エヴァンゲリオンQが公開されました。

僕は19日の朝に見て、頭を抱え、スタッフロールの最中「これは夢かな?」と太ももをつねり、痛い思いをするなどしていました。
 
ふらふらになりながら午後の予定をキャンセルし家に帰り、まず旧劇場版(EOE)を見直しました。面白かった。EOEは面白かった。
 
その後、2chのエヴァ板、yahoo!映画情報の感想、はてなのエヴァ感想などを貪り読み、世界に対する憎悪を深め、今に至ります。

劇場で僕がエヴァQがに対して抱いた感想は以下の3つだけです。

つまらない。
意味がわからない。
しかも、わざとそう作っている。

新劇から入った人で「つまらない」「意味がわからない」という感想に反対する人は恐らく少ないでしょう。
Qはまぎれもなく意味不明の、つまらないアニメでした。

どこかで見たような凡庸な新キャラクター、ダサさ満点の新エヴァや新兵器、全く何の説明も挟まれないまま進む不条理なストーリー、合理性の欠片もないキャラクターの行動、両手の指で収まらないほどの過剰な新語、そして全く回収されない伏線に意味不明のまま終わるラスト。

まごうことなきつまらない作品です。「つまらない作品」というタイトルをつけて美術館に飾りたいほどのものです。

エヴァQのつまらなさは群を抜いています。「凡庸」とか「駄作」とかそういう域を超えて、テレビの砂嵐程度の娯楽性しかありません。確かに巨大ロボットやキャラやピアノがぬるぬる動くのは楽しいですが、そいつらが何故動いているのかが全くわからないわけですから、テレビの砂嵐以上アリの行列以下といった所が適切な評価ではないでしょうか。

では何故こうもつまらないのか。

ここで「納期が足りなかった」とか「庵野監督の才能が枯渇した」という安易な答えは選びたくありません。というか、仮に予算が1/10で監督がそこらへんの映像学科の大学生でも、もっとマシなものは作れます。エヴァQは「駄作」という枠を大いにはみ出すほどの、それほど本当に、徹頭徹尾、完全無欠に、つまらない作品です。

ですのでこれを「頑張ったけど失敗した」作品とみなすのは恐らく間違っています。庵野監督がその溢れる才能全てを費やし、意図的につまらないものを作っているんだ、と考えるのが妥当な考え方でしょう。

ではなぜ庵野監督はこんなにつまらないゴミを作ったのか。

それはエヴァQを見て「な、難解だ!これでこそエヴァだ!」と大喜びで騒いでいる、あなたたちに対する怨嗟と憎悪ゆえではないかと僕は思うのです。

「エヴァは難解だ」という今や常識とも言えるテーゼは、EOE以降に広まりました。
確かにEOEは難解でした。それは当時のアニメーションとしては前例のないものでした。

しかし、EOEには間違いなく中身がありました。
それは登場人物の物悲しさであったり、アスカの成長と闘争であったり、シンジの決断であったり、画面の向こう側の我々に対する(悪意ある)メタメッセージであったり色々ですが、間違いなくそこには庵野監督の本物の叫びが、慟哭が、表現したいものが、メッセージが、ありました。

しかしその後15年間、「エヴァ」はその内容ではなく、むしろその難解さをもって語られてきたように思えます。「文学的」「難解で哲学的」などといった陳腐なエヴァ評を僕は15年間で腐るほど見てきました。

そしてオタク業界もエヴァを真似た無駄に難解な(しかし中身のない)アニメ・漫画・ゲームを量産してきました。いちいち名前は出さないし出したくもありませんが、みなさん1つは頭に浮かぶのではないかと思います。

そのような状況を鑑みると、エヴァQの突出したつまらなさにも納得の行く説明をつけることが可能に思えます。つまり、エヴァQは、そのような「謎」過剰のアニメーション界隈と、「謎豚」とでも呼ぶべき難解な作品に安易に飛びつくアニメファンに対する、怨嗟と憎悪の結晶なのではないかと思うのです。

現にインターネットではエヴァQの解読が花開いてます。猫も杓子も、作中でこれ見よがしに示された意味深な新語や登場人物の一挙手一投足にナンヤカンヤと説明をつけています。全体の無内容さを指摘すれば「それは読み込みが足りない」などという鼻息荒いウエメセ発言が飛んでくる始末です。「良くも悪くもこれこそエヴァ」などという台詞も散見されます。

あのね。「これこそエヴァ」とか言ってるみなさんはもう一度TVシリーズとEOE観直してくださいよ。テレビ版最終話はともかく、EOEはちゃんと意味のあるやりとりをしてますから。

ネルフとゼーレの最終決戦
アスカの覚醒と闘争
人類補完計画の発動
(よくわからんけど)シンジはそれを否定して、ラストシーン

ひとつひとつの背景や、キャラクターの行動の意味まで理解しようとすれば難しいでしょうが、作中で起こっている大まかな出来事はそれまで幾度と無く語られてきたことですし、可読性は普通に高いです。Qみたいな毒電波とは全く違います。EOEをもって「(難解な)エヴァQこそ真のエヴァ」などとのたまってる人こそ、庵野が「Q」で斬りたかった「謎豚」ではないでしょうか。


というわけでエヴァQを大真面目に解釈しようとしてる謎豚のみなさん。糞で顔を洗って目を覚ましましょう。エヴァQは明らかに、内容のない、難解なだけの、つまらないアニメです。