交際をなぜか強硬に反対した・・・・・・」

他に春日俊二、田中筆子、佐伯秀男、紺 アケミ、三宅邦子、菅原都々子らが出ていた。

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☆「松竹:びっくり三銃士」(監督;斉藤寅次郎)27/10月封切 現代劇 白黒版

主題歌「肩で風切るマドロスさん・田端義夫」(大高ひさを詩・田端義夫曲)27/12月
○歌いだし「肩で風切るマドロスさんに 白い鴎がちょいと囁いて・・・・・」

B面曲「港の哀愁・田端義夫」(大高ひさを詩・長津義司曲)       同上
○歌いだし「旅の港に夜が更けりゃ 唄もしんみりエトランゼ・・・・・・」

港町で、花束を抱え道行く人に売る圭子(千秋みつる)は、目の悪い母・しげ(吉川満子)と貧しい二人暮しをしていた。そんな母娘を励ましたのが、クラブの用心棒の良太(大木 実)だった・・・・・」

他に、田端義夫、堺 駿二、大泉 滉、清川虹子、伴 淳三郎らが出ていた。

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☆「大映:母の瞳」(監督;安田公義) 28/1月封切 現代劇 白黒版

主題歌「母の瞳・菊池章子」(萩原四朗詩・倉若晴生曲)      27/12月
○歌いだし「船の影が消えても 浜の風が咽び泣いても・・・・・・」

B面曲「旅の目なし鳥・三鳩ひとみ」(萩原四朗詩・大久保徳二郎曲)同上
○歌いだし「お山の野火が燃えるのも 岬の虹が消えたのも・・・・・」

NHKラジオで放送したドラマを映画化したもので、原作者は八住利雄。
三益愛子に頼る大映の「母もの」路線は、まだまだ健在で続いている。

「旅回りのサーカス一座にいるおさよ(三益愛子)は、夫の三吉(見明凡太郎)と組んで空中サーカスで人気を呼んでいた。そのおさよは、生みの親の美津子(入江たか子)から頼まれたたま子(松島トモ子)を、我が子のように慈しみ育てていた・・・・・・」

他に伊丹秀子、、伏見和子、藤原釜足、橘 喜久子、上田吉二郎らが出ていた。

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これでテイチク篇は終わりとなり、次回はタイヘイ篇に移ることになる

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2.「笑顔」のついた流行歌の曲名  (戦後篇−上)
           昭和20年代から30年代

昭和21年から39年までのの20年間には、「笑顔」のついた曲名が9曲あった。
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「昭和20年代」

笑顔の街・松原 操」(西条八十詩・服部逸郎曲)コロムビア  23/4月
(歌詞不詳)

そっと笑顔でバイバイね・葉山久美子」(牧 喜代司詩・三界 稔曲)ポリドール 24/12月
(歌詞不詳)

涙の笑顔・旭 輝子」(詩曲とも不詳) ビクター  S24年頃
(歌詞不詳)この曲はレコード化された記録がない。多分ラジオで放送されただけかも知れない。

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昭和30年代

いつも笑顔で・市丸、三浦洸一、野村雪子」(勝 承夫詩・平岡均之曲)ビクター 31/6月
(歌詞不詳)

笑顔の職場・(村崎貞二)」(長田恒雄詩・江口夜詩曲)NHK放送  32/4月
♪「通いなれてるこの道を 今日もいそいそ朝風に 吹かれて行けばあの人も・・・・・」
これは「ラジオ歌謡」で、32年4月27日から放送されている。村崎貞二は放送時の歌手

笑顔だよお加代ちゃん・守屋 浩」(三浦康照詩・三和完児曲)コロムビア 36/12月
♪「泣いてたネ 泣いてたネ たしかに泣いてた あの夕暮れは・・・・・・」

笑顔で泣くんだ・大関 進」(島田磐也詩・飯田景応曲)東芝 36/2月
(歌詞不詳)

笑顔と涙の遠い道・美空ひばり」(関沢新一詩・原 信夫曲)コロムビア 39/10月
♪「笑顔でみつめた空の果て 涙でにじんだ日もあった・・・・・・」

青空の笑顔・ザ・ピーナッツ」(安井かずみ詩・宮川 泰)キング  39/9月
♪「青空が笑う時 あなたのあの笑顔が 思い浮かんでくるの・・・・・・」

今回の「笑顔」曲をながめて見ると、曲数が少ないことも然ることながら、どの曲も特に印象に残っていないような気がした。

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3.まとめ

笑顔」のついた流行歌の曲名は、戦前で7曲、戦後の20.30年代で9曲、さらに40年以降56年までが8曲と、どの年代を見ても思ったより数が少ないように感じた。

もともと昭和時代の流行歌曲名では、「」よりは「」のほうが圧倒的に多かったことも事実である。


          「笑」のついた曲名   「泣」のついた曲名
昭和戦前期        76曲         45曲
戦後20年代        10曲         82曲
同 30年代         28曲        322曲 
同 40年代         42曲        449曲
同50〜56年まで     52曲        168曲

よく見ると、戦前だけは「」のほうが「」よりも多かった。      
それが戦後になると逆転しただけでなく、今度は圧倒的な数の差で「」の曲数が多くなってきている。

特に昭和30年代と40年代は、「」曲名は「」曲名の十分の一しかないという、大差になっているのだが、何故この年代だけが大差をつけたのか、よく判らない。。

また「」のついた曲では、今回取り上げた「笑顔」より、「微笑む」「微笑み」「笑」のほうが、はるかに多かった。

そっと控えめな笑顔の「微笑み」もいいものだが、欧米人から見ると日本人の曖昧な「微笑み」には、奇異を感じるとも言われてきた。そんな控えめな国民性が、昭和の流行歌曲名の「」にも反映していると見ていいのだろうか。


とにかく「」より「」のついた曲名が圧倒的に多かったことについては、ちょっと気になるところだが、これも流行歌というジャンルのなかの話なので、見方によっては当然のことかもしれない。

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さて次回は「笑顔」曲名の3回目として、昭和40〜56年までの中から選んでみたい。

本題の映画主題歌の次回は、「その17」として昭和27年度の最後になる「タイヘイ」篇で締めくくることにしたい。
                  (つづく)


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