各調査会社の公表によってかなりバラつきはあるのだが、総務省の平成27年度情報通信白書によると、日本におけるスマートフォンの普及率は64,2%となっている。
(携帯電話普及率は94.6%)
どういう方法で調査したかは存じないが、印象としてはもっと普及しているかと思っていた。

日本ではスマートフォンを持っていない人間を探すことの方が難しく、この旅行中でも出会った日本人は全員保持していた。
観光名所や航空チケット、宿泊施設の情報収集。オフラインで使用する地図。翻訳。
個人で気軽に世界中を旅行することができるようになった現在において、スマートフォンとは個人旅行者には必需品となっているようだ。

私はこの旅行にスマートフォン及びタブレット端末は持ってこなかった。
私が思い描いていた自転車旅行とは、紙地図とコンパスを頼りに進み、その日寝床となる場所など決めずに日が暮れればテントを張り、一日を終えるというものであった。
「古臭い昔ながらの旅行」に憧れ、「旅情」という旅行要素の中で最もあやふやな物にこだわった結果、スマートフォンは不要であると結論付けた。


とはいえパソコンは持ってきているし、移動中ではなくホテル等で一日を終えてゆっくりくつろいでいる時となれば、話は別である。
インターネットがある環境では、私も情報社会の恩恵を積極的に受けるようにしている。

そして以下にあげるのは、私がこれまでに自転車旅行(日本含む)中に利用したサイトやアプリケーションで役立ったものを紹介していく。

※5/11追記。肝心のACMLについて紹介することを忘れていた。

ACML
アドベンチャーサイクリング・メーリングリスト、通称ACML。
こちらは世界中を旅行する先輩自転車旅行者の方々が有志で作成した、情報共有を目的としたメーリングリスト。
指定のメールアドレスにメールを送信すると、参加しているメンバー全員に行き届くというシステムで、世界中を旅行している自転車旅行者から新鮮な情報が共有されてくる。
主な共有内容としては、治安情報、道路情報、自転車パーツの流通状況等。
アーカイブスから過去の情報も遡って見ることができるため、非常に参考になる。
参加メンバーで、現在走行中の自転車旅行者の現在地マップも確認することができ、管理人の方が随時更新して下さる。
(※管理人の方も現在進行形で走行中のため、更新は不定期)

この旅行前、自転車世界一周界のヒーロー石田ゆうすけ氏のトークショーに行った際、「準備にまず何をすればいいですか?」と尋ねたところ、「すぐにACMLに参加しなさい」とアドバイスを頂いた。
情報量の多さ、新鮮さ、質の良さすべてを兼ねそろえており、先人たちの知恵や財産が蓄積されている。
私のように後発組にとっては、これらの情報は偉大な遺産であり、先人たちには本当に頭が上がらない思いである。


Warmshower
海外を走る自転車旅行者なら誰もが知っている、自転車旅行者用の無料国際ホスピタリティー・コミュニティー。
世界各国の自転車乗りがメンバーとして登録し、時には旅行者として、時には旅行者を迎え入れるホストとして、お互いを相互援助することを目的としたWebサイトである。
旅行者が近くにいるホストにコンタクトを取り、ホストが彼らを迎え入れるというシステムで、援助とは主に食事とベッド(もしくはテントサイト)、温かいシャワーの提供を指す。

日本にはまだまだ会員が少ないが、カナダ北部からアメリカに掛けては非常に会員数が多く、小さな町でも一人はホストが存在している程であった。
Warmshowerの利点として、登録者のほぼ9割方が自転車旅行経験者であるため、コンタクトに対する回答率が非常に高く、ホストもみな非常に親切にしてくれる。
ホストの知る近隣のおすすめスポットや安全情報、たまに非常にメカニックに詳しいホストがいたりしてアドバイスを受けられる点も非常に嬉しい。


Free Campsites
アメリカでWarmshowerのホストに教えてもらったWebサイト。
ブラウザ上に地図があり、周辺にある無料、有料のキャンプ場、野宿可能場所がアイコンとして表示される。
もちろん都市や町の名前での周辺検索可能。
このWebサイトの優れている点は、各キャンプ場のアメニティ(水道水、ピクニックテーブル等の有無)や、有料であれば必要経費を閲覧できる点である。
サイト利用者が利用したキャンプサイトを地図上に登録、レビューを書き込んでいくため、情報としても比較的新しい状態が保たれていると思われる。
ただし、カバーしているのは北米地域のみのようで、情報量も少な目。


iOverlander
イギリス人オートバイ旅行者に教えてもらったマップアプリケーション。
地図データはGoogleから取り込んでおり、その地図上にオートバイカー、自転車乗りが随時情報を共有していくシステム。
共有されている情報としては、通行止め、未舗装路、警察のチェックポイント、そして強盗の発生場所(!)等である。

このiOverlanderの優れた点としては、その情報量の多さと質の良さにある。
往々にしてローカルな場所の情報というのは、普段表に出てこない。
が、オートバイや自転車乗りとは国道ではないローカルな道路に行きたがる人種である。
そしてiOverlanderの利用者の大半がそうした人種のようで、ローカルな情報がしっかりと書き込まれている。
さらに、私はスマートフォンを持っていないため自身では未確認なのだが、アプリケーションならオフラインでも使用可能とのこと。
自転車旅行者にとっては、痒い所に手が届く、非常に有益なアプリケーションである。


Maps Me
アメリカでWarmshowerのホストに教えてもらったマップアプリケーション。
こちらはアプリでの使用のみのようで、私は一切使ったことがない。
が、会う人会う人がやたらと勧めてくるため、有能なアプリなのだろう。
聞いたところによると、Google Mapにも乗らないローカル道路も載っているとかいないとか。


道の駅ナビ
こちらは日本でのみ利用可能のアプリになるが、全国の道の駅の場所を確認できるマップアプリケーション。
日本で自転車旅行をしていた当時はスマートフォンを保持しており、このアプリには非常にお世話になった。
というのも、道の駅とは自転車乗りにとって貴重な休憩場所であり、宿泊場所でもある。
飲料水や食料の補充ができ、その土地の名産を手軽に楽しむことができ、コンセントがあり、場合によっては休憩所で寝ることもできる、素晴らしい施設なのである。
このアプリでは各道の駅の営業時間、アメニティを確認することができる。
これから日本で自転車旅行を始められる方がいるなら、、一日の終わりを道の駅にたどり着くことを目標にすれば宿泊場所に困ることはないだろう。
(※ただし、野宿に関しては迷惑を掛けず自己責任の範疇で)


以上が、私がこれまでの旅行で役に立ったと思うサイト&アプリケーションの紹介となる。
これらはきっと、自転車旅行者にとってより効率の良い旅行となる手助けをしてくれることだろう。

が、個人的にはスマートフォンを持たず、紙地図とコンパスでの旅行の良さというのもぜひ推奨していきたい。
それぞれの使い方によるのだろうが、私の経験上では、スマートフォンは自転車旅行には便利「過ぎた」。

日本でスマートフォンを持っていた頃・・・自転車で走りながら周辺のおススメスポットを確認し、迷えばナビゲーションで正しいルートを通り、日が暮れればアプリで道の駅を探して宿泊場所を確保する・・・。
これを繰り返した後、「これはスマートフォンが考えた旅行を、ただ私はなぞっているだけではないか。」という疑念が湧いた。
ハプニングや意外性という物が一切除外されてしまい、旅行の醍醐味が殺がれてしまっていると感じたのだ。

こうして私は日本を離れる1年前にスマートフォンを解約し、スマートフォンを持たない環境に慣れてからこの旅行に出発した。
出発して1年、グアテマラでこの記事を書いている現時点では、この判断を下してよかったと思っている。
紙地図とコンパスで旅行をする以上、走行中は情報はその2つからと、歩いている現地人からの言からしか得ることができない。
この少ない情報を自分の力で消化し、私のみの主観でルートを決定する。
これは思わぬ意外性を生み出し、自分でも予想しない風景や人々との出会いを生むこととなった。

今後こだわりや考え方が変化することもあり得るが、現時点では私はこの「古き良き旅行スタイル」にこだわりをもって旅行を続けていこうと思う。