3月15日、「甲山」に登った帰り、道路のど真ん中に有る磐座「夫婦岩」に寄ってみた。
この磐座については、昨年「磐座と祈り」でも紹介した。

西宮市の夙川から北山植物園を越え、鷲林寺に至る道のど真ん中にこの磐座が有る。
邪魔になるので爆破して撤去しようとすると、その工事の担当者が急死することなどあり、古くから祟り成す磐座として恐れられている。インターネットで検索すると、祟り成す恐ろしい岩ばかりが強調されている。

この辺りは、磐座の多い場所。「北山の磐座」、「目神山の磐座」、「甲山八十八ヶ所の磐座」、「甑岩」、「ごろごろ岳」から南東方面に延びる尾根の近辺に有る「剣岩」、「鏡岩」など素晴らしい磐座がひしめいている。

道のど真ん中にある磐座は通常「夫婦岩」と呼ばれている。東西の谷間に有り周辺の磐座の要の位置に有るように思われる。

この磐座は真っ二つに割れ、その割れ目故か女性器の隠語から「オメコ岩」と呼ばれたりもしている。僕はこの言葉は決して蔑みの言葉ではないと理解している。それは「ホト」、次世代に命を繋ぐ極めて重要な岩と。

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「夫婦岩」の西側から撮影した。明らかに一個の岩が割れて広がっている。その接点になぜか柿の木が生えている。

前回ここに来た時は、沖縄から来た「ノロ(霊能者)」が火を焚き祈りをささげた。それはそれは神秘的な光景だった。

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割れただけでなく、東側を接点にして、西側が広がっている。自然現象なのか人の意思が加わっているのか、今のところ判断できない。
この割れ目には何らかのエネルギーがこもっているように思うが、鈍感な僕には分からない。ノロはこの石は非常に重要だと言っていた。沖縄からのエネルギーがここに届くと。

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小さい方の石の下部、オーバーハングしたところがやけに赤い。僕はこれが気がかり。

石が一部分赤くなっている石をよく見かける。この赤くなっている原因は、この部分で火が焚かれ、高温になって鉄分が酸化されて「弁柄」状の色に変化している。これは科学的にも立証できる。そして、一旦赤くなると消えない。

遠い昔、この岩の根元で火を焚くという祭事を行なっていたに違いない、と僕は思っている。
火を「ホ」といい、火を焚く場所を「ホト」という。それは女性器おも表す言葉。
この磐座にピッタリ合う。

この岩の両側を車がぶんぶん通る。周辺も高級住宅地として名を馳せている。
この岩を注目する人は殆どいない。殆どが邪魔な岩ぐらいにしか思っていない。
しかしこの岩は、沖縄から来たノロが言っていたように、極めて重要な岩だと思う。

祟り成す恐ろしい岩ということばかりが世間では囁かれているが、決してそうではなく、極めて重要な岩なのだ。したがって、爆破するなどとはもってのほか。
祟りの伝承は、そのものを大事にしないことから起きる現象だ、と僕は理解している。

したがって、石・岩・磐座に接する時は、必ず挨拶することをお勧めする。決して興味本位で接するものではない。我欲の籠った願掛けでもすれば、おそらく逆効果が起こるかもしれない。

岩の隙間に入ってしばらく佇んでいると、心地よい風が沸き上がった。