小説風に仕立てていますが実話です。とらやの羊羹を食べたい(または食べた)という、それだけの内容です。
有難いことに、ごく少数ですが楽しみにしてくださっている方々がいらっしゃいます。
「とらや東京ミッドタウン店」に住所氏名を残し、季節の商品や展示の案内を送っていただくようになったことがすべての始まりでした。
ついでに、私を誘惑しようと懸想文(注1)を次々送ってくるあのお方(注2)を訪ね、欲望(注3)に身をゆだねてみようか。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2013年10月11日
注
1 DMともいう
2 仮にTとする
3 羊羹!羊羹!!
猫耳をかたどった「すませば」というお菓子です。愛らしいこと。そして意中の相手と甘いひとときを…。(【鑑賞】とらや「甘いねこ」展。) pic.twitter.com/L55m4b8bgf
— オクスタ製文 (@oksta7) 2013年10月11日
次の投稿は何らかの(おそらく自意識過剰な)理由で削除してしまったようです。
Tがまた私を誘惑してきた。扇情的な文章と、何もかも露わにした写真で! 欲望におぼれてしまいそうな予感…。 #官能小説「とらやとわたし」第5回。 pic.twitter.com/zOvhSinIYx
posted at 13:41:54
この時点では続きを書くつもりはなかったように記憶しています。
この頃からなんとなくシリーズ化を意識しています。
あの手この手で私を誘惑するT氏。抗うすべを持たぬ私。 (連続官能小説「とらやと私」第6話)
— オクスタ製文 (@oksta7) 2014年4月10日
4月19日からだそうです。 pic.twitter.com/mzw7JFrmv5
興が乗ってきました。
帰宅した私を待ち受けていたのはTからの葉書と…それでは足りぬというのか封書まで。連綿と綴られる甘い誘い文句。「やめて!」言葉とは裏腹に封筒をひしと胸にいだき、私は烈しく身悶えるのだった。(連載官能小説「とらやと私」第7回くらい) pic.twitter.com/5atSSA35Oh
— オクスタ製文 (@oksta7) 2014年5月27日
パターンはいつも同じです。
だって一昨日会ったばかりじゃありませんか・・・。俯き、顔をそむけても、Tの巧みな誘いを前に私の口腔はしっとりと熱くなるのであった。【連載官能小説「とらやと私」】(「とらや市 ふきんとてぬぐい」はミッドタウン店で10月1日から。) pic.twitter.com/jN56s6EiYC
— オクスタ製文 (@oksta7) 2014年9月22日
「思わせぶりだが露骨ではない」文章が理想なのですが、
回を重ねるごとに後戻りできなくなるのは恋の逢瀬と同様(?)。
投稿すべきか数日迷ったものもあります。
掌中のそれは、私が受け入れることを承知しているかのような固さで、思わず「嗚呼」と声が漏れる。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2014年10月22日
今すぐ剥き出しにして口に含みたい。甘美な記憶が私の中心を貫く。でも。
「だめなの」
歯を磨いたばかりなのだ。
微かににじむ《夜の梅》の文字。
(連載官能小説「とらやと私」)
ごくわずかながら「固定ファン」がいることが判明したので安心して調子にのります。
この先でTが私を待っている。俯いて足早に過ぎようとするが、すれ違いざまに振り返り見つめてしまう。嗚呼!愛しい姿に我を忘れて駆け寄るが、伸ばしかけた手を固く握り直す。熱情に震える唇を思うさま押し当てたいのに、財布の中身が乏しいうえ、スカートがきつい。(連載官能小説「とらやと私」)
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年1月16日
どうしても口がらみになります。だんだんネタが尽きてきました。パリから来た若者を部屋に連れ込んで刹那の関係に溺れている。匂い立つ肌を指でつまみ、ねっとりと舌を絡ませて味わい尽くす。頬を寄せてencoreと囁けば願いはたちまち叶えられ、濃密な夜が続いていく。限定販売「羊羹auショコラ」の小箱が空になるまで。【連載官能小説「とらやと私」】
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年2月11日
さじ加減の難しさよ。
他に「黒光り」もNGワードに設定しています。Tの屹立したそれを目の当たりにし…って、その表現はあまりにもあまりにもだわ。作者スランプにつき「とらやと私」休載中。 pic.twitter.com/6oLvAuxJ8b
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年5月13日
実は「とらやと私」の最終回の筋書きはとうの昔から決まっています。
これ以上ネタもないし、いざクライマックスへ!と突っ走りたいところですが、
小説を装った実話なので「とらや」に足を運ばない限り続きを書くことができません。
休載宣言(おおげさな・・・)から数か月が経った頃、
スーパーマーケットで見かけた白モツに胸をときめかせた夜がありました。
そうだ今夜はモツとニラの鍋にしようと思いついたその時に、目の前の世界が輝きを増したの。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年9月10日
高鳴る胸をおさえるように白モツを抱いて、小雨そぼ降る家路を急ぐのであります。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年9月10日
この時点では一刻も早く帰宅してモツを煮ることしか考えていなかったのですが、
「とらやと私」の貴重なファンのSさんはこれを新連載の序章だと思い、応援のツイートをくださいました。
それならばと投稿したものがこちら。
激しくコトを終え、つかの間の凪に目を閉じて息をととのえている。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年9月10日
身も心も歓びで満たされたはずなのに、ふと鼻をかすめる濃密な香りが、わたしのその部分を再び湿らせる。
(訳:モツ鍋をガツガツ食べて食休み。うまかった。鍋からイイ匂いがするので唾液が出るよ。)
モノがモツだと、どうも生々しくなるような気がします。Sさんのご期待には応えられたのでしょうか。もっと欲しい。舌を這わせてかたちを確かめ、溢れ出る熱い液で口腔を満たしたい。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2015年9月10日
えっ、待って、そんなところに入っちゃダメ…
(訳:モツ鍋おかわり。ニラが奥歯に挟まる。)
とらや、もとい「T」との関係に進展がないまま月日は過ぎます。
「とらやと私」の舞台は主に東京ミッドタウン店か自宅ですが、
ある日気まぐれに立ち寄った百貨店で新展開を迎えます。
福砂屋のキューブは見目麗しく味素晴らしいカステラです。Tとの逢瀬を絶って幾月が過ぎようか。
— オクスタ製文 (@oksta7) 2016年2月29日
入れ替わるように懇ろになった柔肌の持ち主Fの姿を日本橋で見かけて駆け寄ると、そこにTも居た。同時にだなんて、そんな背徳が、ああ、でも、蜜が、蜜が!
(帰ってきた官能小説風実話「とらやと私」) pic.twitter.com/H9ZvN9t2Ex
さて、こちらが現時点での最新話です。
実家の父がもらってきたギフトカタログから姉が羊羹セットを選んだという話です。両親の家をTが訪れているという。しかも姉が招いたのだそうだ。「お姉さまはTさんが嫌いぢやなかつたの?」おづおづと尋ねる私をちらと見やるその顔、ああ!女の目をしている!
— オクスタ製文 (@oksta7) 2016年6月7日
(不定期連載官能小説「とらやと私」)
「おづおづ」という表記を使いたいがために後から旧かなに直しましたが、
推敲不足でかな遣いが統一されていないのはご覧のとおりです。お恥ずかしい。
「とらやと私」の主人公は和装の人妻(うなじ美人)であるような気がしていますが、
この回だけは昭和初期の上流階級の生娘をイメージしています。
まとめてみると実にくだらない。でも自分では割と気に入っています。
なんでもTORAYA CAFEなるものが存在するそうですね。
行く機会があれば、また新たな章が始まるかもしれません。
敬愛するとらやに怒られないことを祈ります。