男の憧れの仕事はプロ野球の監督とオーケストラの指揮者と銭湯の番台である。最近は銭湯が減少して男子の本懐も狭き門になってしまったが、なんと立憲民主党の枝野幸男がサイババ頭でオーケストラを指揮しているではないか!

o Exciting!Encore performance @ Tokyo, Japan.
Orquesta de la Juventud Venezolana Simón Bolívar
Simon Bolivar Youth Orchestra of Venezuela
指揮:グスタヴォ・ドゥダメル 
Conductor:Gustavo Dudamel
1. Mambo  from " Westside Story " (R. Bernstein)
2. Danza Final (Malambo)   from " Estancia "(A. Ginastera)

 こりゃすごい。チェロは振り回すわトロンボーンは振り回すわタンバリンは放り投げるわ、いったいどこの国の連中だと思ったら、ベネズエラのシモン・ボリバルオーケストラ。
 続いてはキエフの大門、ラデツキー行進曲、Danza Final (Malambo)   from " Estancia "(A. Ginastera)
Gustavo Dudamel and the Simón Bolívar Orchestra of Venezuela


 2011年頃だったか、あるメーリングリストでエル・システマを持ち出したら、某経済学者から「情操教育で悪ガキに犬を飼わせるようなものでしょう」とあしらわれてシラけてしまったのだが、やはりこれは大変なものだぞ。
 お次はワルキューレの騎行。N響なんかよりはるかに上手い。
La Cabalgata de las Valkirias - Gustavo Dudamel


 デトロイト交響楽団とエル・システマ。本気で探求しなければならん。
 世界を席巻するオーケストラ教室「エル・システマ」とは
 2017年10月20日 毎日新聞
 音楽評論家・山田真一
 エル・システマとは、南米ベネズエラで始まった無料で楽器を習え、無料で楽器を借りることができ、無料でオーケストラ活動に参加できる音楽教室だ。現在では国の支援も受けベネズエラ国内だけで参加者40万人規模、世界では60以上の国や地域で、エル・システマを利用したり、触発された活動が行われたりしている。〝オーケストラ教室〟としては、むろん世界最大だ。
 もっとも10年ほど前まで、エル・システマの存在は、筆者が書籍「エル・システマ」を出版するまで日本では全く謎だった。

にわかには信じられなかったエル・システマ
 エル・システマ最大のスター指揮者、ロスアンジェルス・フィルハーモニック音楽監督のグスターボ・ドゥダメルこそ多少の注目を集めていたものの、当時彼は20歳代。生涯をかけて活動する指揮者という職業柄、20代の指揮者など一部の評判だけではなかなか信用されないものだった。
 彼が率いるシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ(現シモン・ボリバル交響楽団)も同様。年齢も当時はドゥダメルと同じ世代の若者たち。だが、それ以上に、従来、南米のオーケストラの評価は低く、たとえ技術水準が高く、熱演をしても、一般的には〝ラテン的な解釈と演奏〟といわれるのがオチだった。
 エル・システマについても同じで、〝南米でまともなクラシック演奏をしているはずがない〟〝どうせ南米的な(ルーズな)活動なのだろう〟という偏見に満ちた意見が多かった。
 それも無理からぬものだった。日本のような経済先進国で治安が良い国からみれば、電気も上下水道も整備されていない区域に何十万人も住むような国は極貧国にしか見えない。日本人にとってクラシック音楽は欧米から輸入された〝舶来文化〟であって、〝極貧〟とは結びつき難い。

日本と縁があったエル・システマ
 筆者はベネズエラ渡航前、予備調査からこうした偏見を払拭(ふっしょく)できたが、ベネズエラでまともな音楽指導、それもプロ水準の指導ができているのだろうか、という疑問は持っていた。
 ところが、現地へ行き、最大の疑問はすぐに氷解した。指導教本がスズキ・メソードだったのである。なぜスズキ・メソードがエル・システマに導入されたのかは拙著に譲るが、彼らは一時スズキ・メソード音楽院なるものまで設立しようとするほど、この日本生まれの学習指導方法にほれ込んで、彼らなりの学習指導方法を確立していたのだった。

 シモン・ボリバル・ユース・オーケストラはその賜物(たまもの)で、ドゥダメルもまたしかり。
 また、もう一つ日本人がエル・システマに関して知りうる機会がありながら、それを逃していたことがある。初代シモン・ボリバル交響楽団の来日だ。ところが、この来日は見知らぬ〝南米オーケストラ〟としか見なされず、ほとんど日本人に記憶には残っていない。
 しかし、2008年のドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの来日は違った。一大旋風を起こし、エル・システマも同時に注目を集めることになった。
 以来、コンスタントにエル・システマのアーティストは来日している。これまでテレサ・カレーニョ・ユース・オーケストラ、エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス、シモン・ボリバル弦楽四重奏団、指揮者のクリスチャン・バスケス、ディエゴ・マテウス、ラファエル・パヤーレ、トランペットのフランシスコ・フローレスなど数多くのエル・システマ出身のアーティストが来日を果たした。彼等はいずれも欧米の一流の音楽シーンで活躍し、多くがメジャー・レーベルの録音も持つ。
 
2017年エル・システマ・フェスティバルの魅力
 そして今年も、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団コントラバス奏者のエディクソン・ルイスをはじめとするエル・システマのアーティストが来日し、日本のアーティストとのコラボや、2012年より日本でも始まったエル・システマ・ジャパンが加わった演奏が、東京芸術劇場で、「エル・システマ・フェスティバル2017」として10月20日から22日まで行われる。

 注目の一つは、最近ソロ活動で幅を広げるコントラバスのエディクソン・ルイスとチェロの堤剛とピアノの伊藤恵らとの、ボッテジーニのコンチェルタンテ。ボッテジーニは19世紀に活躍した〝コントラバスのパガニーニ〟と呼ばれたイタリアのコントラバス奏者で作曲家。エディクソンの超絶技巧を堪能できるはずだ。

 最終日のガラ・コンサートでもエディクソン・ルイスが活躍。ベネズエラでエル・システマのオーケストラを振った経験を持つ井上道義の指揮で、クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲ト短調が演奏される。また、今回、手話による合唱団ホワイトハンドコーラス関連の演奏団体も登場。ベネズエラからホワイトハンドコーラスの代表メンバーからなるヴォーカル・アンサンブルのララ・ソモス、今年日本でつくられた東京ホワイトハンドコーラスが舞台に立つ。
 エル・システマの音楽世界が今年も日本で繰り広げられるのを楽しみにしたい。
 枝野も政治家より指揮者のほうが向いているんじゃないのか?
 それから経済学者は皆殺しにしなければならぬ。