Costa Rica国境~Tejona
Lago de Arenal(アレナル湖)
5/29~6/1 (374~377days)

5/29

コスタリカに無事入国した私と濱さんの日本人自転車旅行連合軍。
コスタリカ側の立派な出入国管理局に先進国の匂いを感じつつ、走り始める。

しかしそれとは裏腹に、道はジャングルに囲まれたアップダウン。
自転車を走る我々と樹々との距離が近く、今まで通過してきた中米諸国の中でも最も「密林の中を走っている」感じがする。
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その後いくつかのアップダウンを繰り返し、丘の上の町、La Cruzに夕方前に到着。
La Cruzは我々にとってコスタリカで訪れた初めての町になるのだが、まず驚いたのが建ち並ぶ家々の立派さ、綺麗さ。

走っている車も普段から洗車を小まめにしているのだろうか小奇麗で、ドロドロで汚かったエルサルバドル、ホンジュラスのそれとは対照的だ。
パッと見た印象のみだが、これまでの中米諸国の中でもかなり豊かな生活を国民が送っているのは確かなようだ。
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コスタリカの国名は直訳で「Costa Rica(=豊かな海岸)」という意味になるのだが、その名前の通り、ホテルの展望台からは美しい草原と太平洋が広がっていた。
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この日から本格的なコスタリカ走行が始まったのだが、家々の立派さに比べると、コスタリカの道路は決して先進的とは言えない。
路肩はほぼ存在しないと言える程に狭く、工事区間も多い。
この状況で脇を大型トラックがバンバン通過していくのだから、自転車旅行者としては非常に辛い思いをする。
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そしてもう一つ自転車旅行者泣かせなのが、補給地点の少なさだろう。
ベリーズ以降の中米諸国では数キロ置きに個人商店があり、果物やジュースの補給、軒下の日陰での休憩を比較的簡単に取ることができた。

しかしコスタリカは準先進国であるためか、そうした個人商店が一切ない。
コンビニエンスストアに淘汰されて、個人商店がほとんど姿を消している日本と同じ状況であると言うと、想像しやすいかもしれない。
まぁコスタリカではそのコンビニも路上では存在していないわけなのだが・・・。

町と町の間が20~30キロになり、道路も路肩がないため、少々疲れたからといっても立ち止まる事すらできず、走り続けることになる。

そんな状況などお構いなしに、お昼近くになると地獄の様な暑さになるわけで、仕方なくバス停の日陰に逃げ込み、強烈な日差しでお湯の様になったボトルの水を飲んで休憩を取っていた。
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そして中米を走る自転車旅行者が、最も苦しめられる天敵・スコール。
これはコスタリカでも健在で、昼休憩頃に到着したLiberiaという町でハンバーガーショップに入った瞬間に、猛烈な音と共に轟々とスコールが降り注いだのであった。

こうなってしまうともう走る気力も何もかも失せてしまい、屋根のある場所で雨脚が弱まるのをひたすらに待つしかない。
本来スコールというものは1時間もしない内に止むものなのだが、結局この日は雨脚が弱くなるのに夕方近くまで
掛かり、このままLiberiaで足止めを喰らう形でホステルに投宿せざるを得なかった。
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スコールの天候とは面白いもので、あれだけ立ち込めていた漆黒の雲が一切消え失せ、翌日の朝には真っ青な空が広がっている。
逆に言えば、夕方頃にはどこから湧いて来たのか、再び漆黒の雲が立ち込めるわけだが。
青と黒の駒で行われるオセロゲームのようであり、数秒の間で喜怒の感情がひっくり返る赤ん坊のようであり、とにかく中米の空模様は落ち着きがない。
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この日私の体調はすこぶる良く、グアテマラのアンティグアで怠けて失ってしまったスタミナが、ようやくメキシコ中盤の頃の水準にまで戻り、気力も充実してきた。
それに呼応するかのように、「中米の楽園」と呼ばれるにふさわしいコスタリカの美しい風景が目の前に広がる。
青い空に浮かぶ白い雲が引っかかった美しい山々、その足元に広がる緑色の草原・・・。

広い路肩もこの区間だけ何故か存在しており、久しぶりに自転車で走っているだけで楽しい気分になる。
こんなに自転車走行そのものが楽しいのは、カナダ以来ではないだろうか。
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美しい風景をしばし堪能した後、Cañasに到着。
ここで道路は分岐し、我々が走ってきた海岸沿いにこのまま南下していくルートと、内陸側へと北上し、Lago de Arenal(アレナル湖。コスタリカ最大の人工湖)へと向かうルートに分かれる。

自転車旅行者は、より面白いであろう道を取りたがる人種である。
このまま海岸沿いを行くのも悪くないが、湖を見る方が美しいだろうし、楽しそうだ。
濱さんからルート変更の提案があった時、諸手を振って賛成した。

当初我々はこのまま海岸沿いをJacoという町まで南下し、首都San Joseへと向かう予定だった。
それを、Cañasから内陸へと向かい、Tilaranという集落からLake Arenalを経由してSan Joseへと向かうルートに変更した。

内陸へ向かうということは、当然コスタリカ中央に居座る山脈へと向かうことになる。
CañasからTilaranへの道は登りと暑さが厳しく、すぐに汗だくになる。
あまりの汗の量に、汗が目に入って痛くなるほどだ。
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登るに連れて、風力発電機が姿を現し始めた。
普段は風が強いのだろうか、立ち並ぶ樹々も形が歪に変化させられている。
それにしても、風車と牛の組み合わせという景色は、奇跡的な程にマッチしていると見る度に思う。
例えるならば、牛乳とコーヒー、ホームズとパイプ煙草、タモリとグラサン。見事に調和していると私は思うのである。
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この日もスコールの予兆に怯えつつも、何とか振られずに無事峠の頂上にあるTilaranという町に着いた我々。
小さい町ながら小奇麗としており、公園も綺麗に整備されていて子どもが遊具で遊んでいる。
雰囲気はニュージーランドに似ており、非常に落ち着いた印象を受ける。
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交渉の末7ドルも値引いてもらったホテルに投宿し、晩ご飯を食べるべくレストランに入ると、先に席に着いていた男性客の方に日本語で話しかけられ、びっくりしてしまった。

話しかけてくださった方は岩崎さんという方で、コスタリカに居を構え、お仕事をされているという。
まさか中米で、しかもこんな小さな町で日本人の方に会うとは予想もしておらず、びっくりすると共に嬉しく、楽しく食事とビールを楽しんだ。

我々が前日にルート変更を考えていなければ起こりえなかった偶然の出会いであり、こういう事が起こり得るのが自転車旅行の素晴らしい点であると思う。
ご厚意に大いに甘える形で岩崎さんに全てご馳走して頂き、始まりから終わりまで素晴らしい一日となった。
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Tilaranの町から10キロ程、いくつかのアップダウンを越えた先でLake Arenal Hotel & Breweryというホテルに我々は到着した。
こちらは岩崎さんが共同経営されているホテルで、前日にお世話になったお礼のご挨拶をするべく、お邪魔させて頂いた。

岩崎さんはコスタリカに来られる前からクラフトビール関連(日本では地ビールという呼称の方が馴染みが深いが、そのほとんどはクラフトビールと呼ぶ方が正しいとのこと。)のお仕事をされていたそうで、こちらのホテルでも自家製のクラフトビールを醸造、提供されている。
そのクラフトビールを試飲させてもらったのだが、その味の美味しい事!
ちなみに私のお気に入りは、フルーツと組み合わせた甘い味のビールであった。
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クラフトビールを片手に話に花が咲き、気付いた頃にはお昼ご飯の時間となっていた。
岩崎さんの「この日は部屋が空いているから、もしよければ」とのご厚意にまたもや甘える形で、我々は本日の走行を終了。
案内してもらったお部屋は、薄汚い自転車旅行者が普段泊まることがあり得ない程に立派で、本当に何度感謝の弁を述べても足りない程であった。
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部屋の入り口前にあるバルコニーからは、Lago de Arenal(アレナル湖。コスタリカ最大の人口湖)を一望することができる。
Tilaranでお会いした時に岩崎さんは、昔にコスタリカを旅行していた際にこの湖に偶然出会い、その美しさに魅了され、畔に居を構える決意したという話をされた。
「一人の人間にそこまで思わせるとは、どれほどの景色なのだろう」と到着前から期待していたのだが、その出来事が納得できる程、この静かな湖は美しい。

昼は湖と空の青色とそれを囲む山々の緑色が非常に良く映え、夜は対岸に見えていた小さな集落の家々とホテルの灯りがポッと照らされている。
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この平和的な空間の中で、昼間から我々はクラフトビールを煽り、下手くそなチェスに興じ、久しぶりの休日で大いに羽、もとい足を休めた。
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夜には親切なホテルスタッフの案内で、ホテルの庭園に住まう目の赤い珍しいカエルをはじめ、その他数種類のカエルを観察することができた。
身勝手で厚かましい話だが、「このカエル達が雨雲を呼んで、翌日が雨になって立ち往生することになれば、この素晴らしい湖から離れなくてもよくなるのに・・・」と内心思っていたのは、ここだけの話・・・。
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(走行ルート:Costa Rica国境→La Cruz→Liberia→Tilaran→Tejona)