1月24日、とんでもないものを見てしまった。
それは大阪駅前の「大阪マルビル」の緑化。それは、円筒形のビル全体を緑化しようという壮大なプロジェクト。それを実見してビックリしてしまった。それは、絶対にやってはならない偽物だった!工事の過程としても、それは絶対してはならない代物だった!

僕も30数年前、「垂直緑化」「壁面緑化」に興味を持ち、実験もしたし、小規模ながら、実際の施工もした。そして、垂直壁面でも植物を育てることが技術的にも可能であることの実証もした。しかしそのメンテナンスの困難さから、大々的な施工はしない方が良いと判断して。その技術をさらに開拓することをやめてしまった。今日では様々な技術が開発され、世界的な施工例も一応知っている。僕はその成功例を羨ましいとも思わないし、よほどの必要性を感じない限り、「壁面緑化」はもうしないだろう。

「大阪マルビル」プロジェクトは勿論知っていた。

マルビル緑化
これはインターネット上で見つけた、発案発表当時の共同通信の記事だと思う。
発案者は超有名建築家の「安藤忠雄」さん。高さ120m直径30mの延徳エイブルが全面緑化できれば、それは素晴らしいものになるだろう。
しかし、それは技術的に可能だろうか。僕は疑問視していた。考えられるのは、ヘデラなどの蔓性植物をプランターに植え、外壁に取り付けたネットに絡ませて行く方法。強度と自動潅水の方法さえ確立すればそれは可能であろう。「大阪マルビル」の現在の所有者、大和ハウス工業グループはこのプロジェクトを可能なものとして、実行に移した。http://www.marubiru.com/info/archives/2074

2013年6月、高さ30メートルまでの低層階(1~6階)部分が完成し7日、報道陣に公開された。とニュースにあった。
http://www.daiwahouse.co.jp/release/20130606205249.html

時々近くを通ることもあるが、忘れていてわざわざ見に行くこともなかった。
冒頭にも書いたように、1月24日「大阪マルビル」内のショップに買い物に行き、このプロジェクトの実態を見て、愕然としてしまった。たまたまカメラを持っていたので、写真も撮った。

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ショップの入り口から見上げた部分。いかに視力が衰えたといえ、一瞬でほとんどが造花(造葉というべきか)だと分かった。本物はほんの少ししか生えていない。

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構造の最下部のアップ。最近の造花は非常に良く出来ているので、これでも本物かどうか判断しかねる方もいるかもしれない。大きめの葉っぱは本物。


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さらにアップ。どなたでもプラスチック製の造花だと分かるだろう。ここに写っているのはすべて造花。最下部でもこの状態だから、上部は推して理解できるだろう。この見えている壁面緑化部分はほとんどすべて偽物なのだ。


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踊り場から垂らしてある状態。これはすべて本物のヘデラ・カナリエンシス。冬季は特に色もさえないし貧相に見えるが、それが本当の姿。

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道路脇の「緑のテラス」に見られる壁面緑化。カセット式の構造に植えられている植物はすべて本物。カセット式のこの方法はグリッド的にデザインされやすいし、ポットに植えられているので消耗品的な扱いを受けやすいので、僕はあまり好きではない。しかしこれは本物。

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最下部の施設に植えられているのは本物の植物であるが、ビル本体のはほとんどが偽物。円筒状の壁面に細々と這い登っている姿が本来であり、時間をかけることによって成長し、やがて前面を覆ってくるのが本当の姿。偽物で一気に覆うのは、植物への冒涜でもあろう。

偽物は今後どうなるだろうか。最近のはいかに良く出来ていようと造花は造花。生きてはいない。やがて太陽光で風化し、ごみとなってバラバラ落ちてくるのが予測できる。たとえヘデラが良く茂ったとして、それらの蔓はこの造花に絡みつく。選別して取り外すことはおそらく不可能になるだろう。

ごみとして落ちてくるなどはまだ二の次だ。このように大々的に大金を掛けて、偽物を展示して良いものだろうか!このような偽物を「緑化」と呼んでよいものだろうか!これが緑化なら、緑のペンキを塗っても緑化になってしまう。

安藤忠雄さんは世界的に著名な建築家。その方がこのような偽物を許可しているのが信じれない。たとえクライアントがこのようにしたいといっても、それを止めるのが安藤さんの役割ではないだろうか。

インターネット上で検索してみると、この現状への批判記事も少なくはない。http://urban-diary.blog.so-net.ne.jp/2013-08-19
http://tairyudo.com/pdf02/andoufakegreen.pdf
などなど。また昨年12月には、批判のための討論会なども開かれたようだ。

僕はあまり人を批判するのは好きではない。また、「絶対」という言葉をあまり使いたくはない。
しかしこの現状を見てしっまたが故に、いかに著名な方であったとしても批判せざるを得ない!また「絶対」という言葉をさらに強調して「このような偽物は絶対に作ってはならない!」と声を大にして叫びたい。そして大阪人のいや日本人の恥だとまで言いたい!

文責・・・武部正俊
(遅ればせながらあえて名前を出して強調したい。)