この仕事は、去年の解体工事から始まった。
豪壮な和風建築で立派な庭も在ったが、クライアントは諸般の事情で解体を決意された。
庭には沢山の「伊予の青石」が在った。
「伊予の青石」は、「重森三玲」が多用した美しい川石。
石を廃棄処分するとすれば、クラッシュしなければならない。
それが忍びないと、相談を受けた。
全ての石を引き受けることにした。
その中に一個問題の石が在った。
在る霊能者から「この石には神さまが宿っているので、大事にするように!」と言われたとの事だった。
石垣の中に組み込まれた小振りな石で、お祀りされていた。
僕には、神さまが宿っているかどうかは分からないが、磐座探索をしている身でもあり、そのような石は大事にしたい。
石を運び出した最終に、その石を丁寧に外し、隣のご住まいに仮安置しておいた。
建物は規模を縮小して、住宅兼レストランとして新築されることになった。
中庭形式のプランであった。
庭は勿論僕が担当することになっていた。
中庭は、持ち帰っておいた「伊予の青石」で石組することに決めていた。
中庭形式なので、建築に先立って石組することにした。
建築の地縄が張れば、建築配置が分かるので、事前に石組しておいても問題はない。
今年2017年3月下旬、建築に先立って石工事を始める。
現場に残しておいた石の移動と再構成から始めた。
6トン位の重量で最奥に在るため、35トン・ラフターを使った。
元の庭で最も目立っていたのがこの石。
目立たせるとこの石だけが浮き上がってしまうので、アプローチ横の土留めとして控えめに使うことにした。
土留として石を組んで行く。
引き続き中庭の石組。
建築の床高さとの取り合いを考慮して地盤高さを決める。
かなり土を盛らねばならない。
石は前日に選び、現場に運んでおいた。
例によって図面は描いていない。
工事が始まるまで、どのようにするかも決めていない。
現場での打ち合わせもしない。
まず一番芯になる石を立てる。
瞬間的に神経を研ぎ澄まさねばならないが、一瞬で石の向きや配置を決める。
迷いはない。
中庭なので、見る方向は四方から。
裏表が無く、全方位からの視線にも留意しなければならない。
一個目を据えれば、次々に配置は決まって行く。
ここまでで30分。
ほぼ配置が決まる。
時間的には2時間はかからなかったと思う。
ステンレスのテーブルが、床高さ。
「作庭記」には、「乞はんに従う」という言葉が出て来る。
石の声が聞こえる分けではないが、この言葉の意味はよく理解できる。
出会った石で、「乞はんに従って」石を据えて行く。
スピードが肝要だと思っている。
当日、駐車場部分の土留め石積みも同時に行う。
8月初旬、建築足場が外れデッキも出来たので、中庭の植栽と、砂利敷き等の仕上を始める。
屋根越えの作業なので、8トンラフターを使う。
必ず土壌改良は行う。
中庭にはあらかじめ透水管の設置を建築側でしてもらっている。
水の地下浸透を促すために、砂利も埋め込む。
屋根の2方には樋が無いので、大雨だと谷の部分から激しく雨水が落ちる。
土のままだと掘れてしまうので、穴を掘ってガラや石ころを埋め、その上に砂利を撒くことにする。
表土に炭も撒いておく。
砂利の搬入。
最終、件の「神宿る霊石」を据え付ける。
場の雰囲気が一瞬にして変わったと、僕には思えた。
8月の暑い日だったけれど、涼し気な風さえ吹いた。
この時、僕は決断を迫られた。
元々、予算は厳しくタイトだった。
手の込んだことは出来ない。
これから塀やアプローチなど細かな作業が控えている。
如何にローコストで仕事を進めるかが課題であった。
しかし、この中庭が出来てしまった。
この中庭にマッチングした作業をしなければならない。
過剰なことはしなくとも、一切手は抜けない。
大幅赤字も覚悟した。
仕事を潤滑に進めて行くために、クライアントにも我がスタッフにも、僕の覚悟は伝えなかった。
ずいぶん手間取ってしまったが、9月末に完工出来た。
解体されずに残った大きな長屋門を潜った所の石組と植栽。
塀は躯体を「フェロセメント工法」で造り、仕上は真砂土と「オートセット」と言う固化剤を混和した土仕上。
アプローチ。
土留め石組。
玄関へのステップ。
古材を使用した。
アプローチを振り返る。
デッキ側から見た中庭。
中央の小振りの石が件の「神宿る霊石」。
ライオンの顔ようにも見える。
この中庭の石組をどのように評価してもらえるかは分からないが、
今まで沢山の石を扱い、沢山の磐座にも接してきた結果が現れているように思っている。
写真では、それを伝えることが出来ない。
幸この場所はレストランであり誰でも入り見る事がが出来る。
場所は、富田林市久野喜台2丁目。
南海高野線金剛駅の東側。
レストランの名前は「ガーデン和考」。
電話番号は0721-26-9159
今は昼のみで、喫茶だけでもOKとの事だった。
食事の場合は予約されると良いと思う。
看板も出ていないが、この長屋門が目印。
「フェロセメント工法」土仕上の塀と駐車場。
豪壮な和風建築で立派な庭も在ったが、クライアントは諸般の事情で解体を決意された。
庭には沢山の「伊予の青石」が在った。
「伊予の青石」は、「重森三玲」が多用した美しい川石。
石を廃棄処分するとすれば、クラッシュしなければならない。
それが忍びないと、相談を受けた。
全ての石を引き受けることにした。
その中に一個問題の石が在った。
在る霊能者から「この石には神さまが宿っているので、大事にするように!」と言われたとの事だった。
石垣の中に組み込まれた小振りな石で、お祀りされていた。
僕には、神さまが宿っているかどうかは分からないが、磐座探索をしている身でもあり、そのような石は大事にしたい。
石を運び出した最終に、その石を丁寧に外し、隣のご住まいに仮安置しておいた。
建物は規模を縮小して、住宅兼レストランとして新築されることになった。
中庭形式のプランであった。
庭は勿論僕が担当することになっていた。
中庭は、持ち帰っておいた「伊予の青石」で石組することに決めていた。
中庭形式なので、建築に先立って石組することにした。
建築の地縄が張れば、建築配置が分かるので、事前に石組しておいても問題はない。
今年2017年3月下旬、建築に先立って石工事を始める。
現場に残しておいた石の移動と再構成から始めた。
6トン位の重量で最奥に在るため、35トン・ラフターを使った。
元の庭で最も目立っていたのがこの石。
目立たせるとこの石だけが浮き上がってしまうので、アプローチ横の土留めとして控えめに使うことにした。
土留として石を組んで行く。
引き続き中庭の石組。
建築の床高さとの取り合いを考慮して地盤高さを決める。
かなり土を盛らねばならない。
石は前日に選び、現場に運んでおいた。
例によって図面は描いていない。
工事が始まるまで、どのようにするかも決めていない。
現場での打ち合わせもしない。
まず一番芯になる石を立てる。
瞬間的に神経を研ぎ澄まさねばならないが、一瞬で石の向きや配置を決める。
迷いはない。
中庭なので、見る方向は四方から。
裏表が無く、全方位からの視線にも留意しなければならない。
一個目を据えれば、次々に配置は決まって行く。
ここまでで30分。
ほぼ配置が決まる。
時間的には2時間はかからなかったと思う。
ステンレスのテーブルが、床高さ。
「作庭記」には、「乞はんに従う」という言葉が出て来る。
石の声が聞こえる分けではないが、この言葉の意味はよく理解できる。
出会った石で、「乞はんに従って」石を据えて行く。
スピードが肝要だと思っている。
当日、駐車場部分の土留め石積みも同時に行う。
8月初旬、建築足場が外れデッキも出来たので、中庭の植栽と、砂利敷き等の仕上を始める。
屋根越えの作業なので、8トンラフターを使う。
必ず土壌改良は行う。
中庭にはあらかじめ透水管の設置を建築側でしてもらっている。
水の地下浸透を促すために、砂利も埋め込む。
屋根の2方には樋が無いので、大雨だと谷の部分から激しく雨水が落ちる。
土のままだと掘れてしまうので、穴を掘ってガラや石ころを埋め、その上に砂利を撒くことにする。
表土に炭も撒いておく。
砂利の搬入。
最終、件の「神宿る霊石」を据え付ける。
場の雰囲気が一瞬にして変わったと、僕には思えた。
8月の暑い日だったけれど、涼し気な風さえ吹いた。
この時、僕は決断を迫られた。
元々、予算は厳しくタイトだった。
手の込んだことは出来ない。
これから塀やアプローチなど細かな作業が控えている。
如何にローコストで仕事を進めるかが課題であった。
しかし、この中庭が出来てしまった。
この中庭にマッチングした作業をしなければならない。
過剰なことはしなくとも、一切手は抜けない。
大幅赤字も覚悟した。
仕事を潤滑に進めて行くために、クライアントにも我がスタッフにも、僕の覚悟は伝えなかった。
ずいぶん手間取ってしまったが、9月末に完工出来た。
解体されずに残った大きな長屋門を潜った所の石組と植栽。
塀は躯体を「フェロセメント工法」で造り、仕上は真砂土と「オートセット」と言う固化剤を混和した土仕上。
アプローチ。
土留め石組。
玄関へのステップ。
古材を使用した。
アプローチを振り返る。
デッキ側から見た中庭。
中央の小振りの石が件の「神宿る霊石」。
ライオンの顔ようにも見える。
この中庭の石組をどのように評価してもらえるかは分からないが、
今まで沢山の石を扱い、沢山の磐座にも接してきた結果が現れているように思っている。
写真では、それを伝えることが出来ない。
幸この場所はレストランであり誰でも入り見る事がが出来る。
場所は、富田林市久野喜台2丁目。
南海高野線金剛駅の東側。
レストランの名前は「ガーデン和考」。
電話番号は0721-26-9159
今は昼のみで、喫茶だけでもOKとの事だった。
食事の場合は予約されると良いと思う。
看板も出ていないが、この長屋門が目印。
「フェロセメント工法」土仕上の塀と駐車場。
コメント