福西式お灸・指圧blog

狭山養生鍼灸院

2015年04月

  先日、ある講演の席上で、八分灸をすえるとがんになりにくくなると話をしたところ、決定的証拠があるかとの質問を受けました。以下は私の答えです。

 正直言って、決定的証拠はないが、状況証拠が沢山あります。刑事裁判でも、決定的証拠がなくても状況証拠が沢山あれば、それらを精査して判決を下すことができます。

 医学における決定的証拠とは、RCTのことです。例えば、肺がん検診が有効か無効かを判定する場合、何万人という人を集め、二つに分けて、片方には毎年肺がん検診を、他方には何もせず、それを10年、20年と続け、肺がん死者を較べて統計学的有意差が生じるかどうかをみる、これがRCTです。しかし日本では、こんな膨大な費用と労力のかかる調査はあらゆる医学分野であまり行われていないのが実情です。(近藤誠著「患者よがんと闘うな」)
 
 そこでこれから数回にわたり、八分灸ががん予防に役立つことを、状況証拠を沢山あげつつ説明していきます。

がんは老化現象

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 その前に、がんは老人病あるいは老化現象の一つであることを理解して下さい。西村肇著「見えてきたガンの正体」(ちくま新書)から図を引用させてもらいました。図を見ると、直腸ガンによる死亡者が60歳を過ぎると急激に増えていきます。この傾向は、あらゆるがん(小児がん等特別なものを除く)について言えることです。がんは老化現象であることを覚えておいて下さい。

狭山養生鍼灸院 福西佐元
  【上記は地方紙に掲載されたものです】 

 なぜお灸のことを『やいと』と言うのか、そしてこの言葉はいつごろから使われていたのか、ということについて、先回お話をしました。少しふり返ってみましょう。

 

 お灸の焼けあとのことを『焼処(やきと)』と言っていたのが音便(おんびん)変化して『やいと』となったこと、また、この言葉の使用例が藤原隆信(たかのぶ)和歌集にあること、したがって『やいと』は平安時代から使用されていた古い言葉であることなどを述べました。

 

 先回引用した歌以外に、隆信集にはもう一首やいとの歌が出てきます。それをみることにしましょう。

◇    ◇

 

 かやうにいひ(かわ)す程に、例ならぬこと有て、やいとをなとしたるに、又この女もひる食う由を聞きて言ひやりし

〈 朝露の ひるまはいつそ 秋風に よもきのあとも 思ひみたれぬ 〉

(かへし)

〈 みたるらん よもきのあとの 苦しさに 露のひる間も いつと知られす 〉

 

自然となじむ優雅な表現

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 少し説明をしましょう。

 『恋六』に出てくるこれらの歌の前に、いくつか歌のやりとりがありましたので、「かやうにいひ交す程に」という文句が出てきます。「例ならぬこと有て」とは、病気になったということです。「又この女もひる食ふ由」とは、女の人も病気になったということを意味します。というのは、ひる(・・)とは『蒜』と書いてニンニクのことを言い、これは当時病人の食物だったからです。

 

 両方の歌に『よもきのあと』という言葉が出てきますが、これはお灸のことです。つまり、もぐさの原料がよもぎであることから、お灸のアトを意味するようになり、ひいてはお灸自体を言うようになったのです。この『よもきのあと』は、多くの歌によく出てきます。

 

 それにしても、『よもきのあと』とは何と優雅な表現でしょう!自然に生えるよもぎを人工的に加工してもぐさとし、お灸をすえた結果をもう一度自然に返して『よもきのあと』と表現するとは、自然に抱かれて生きようとする日本人の琴線(きんせん)触れるところではないでしょうか。

 

狭山養生鍼灸院 福西佐元
  【上記は地方紙に掲載されたものです】 

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