福西式お灸・指圧blog

狭山養生鍼灸院

2016年02月

 『新古今和歌集』には、お灸についてうたった歌が多く存在します。例を挙げましょう。



 (なお)頼め しめぢが原の さしも草 われ世の中に あらんかぎりは



 上の歌は釈教歌として、仏教に関する歌ばかり集めた所にあります。そしてこの歌は清水寺の観音様についての歌であると解されています。



 また、“さしも草”とは、われわれが現在お灸につかっているもぐさのことです。



 歌の意味は、病気になったときにお灸を頼りにするように、この世に存在する限り、やはり清水観音を頼りにせよということになります。



 “しめぢが原”とは「しめつの原」ともいわれ、下野(しもつけ)の国つまり今の栃木県にあったとされ、もぐさの原料である良質のよもぎが採れたといわれています。だから、もぐさと“しめぢが原”がワンセットになってよまれました。そんな例を『古今和歌六帖』という歌集から引用してみましょう。



恋の歌にもお灸が登場




 下野(しもつけ)や しめつの原の さしも草 おのが思ひに 身をや焼くらむ



 この歌は仏教とは関係なくお灸のもぐさが燃えるように私のあなたに対する思いが燃えて、そのために身を焼きつくすほどです、といった強烈な恋の歌になっています。



 本題の『新古今和歌集』の中にもこのような強烈な恋の歌があります。次に挙げるのは情熱の歌人といわれた和泉式部の歌です。



 けふも又 かくやいぶきの さしも草 さしも我のみ 燃えや渡らむ



 この歌の意味も先ほどの歌と同じく、お灸のもぐさが燃えるようにあなたに対して自分だけが燃えて今日一日をすごすことです、という片想いのやるせない歌です。



 この中に出てくる伊吹山も滋賀県にある山ではなく、栃木市内にあったものと考えられています。このことは多くの人によって主張されていますが、とくに江戸時代初期の僧、契沖(けいちゅう)によって強調されました。



 いずれにしろ、仏教といい恋といい、生命の根元に関わるところで“もぐさ”つまりお灸が引用されているとは、当時のお灸に対する見方が如実に示されています。


狭山養生鍼灸院 福西佐元
      [上記は地方紙に掲載されたものです]


 

   


 
一度の来院で「熱くない、アトのつかない
八分灸」のすえ方とツボの取り方をお教えします。図のお灸器具(3,000円)を用いますので、肩や腰をはじめ全身に御自分で施灸できます。予約の上お越し下さい。
      お灸器具jpg

 
                  TEL   072-367-7329
 
                  MAIL  okyumeijin1@gmail.com


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

 前回に続いて、井原西鶴の作品にあらわれた“お灸”について述べましょう。


 前回と同じ『好色五人女』のうち、巻五・おまん源五兵衛の中の文です。


 町家の娘であったおまんが源五兵衛に恋をします。ところが源五兵衛が出家してしまったので、おまんは“男装”をして草深い源五兵衛の庵を訪ねます。それが次の場面です。ここでは源五兵衛は相手が女性であること、ましてやおまんであることを知りません。


            


 おづおづ手を背中に廻して、「いまだ()もあそばさぬやら、さらに御身にさはりなき」と、腰よりそこそこに手をやる時、おまんも気味()しかりき。折節を見合せ、(そら)寝入(ねい)りすれば、入道せき心になって耳を(いら)ふ。


            


 「さはり」とは、灸でできた傷あとです。すると、上の文は次のようになります。


 源五兵衛が、おずおずとおまんの背中に手を回して「いまだ灸もしたことがないようですね。身体に少しも傷がない」……


 ここから、次の二点がわかります。一点は、当時の人々がほとんど全員お灸をすえていたこと。第二点は、当時のお灸は熱く、大きなアトが残るものであったこと等です。


現代人は“貴族”なみ?


 これに対し、私がいつも推奨しているのは、平安貴族のすえていた“八分灸”です。これは、もぐさが八分ぐらい燃えたところで消してしまうもので、熱くなく、アトが全くつきません。それでいて、大きな効果があります。


 両者の違いは、生活の相違に基づく体力差によります。つまり、労働をせず柔弱な平安貴族にあっては、弱い刺戟しか体がもたなかったのです。それでいて、弱刺戟でも十分効果があったのです。


 一方、労働により身体が鍛えられた江戸期の庶民の場合は強刺戟にも耐えられるし、そうでなくては効果もなかったのです。


 ところで、現代人の生活をみるとき、重労働とはほとんど無縁になりました。車社会の到来で歩くこともなく、いわば全員が平安貴族になったのです。ここに、弱い八分灸の今日的意義があります。


狭山養生鍼灸院 福西佐元
      [上記は地方紙に掲載されたものです]


 

   


 
一度の来院で「熱くない、アトのつかない
八分灸」のすえ方とツボの取り方をお教えします。図のお灸器具(3,000円)を用いますので、肩や腰をはじめ全身に御自分で施灸できます。予約の上お越し下さい。
      お灸器具jpg

 
                  TEL   072-367-7329
 
                  MAIL  okyumeijin1@gmail.com


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このページのトップヘ