Sableシリーズは室内楽向け音源として開発されました。
そして昨年、一般的な3管編成のオーケストラ向け音源としてMuralシリーズに着手、
2014年中に全てのボリュームをリリースするとアナウンスされたのは記憶に新しいですが、
一旦完成を迎えたSableシリーズ、ここで一度改めて考察してみましょう。

2014_4_20_0
*Muralシリーズはいくつ出るんでしょうか。


近い編成の音源の比較

1st Vln2nd VlnViolaCelloCbass
VSL
Chamber Strings 
6(6)432
Kirk Hunter Studios
Concert Strings Ⅱ*1
44432
Audiobro
LA Scoring Strings*2
44332
8dio
Adagio*3
3(3)322
Spitfire
Sable 
43333

*1…Quater Divisions
*2…Ensemble B
*3…Divisi 


Sableはいたって一般的な室内楽編成であることが伺えます。
1stが14~16人いるような編成の音源と比べたら種類が少ないですから、
選択肢が増えることは大変嬉しいですね。


他音源との残響の違い

上記の音源でSableが唯一異なっていることといえば、
ホールのLR(Last Reverberation、いわゆる残響音)が多分に含まれている点です。
VSL、Kirk Hunter、そしてAudiobroは大変ドライな録音になっているため、
楽曲に馴染ませるには、別途リバーブを加えなければなりません。

Adagioシリーズはアメリカの教会録音による音源ではありますが、
ER(Early Reflection、一番最初に反射してきた残響音の波)に重きを置いていて、
リッチな響きはあれど、LRを意図的に削っているため、
別途リバーブのを加えたほうが自然な音の減衰になります。

一方、Sableに限らずSpitfireの音源は、ほぼ例外なくLRを多分に含んでいます。
それはAir StudiosLyndhurst Hallというハリウッドご用達の一流ホールで収録しており、
音源の付加価値要素の一つとして、同メーカーが"売り"にしているからでしょう。
パッチを読み込むだけで、楽器のみならずホールまで読み込んでくれるわけですから、
簡単にスケットするだけでも大変リッチなサウンドを手にすることができるのです。


実は昨今こうした流れは決して珍しくなく、ただひとつVSLを除けば、
現在名の通っているオーケストラ音源メーカーはどこも極端なドライ録音を避け、
著名なホールで収録することで、付加価値を高めようとしている狙いがあります。

Vienna MIRAltiverbQLSpacesなど近年のIR技術の進歩には大変驚かされますが、
決してシミュレーションの域を出ることはできませんから、
それならホールで収録して、それも売り文句の一つにしてしまおう!というわけなのでしょう。

もちろんホール録音による弊害はあります。
自由なパンニングが効きませんし、下手に動かすと位相差によって歪みが生じます。
音源自体が収録したホールに支配され、個性も出しづらくなるため、
自分が頭の中にイメージとして描いている音を手に入れようとすると、
ドライ録音の音源を再配置するよりも時間がかかってしまうかもしれません。


収録アーティキュレーションの違い

他の金管や木管セクションの音源に関しても言えることですが、
単純なパッチ数で言えば、やはりVSLが頭一つ抜けています。
事細かなオペレーション、例えばビブラートの掛かり方やクレッシェンドなどのダイナミクス、
同音程の繰り返しをあらゆる奏法で収録しているのはVSLならではです。

以下にSableが持っている特徴的な奏法を表にしました。

VSLCStLASSAdagioSable
Sul Tasto----
Sul Ponticello----
Sul G or C*1---
Con Sordino--
Harmonics-*2-
Col Legno----
Bartok Pizz---

*1…最適化されているため、弦の指定が不可 
*2…Va, Vcのみ


これはあくまで表面的な一例にすぎません。
また、Concert Strings ⅡとAdagioの室内楽編成はオマケ要素のようなものなので、
VSLやSableと比べアーティキュレーションは格段に少なくなってます。

Sableが優れている点は、Sul TastoSul Ponticelloをしっかり別録音している点でしょうか。
ボウイングを複数備えているという点においては、現状Sableの右に出るものはいないでしょう。


次回はSableのシリーズ別パッチをまとめ、それぞれ解説していきたいと思います。


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