The Embaters 第2話

2018年10月24日

The Embaters 03

 
 エムベイター、それは光の戦士。怪物ルグズムの脅威から人々の平和と安全を守るため、密かに戦い続ける美しき勇者たち。
 
 ルグズム、それは闇の住人。人間社会の陰に潜み、ひたすらにイークを狙う恐るべき敵。
 
 イーク、それは聖なる宝。人間の女性のみが持ち合わせている、エムベイターの力の源にして、ルグズムの生命の糧。
 
 それはある特定の条件下において発生する、特殊な生命エネルギーである。
 
 その「特定の条件」とは、有り体に言えば、人間の女性が性的快感の頂点に達した時、いわゆる「イク」時のことである。
 
 ちなみに、イク時に発せられるイーク、というのは決して駄洒落ではなく、単なる偶然の一致にすぎない。
 
 ともあれ、イークの量や純度には個人差があり、両者が最も多いのは、若くて美しい処女である。純潔を失うことによってイークの純度は半減し、その後はセックスや出産の回数によって量もさらに減少していく。
 
 ゆえにルグズムは常にイークに飢えている。純度の高い大量のイークを求め、若く美しい処女を常に狙い続けている。
 
 これに対し、人間側も対抗する手段を講じていた。ルグズムがイークを求めている習性を利用し、イークを力の源とした戦力を作り出した。それこそが、エムベイターである。
 
 このエムベイターは常にイークの純度の高さを維持しなければならないため、若くて美しい処女のみに資格を許されている。そしてセックスを禁じられた彼女たちがイーク、すなわち性的絶頂を得る方法はただ一つ、自慰行為しかない。
 
 それ故に、エムベイターたちは、時と場所とを問わず、日常的に自慰を繰り返す。自身の体が求める快感を得るため、そして貴重な力の源であるイークを得るために。
 
 だがそれは、非常に危険な行為でもある。良質なイークを得るための自慰行為は、エムベイターの力を得るであると同時に、新鮮なイークに飢えたルグズムを誘き寄せる餌でもあるのだから。

「おはよう、響」

「はぁい、おはようございまぁす」

「あっ、光ちゃん、おっはよー!」

「うん、おっはよー!」
 
 教師や友人の生徒たちと挨拶を交わしながら、学校の敷地内を歩く美しい少女。
 
 その名は、響光。彼女もまた、ルグズムからイークを守るために戦い続ける、エムベイターの一人である。
 
 一見したところ、その明るく朗らかな言動からは、彼女がそのような大きな使命を抱いていることを連想できるものは、何も見出だせない。

 だが、その可憐な美貌と意外にも抜群なプロポーションからは想像もつかないほど、彼女はエムベイターとしては相当に高い実力を有している。現に昨夜も、自らの通う学校に教師に化けて潜んでいたルグズムを一体、見事に駆除したばかりである。

「うん?」

 昇降口で靴を履き替えていると、ポケットに入れてあるスマホからメールの着信音が聞こえてきた。取り出して画面を見た光は、怪訝な表情を浮かべる。

「何、これ?」

 差出人は非通知、タイトルも本文もなく、動画ファイルが一つ添付されているのみ。わけがわからないまま、とりあえず再生してみる。

「わっ!?」

 1秒にも満たない僅かな瞬間だったが、動画を見た光の口から驚きの声が発せられた。幸い周囲に人影はほとんどなかったので気づかれることはなかったが、動画の内容はそれほどまでに衝撃的なものだった。

「大変だ! 急がなきゃ!」

 スマホを手に持ったまま、廊下を走りだす光。その顔には、似つかわしくないほど真剣な表情が浮かんでいた。

「はあ、はあ、はあ……」

 光が一目散に向かったのは、自分の教室とは別方向にある保健室だった。そしてドアを開けるなり、大声を上げる。

「たっちゃん! たっちゃんたっちゃんたっちゃん!」

「うるさいぞ、静かにしろ」

 光の声に返事をしたのは、一人の美しい女性だった。年齢は20代後半、知的な美顔に眼鏡をかけ、長い黒髪を後頭部で束ね、裾の長い白衣を着ている。まさに典型的な『学校の保健の先生』といった出で立ちである。

 彼女の名は、橘巧(たちばなたくみ)。表向きは光たちの学校の保健教諭だが、かつては超一流、あるいは最強と謳われた元エムベイターであり、現在は光の直属の上司のような立場にいる。

「それに、学校でその呼び方はやめろと言っただろうが、全くお前は……」

「そんなこと言ってる場合じゃないんだって! これ見てよ、これ!」

 橘の言葉を途中で遮り、光は手にしたスマホを差し出す。その画面には、つい今し方送信されてきたばかりの動画が、再生の途中で一時停止になっている。

「これは……」

 一目見た橘の顔が、最初のあきれたような表情から一転、真剣そのものに変わる。そして彼女に促され、光は動画の再生を再開した。

「ううむ……」

「ははあ……」

 スマホの中で再生されている動画を凝視している二人の口から、感心しているような声が反射的に発せられる。それほどまでに、彼女たちは衝撃的な光景を目の当たりにしていた。

「なんとも、まあ、すごいものだな」

「いやあ、それほどでも、あははっ」

「感心してどうする、バカ」

「うん、それもそうだね」

 会話を交わしているうちに、動画の再生は終わっていた。橘がどこか疲れたような表情をしているのとは正反対に、光はとても楽しそうに眼を輝かせている。

「それで、お前にはこの動画に心当たりがあるんだな? 間違いはないな?」

「うん、間違いなく心当たりあるよ。これは確かにこの通りだったからね」

「とはいえ、励みすぎだぞ。少しは慎め」

「はぁい、これからは気をつけまぁす」

 おどけたように言ってから、光は不意に真剣な顔つきに変わり、

「それで、たっちゃんはどう思う、これ?」

「その前に、お前自身はどう思っているんだ? この動画をお前に送りつけてきた目的は何だと思う?」

「まあ、普通に考えたら、やっぱ脅迫ってとこかな。お前のことはいつも見てるぞ、だから絶対逆らうなってな感じでね」

「だろうな、それも大いにあり得ることだ。しかし……」

「それだけじゃないって、たっちゃんは思ってるの?」

 光の問いに、橘は小さく頷いてから続ける。

「脅迫ももちろんあるだろう。だがわたしは、これはむしろ挑戦だと思っている。響光という一個人だけでなく、我々全体に対するものだな」

「つまり、全部のエムベイターに喧嘩を売ってるってこと? ルグズムたちの何か大きな計画の一つかもしれないってわけなの?」

「そこまで大それたものかどうかはわからんが、少なくともお前をターゲットにしていることは間違いない。スマホにわざわざ動画を送りつけてくるぐらいだからな。差し当たり対抗策としては……」

 しばし考え込んだ末、橘は名案を思いついたように大声を上げた。

「よし! 光、とりあえず今日からしばらくオナニー禁止だ!」

「ええっ!?」

 突然の発言に光は心底驚いたような大声を張り上げたが、橘はすぐに顔を綻ばせ、

「いや、冗談だ。そんなことをしたら、お前はおかしくなってしまう。正気を失うとまではいかなくとも、今後の戦いには大きく影響するだろう」

「あったり前よ。だってわたし、貴重なエムベイターだもんね」

 にっこりと笑ってウィンクをする光に、橘はそうだなと頷き、

「とはいえ、警戒をしておくに越したことはない。これからは常に見られていると認識して行動しなければならん。くどいようだが、十分に気をつけるんだぞ、光。お前の大好きな、オナニーをするときでさえも、な」

「はぁい、わかってまぁす! ところで、あっちの方はどうなったのかな?」

「嶋栞のことなら、しばらくは保留だそうだ。素質は皆無ではないらしいが、イークの貯蔵率は万全とは言い難い。要するに、すぐに仲間にするのは無理だということだ」

「そっか、残念……」

 落胆の色を大きくして、光は嘆息する。

 嶋栞とは、昨夜の光とルグズムとの戦いを目撃していた、クラスメイトの少女の名である。

 光は前後の状況から判断して、もしかしたら自分と同じエムベイターの素質があるのではないかと思い、橘に調査を依頼していたのだが、結果は彼女の期待どおりではなかった。

「まあ、そんなに気を落とすな。素質は皆無じゃないから、いずれは仲間になる時が来るかもしれない。気長に待つことだ」

「うん、そうするよ」

「さあ、早く自分の教室へ行け。もうすぐホームルームが始まるぞ」

「はぁい、そうしまぁす!」

 元気よく返事をして、光は保健室を去ろうとする。その背中に向かって、橘が声をかける。

「途中でトイレに寄ってオナニーするんじゃないぞ」

「大丈夫! 授業中にこっそりするもん」

 そして光は入ってきた時と同様、勢いよく保健室から出ていった。

「全く、あいつは……」

 その言動を苦笑しながら見送った橘だったが、すぐに真剣な表情を取り戻し、

「挑戦、か。さて……」

 机の上のパソコンを操作するその姿は、どう見ても『学校の保健の先生』のものではなかった。

「ふわぁ……」

 つい大きなあくびが、口から漏れてしまう。それほどまでに、光は退屈しきっていた。

 4時間目、午前中最後の授業。古典を受け持つ老齢の教師は適当に教科書を読み、適当に黒板に書き、生徒を指名することも滅多にない。ある意味、生徒たちには評判がいいことで有名である。
 
 そういう授業だから、まともに聞いている者は数える程しかいない。大抵は何か他のことをしている。近くの者同士で雑談したり、早々と弁当を食べていたり、スマホを操作していたり、机に突っ伏して寝ていたり、ただ単にぼおっとしていたり。

「ふう……」

 持っていたペンを離し、これからどうしたものかと考える。元々頭はいいから今更授業を真面目に聞く必要はない。では何か他のことをしようかと思うが、すぐには名案が見つからない。
 
 眠気はないし、雑談する相手も近くにはいない。昼休み前ではあっても、早弁するほどの空腹でもない。スマホは橘に預けたままだし(例の動画がネットに拡散していないかを調べるため、という理由である)、このまま単にぼうっとしているだけ、というのもつまらない。

「しちゃおっかな、特オナ……」

『特オナ』とは正確には、『特別なオナニー』のことである。エムベイターである少女たちはそれぞれに、常人では再現不可能な特殊な自慰を行うことができる。もちろん、得られる快感は普通の自慰行為とは比較にならないほど大きい。

「よし、しちゃお!」

 光の決断は早かった。意識をある一点に集中させた直後、彼女の姿は忽然と教室から消えた。しかし、周囲の者は誰一人、その異変に気づくことはなかった。

「ふぅ、いい気持ち……」

 明るく広々とした浴室の、大きな浴槽の中。それが、光の現在位置である。

 当然、身体に衣服は何もつけていない。髪が濡れないように頭にタオルを巻いているが、首から下は全てが無防備にさらけ出されている。

 豊満な乳房と先端の突起、陶磁器のようにすべらかな下腹部、程よく括れたウェスト、すらりとした大腿、そして陰毛の全く生えていない股間に刻まれた清楚な縦筋。

 それにしても、つい今しがたまで学校の教室で授業を受けていたはずの光が、何故このような所にいるのか。実は、これも彼女のエムベイターとしての特殊能力である。

 外部からのあらゆる干渉を一切排除した、特殊な閉鎖空間の創製。
 
 本来はルグズムとの戦いを世間から隠蔽するために用いるものだが、光は応用として自慰行為専用の空間を作り出して使用している。

 ある程度は空間の中身を自分の意思で変化させることも可能で、今は自宅の浴室を再現しているが、その日その時の気分次第で好きなように変えたりもする。例えば、温泉旅館の露天風呂や、高級ホテルのナイトプール、あるいは南海のプライベートビーチ等にも。

 ちなみに、光がいた教室には特殊なカーテンのようなものが展開されている。それには周囲の人間の認識を阻害させる効果があり、それ故に誰一人として彼女の不在に気づくことはない。これもまたエムベイター全員が持つ能力であり、自慰を終えるまで効果が消えることはない。

「さぁて、どうしよっかなぁ、んんっ……」

 光の手は無意識のうちに乳房にあてがわれ、その大きな膨らみを優しく揉み始める。

「はぁんっ、気持ちいい……」
 
 エムベイターの少女たちは、その身にイークを短時間で効率よく大量に蓄積させるため、身体の感度が常人よりも遥かに敏感になっている。多少の個人差はあるものの、大抵は2倍から3倍、上級者ともなれば5倍や10倍にもなるという。

 光の場合は、大体3倍ぐらいではないかと自覚している。例えば今の場合、乳房全体が乳首とほぼ同等の敏感さになっている。それを証明するように、まだ直には触れられていないはずの乳首が、ほんの数回乳房を揉んだだけで、早くも痛みを覚える程に硬く膨らんでいく。

「はあ、はあ、いい、いいよぅ……おっぱい、おっぱい気持ちいい……おっぱいモミモミ気持ちいいのぉ……」

 敢えて乳首を避けつつ、光は両手で乳房を揉み続ける。そのうちに、二つの乳首だけでなく、体の別の箇所にも強い疼きが生じてきた。

 太腿の付け根、無毛の股間に刻まれた陰裂の奥。そこに隠れた二つの敏感な部分--淫核と膣口が、熱を帯びたように熱く疼く。あたかも、胸だけでなくこっちも弄って欲しいと不平を言っているかのように。

「ああっ、ああん、はあ、はあ、はあ……」

 胸を揉む両手の動きはそのまま、光は浴槽の中で太腿を閉じ合わせ、もどかしそうに擦り合わせる。だが、その程度の刺激では股間の疼きは全然解消されない。陰核は乳首に負けず劣らず膨らみを増し、膣口からは湯とは別種の熱い液体が溢れてきている。

「やぁんっ、だめぇ、おっぱい、まだモミモミしてたいのにぃ……で、でもぉ……」

 たとえ片方だけとはいえ、乳房への愛撫を中断させるのは、今の光には無理な注文だった。さりとて、このまま股間の疼きを無視し続けるわけにもいかない。

「うぅん!」

 光は勢いよく立ち上がり、浴槽の縁を跨いだ。そしてそこに股間に押し当て、そのまま腰を前後に動かす。

「あはぁあんっ! こ、これ! これいいっ! これ好きぃっ!」

 腰を振って股間を浴槽の縁で擦りながら、両手で乳房と乳首を一緒に愛撫する。これこそ、光のお気に入りのオナニーの一つだった。

 エムベイターとして活躍する以前、まだ胸も全然膨らんでいなかった幼い頃、初めて覚えた自慰もこれだった。それ以来、毎日の入浴の際には必ず行い、時間に余裕があれば今のように特殊空間を作成してまで繰り返している。

 この方法であれば、身体の性感帯の少なくとも三ヵ所、両胸と股間の疼きを同時に慰めてやることができる。必ずしも完全に解消されるわけではないが、その時は別のやり方で続ければいい。

「あぁんっ、いいっ! 気持ちいい! 気持ちいいよぉ! ああっ! ああっ、ああんっ!」

 甲高い喘ぎ声が光の口から発せられ、浴室の中に大きく反響する。人為的に作り出した閉鎖空間故に外部の者に聞かれてしまう心配は、一切考慮する必要はない。

「気持ちいい! 気持ちいいのぉ! お風呂のオナニー、お風呂でオナニー、すっごく気持ちいいよぉ!」

 激しい腰の前後運動によって浴槽の縁に擦りつけられている股間からは、ぐちゅぐちゅという愛液の淫らな水音が、絶え間なく奏でられている。それは光の激しい息遣いや遠慮のない喘ぎ声と相まって、浴室全体の雰囲気を淫靡なものに変えていく。

「やあんっ、だめぇっ! イ、イキそうっ! も、もう、イっちゃうっ!」

 不意に光の声の調子が切羽詰まったものに代わり、腰の動きが一段と加速する。言葉どおり、絶頂を迎えようとしている証である。

「イっちゃう、イっちゃうぅ! イク、イクっ、イクぅ、イクぅっ、イクうっ、イクうぅっ!」

 ひたすら同じような言葉を繰り返し、腰を激しく振って股間を擦り付け加え、乳房と乳首を握り潰しかねない勢いで荒々しく揉み立てる。そして間もなく、

「イクううぅぅんっ!」

 しなやかな身体を仰け反らせ、股間から大量の熱い飛沫を迸らせ、光は果てた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 
 硬直していた全身が一気に弛緩し、光はがっくりと項垂れて荒い呼吸を繰り返す。紅潮した顔には恍惚とした表情が浮かび、眼には大粒の歓喜の涙が溜まっている。だが彼女の中では、まだ疼きが燻り続けていた。

「も、もうちょっと、もう一回だけ……」

 浴槽に跨がったままで脚を大きく広げ、両手の指で陰裂を割り開く。決して他人に見せてはならないはずの最も秘められた部位が、明らかにされる。

 自慰の絶頂直後で充血してピンク色になっている陰唇、包皮から半分ほど剥けている陰核、処女膜がしっかりと残っているのが見て取れる膣口。いずれも愛液がべっとりとこびりつき、何とも言えない淫らさと美しさを醸し出している。

「ううんっ!」

 光はそのまま、両手の指を使って二回目のオナニーを開始した。左手の指先で陰核を包皮ごと摘まんで扱き、右手の指を二本並べて膣口に差し込んで擦る。

「ああんっ! いいっ! 気持ちいい! 気持ちいい! ああっ! ああっ! ああっ!」
 
 胸と同様、光の股間の性器の感度も常人の倍以上に鋭敏になっている。膣道は入り口から最深部まで全体そのものがGスポットとほぼ同等の感度になり、わざわざ指を深く差し込んで折り曲げる手間が省けるようになっている。それに陰核の包皮も本体とほとんど同じ感度になっていて、剥いても剥かなくても非常に強い快感を得ることができる。

「いいっ! いいっ! いいっ! 気持ちいいよぉ! 気持ちいいよぉ! あっ、あっ、あっあっあっ!」

 無我夢中で両手を激しく動かし、光は甲高い喘ぎ声を連発してオナニーに没頭する。浴槽の上で腰もかくかくと振っているせいで、先程まで自らの手で弄んでいた二つの乳房も、ゆさゆさと大きく揺れている。

「あっ、だめっ! イク! イっちゃう! もうイク! イっちゃうよぉ!」

 開始から1分ほどで、光は早々と二回目の絶頂を迎えようとしていた。左手の指は陰核を剥いて直に弄り回し、右手の指も深々と抽送を繰り返し、愛液の飛沫が辺り一面に撒き散らされる。

「イクうぅ! イクうぅうぅんっ!」

 そしてとどめとばかりに陰核を力強く捻り上げた直後、光の視界は真っ白な閃光に塗りつぶされた。

「はっ……」
 
 光の視力が次に認識したのは、教室の光景だった。授業はまだ終了しておらず、教師はぶつぶつと教科書の内容を読み、生徒たちはほとんど聞いていない。彼女がオナニーを始める前と何ら変わらぬ、平凡で平和な日常の景色。

 改めて自らの様子を確かめる。ちゃんと制服を着込み、身体も髪もきちんと乾き、あの激しかったオナニーの名残は、記憶以外には何もない。

「ふふっ、気持ち良かった。またしようっと……」
 
 満足そうに小さく笑う。誰にも邪魔されることもなく、思う存分オナニーに没頭し、快感を堪能し、イークを蓄積する。光にとって、これこそが人生最大の楽しみなのである。

「それにしても……」
 
 余韻に浸るのは一旦置いておき、別の事象に思いを巡らせる。今朝スマホに届けられた、あの謎の動画。

 そこには、光が校内でオナニーに耽る光景が収録されていた。様々な時間、様々な場所、様々な服装、様々な方法で思う存分自慰行為に没頭する美少女の恥態が。

 だがそれは、絶対にあり得ないはずだった。オナニーの開始から終了まで、周囲にそれを絶対に悟らせない特殊な防壁を、全てのエムベイターは展開することができる。録画や録音、撮影等の記録はおろか、普通に覗き見ることさえ不可能なはず。

 できるとすれば、可能性は二つに一つ。自分と同じエムベイターか、敵対するルグズムの、どちらかしかない。そしてこの学校には、自分と橘以外にエムベイターはいない。つまりはそういうことである。

「ま、何とかなるか」

 とはいえ、光はあまり深刻には考えていなかった。慢心していたわけではなく、必ず解決できるという強い自信があればこそである。

 自画自賛というわけではないが、自分はエムベイターとしてかなりの実力を有していると思っているし、元最強エムベイターの橘も支援してくれている。それに何より、以前から密かに進めていたある計画も、間もなく完成する見込みとなっている。必要以上に恐れることはない。

「ふふっ……」
 
 もう一度、光が小さく笑うと同時に、授業終了を告げるチャイムが鳴った。待望の昼休み、昼食の時間の到来である


onaniityan at 21:07│Comments(4)創作 | The Embaters

この記事へのコメント

1. Posted by ひで   2018年10月25日 13:29
更新お待ちしてました
長い間、更新がなかったので心配でしたが
とりあえず大丈夫そうでよかったです
2. Posted by 露菱人(管理人)   2018年10月25日 19:59
ひで様へ
コメントありがとうございます。
次はまたいつになるかわかりませんが、気長にお待ちください。
3. Posted by UN   2020年06月03日 20:58
2年ほど更新がありませんがお元気でしょうか?
生存報告だけでもお願いします
4. Posted by 管理人   2020年06月03日 21:00
UN様へ。
ご連絡ありがとうございます。
創作はほとんど休止同然ですが、とりあえず生きてはいます。

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The Embaters 第2話