福西式お灸・指圧blog

狭山養生鍼灸院

2014年01月

 かくとだに 
   えやは伊吹の さしも草
     さしも知らじな 燃ゆる思ひを

 ご存知『小倉百人一首』に出てくる藤原実方(さねかた)の歌です。
恋心を言葉ではっきり言えないだけに、よけいに焦がれる胸の想いを、
もぐさの燃える様で表現するとは、大したものであると思われます。
毎日、多くの灸をすえる筆者の実感です。
  
izumi


 ところで、恋心を、もぐさすなわち灸療法に託した歌はたくさん
あります。和泉式部も『新古今集』の中で、次のようにうたっています。

 けふも又
   かくやいぶきの さしも草
     さしも我のみ 燃えや渡らむ

 もぐさについての歌にあっては、多くの場合、伊吹山とワン・セットで
うたわれています。このように、伊吹山ともぐさが一緒の例を、もう少し
挙げてみましょう。

 あぢきなや
   伊吹の山の さしも草
     おのが思ひに 身をこがしつつ

 なほざりに
   伊吹の山の さしも草
     さしも思はぬ ことにやはあらぬ

 なぜ伊吹山とともにうたわれたかというと伊吹山がもぐさの名産地で
あったからです。また、この場合、伊吹山は地名の伊吹と、恋心を相手に
『いふ』をかけて使われています。つまり懸詞(かけことば)です。



  『枕草子』にもさしも草

 次に、さしも草です。『さし』は皮膚にさしてあてる意味から出た接頭語
であるとされていますが、古くから『さしも草』と一つの名詞として使われて
いたようです。歌以外の例を挙げますと、清少納言の『枕草子』(六十三段)に、
 「草は菖蒲(さうぶ)。菰(こも)。葵(あふひ)、いとをかし。 (中略)。
さしも草。 八重葎(やへむぐら)。つきぐさ、うつろひやすなるこそうたてあれ。」
と出て参ります。
 
 このように、歌に随筆にと、広く王朝文学に〝もぐさ″が出てきます。このことは、
灸療法がいかに愛好されていたかの証拠となるでしょう。


 次回は、伊吹山に関するおもしろい話について述べたいと思います。


    狭山養生鍼灸院 福西佐元
 【上記は地方紙に掲載されたものです】

 信州松本藩主愛用の灸箱の写真を掲げました。これは森ノ宮医療学園・はり灸ミュージアム所蔵のものです。以前に、尾張徳川家の姫君の婚礼調度の一つとして、お灸道具一式を集めた『灸盤』の写真を掲げたことがありす。このように、江戸時代、藩主や大名の姫君が、自らお灸をすえたり側近にすえさせたりしていたことがわかります。藩主の灸箱を見てみましょう。                                 灸箱のコピー3
 上部にはすずりがあります。墨をすって、筆で灸点をつけたものと思われます。中程の陶器は何でしょうか。これはおそらく水を入れる容器と思われます。なぜならば、灰をこの中に入れると共に、線香の火を消すのに用いたものと思います。線香の火は大変あぶなく、きちんと消しておかないと火事の元になるのです。では線香の火はどのように消すと安全なのか。それは、火のついた線香をその先の部分だけでなく、火のついていない部分を含めて2㎝くらい水の中につけてしまうのです。これで完全に消えるだけでなく、水にぬれたままの線香を火にかざしますと、またすぐに火がつくのです。

 下の図は私が主宰する『お灸教室』で用意するものです。参加者には、これらを、のりの入れ物等金属製の箱に入れておくことを強く勧めます。火事を防止するためです。このようにお灸の道具を一つにまとめておかないと、小まめにお灸をすえることができません。
お灸愛好者の等しく共有する実感です。   灸箱のコピー2
                                   狭山養生鍼灸院 福西佐元
                                   【上記は地方紙に掲載されたものです】


 便秘に八分灸ほどよく効くものはありません。

 八分灸とは、もぐさが八分くらい燃えたときに、つまんでヒフから取り去る方法で、熱くなく、アトは全く残りません。だから小学生や若い女性も沢山すえています。

 では、どれくらい効くのか最近の一例を紹介しましょう。

便秘
 Aさん(96歳女性)は極度の便秘に悩み、下剤を飲むと下痢に苦しみ、浣腸するとその副作用に困るといった状態でした。図の斜線の部分に強い圧痛を認めましたので、ここに沢山の灸点をつけ、それぞれの点に二壮ずつ八分灸をすえました。一壮とは一つの点に一回点火することです。 すると、すぐに便意をもよおし、トイレに行ってもらいましたが大量の便通があり、スッとしたと言い、こんなに良い気分になったのは久しぶりだと大変喜んでおられました。その後、数回治療に来てもらい、毎日通じがあるようになりました。こんな例はざらにあります。

 便通にも下痢にも効く 
 
 昔から便秘のツボはヘソの周囲と決まっていました。しかしそこだけではうまくゆきません。苦労した末に、便秘に対する特効のツボが脇腹に近いところにあることを私が発見したのです。本当に良く効きます。
 
 ところで、このツボへの施灸は下痢にもよく効くのです。便秘や下痢は自律神経(交感神経と副交感神経から成る)の失調状態を意味します。八分灸の作用は、この自律神経の失調状態を自動的に調整し正常にします。だから、下痢にも便秘にも同じ治療をすればよいのです。西洋医学と違い興味深いところです。

狭山養生鍼灸院 福西佐元 

【上記は地方紙に掲載されたものです】 

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