2022年10月18日
ワインエキスパート2次試験、三度目の正直の当日。

天気は曇りだったでしょうか。


3度目となると特に思いも無く、むしろ「今日か~」とやや憂鬱な思いを持ちつついざ開催会場へ。
会場となる施設には複数の試験部屋があり、3度目の受験となる私はおそらく一番小ぶりな部屋が会場でした笑

全然自信の無かった私ですが、逆に良い諦めがつき、試験直前でも落ち着いたものでした。
一応、去年、一昨年の2次試験の解答例に軽く目を通して、ある程度の『型』の傾向だけ再確認しておく程度です。


時間となり、試験会場入りです。

入った瞬間、会場内に漂うワインの香り。

自席には、待ち受ける5種のお酒達。

席に着きますが、まだ試験開始には時間があります。
それまでの間、やはりまず①~④のワインと、⑤のその他酒類の色を見ますね。
見ない人はいないと思います。誘惑に勝てない笑


基本的に、色だけでワインを識別することは、できる可能性もありますが少なく、リスクもあります。

ピノやMBAのように淡い色であれば、それは確かに品種判別のための重要な要素ですが、もし違っていても、脳がもう「そう」と認識してしまい、他のコメントも「そう」寄せてしまう可能性があるからです。

なので、参考程度に留めるべきですが、この2022年試験は違いました。

色をざっと見たところ、②の白ワインの色に、「ん?」 となりました。

『色薄いな。それに……ちょっとグリがかってない?』

グリ、とは「灰色」といった意味で、赤ワインまでは行かない薄紫・薄ピンク色のブドウのこととして使われます。
有名なのは、まさに名の通りのピノ・グリや、甲州ですね。

このグリなブドウで造った白ワインは色合いが濃かったり、またオレンジ色・山吹色がかった色合いになることがあります。

そして、②のアイテムである白ワインが、そんな山吹色に薄く色づいたワインだったのです。

これを見た瞬間、、、

『これ、甲州じゃね?』

と思いました。
ただまだ結論付けるのは早計ですし、前述したように危険です。脳が騙されてしまいます。
考えをニュートラルにし、あくまで結論は香り、味わいを確かめてからです。

極力色合いや濃淡の事実だけを認識しつつ、時間を待つこと10数分。

オリエンテーションの後に、試験が開始となりました。

・・・

まず、①の白ワイン。

外観:淡い色合いのレモンイエロー。当然品種はピンときません。

香り:香り立ちはやや控えめか。
  柑橘、青りんごや、白い花。石灰のミネラルやすっとした香木。
  ちょっと嫌気的な感じ。

味わい: うん、ドライだね


……?

え、わからん笑


よくある白ワインの香りにしか思わん笑

とりあえず、印象の解答(マークシートへのマーク)は進めますが、最後はやはり品種を答えなければいけません。


う~ん、と大いに悩んだ結果、よくある白ワイン、ということで、

「シャルドネ(フランス、2020)」

と解答しました。

・・・

さて次、②の白ワインです。

外観:淡いのはそうですが、グリがかってる。レモンイエロー…?
  あ、選択肢に「オレンジ(グリ)を帯びた」ってある。
  …若干賭けになるが、ひとまずコレで。


ここで、軽い混乱。
「外観の印象」という項目があるのですが、ここの選択数が、①の白ワインは1つだけ選ぶ指示、だったのですが、何故か②の白ワインは2つ選ぶ指示が。なんで?

普通は白ワイン、赤ワインでそれぞれ選択数は同じなのですが(赤と白では違います)、何故か今回は同じ白ワインで選択数が違うという謎。

最後まで、試験管に「この選択数の指示、正しいんですよね?」って確認しようか迷ったけど、そのまま指示通り解答しました。


気を取り直して、、、

香り:香り立ちはニュートラル、控えめ。
  柑橘、白桃、ミネラルや香木。

…これやっぱ、甲州じゃね?

味わい:ドライ。そしてアルコール感が弱い。
  しかし、果皮によるものか、コクのあるフェノリックなビター感。

……うん、甲州だなこれは。


リースリングと並んで好きな品種。概ね確信を持ちつつ、解答は、

「甲州(日本、2020)」

もし本当に甲州だとしたら、ラッキー問題です。
自動的に国も正解になりますからね。

もちろん、外していたら破滅です汗


・・・

③の赤ワイン

外観:縁に明るさのあるやや濃いルビー。ただ、遠くから見るとそこそこ濃く見える。

香り:香り立ち豊か。濃縮感がある。これはしっかりした品種だろう。
  ラズベリー、ブラックベリーの赤~黒の果実。赤い花も濃い。
  樽のニュアンスもあるし、やや生肉っぽさ?

う~ん、、、CSかシラーっぽい。

味わい:結構強いぞこれ。果実味豊かでおいしいじゃん。
  タンニンも強い。アルコールも強め。
    全体的にパワフル。ニューワールドか。

色は少し明るめに見えるが、中身はフルボディ。

…え、わからん泣

思いつくのは、、、CSかシラーか、、、


正直決められず、品種の解答は後にして④のワインを解答することに。

・・・

④の赤ワイン

外観:濃いな、これは。黒いくらいのガーネット。濃縮感あり。

香り:しっかりした品種だろうけど、少し香りは好気的でオールドワールドっぽさがある?
  ブラックベリー、ブラックチェリー、カシスの黒い果実。
  樽のニュアンス。煙や燻製っぽさ。

味わい:あーこれも強い。間違いなくフルボディ。
   タンニン強っ。収斂性すら感じる。
   アルコールも強い。熱さを感じるくらい。

ううむ、味わいについては全てが強いワインだな。
CSか、シラーっぽい。 ……って、それじゃ③と同じじゃん。

これは参りました。
③、④の赤ワイン両方とも、カベルネ・ソーヴィニョンかシラーっぽいのです。

去年のワインエキスパート2次試験では、赤でチリのCSが出てきました。
となると、今年はシラーの方が出る可能性が高い気がします。

ふと、心の奥底の自分がささやきます。

『両方シラー(シラーズ)って解答しちゃえば?』

ただ、それは何となくやめとこうかなと自制。

何度も両者を比べ、

・タンニンがより強いのは④
・③はやや色が明るい

という要素から、

③…「シラーズ(オーストラリア、2017)」
④…「カベルネ・ソーヴィニョン(オーストラリア、2017)」

と解答しました。国だけ両方豪にしたのは日和りましたね。

しかしまあ、今思えば、④の香りを取ったとき、好気的で旧世界っぽいなと感じた引っ掛かりをもっと大事にすべきだったなあ、と。終わった話ですが。

・・・

忘れちゃいけないのが、⑤のその他酒類(ハードリカー等)です。

これは、外観香り味わい、など関係なしに、何の酒かを4択から一撃必殺で解答するものです。

出てきた酒、

外観は無色透明。樽熟成系や色付きリキュールは外れます。

香り…、果実系のリキュール、とだけは…

味わい…、果実系のリキュール、とだけは…

いや、なんだこれ?

選択肢の四択は確か以下の通り。

・マール・ド・ゲヴェルツトラミネール
・テキーラ
・ピスコ
・オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ

果実系なので、まずテキーラは無し。

…ピスコって何?笑

マールは、ぶどうの搾りかすの蒸留酒。
飲んだことあるけど、どんなだったっけ?

オー・ド・ヴィー・ド・キルシュは確かさくらんぼのお酒だけど、飲んだことない…

改めて、ピスコ。
そもそも知らない。
メキシコとかそのへんっぽい名前。テキーラと雰囲気近い名前だし、外しておくか。

となると、マールか、EDVキルシュか…
ぶどうか、さくらんぼか…

さくらんぼっぽいかなあ。キルシュに賭けてみるか

というわけで、⑤の解答は

「オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ」

にしました。


これで、全ての解答(マーク)が終了。

時間はまだ少々残っています。
また、ほぼ吐器を使っていたために酔ったりもしていなかったので、
改めて①から風味を再確認、

したところ、

①のワインの香りをかいだ瞬間に衝撃が走ります。

「香りが開いて豊かになっている。パッションフルーツの香りがする」

最初こそ、香りも控えめで、これといった特徴を感じなかった①の白ワイン。

それが、時間が経ち香りが開いたのでしょうか。
明らかにキャラクターが変わっていました。

何より、パッションフルーツの香りがドカンと出現。

この香りを持つワインといえば、、、もしかしてソーヴィニョン・ブラン。


試験前、何となくですが今年はソーヴィニョン・ブランとシラーあたり出そうだな、甲州とかもそろそろ可能性あるかな、いや、ないか…、なんて思っていました。「お前、出てたのか」と言いたくなる程の①の変化です。

少なくともシャルドネじゃない。SBかも!
ということで、残り数分、慌てて①の解答を変えます。

①…「ソーヴィニョン・ブラン(フランス、2020)」

国を変えなかったのは日和りました。NZ産かなとは思ったのですが。


終了直前のドタバタ。
何とか品種、香りも修正し終え、試験の終了時間を迎えました。


…うーん、微妙!


結局自信は全然無し。

特に、③、④の赤がわからなかった。
サンジョヴェーゼもあり得るか。メルロ…は無いかなあ。
白は、まあ②甲州がサービス問題だったかな~。

今回も落ちたらどうしよう、と思いながらトボトボ帰宅。
これにて、私の3度目の2次試験は終了です。


会場からの帰り、私はTwitterにて、同じく2次試験を受けたであろう戦友皆様の感想ツイート漁りを始めました。これもまあ、つい検索しちゃう人は多いのではないでしょうか笑

3度の受験いずれもそうですが、この試験感想ツイート、言うなれば「俺はこう解答したよ」ツイート。皆結構分かれるんですよね。

その中でも、ある程度皆の解答が似通うものも見受けられます。

②の甲州もそうでしたね。

皆さんのつぶやき見て、少なくとも②は合ってそうで安心。

一方で、愕然として心臓が締め付けられるようなツイートがあり、不安で一杯に。

『え、③がピノ・ノワール? ガメイ?』

あのパワフルな③を、淡くエレガント系のピノ、ガメとしているツイートが案外多く、愕然とします。
確かに色は少し淡めだったけど。
もしあれで③がピノ、ガメだったら立ち直れない…。ワイン好き名乗るのもやめようかな、と思いました…

そんな一喜一憂を経て

その日の夕方


ソムリエ協会のHPにて、正解の品種が発表されました。
以下の通り。

①白:ソーヴィニョン・ブラン(ニュージーランド、2019)
②白:甲州(日本、2021)
③赤:カベルネ・ソーヴィニョン(アメリカ、2019)
④赤:シラー(フランス、2018)
⑤その他:オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ


お、おお?
これは、どうだ?

…いや、微妙だな汗!


白はめでたく2種が当たり。
甲州は、まあそうだろう。これはサービス問題。
直前で①の解答変えたのは超ファインプレーだった。

迷った赤は…あちゃー、全滅。
ってか、カベルネとシラーはそうなのに、逆かよ!もったいねえ!

⑤は当たってた、ラッキー。
※後で調べたら、「ピスコ」は南米で飲まれているブドウを使った蒸留酒だそう。
 マールと同じブドウ原料だとわかっていれば、⑤もあそこまで悩まなかったなあ。
 知識不足を反省。

しかし、過去2回と比べると、とてもスタンダードなラインナップです。
協会は合格者増やしたかったのかな?

おかげで、ワインは品種2つ当たり。
某ワイン試験受験対策サイトによると、品種1つ、その他酒類1つ当て、コメントの方向性が外してなければ当確線上に乗れるとかどうとか。

ならいけるか? と思うが…いかんせん国と生産年が壊滅的。
生産年に至っては全外し。

やはり、これは微妙。

ただ、ただ! 過去2回よりかは、確実に感触は良い。


合格を祈りつつ、後日の合格者発表を待ちます。



・・・

そして、合格発表当日。

発表時間近くになり、ソムリエ協会のHPに何度かアクセスをするうちに、合格者一覧ページへのリンクが出現していました。

心臓がキュッと縮みながらも、リンク先へ進み、ずらっと並ぶカナ氏名を追った先に……



ありました、自分の名が




……


ほう、と一息。


苦節2年。

ワインエキスパート、やっと、合格です。


嬉しさよりも、安堵の気持ちの方が先でした。



普段からワイン好きを公言しておいて…
こんなブログをやっておいて…

でも、もう大丈夫。
自分はワインが好きなんだと、自分自身を信じることができる。


それから、ほんのりと嬉しさ。

名乗る機会なんてないだろうけど、俺ってワインエキスパートなんだな~、とか
付ける機会なんてないだろうけど、葡萄のバッジもらえるんだな~、とか

※実際は、約2万円払って認定登録手続きした場合にワインエキスパートとなり、バッジが送られてきます


その日は軽くお祝いとばかりに良いワインで乾杯しました。



しかし、趣味の延長の資格なのに、こんなにも色々あるとは思いませんでした。

世には、あっさりと1発合格した方も多いでしょう。

私はそうはなりませんでした。
ですが、この3年間の諸々を経て、2度の不合格も、ワインを楽しむため、ワインを理解するための糧となってくれたと思います。


そして、ワインエキスパートを取ったとはいえ、まだまだワイン好きに毛が生えた程度だというのは、ワインエキスパートを受け始めてからのこの2年半で痛感しました。

これを新しい一歩として、またよりお酒を理解してゆくため、気持ちを入れ直したいですね。

古人曰く、勝って兜の緒を締めよと



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