2012年01月11日
「ハルサーエイカー」感想まとめ

「ハルサーエイカー」第1話を観た。…これは凄い。大袈裟じゃなく凄い。演出も演技も音楽もCGも脚本も、全てにおいて非常にレベルが高い。まだ全貌が見えていない分、すごく深みを感じる。更に今後あの二人が仲間として加わるかと思うと鳥肌が立つ。つかオープニングでその姿を確認して泣いた。

「ハルサーエイカー」第2話を観た。あの知念臣悟と、あの山城智二が登場!鳥肌たった〜。で、岸本司監督お得意のオモシロ早口掛け合い。芸人さんが多いから間とか完璧。スゴイ!ところで公式HP見るとシルエットが5人。今3人として、もし今後加わるのがベンビーだったら…神ドラマだな、これ。

「ハルサーエイカー」第3話を観た。もういちいち面白い。で、いちいち演技がうまい(今回は農家の息子がかなり良い)。…にしても、1つ目の黄金野菜なんだろう。農家のおばさん、もしくは息子が実は黄金野菜だったら面白いんだけど。ただそうするといよいよ普通の人間がいなくなるからなあ(笑)。

「ハルサーエイカー」第4話を観た。個人的には姑が誘拐されて、助けに行ったアイ達3人はフルボッコにされて、嫁が身を挺して姑を助けようとするがやはりフルボッコにあい、もうダメだとなった時に、黄金野菜が自分を育ててくれた姑に力を与え、姑がクラストでドブー達を倒すという展開を希望。

「ハルサーエイカー」第5話を観た。面白いんだけど、その面白さに少し慣れた。そろそろ奇を衒った衝撃的な展開があるといいなあ。今までのヒーロー物にはない意外な展開=オリジナリティ=話題性=視聴率に繋がると思うんだけど。映像に興味がない人にもオススメできるわかりやすいウリが欲しいなり。

「ハルサーエイカー」第6話を観た。面白いんだけど失速してる感は否めない。どんなにセリフのテンポがよくても、先が読める展開だと全体が緩慢に感じてしまう。今回からの新キャラがいずれ仲間になったり、黄金野菜発見の件で親子の軋轢が解消したりする展開なら、ちょっと期待外れかなあ。

「ハルサーエイカー」第7話を観た。豚人間、すごくイイ。演じてるのはお笑い芸人さんだけど、もったいないほど芝居がうまい。ヘラカマしかり、単純に演技がうまいんじゃなくて、自分が物語の中でどういう役割を果たすべきか完全に理解していて、その上でキャラを作っている感じ。観ててホント楽しい。

「ハルサーエイカー」第8話を観た。作りは丁寧。所謂「いい話」だけど正直感動はしない。黄金野菜農家は前回が母子家庭で今回が父子家庭。どちらも家族の絆の話。肝心の野菜探しはただいろんな畑に行くだけ。もう少しいろんな見せ方があるような気がするんだけど…。新しい武器はカッコ良かった。

「ハルサーエイカー」第9話を観た。市街地だと新鮮。ただ市場での戦いは先にマブヤーで観たからなあ(笑)。それはそうと仲間内でのギスギスは観ててもやだなあ。じゃれあってるくらいの方がいいなあ。最近は悪者のほうが仲良さそうだしなあ。だっふんだは完全に忘れてたから突然やられて驚いたなあ。

「ハルサーエイカー」第10話を観た。あー面白かった。狭い室内での戦いとか、転んで窓を突き破って落っこちゃうんじゃないかって、もう見ててハラハラドキドキ。ひーぷーも良かったなあ。ハルサーエイカーはキャスティングが絶妙すぎて好き。でもヘラーは多分死んじゃうなあ。残念。

「ハルサーエイカー」第11話を観た。いい死に様を見た。場所も時間も良かった。ああいうなんでもないようなところで人は突然死ぬもんだよね。改心もせずに。そして素敵な音楽。ホントいいものを観た。

「ハルサーエイカー」第12話を観た。真っ黒い巨大な柱みたいなのが建つの、メチャクチャかっこいいわあ。すぐ崩れたけど。ハルサーエイカーはCGと音楽が抜群に良いなあ。リョウは今回で最後の出演なのかな?今のところたいした爪あとも残してないし、もう少し活躍してほしい。

「ハルサーエイカー」最終回を観た。力では勝てそうもないから膝まづいて懇願するっていうラストは斬新だけど…どうなんだろ。カマーもヘラーも全力で戦って死んでいったのに。いろいろ深いことを語ってるような感じではあるんだけど、正直何が言いたいのかよくわからなかった。
2012年01月09日
「琉神マブヤー3」の感想まとめ

「琉神マブヤー3」第1話を観た。YouTubeで期間限定配信されているらしいのでこの機会に内地の皆さんも是非!待望の第3シーズンもマブヤー通常営業かと思いきや、ラストで最終回間際のような展開!でもどうせならもっと大風呂敷を広げてもいいような気がする。謎が謎を呼ぶような縦軸希望。

「琉神マブヤー3」第2話を観た。Coccoが凄い。Coccoが違和感なくハマるマブヤーって凄い。カナイはまたブタのTシャツを着ていたなあ。旅先でブタのTシャツを見つける度に買ってしまいそうだなあ。あ、これは何が面白いのかっていうと「旅」と「度」がかかってるとこ…でたな、マジムン!

「琉神マブヤー3」第3話を観た。いやあマブヤーはマブヤーでやっぱり面白いなあ。なんかホッコリニヤニヤしちゃう。太ったオバサンの安定感もハンパないし、歩くのが早い男子ってカッコイイと思いこんでるカナイがとてもいい。カナイのそういうとこ、どんどん出していこう!

「琉神マブヤー3」第4話を観た。ブレないなあ、マブヤーは。どうしてもハルサー…と比較されて、もしかしたらネット上ではハルサー…の方が評価が高いかも知れないけど、それは小学校低学年以下はネットにカキコミとかしないからだろうと思われ。うちの小1の甥っ子も安心して楽しめるのはマブヤー!

「琉神マブヤー3」第5話を観た。やっぱりマブヤーはマブヤーで面白いなあ。ニヤニヤするのはハルサーで、ゲラゲラするのはマブヤーかな。公設市場での戦い、すごくイイ!大自然ばかりだったから新鮮。せっかくだから米軍基地に追い詰めて米兵にどうにかされちゃうみたいなやっつけ方もアリだと思う。

「琉神マブヤー3」第6話を観た。マジムンの正論に反論できないマブヤー達。せめてマヤは「うるせえ、ごちゃごちゃ言うな!邪魔だから殺すんだよ!」みたいなスタンスの方がマブヤーはより悩んだんじゃないかしら。それにしてもカナイは声がとてもイイ。できれば終始あの帽子を被ってて欲しかった。

「琉神マブヤー3」第7話を観た。ヤシガニ怪人、すごくイイ!子供と何かが合体して怪人になるっていうのはすごくステキ。他のマジムンも子供+何かだったらいいなあ。妙に子供っぽい性格にも説明がつくし。あとニライのTシャツは誰かがツッコむべき。

「琉神マブヤー3」第8話を観た。今シーズンのマブヤーは難しいテーマにサクサク斬り込んでいく。しかも多少強引でも答えを出す。その姿勢が素敵!でもテーマを明確にするならヤシガニじゃなくてイルカにした方が良かった気もする。沖縄でもイルカを食べるのはあまり知られてないだろうし。

「琉神マブヤー3」第9話を観た。神回。連続ドラマにとって主要人物が突然死亡するのは物語が一気に面白くなる要素の一つ。ただこれが生き返っちゃうとガッカリ感がハンパない。だから彼女は生き返らせないでほしい。今回のマブヤーは生死をテーマにしてる部分もあるじゃないですか。だったら…ね?

「琉神マブヤー3」第10話を観た。前回の続きからだとまずはシリアス展開かあ面倒くせえなあとか思ってたら、いきなりCocco先生登場でいろんな段階すっ飛ばしちゃう気持ち良さ。うちなーたいむもうまくバトルシーンに組み込まれてて心憎いわー。ニライもふざけてる時はイキイキ(笑)

「琉神マブヤー3」第11話を観た。ハイ、ふざけたー。CM入る直前のカットふざけたー。…にしてもカナイ、その内カマとかヘラのイラストがプリントされてるTシャツとか着始めそう。だってこの人、絶対面白い人だもの。ふざけるのとか大好きそうな人だもの。

「琉神マブヤー3」第12話を観た。え、次もう最終回?マジか。もっとやればいいのに。渡鬼みたいに1年やればいいのに。敵と味方が協力してワーっていうのは個人的に気恥ずかしくて受け付けないんだけど、子供はそういう展開、鳥肌立ったりするよね。それにしても次回で終わりというのは寂しい。

「琉神マブヤー3」最終回を観た。あー面白かったー!まさに大団円。これぞ大団円!ニフェ―の笑顔がすべてを昇華させるっていう。マブヤーのもってるある種の軽みって自分が移住する前に沖縄に対して持ってたイメージと限りなく近い。来年もマブヤー達の仲良くケンカする姿が観れるといいなあ!
2012年01月07日
ハルサーエイカー 最終話の予想(後編)
長いので前編・後編に分けました。
先に前編からどうぞ。
◯コウダカ島の浜辺(昼)
祖、黙っている。
アイ「TPPさね?」
アイ「言われなくても斬る」
祖「だが…だが最後にこれだけは聞いてくれ」
沖縄で生まれたニューヒロイン。実はその宿敵は日本をTPPに無理やり参加させようとするアメリカー。よくわかってない人にはTPPそのものが悪いものなんじゃないかっていう先入観すら与えることができる。
ハルサーエイカー 最終話の予想(前編)
…といっても前回自分で書いた第12話の予想の続きです。予想でもなんでもないです。
今回も長くなってしまったので、前編・後編に分けてあります。
◯港(朝)
カマー「ヘラー!ちょっとぶり!」
ヘラー「おお、カマー。ちょっとぶり」
2011年12月31日
12月のサーフィン日記

昼サーフィン。実に41日ぶり。オーダーしたウェットスーツ(フル)を初めて着る。水は冷たいのに全然寒くない。凄い。ただ胸のあたりが苦しいなあと思ってたら、猛烈な吐き気が。ウェットがキツイからなのか、寝不足だからなのか、何も食べてないからなのか、原因は不明。早々にあがる。

昼サーフィン。吐き気の原因はやはりウェットがキツイからみたい。胸じゃなくて首周り。パドリングしてるときって上半身を反るから、その時にぎゅっと締まる。多分それが原因。もっとサクッとアウトサイドに出れればパドリングの時間も減るし、楽になると思うんだけど…。

「サーフィンとか始めちゃってぇ」なんてひと通り人に話したら、ちょっと熱が冷めたかも…。やっぱり人に話したかっただけなのかなあ(自嘲)。外寒いし、海冷たいし、なんか吐き気するし。まあ無理して続けてもなあ。でも波に乗れた時のあの快感は忘れられないんだよなあ(←クスリに依存するタイプ)
12月に観た映画

「ヤギと男と男と壁と」を観た。イラク戦争中に実際にあったんだかなかったんだか結局よくわからない米軍の超能力部隊の話。なんか面白いんだけど冗長に感じる。砂漠ばっかりだし。タイトルも「ヤギ男と壁男」にしちゃえばいいのに。ヤギ男と壁男が超能力で戦う話にすればいいのに。

「ラブリーボーン」を観た。変態に殺された少女が天国のようなところでフワフワしながら残された家族を見守る話。面白いけど丁寧すぎて長い。あと40分くらい切れる。と思ったらロード・オブ・ザ・リングの監督か!あんた長いんだよ!大ヒット上映中のTINTINもお前か!TINTINも長いのか!

「ハーパーズ・アイランド」全13話をまとめて観た。孤島での結婚式に参列した人々が、謎の殺人鬼に次々と殺されていくお話。ミステリーになっていて犯人当ての要素もあり。当然視聴者は片っ端から疑っていくんだけど、それをいったん覆してからもう一度ひっくり返すという素敵さ。面白かった。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を観た。西原理恵子とアルコール依存症の元夫の話。正直何が面白いのか、よくわからなかった。この映画で得たものといえば西原理恵子の絵は本人が色を塗っていないということくらいだと思う。

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」を観た。もう今までの流れとか登場人物とか全然覚えてないから、ただCGを楽しむだけ。「謎のプリンスは、実は私だあ」なんて言われても「はあ」みたいな。でもCGすごいし、特に冒頭の現実世界?に黒い墨みたいのがワーってなったりするのは面白かったです。

「リンダリンダリンダ」を観た。アイドル女優のPR映画にちょっとでも奥行きを出すためにブルーハーツを利用するのは本当にやめてください!っていう先入観で未見だったんだけど、いざ観たらまあ面白い!みんな演技上手いし、お話に無理はないし、笑いはセンスあるし。マジで観ておいて良かった。

「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」を観た。飛行機の中で上映してそうな軽いコメディ。ツボにハマるような笑いはないけど、全体的にそこそこ面白い。続編があるみたいだけど正直金を払ってまで観たいとは思わない。
2011年12月30日
ハルサーエイカー 第12話の予想
今回も前回自分で書いた11話の予想の続きなので、もはや予想でもなんでもないです。
◯メイクマン美浜店の駐車場(朝)
アイ、ゴロゴロと防波堤の上を転げまわる。
アイ、暫く立ち尽くしている。
2011年12月23日
ハルサーエイカー 第11話の予想(後編)
今回は長くなってしまったので2つに分けました。
先に前編からどうぞ。
◯北谷の観覧車の中(昼)
アイ、カマー、仙人、メイキ―君が乗っている。
仙人「お久しぶりです、金城さん」
メイキ―「ゥワー仙人、久し振りだね」
仙人「まさか猿の着ぐるみになってるとは」
メイキー「メイキー君ね」
仙人「え」
メイキー「メイキー君。そこちゃんとして」
仙人「あ、はい。メイキー君…」
メイキ―「それとこれ、着ぐるみじゃないから。中の人とかいないから」
仙人「あ、はあ(こいつ面倒くせえという表情)」
アイ「で、さっきお話ししたとおりなんですけど」
メイキ―「ああ、うん。(手に割れた箆を持っている)この箆は確かに私が作りました」
カマー「…じゃ、俺も?」
メイキ―「その姿だとわかりづらいけど、まあ多分」
カマー「ぱ、パパ…(感動)」
アイ「それで、直せますか?その箆」
メイキー「まあ、直せないことはないと思うけど、新しいの買った方が早いと思うよ。今、もっといいの出てるし。当店ではいろいろ取り揃えておりますよ」
アイ「それじゃ駄目なんです。さっきも話しましたけど、私たち別に箆がほしいわけじゃないんで」
メイキー「まあね。ヘラーにならなきゃ駄目なんだもんね」
アイ「そうなんです」
メイキー「…でもなあ」
アイ「なんですか」
メイキー「割れた鉄をつなげるにはさ普通、もう一回焼いて叩いて繋げればいいんだけど」
アイ「はい」
メイキー「この箆の場合はさ、そういうわけいかないでしょ?だってそれはすなわちヘラーを焼いて叩くことになるわけだから」
アイ「なるほど。そうすると」
メイキー「多分人間の姿に化身したとき、焼いて叩いたところは大変なことになってると思う。比嘉ブラザーズがその真価を発揮するビジュアルになってると思う」
仙人「ヒーローサイドがグロいとまずいねえ」
カマー「じゃヘラーは直せないんですか?」
メイキー「いや、確実じゃないんだけど、もしかしたら金継ぎすればうまくいくかも」
アイ「金継ぎ?」
メイキー「ほら、割れた陶器とかを元に戻すとき漆を接着剤にしてくっつけるだろう?」
アイ「そうなんですか」
メイキー「そうなの。さすがに鉄は漆じゃくっつかないから、漆の代わりに本物の金を使う」
カマー「金を接着剤代わりにして割れた鉄をくっつけるんですか?」
メイキー「そういうこと。そうすれば箆自体を焼いたり叩いたりしないから、人間の姿に化身したときも影響が小さいと思うんだよなあ」
カマー「なるほど」
アイ「でもそうなってくると…」
メイキー「そう。金が必要になってくる。しかも割と大量に」
カマー「金かあ」
アイ「どうしよう」
沈黙する4人。
仙人「そうだアイちゃん!」
アイ「なに、ションベン?」
仙人「違うよ!アイちゃんのクラストで金鉱脈から金を集めれば?」
アイ「ああ!」
カマー「なるほど、その手があったか」
アイ「豚、でかした!」
メイキー「…ダメだね」
アイ「え?」
メイキー「沖縄には金鉱脈ないから」
仙人「え、あ、そうなの?」
アイ「ダメじゃねえかよ、豚!」
カマー「チミ、仙人なのにそんなことも知らないの?」
仙人「…あれ、でも!」
アイ「なに、ションベン?」
仙人「違うよ!確か2年位前、沖縄近海の海底で金鉱脈が見つかったとかいってなかったっけ?」
アイ「えー?(カマーに)そんな話あった?」
カマー「知らない。その頃、俺、鎌だし」
アイ「ちょっとこれで調べてみる」
アイ、スマートフォンを取り出す。
アイ「…本当だ。『2009年6月22日、沖縄近海の海底で、金、銀、銅などの金属が眠る「海底熱水鉱床」の可能性が高い特殊地形が新たに見つかったと、海上保安庁が発表した。』だって」
仙人「ほら!ほらね!わんがいったとおり!」
カマー「でもこれ、海底でしょ?どうやっていくわけ?アイちゃん、潜るの?」
アイ「水深は400〜600メートル。ちょっと自信ないかも」
カマー「ゥワー仙人、もう少し考えてからモノをいってよ。ヘラーの運命がかかってるんだからさ」
仙人「…ごめんなさい」
メイキー「確かに海の底だと、ハルサーには難しいかもしれんなあ。でも…」
アイ「でも?」
メイキー「アギヤーなら、何とかなるかも知れない」
◯58号線をさらに北上する車(昼)
アイが運転し、カマーが助手席に乗っている。
カマー「アイちゃん、本当にあいつのところ行くの?」
アイ「行くよ。金を手に入れるためにはそれしかないし」
カマー「なんで?そもそもヘラーを殺したのはあいつかも知れないんだよ。協力なんてしてくれるはずないさ」
アイ「リョウはヘラーを殺してない」
カマー「そんなのわからないよ」
アイ「わかる」
カマー「なんでそんなふうに言い切れるわけ?」
アイ「見た目」
カマー「見た目!?ちょっとアイちゃん、ちゃんと説明してよ」
◯海岸(夕)
リョウに対峙するようにアイ、少し後ろにカマーが立っている。
リョウ「話はわかった。でもちゃんと説明しろ。なぜわんが殺してないと言い切れる」
アイ「やーはイケメンだから」
リョウ「あ?」
アイ「正確にいうと、やーは自分がイケメンだと認識してるから」
リョウ「そ、そんなことないやし」
アイ「自分がイケメンだという自覚がなかったら、そんなパーマかけられないでしょ、普通」
リョウ「こ、これはくせっ毛で」
アイ「とにかくやーは自分がイケメンだと認識してる。それは態度とか見ててもわかる」
リョウ「…じゃ百歩譲って、わんがわんのことをイケメンだと認識してるとして、いやしてないけどしてるとして、だとしたらなんでやったーの仲間を殺してないと言い切れる?」
アイ「イケメンは主義主張のために人を殺さんさ。そんなことわかりきってるさ」
リョウ「なぜ」
アイ「だってそんなことで人生棒に振ったらもったいないし。せっかくイケメンに生まれてきたのに。イケメンっていうだけで他人の何倍も人生を謳歌できるのに」
リョウ「はあ?そんなことで?じゃあ何か。イケメンの殺人者はいないのか?」
アイ「生まれついての狂人か、愛する人を殺されたとかいう強い怨恨があるなら、イケメンでも人を殺すと思う。でもやーの場合は違うさ。やーの目的はただ『川や海を大切に』っていう主張がしたいだけさ」
リョウ「その主張が大事なんだ」
アイ「それはわかってる。でも人を殺してまで主張するようなことじゃない。ヘラーが率先して川や海を汚したっていうなら別だけど。いや、それでもさすがに殺しはしないと思うけど」
リョウ「……」
アイ「大したメリットもないのに、やーがよく知りもしない小太りメガネのおっさんを殺すなんていうリスクを背負うようには、私には見えない。これが私がやーを信じる理由」
カマーは黙って聞いている。
リョウ「…わかった。別にわんは自分がイケメンだとか思ったことは一度もないけど、確かにやったーの仲間を殺してはいない」
アイ「(微笑んで)知ってる」
リョウ「でも、だからといって、やったーに協力する気はない。やったーはわんの敵だからな」
アイ「確かに。でもそこをなんとか」
リョウ「ダメだ。せっかく減った敵をまた増やすようなバカがどこにいる」
アイ「でも、株あがるよ?『悪人に見えて実はいい人』は一番株があがるんだから」
リョウ「そんなこと関係ない。そんなことで株上げたくない」
アイ「あなたの一歩で助かる命がそこにあるのに?」
リョウ「そんなACみたいなこと言ったって駄目なものは駄目だ。もう帰れ」
アイ「どうしても?」
リョウ「じゃあ聞くけど、やーがわんなら協力するか?しないだろ?わざわざ敵増やすようなことしてどうする」
アイ「まあ、それを言われるとアレですけど。でもこちらサイドとしても、それなりにお礼とかも考えてるんで」
リョウ「お礼なんていらん!どうせ野菜だろ?帰れ帰れ!」
リョウ、アイの肩を押す。
アイがよろける。
と、カマーがリョウの前に立ちはだかる。
リョウ「…なんだばー。やるか?」
アイ「だめ、カマー」
カマー、しばらくリョウを睨んだあと、突然土下座をする。
リョウ「…やー、何のマネだ」
カマー「…お願いします。ヘラーを助けて下さい!」
リョウ「…あ?」
アイ「カマー…」
カマー「この通りです。わんにとってヘラーは大切な友達なんです!」
リョウ「そんなこと知らんば。さっきから言ってるけど、やーの友達ってことはわんの敵ってことだろ?やー、さっきの会話聞いてたか?」
カマー「聞いてました…だから、もしやーがヘラーのことを助けてくれたら」
リョウ「なんだ」
カマー「…俺はもう戦いには参加しません」
リョウ「なに?」
アイ「…ちょ、ちょっと…カマー?」
カマー「もちろんヘラーにも参加させません。だから、だからお願いします!ヘラーを助けて下さい!」
アイ「カマー、なに言ってるの?」
カマー「アイちゃんゴメン。でも、こうするしかないんだ」
アイ「それじゃ意味無いじゃん!つか、もしヘラーが生き返っても私一人になっちゃうじゃん!カマー、自分の言ってる意味、わかってる?よく考えてしゃべって」
カマー「アイちゃん。俺にとってはヘラーの命のほうが大切なんだ。永遠の不作を防ぐことよりも」
アイ「はあ!?(リョウに)…ちょっと待ってね、今のこいつの発言ナシだから。聞かなかったことにして。(カマーに)いい?カマー、よく聞いて。ヘラーを助けるのは、ヘラーが私のサポートをするためだよね?」
カマー「うん」
アイ「それなのに、ヘラーどころかカマーも戦いに参加しなくなったら、これ、ヘラーを生き返らせる意味ないよね?」
カマー「アイちゃん、もう決めたことなんだ」
アイ「勝手に決めないでよ!あんた達、私のお供なんだからね?これ水戸黄門だったら、格さんが黄門様ほっぽり出して、助さんと旅を抜けるようなもんだよ?じじい一人で何ができんのよ!?」
リョウ「(カマーに)…どうやって信じる?」
カマー「…え?」
リョウ「やーがもう戦いに参加しないって、どうやって信じる?」
アイ「ちょ、ちょっと話、進めないで」
カマー、腕に巻いていたブレスレットを取る。
アイ「ちょっとカマー!まさかまさか(ザキヤマ風)」
カマー、ブレスレットをその場で引き千切る。
アイとリョウ、驚く。
アイ「やっちゃった!こいつ、やっちゃったよ!」
カマー「これで、俺はもうムル装備できない」
アイ「あーあ、どうすんのこれ」
リョウとカマー、しばらくお互いを見据えている。
リョウ「(ふっと笑い)わかった。協力してやろう」
カマー「本当に?」
リョウ「ああ。わんとしても敵が一気にふたり減ったほうが楽だからな」
カマー「…ありがとう(微笑む)」
アイ「バカばっかりだよ、もう!」
◯海岸(夕)
リョウ、足首くらいまで海に浸かり沖のほうを見つめている。
浜辺にアイとカマーがいる。
アイ「私もう、別に金とかヘラーとかどうでもいいんだけど」
カマー「しっ」
リョウ、首飾りを外し手に握る。
リョウ「水随方円」
リョウの握っていた首飾りが段階的に伸び、櫂の形になる。
リョウ、櫂を足元に刺す。
同時に櫂を中心に魔方陣が浮かび上がる。
リョウ「掲斧入渕」
リョウの声を合図に櫂が勢い良く空に向かって伸びる。
リョウ「照らせ」
空に向って高く伸びた櫂の先が燦然と輝きはじめる。
リョウ、印を結ぶ。
光はみるみる強くなっていき、周囲を煌々と照らし出す。
アイ「…ちょ・・・眩しっ」
アイとカマー、思わず目を閉じる。
周囲が完全に光りに包まれ、ホワイトアウトする。
◯海岸(夕)
リョウ、布袋に入った金をカマーに差し出す。
リョウ「これだけあれば十分だろ」
カマー「…うん、ありがとう」
アイ「じゃ、カマー、行こ。(リョウに)どうもでしたー(なげやり)」
カマー「(リョウに)このお礼はヘラーが戻ったら、改めて」
リョウ「別にいい。わんは約束を守っただけだ」
カマー「でも」
アイ「もう、行くよ!カマー、ほら」
アイ、どんどん歩いていく。
カマー、リョウに深々と頭を下げる。
カマー「…じゃ」
リョウ「ああ」
カマー、アイの後を追っていく。
アイ「ね、これ持って大黒屋行かない?」
カマー「アイちゃん!」
アイ「わかってるよ!余ったらだよ、もう」
リョウ、その後姿を見つめている。
と、そこにドブーが来る。
ドブー「やー、なんで助けてやった」
リョウ「…ずっと見てたのか」
ドブー「あのヨーガリーがブレスレットを切った時点で、もう協力してやんなくても良かっただろ」
リョウ「まあな」
ドブー「ヨーガリーの小太りメガネに対する思いにほだされたか」
リョウ「そんなんじゃない」
ドブー「やー、いつも孤独だからな。逆にああいうのに弱いんだはず」
リョウ「そんなんじゃない」
ドブー「じゃ、何で助けた?」
リョウ「あいつはもう、変身しようとしまいと俺には刃向かえない。あいつだけじゃなく、あの小太りメガネも」
ドブー「まあそうかもな。敵にもかかわらずここまでしてやったんだからな」
リョウ「戦えない兵士ほど、戦場で足手まといの者はいない」
ドブー「…やー、なんだか寂しそうじゃないか?」
リョウ「…は?なに言ってるばー?なんで敵が減ってわんが寂しいわけ?」
ドブー「そんなムキにならなくても」
リョウ「やーが変なこと言うからだろ!だいたいやーこそ、今頃でて来て…」
リョウの言葉を遮るようにカマーの声が響く。
カマー「月鎌!」
リョウがその声に振り返ると、目前に巨大な鎌が迫ってきている。
リョウとドブー、間一髪のところで鎌を跳ね退け、鎌は天空に舞い上がる。
アイとカマーが岩陰からその様子を見ている。
アイ「当たった!?」
カマー「ゴメン、外れたみたい」
アイ「バカ!何やってんの!」
カマー「アイちゃん、とりあえずひんぎろう!鎌が戻ってくる」
アイ「せっかくうまくいってたのに!もう!」
アイとカマー、ワーッと逃げ出す。
リョウ、砂まみれになりながら起き上がる。
リョウの頬からは一筋の血が流れている。
その背後でドブーも起き上がる。
ドブーの顔の横の触覚みたいのは右側だけ綺麗に切り落とされている。
リョウ「…あいつら…」
ドブー「…初めからこのつもりだったば…どこがヒロインやいびー」
リョウ、なぜか笑いだす。
不敵な笑みではなく、思わず笑っちゃったみたいな爽やかな笑顔。
ドブー「な、なんか楽しそうだね…?」
リョウ、笑い続ける。
第12話に続く。
2011年12月22日
ハルサーエイカー 第11話の予想(前編)
ハルサーエイカー第11話の予想をしてみました。
今回は前回自分で書いた第10話の予想の続きです。
長いので前編後編に分けて投稿してます。
◯グリーンカフェ(朝)
奥の座敷で佳苗とゥワー仙人がシーサーオーラセーをしている。
カウンターにはアイが座っている。
アイは収に借りたスマートフォンをいじっている。
アイ「…うわあ。ツイッターで批判的な書き込みすると、公式がリツイートして晒されたりするんだあ…。こわー」
そこに宅配業者が来る。手には小さなダンボール箱を持っている。
業者「こんちわー。宅配でーす」
佳苗「あーその辺に置いといて下さいー」
業者「じゃ、ここ置いとくんで。サインいいすか?」
佳苗「アイ―、お願ーい」
アイ「うぃーす」
アイ、サインをする。
業者「どーもでーす」
アイ「ご苦労様でーす」
業者と入れ替わりにカマーが入ってくる。
カマー「なに、宅配便?」
アイ「あ、カマー。ちょっと2日もどこ行ってたの…ってなにその格好」
カマー、いつもの服装だが、至る所が破けてボロボロ。顔や手にも傷がある。
カマー「あーいやーちょっと転んじゃってさー(棒読み)」
アイ「でた。『思わせぶり言い訳』」
カマー「なにそれ」
アイ「本当は転んだわけじゃないことを暗にアピールしてるけど、本当のことは言わない、思わせぶりな言い訳のことよ」
カマー「そ、そんなんじゃないよ」
アイ「言っておきますけど本当の理由なんて聞かないからね、面倒くさい」
カマー「…え、聞かないの?聞いてもいいよ?」
アイ「聞きませーん」
カマー「…あ、そう。あ、で、アイちゃんはどうだった?最後の黄金野菜、見つかった?」
アイ「ダメー」
カマー「え、ダメだったの?マジで?」
アイ「ダメー」
カマー「本当に?普通こういうのってなんだかんだあっても、結局は見つかるもんじゃないの?本当に見つからなかったの?」
アイ「カマーもヘラーもいないんだもん。私一人じゃ無理だよ。カマー、ちゃんと探してた?」
カマー「さ、探してたよ。主に松山中心に探してたよ」
カマー、おもろ草紙を広げる。
カマー「…あ、本当だ。この地域の黄金野菜は消滅してる」
アイ「あれ、それカマーが持ってるの?」
カマー「ヘラーに預かったんだよ。なんか知らないけどちょっと持っててって」
アイ「そうなんだ。…もういいから、用済んだなら早くしまって」
カマー「え、なんで?」
アイ「CGが大変なんだって」
カマー「あ、ああ(慌てておもろ草紙をしまう)そう言えばヘラーは?」
アイ「あれ?カマー、一緒じゃなかったんだ?」
カマー「うん」
佳苗、宅配便の封を開ける。
佳苗「…あら、何これ」
アイ「どうしたの?」
佳苗「なんか変なのが入ってる」
アイとカマー、箱の中を見る。
アイ「本当だ、なにこれ」
アイ、箱の中の物(割れた箆・ヘラ)を取り出す。
アイ「なんかこれ、どっかで見たことあるような」
佳苗「アイ、知ってるの?」
アイ「知ってるっていうか…なんだっけこれ」
カマー「…ア、アイちゃん、それ…(震えている)」
アイ「あ、箆だ箆。私がいつも使ってた箆に似てるんだ。…あれ?でもあの箆って…」
カマー「…アイちゃん、これ、ヘラーだ…」
アイ「…え、ヘラーってあのヘラー?小太りメガネのあのヘラー?」
カマー「間違いない、ヘラーだよ」
アイ「まさかあ。…え?でもマジで…?」
アイ、箆をじっと見つめる。
アイ、箆の臭いを嗅いでみる。
アイ「キャアッ(急に汚いものを触ってしまったかのように箆を投げ出す)」
カマー「ちょ、ちょっとアイちゃん!(慌てて箆を拾う)」
アイ「へ、ヘラーのにおいがした…。ヘラーの耳の後ろのにおいがした!」
佳苗「なになに?アイ、どうしたの?」
アイ「佳苗、そ、その箆、ヘラーなんだって…」
佳苗「ヘラーって、昨日いた小太りメガネでしょ?あの人が何なの」
アイ「あの人が、この箆なの」
佳苗「なにそれ、どういうこと?」
一連を座敷から見ていたゥワー仙人がくる。
仙人「カマー、荷物の差出人は誰になってる?」
カマー「(箱をあらためる)…書いてない」
アイ「あいつらに決まってる…。あいつらがヘラーをこんな、こんな姿に」
カマー「ヘラー…(箆の破片を手に取る)」
アイ「…カマー…(気の毒そう)」
カマー「畜生!ヘラーを返せ!ヘラーを小太りメガネに戻せ!」
アイ「それ、よく素手で持てるね」
カマー「…え?」
佳苗「ちょっと待って。本当にこの鉄の破片が、あの小太りメガネなの?」
アイ「信じられないと思うけど、そうなの」
佳苗「この箆が変身して、小太りメガネになってたってこと?」
仙人「佳苗ちゃん。科学では説明のできない不思議なこともあるんだよ」
アイ「(仙人に)おめえもな」
佳苗「豚に諭された」
アイ「佳苗。実はここにいるカマーも元は鎌なの」
佳苗「カマ?オカマってこと?今は性転換して戸籍も修正したから元カマってこと?」
カマー「違います。全然違います。もし仮にそうだとしてもそんな風に軽々しく口にしないで」
アイ「カマーとヘラーはそれぞれ鎌と箆の化身なの。この豚人間のように」
仙人「…豚人間って…(傷ついている)」
佳苗「だとすると箆がわざわざ小太りオッサンに変身してメガネかけてたってことだ」
カマー「まあそういうことです」
佳苗「変じゃね、それ。設定としては超面白いけど。こっち(カマー)はわかるけどオッサンて」
カマー「(困った顔ですがるように)…アイちゃん」
アイ「佳苗、ここはひとつ、面白さを優先したということで」
アイ、説得のだっふんだ。
佳苗も了解のだっふんだ。
佳苗「…じゃあ、今、あの小太りメガネは体がバラバラになっちゃったんだ」
アイ「そういうこと」
佳苗「じゃ直せば?」
アイ「え?」
佳苗「だって鉄で出来てるんでしょ。直せるじゃん」
アイ「い、いや、そう簡単には…。(カマーに)ねえ?」
カマー「…ねえ?」
仙人「…いや、直せるかも知れない」
アイ「ウソ」
カマー「マジで!?ゥワー仙人、マジで!?」
佳苗「ほらあ」
仙人「金城さんなら、もしかすると…」
カマー「金城さん?誰?その金城さんて」
仙人「金城さんは伝説のカンジャ―なわけさ」
アイ「カンジャ―?」
仙人「鍛冶屋のこと。カマーもヘラーもその金城さんていうカンジャ―が作ったわけ」
カマー「じゃ俺の…お父さん…?」
仙人「まあ、そうなるのかな」
アイ「でもその金城さんっていう人、まだ生きてるの?カマーもヘラーも何代も前からうちにあるはずだけど」
仙人「金城さんはわったーと同じ仙人なわけよ。だからもう何百年も生きてるし簡単には死なないわけ」
カマー「…パパが仙人…(感慨にふけっている)」
アイ「で、その金城さんてどこにいるの?」
カマー「今すぐ会いに行こう」
仙人「…うん。ただそれがちょっと問題でさ…」
カマー「どういうこと?」
仙人「金城さんはきまぐれで、今どこでどういう風にしてるか、ちょっとわんにはわからんわけよね…」
カマー「(悲嘆に暮れ)パパ!」
アイ「つくづく使えねえ豚だな!」
仙人「すいません」
カマー「パパ!(号泣)」
アイ「意味ねえじゃん、このくだり!なんだったんだよ」
仙人「反省してます」
佳苗「…アイ、事情は柱の影で聞かせてもらった」
アイ「ここにいたじゃん」
佳苗「サーダカーである私が一肌脱ぐ時がきたようね」
一同、佳苗を見つめる。
佳苗、渾身のだっふんだ。
◯グリーンカフェの座敷
佳苗がユタの正装をして正座している。
向かい合うようにアイ、カマー、ゥワー仙人も正座している。
佳苗「じゃ、いきます(だっふんだ)」
アイ・カマー・仙人「よろしくお願いします(だっふんだ)」
佳苗、何かを呟きながら空中に指先で文字を書きだす。
次第に書かれた文字が宙に浮かび上がる。
カマー「な、なにこれ…」
仙人「すごいねえ」
アイ「黙ってて」
佳苗、額に玉の汗を浮かばせながら一心不乱に文字を書いていく。
突然、佳苗の動きが止まる。
アイ「…佳苗?」
佳苗、バタリと畳の上に横たわる。
カマー「佳苗ちゃん!(佳苗に駆け寄ろうとする)」
アイ「待って!」
横たわっていた佳苗の体がバタバタと激しく痙攣を始める。
仙人「アイちゃん、これ、大丈夫?」
アイ「大丈夫…だと思う…」
佳苗「あ、あ…」
アイ「佳苗!なに?」
佳苗「あ、あ、あか、あか、あか」
カマー「赤って言ってる」
アイ「佳苗、赤がどうしたの?」
佳苗「あ、あか…さ、さんかく…」
カマー「三角?」
アイ「豚!メモ!」
仙人「あ、はい(メモの用意をする)」
佳苗「や、やね…」
仙人「…ちょっと待って、早い!えっと、赤、三角、それから」
アイ「屋根!赤い三角の屋根だって。佳苗、金城さんはそこにいるの?」
佳苗「く、く、くもの、くものうえに」
仙人「くも?どっちの?」
カマー「まさか虫のほうじゃないと思うけど」
佳苗「たいよう…にこ」
アイ「太陽が二個…2つの太陽ってこと…」
カマー「(ゥワー仙人に)ちょっと、これどういうこと?」
仙人「わんに聞かれてもわからんさ!佳苗ちゃんに聞いて!」
佳苗「こ、ことり…み、み、みどりのかぜ…うたって…」
アイ「…ちょっと待って」
カマー「なに?」
仙人「アイちゃん何か分かった?」
アイ「てか、これって…」
佳苗「み、み、みんなでいこう しあわせつかもう めいくまん…」
◯58号線を北上する車
アイが運転している。
後部座席にカマーとゥワー仙人が乗っている。
全員、無表情。
BGM「メイクマンの歌」
さんかくお屋根 赤い屋根
お日さまニコニコ 雲の上
小鳥たちも 緑の風に うたっている
みんなで行こう しあわせ作ろう
メイクマン
◯メイクマン美浜店の駐車場(昼)
アイとゥワー仙人がいる。
店の中からカマーが出てくる。
アイ「どうだった?」
カマー「ここには金城さんて人はいないって」
アイ「本当に?沖縄だったらどこにだっているはずでしょ、金城さんは」
仙人「アイちゃん、金城さんなら誰でもいいわけじゃないから」
アイ「わかってるよ、そんなこと」
カマー「どうする?別の店行く?」
アイ「あといくつあるんだっけ?」
カマー「沖縄本島はあと2つ。豊見城店とニューマン店。あと石垣と宮古に1店舗づつ」
アイ「離島だったら最悪だね…。つか、なにニューマン店て」
カマー「さあ…西原にあるらしいけど」
アイ「怖い。ニューマンって響きがなんか怖い」
カマー「確かに全く新しいタイプの人類って感じがするね」
アイ「メイクマン、文字通りついに人間までつくりだしたのか」
カマー「やめてー」
仙人「…ねえ、アイちゃん、あそこ」
アイ「え?」
ゥワー仙人が指さす先に、猿の着ぐるみがいる。
猿の着ぐるみは屋外に陳列されている商品の影に隠れ、アイ達を伺うようなそぶりをしている。
カマー「あ、メイキー君だ」
アイ「(ゥワー仙人に笑いながら)やーの仲間みたいだなあ」
仙人「一緒にしないで。メイキ―君は着ぐるみでしょう?」
アイ「やーのは?」
仙人「特殊メイク。比嘉ブラザーズ渾身の特殊メイク」
カマー「メイキ―君がどうかした?」
仙人「なんかさっきからわったーの様子を見ているわけさ」
アイ「やーが豚人間だからだろ」
仙人「そうかもしれないけど、なんか気になるわけ」
カマー「…まさか、あれが金城さん?」
アイ「うそー」
仙人「確かめてみる価値はあると思う」
アイ「カマー」
カマー「また俺?」
アイ「いいから早く。パパかも知れないんだから」
カマー「あれがパパだったら、若干引くけど」
カマー、メイキー君のもとに走っていく。
メイキ―君、慌てて逃げる。
アイ「あ、逃げた」
カマー、すぐに追いつき、メイキ―君を捕まえる。
アイ「あ、捕まった」
カマー、メイキー君の首根っこを掴み、なにか話している。
遠くにいるアイ達には聞こえない。
アイ「あれが金城さんだったら、マジウケる」
仙人「であるねえ」
カマー、アイたちの方を向く。
カマー、両手で大きく丸を作る。
アイ「まさかや!」
後編に続く。
2011年12月16日
ハルサーエイカー 第10話の予想
前回の予想の続きではなく、前回の放送の続きを予想してみました。
(12/17追記:マブヤーの放送時間について勘違いをしていたため訂正しましたー)
◯那覇市街が見渡せる高台(夜)
ヘラーが暗がりでおもろ草紙を広げている。
眼鏡のレンズにおもろ草紙が反射して表情は伺えない。
◯てんぶすの裏あたりの公園(昼)
ヤンとアランがいる。
ヤン「あー、なんかめっきり寒くなってきたやー」
アラン「そうか?俺なんか全然寒くないけどなあ」
ヤン「やー、そんなこと言いながら、中にヒートテック来てるやし」
アラン「着てないよ、これはこういう肌だよ」
ヤン「そんなわけないよや、そんなツルツルの白い肌の奴いないよや」
アラン「エロい目で見るなよ」
ヤン「見てるわけないだろ!お前みたいなぽっちゃり」
アラン「そこがいいんだろ」
ヤン「やーなにいっとるばー。死なすぞホントに」
アラン「どうぞ。殺してください」
ヤン「…殺さんよ」
アラン「それより、先週のマブヤー観た?」
ヤン「いきなりなんだばー」
アラン「超面白かったんだぜ。ハブクラーゲンとか超面白い」
ヤン「観てないよや。俺ハルサーエイカー観てたし」
アラン「はあ?マブヤーはハルサーエイカー終わってからチャンネル変えれば観れるだろ」
ヤン「ハルサーエイカーは放送終了後、ユーストリームで生放送やってるよや。俺はそれも観てるからマブヤーは観れんわけ」
アラン「なにそれ」
ヤン「だからユーストリームって言って、インターネットを介して出演者が撮影の裏話とか話してるわけ。
一応録画もされてるから後で視聴することもできるけど、やっぱりユーストリームは生で観て
ツイッターで呟いて、出演者と双方向にやり取りするライブ感が醍醐味だから、俺はそっちを優先せさてるやさ」
アラン「…なんかヤンが遠くに感じる」
ヤン「俺だって本当はマブヤーも観たいよ?でもレコーダーもってないやさ。結局どっちかを諦めるしかないわけよ」
アラン「確かに。俺はハルサーエイカー諦めた」
ヤン「それにしてもマブヤーも大人げないよな。なに10時25分から放送って。明らかにハルサーエイカーに対する嫌がらせだろ」
アラン「それはどうかと思うけど、それを言ったらハルサーエイカーの、そのユーストリーなんとかっていうのだって、マブヤーに対する嫌がらせだろ」
ヤン「わかった。じゃあ今日も町の人にどっちが大人げないか、聞いてみようぜ」
アラン「いいよ」
ヤン「じゃあ今日は勝った方がこの琉神マブヤーちんすこうを食べれることにしよう」
アラン「ここはマブヤーでいいの?」
ヤン「ハルサーエイカーは全然グッズがそろってないからしょうがないよや!」
◯グリーンカフェ(昼)
アイと佳苗がお茶を飲んでいる。
佳苗「そっかー、アイ達が探してる野菜、まだ見つからないかー」
アイ「うん。まあまだ探し始めたところだし、昨日はなんか邪魔も入ったしね」
佳苗「邪魔?」
アイ「ううん。こっちの話。それよりあたいぐゎーすごいねえ。あんなにあると思わんかった」
佳苗「へへへすごいでしょ?」
佳苗、だっふんだ。
アイもだっふんだ。
佳苗「そういえば昨日の二人組は?」
アイ「ああ。今日はもう例の野菜、探しに行ってるんじゃないかな」
佳苗「あ、そうなんだ。頑張るねえ」
アイ「私ももう行かないと。お茶、ごちそうさまでした」
アイ、だっふんだ。
佳苗もだっふんだ。
佳苗「あ、アイ」
アイ「なに?」
佳苗「その、昨日いたおじさんの方なんだけど…」
アイ「ああ、ヘラーのこと?」
佳苗「あ、そんな名前なんだ」
アイ「ヘラーがどうかした?」
佳苗「実は…」
アイ、だっふんだ。
佳苗もあわててだっふんだ。
佳苗「実はちょっと嫌な空気を感じるっていうか」
アイ「嫌な空気?」
アイ、だっふんだ。
佳苗「…ちょっとアイ、インターバルが短い」
アイ「あ、ごめん」
佳苗「そんなに頻繁にやってたら肩やっちゃうから」
アイ「ゴメンゴメン、懐かしくてつい。で、ヘラーがなんだっけ」
佳苗「嫌な空気を感じるんだけど…もういいやこの話は」
アイ「聞く聞く、ちゃんと聞くから」
佳苗「とにかく、あのおじさん…ヘラーさんからは目を離さない方がいいと思う。危険な気がする」
アイ「…わかった」
佳苗「ごめんね、ちょっと気になるだけなんだけど」
アイ「ううん、佳苗はサーダカーだからね。気をつける」
佳苗「うん」
アイ「じゃあ、行ってくるね」
アイ、店を出ようとする。
佳苗「アイ」
アイ、振り向く。
佳苗、だっふんだ。
アイ、真顔。
佳苗「…やれよ!!」
◯海岸(昼)
ボロボロの服装をしたカマーが立っている。
肩で息をして前方の砂浜に刺さっている鉄骨を見据えている。
◯カマーの回想(前日の夕方・どこかのあたいぐゎー)
カマーとヘラーが黄金野菜を探している。
無言で野菜をかき分けているカマーにヘラーが声をかける。
ヘラー「カマー」
カマー「なによ」
ヘラー「さっきのことだけどさ」
カマー「…もうわかったよ。アイちゃんにいちいちつっかかんなきゃいいんでしょ。だけど俺はアイちゃんのためを思って」
ヘラー「そうじゃなくてさ」
カマー「じゃ、なに」
ヘラー「やっぱりカマーの言うとおりアイちゃんはダメかもしれんな」
カマー「…なにそれ。どういうこと」
ヘラー「アイちゃんはヒロインとしては悩みすぎだ。ただでさえまだ弱いのに、戦いそのものに疑問を持ってる戦士が実力で上をいく敵に勝てるはずがない」
カマー「…だからよ、俺はずっとそういってるばー」
ヘラー「いいから聞け、カマー」
カマー「…なによ」
ヘラー「だから今後の戦いはカマーが中心になっていくしかないと思う」
カマー「ちょっと待ってよ、ヘラーは」
ヘラー「いや、俺ももちろん頑張るよ。でも戦いのセンスはカマーの方が上だし、俺はどっちかっていうと戦術を組むタイプだし」
カマー「まあ、そうかもしれんけど…(悪い気はしない)で、でもさ、俺にだって限界はあるよ」
ヘラー「だからよ、今のうちにカマーに秘技を伝授したいと思うわけ」
カマー「秘技?」
ヘラー「これはノーグ・カマー・エイカーにおいては最強にして最悪の秘技。やーの前の前のノーグ・カマーが編み出したものなんだけど」
カマー「なにそれ!俺、そういうのでーじ興味ある!」
ヘラー「たださ、これはムル装備状態では発動できない技なわけ。なぜならムル装備に使うエネルギーもその技に集中させなきゃいけないからさ」
◯海岸(昼)
カマー、大きく深呼吸をする。
ゆっくり目を閉じ、指で印を結んでいく。
次第に、カマーの足元の空気が渦を巻き始める。
その渦はどんどん大きくなり、カマーの体を覆うほどになる。
カマー、最後の印を結び、目を開ける。
カマー「…疾れ」
次の瞬間、カマーの全身に渦巻いていた風が一直線に鉄骨に向かっていく。
風が鉄骨に触れる瞬間、
カマー「月鎌」
カマーの声を合図に巨大な月鎌(刃のみ)が現れ、鉄骨をいともたやすく真っ二つに裂く。
鎌はそのまま上空に舞い上がる。
◯カマーの回想の続き
カマー「すごい、なにそれ!やってみたい!でーじやってみたい!今すぐやってみたい」
ヘラー「ふらー、話は最後まで聞け!ここからがこの鎌鼬(かまいたち)の最悪な部分だよ」
カマー「…なに、最悪な部分て?」
ヘラー「鎌鼬はさ、その形状上、かならず術者のもとに返ってくるわけ」
カマー「…え?」
ヘラー「術者は必ずその鎌を受け止めなきゃいけないわけさ」
◯海岸(昼)
鎌が上空でくるりと反転し、カマーめがけて飛んでいく。
カマー、思わず目を閉じる。
◯河川敷(昼)
チリーが体育座りでため息をついている。
そこにドブーが来る。
ドブー「やー、どうしたんけ。ため息なんてついて」
チリー「ああ、ドブー。いや実はさ、最近ちょっと悩んじゃっててさ」
ドブー「なになにチリーらしくもない。話してみー?」
チリー「…あのさ、俺ら、言ってみればゴミじゃん」
ドブー「え、そこ?結構深いやつ?」
チリー「だめ?」
ドブー「いやだめじゃないけど…残尿とか夜間頻尿とかそういうのかと思ったから」
チリー「なんでそんなハルンケアでなんとかなりそうなのばっかり。俺ってそんなイメージ?」
ドブー「いやごめん、ちゃんと聞くわ。…よし、聞く態勢整った」
チリー「でさ、まあゴミじゃん俺ら。言ってみればさ」
ドブー「まあ、そう言えなくもないよね」
チリー「ゴミは世間の嫌われ者さね?」
ドブー「まあ、そう言えなくもないとしましょう」
チリー「でさ、今、主にやってることといえばさ、祖に従ってハルサーエイカーの命を狙うことさね」
ドブー「それを目標としてやっています」
チリー「世間的に見てコレ、いいことではないよね」
ドブー「世間的に見ればね」
チリー「…俺、なんでそんな事やってるのかなって」
ドブー「…なるほど」
チリー「確かにハルサーエイカーを殺して、沖縄に永遠の不作をもたらして、人間を懲らしめるっていうのはわかるんだけど」
ドブー「はい」
チリー「それって祖の理論であって、俺の気持ちっていうかそういうのは入ってないわけ」
ドブー「入ってないね」
チリー「そりゃ俺だって人間に復讐したいという気持ちがなくはない。それは認める」
ドブー「認めよう、そこは」
チリー「だけどさ、このやり方でいいのかな。これって結局さらに俺らが嫌われるだけじゃないのかな」
チリー、話しながらCDみたいな武器をなんとなく川に投げている。
ドブーは小石をなげている。
ドブー「チリーはどうしたいわけ」
チリー「まあ具体的にどうしたいとかいうんじゃないんだけど」
ドブー「正直にいこう、ここは」
チリー「…俺はさ、もっと認められたいっていうか」
ドブー「人間に?」
チリー「そう。俺らゴミ出身だけどやればできますよ、みたいなさ」
ドブー「そっちで人間を見返したいわけだ」
チリー「今のままだとさ、どうせゴミ出身だからグレてろくでも無いことしてるみたいじゃん」
ドブー「そうじゃないんだぞ、と」
チリー「そう。『あらチリーさん、ゴミ出身だからダメだと思ってたけど、実は凄いのね』とかそう思わせたい」
ドブー「それはゴミの地位向上に繋がるな」
チリー「でしょ?その上で、俺らゴミの意見を人間にぶつければ、人間も聞く耳もつかも知れない」
ドブー「わからんちんばかりじゃないもんな、人間も」
チリー「そう。ね?どっちかっていったらこっちのやり方のが良くない?」
ドブー「でもさ、それって相当ハードル高いよな」
チリー「それはそうなんだけどね」
ドブー「だって俺らゴミだからな。ベースがゴミだからな。ひとはまず見た目で判断されるからな」
チリー「でもさ、黙ってたらわからなくない?」
ドブー「俺らがゴミって?」
チリー「黙ってたら。シュッとしてたら」
ドブー「わかるだろー」
チリー「いや意外とわかんないと思うよ。そりゃ勘の良い人はわかるかもしれないけど」
そこにずぶ濡れのリョウが来る。
リョウ「やったーの投げてるやつ、さっきからメチャクチャ当たるんですけど」
チリー「あ、ゴメン。いると思わなかったから」
リョウ「いるし。思いっきり漁してるし」
チリー「ほんとゴメン。次から気をつけるから」
ドブー「やー、いいところに来た」
リョウ「なに?」
ドブー「あのさ正直に答えて欲しいんだけど、わったーってパッと見、ゴミに見える?」
リョウ「…え」
ドブー「正直に答えて欲しいんだけど」
リョウ「それは何、外見で判断してってこと?」
ドブー「そうそうそう」
リョウ「いや…どうかな(気を使っている)」
ドブー「パッと見、パッと見。振り向きざまに。人間には見えない?」
リョウ「振り向きざまに?…あ、いや、見えなくはないと思うけど…」
ドブー「思うけど?」
リョウ「…俺は知っちゃってるからな、やったーが人間じゃないっていうの」
チリー「あー。まあねえ」
ドブー「じゃあそこは想像で。想像で考えて」
リョウ「想像で?…んーいやー…普通の人はわからないんじゃないかな?」
ドブー「マジで?ホントに?」
チリー「(ドブーに)ほらあ」
リョウ「でもまあホラ、服とか?二人とも上、裸じゃん?だからまあそこでアレかも知れないけど」
ドブー「あ、これは着る。カーディガンとかフリースとか。このままってことはない」
リョウ「ああ、着るの?あーそれならわかんないんじゃない?」
チリー「あっそう!やっぱり!?」
ドブー「そっかあ、わからないもんかー」
リョウ「いや俺はね、俺は。あくまで『俺は』だけど、わからんと思う」
チリー「じゃあさ、例えば。例えばの話、隣に住んでても気にならない?」
リョウ「…え、やったーが?」
チリー「うん」
リョウ「…別に、気に、ならないと思うけど…(気を使っている)」
チリー「マジでー!?(嬉しい)」
リョウ「夜とか静かにしてくれれば…あとにおい(超小声)」
ドブー「じゃあさじゃあさ」
リョウ「まだ続くの?」
ドブー「例えばやんとわーが幼なじみで」
リョウ「やーとわんが!?」
ドブー「大人になってある日突然『わん、実はゴミなんだ』ってカミングアウトされたらどうする?」
チリー「えーそれ聞いちゃう!?ね、それ聞いちゃう!?」
リョウ「え?それまでわんはやーがゴミって気づいてないの?」
ドブー「そうそう。普通の人間だと思ってるの。それでカミングアウトされるの」
リョウ「…えー、別に…どうもしないんじゃない?(超気を使っている)」
ドブー「ホントにぃ?(嬉しそう)」
チリー「やー、それはないわ!いくらなんでもそれはない(超嬉しそう)」
リョウ「え、別にだって、どうもしようがないじゃん」
ドブー「普通引いたりするばーよ」
チリー「そうそう!だってゴミなんだぜ」
リョウ「あー。…いや、別に引かないよ」
ドブー「でも少しづつ距離置くとかさあ」
チリー「年賀状かかなくなったりとか」
リョウ「別にそれはないと思うけど」
ドブー「でもあれ?裏切られたとかは思う?今まで騙されてたーとか」
リョウ「ああ、黙ってたことに対して?」
ドブー「そうそう。長い間人間づらしてたことに対して」
リョウ「まあ、残念だとは思うかもしれんけど、それでどうこうってことはないと思う」
ドブー「(嬉しそうに)あ、そう」
リョウ「だって好きで嘘ついてたわけじゃないだろ?嘘ついてる方だって辛いだろ」
チリー「リョウ…」
リョウ「それより、本当のことを打ち明けてくれたことにありがとうと思うかも知れない」
ドブー「(感動している)…で、でもリョウはアレだな、ちょっと変わってるからな。参考にならんな」
チリー「ああ、そうだな天然だからな」
リョウ「はあ?天然じゃないばーよ」
ドブー「天然だよ天然」
チリー「天然のヤツに限って自分は天然じゃないって言いはるんだよ」
リョウ「だいたいアレだろ。やったーだって好きでゴミに生まれてきたんじゃないだろ」
ドブー「…それはまあ」
リョウ「だったらそんなことでやったーを嫌いになったりするわけないばー。大事なのは生き方だろ?志だろ?」
チリー「リョウ…」
リョウ「そりゃ中にはやったーを差別したり敬遠したりする人間もいるかもしれん。だけど俺はそういう人間の方がゴミだと思う。人間のクズだと思う。わんの言ってること間違ってるか?」
ドブー「…間違ってないです」
チリー「リョウは、わったーゴミのこと本当に認めてくれてるんだ」
リョウ「違うだろ。認めるとか認めないとか、それが既にもう上から目線だろ。わったーは同等だよ。ゴミとか人間とか関係ないよ。わんからみるとさ、やったーゴミだからって卑屈になってるばー。それがもうダメだと思う」
チリー「すいません」
リョウ「別にあやまらんでいいよ。…じゃあ、わんはまだ漁の続きがあるからいくけど」
ドブー「はい」
チリー「漁の方、頑張って下さい」
リョウ「ありがとう。あ、君はもうCDみたいの投げないようにね」
チリー「あ、それはもう断じて」
ドブー「(チリーに)気を付けろよ」
チリー「うん」
リョウ「じゃあまた」
リョウ、去っていく。
その後ろ姿を見送るドブーとチリー。
チリー「わん、感動してしまった…。(ドブーに)やー泣いてるのか」
ドブー「わったーホントにいい友達に出会った…」
一方、リョウ、なんとか切り抜けたーという深いため息をつく。
◯グリーンカフェの屋上(夕)
黄金野菜「あーもーだめだ。もー間に合わない。絶対間に合わない。俺もう消失しちゃうんだから。あと一分だもの。あと一分で消えちゃうんだもの。何やってんだよもー、今度のハルサーエイカーはさあ。あーあ知らない。俺関係ないからね。だって俺からは動けないんだから。待つタイプなんだから」
と、そこに足音がする。
黄金野菜「きた!!やっときた!!あと30秒!早くして!ここ、ここ!お願い早く!早くしないと消えちゃうよ!ここだよ、ここ、ここ!」
足音が黄金野菜の近くで止まる。
黄金野菜「そう、ここ!ギリだよもう、マジで。あと15秒、早く食べて食べて食べ…え」
黄金野菜を取り上げたのは収。
収、ためらいもなく黄金野菜を食べ始める。
◯どこかのあたいぐゎー(夕)
アイが腕時計を見ている。
アイ「3、2,1……ハイ、終了ーーー。お疲れしたー!」
アイ、周りを見回す。畑にはアイしかいない。
アイ「……チッ」
◯豊作の家(夜)
縁側に豊作が座っている。
そこにヘラーが来る。
豊作「きたか」
ヘラー「…ハルサー豊作」
豊作「まあ座らんけ」
ヘラー「いえ、私はここで」
豊作「(笑って)あいかわらずだなあ、ヘラーは」
ヘラー「ハルサー豊作、なぜなんですか」
豊作「何がだ」
ヘラー「何がって…。ハルサー豊作ですよね、祖と通じていたのは」
豊作「……」
ヘラー「おかしいと思ったんです。こちらの動きは常に向こうに筒抜けだった。私達の居場所も黄金野菜の場所も。考えられる可能性はただひとつ。このおもろ草紙です」
豊作「……」
ヘラー「おもろ草紙は他のおもろ草紙とネットワークを通して繋がっています。それを利用すれば相手のおもろ草紙の場所が特定できます。今、現存するおもろ草紙は2つ。私の持っているものとハルサー豊作の持っているそれです」
豊作「……」
ヘラー「一体なぜ、こんなことを」
豊作「わんは知らん」
ヘラー「ハルサー豊作…」
豊作「お前はわんにどうしろというんだ」
ヘラー「話してください、何もかも」
豊作「話したところで理解できんだろう、たかがノーグに」
ヘラー「……」
豊作「どうする、ヘラー」
ヘラー「…わかりました。ただ、これからは私たちの邪魔はしないでください」
豊作「それだけか」
ヘラー「失礼します」
ヘラー、踵を返す。
豊作「アイには」
ヘラーの足が止まる。
豊作「アイには話すのか」
ヘラー「…話しません。アイちゃんをこれ以上傷つけたくない」
豊作「アイは傷ついているのか」
ヘラー「傷つき、悩んでいます。なのになぜ」
ヘラー振り返る。
豊作、地面に手をついている。
豊作「クラスト」
しかし何も起きない。
豊作「…結界か」
ヘラー「念のため、この土地のクラストは封じさせて頂きました」
豊作「なるほど」
ヘラー「…それでは」
ヘラー、再び踵を返す。
豊作、ニヤリと笑いもう一度地面に手をつく。
豊作「クラスト」
すると近くの岩が音もなく宙に浮く。
豊作が指を動かすとそれに呼応するように岩がヘラーに向かって飛んでいく。
ヘラー、ギリギリのところでそれを避ける。
豊作「チッ」
ヘラー「は、ハルサー豊作…」
豊作「よく避けられたなあ」
ヘラー「やめてください、ハルサー豊作」
豊作「でも次はどうかな」
豊作の周りの岩が次々と宙に舞う。
ヘラー「ハルサー豊作…」
豊作「…お前、ハルサー豊作って言いたいだけだろ」
ヘラー「ムル装…」
豊作、チリーと同じCD何とかを飛ばす。
ヘラー、とっさに手で避ける。
その時、ヘラーのブレスレットが切れる。
ヘラー「しまった」
次の瞬間、豊作の放った岩が飛んでくる。
避けきれず、おもいっきり吹っ飛ぶヘラー。
眼鏡が割れる。
豊作「どうするヘラー。中の人はいないぞ」
豊作、再び岩を飛ばす。
ヘラー、素早く印を結ぶ。
ヘラー「箆塚(へらづか)」
ヘラーの前方の土の中から巨大な箆がせり上がる。
飛んできた岩は箆の壁に当たって砕ける。
豊作「やると思った。クラスト」
ヘラーの背後左右に土の壁がせり上がる。
ヘラーが振り返ると同時に土の壁が近づいてくる。
前後左右を壁に挟まれるヘラー。
ヘラー「しまった」
ヘラー、身動きがとれない。
豊作「終わりだ」
ヘラーを挟んでいた土の壁が吹っ飛ぶ。
土煙が高くあがる。
土煙がおさまるとヘラーの姿はそこにはない。
割れた箆だけが地面に置いてある。
豊作「ノーグ風情がハルサーに刃向かうからだ」
豊作の隣に祖が立っている。
祖「お互い、部下には手を焼くな」
豊作「(笑って)まったくだ」
◯国際通り(夜)
ヤンとアランがいる。
ヤン「といいわけで『ハルサーエイカーとマブヤー、どっちが大人げないか』。結果は5対5で引き分けやっさー」
アラン「いい勝負だったな」
ヤン「まあ俺は納得いってない部分あるけどやー」
アラン「でもどっちが良いとか悪いとか、結論は出ないんじゃない?」
ヤン「であるなあ。ただ残念のなのはこのケンカ、ハルサーエイカーは勝つ方法もあったんじゃないかと思うわけさ」
アラン「というと」
ヤン「まずマブヤーが放送時間を5分早めてきただろ」
アラン「うん」
ヤン「それに対してハルサーエイカーはユーストリームで対抗してきた」
アラン「マブヤーの真裏で放送してるな」
ヤン「これがダメやさ。ヘラーの言葉を借りれば『相手にやられたやり方でやり返すのは、一番おバカさんのやり方だよ』」
アラン「じゃあハルサーサイドはどうすればよかったの?ユーストリームはやらないほうが良かった?」
ヤン「そうじゃないよや。ユーストリームはマブヤーが終わったあと、11時から放送すべきだったよや」
アラン「それじゃ意味ないだろ!マブヤーの視聴率、削れないよや」
ヤン「視聴率なんて関係ないよや。どっちにしろ蓋を開けたらハルサーエイカーのユーストリームの視聴者なんてリアルタイムではたいしたことないんだから。これじゃ結局、マブヤーの視聴率を削れたことにはならないだろ。だったらはじめから11時からの放送にしてマブヤーに流れた視聴者もユーストリームに取り込むべきやし。
そしてなにより、マブヤーが売ってきたケンカに対して『うちはそのケンカは買いません。ユーストリームもマブヤーさんが終了する11時から放送します。これはかつて自分たちの創ったマブヤーへの愛でありハルサーエイカーという作品に対する自信でもあります』という大人の対応ができたはずだろ」
アラン「確かにそんなことされたら放送時間を5分早めたマブヤーは恥ずかしい思いをすることになるなあ」
ヤン「相手の攻撃を利用して相手を倒すのが、賢い大人のやり方やっさ」
アラン「…ただひとついいかな」
ヤン「なに?」
アラン「やー、マブヤーがハルサーエイカーへの嫌がらせで放送時間を5分早めたって言ってるけど」
ヤン「そうだろ?」
アラン「マブヤーの前に放送されてた番組も10時25分からの放送だよ」
ヤン「…え」
アラン「だから琉神マブヤー3の前に放送されてた『名探偵コナン』も10時25分からの放送だったの。別にハルサーエイカーに対する嫌がらせじゃないよ」
ヤン「…そ、そんなわけないば」
アラン「いや確かだよ」
ヤン「…だとすると、今回の調査と俺のこの長い演説はなんだったば」
アラン「完全に勘違いから生まれた妄想だよね。前提から間違えてるから」
ヤン「やー、知ってたなら早く言え!」
アラン「なんかすごい語ってるから」
ヤン「うわ、めっちゃ恥かいた!じゃあ誰も悪くないやし!関係各位に迷惑かけただけやし!ごめんなさい、本当にごめんなさい」
アラン「まあこのことは黙っててあげてもいいけど」
ヤン「マジで?ちょっとその方向でお願いします」
アラン「やーの誠意次第かな」
ヤン、黙ってアランにマブヤーちんすこうを握らす。
アラン、黙って受け取る。
アラン「それが大人の対応だよね」