2007年10月19日

米国臓器移植の裏側 5

2007.08.12 00:01 | 臓器移植・脳死 | Tai-chan | 推薦数 : 6

日本語サイトに下記の記事が載っていました。やはり脳死判定でICUに長く入院が続くと患者家族への負担は大です。しかし、臓器移植に応じれば呼吸循環管理費用はドナー管理費用としてGift of Life Donor Program(GLDP)が全額負担となりますと家族に残された選択肢は臓器移植を受けざるを得ないことになるのでしょう。特に下記で出ている患者は黒人70歳という設定ですから、金銭的に家族が恵まれていないであろうと想像できます。

コメント欄に書きましたが倫理上の問題があります。しかし高額医療費の問題を解消するために多くのアメリカ人が脳卒中で回復の見込みがないと緩和ケアを早期に選択、臓器移植にOKしているのが現実です。日本は「死体に傷をつけるのが嫌だから」と言いますが、それは日本人が国民皆保険制度、高額医療費負担で経済的負担から守られているから脳死判定、臓器移植にNoと言えるのです。高額医療費が倫理上の問題を吹っ飛ばしてしまうことがあるのです。
「脳梗塞発症6時間で脳死宣告」というタイトルを読んで医学に素人の書いた文章かな?と推測できます。しかし、アメリカでは駄目だと判定した時に対応が早い!これは最初面くらいました。

20061110 脳梗塞発症6時間で脳死宣告 家族面談前に提供意思検索 
米東部臓器移植コーディネーターとは名乗らず、「家族支援の専門家」を自称
朝居氏ら「救命不能患者家族へ臓器提供選択肢提示の法制度化を」
 日本医学館発行の「今日の移植」19巻6号はp613〜p620に、日本臓器移植ネットワークコーディネーターの朝居 朋子氏、小中 節子氏による「臓器提供のコーディネーションとドナー家族フォローのあり方を考える アメリカ・Gift of Life Donor Programの実践から」を掲載した。これはフィラデルフィアのOrgan Procurement Organization(OPO)であるGift of Life Donor Program(GLDP)を訪問し、臓器提供のコーディネーションと提供後の家族フォロー体制を調査。わが国における臓器提供コーディネーションとドナー家族フォローのあり方を検討した論文。 GLDPは、ペンシルバニア州東部、ニュージャージー州南部デラウェア州の人口980万人をカバーし、2005年は360ドナーから1237臓器が摘出され、人口100万人当たりの臓器ドナー数は36.7人と世界トップクラス。 

朝居氏らの報告によると、州法で救急病院には全死亡例をOPOに通報する義務がある。医療者向けの資料には、呼吸器が装着されており、不可逆的な脳損傷がある、または脳死判定が予定されているなどの用件に該当する患者については、GLDPに連絡するように書かれている。GLDPは、病院からドナー情報を受信すると、ペンシルバニア州・デラウェア州では患者が免許証にドナー登録をしているかどうかをオンラインで検索でき、ニュージャージー州では警察に問い合わせることができる。したがって、患者の臓器提供に関する意思は、家族への臓器提供の選択肢提示前に確認できる。

当Web注:日本でも福岡県が、インターネット等を活用した提供希望者の新登録制度、各病院にその登録状況を照会する担当者設置などが進めている模様。、 
臓器提供の選択肢提示(オプション提示)は、医療スタッフではなくGLDPの臓器移植コーディネーターが行う。オプション提示の際は、臓器移植コーディネーターとは名乗らずに、“終末期における家族支援の専門家”という立場で家族にアプローチする。この立場での介入を医療スタッフにも充分理解してもらい、家族に紹介してもらうときにOrgan Procurement Organization(OPO)や臓器移植コーディネーターという言葉を使ってもらわないようにする。
 
オプション提示の際は、臓器移植の意義を強調する“Value-centerd approach”(臓器移植の価値重視型アプローチ)を用いる。これはGLDPが開発した手法で、‖ヾ錙α反ツ鷆,論気靴す圓い任△襪海函↓移植によって他の人の命を救えること、を強調する。たとえば「ご本人は進んで人助けをしていた。臓器提供をすることでほかの人を助けるだけでなく、命を救うことができる」、「(本人の人柄からかんがみて)ご本人も望んでいることでしょう」といった表現も用いる。 
朝居氏らは「筆者はGLDPの臓器移植コーディネーターがオプション提示をする場面に立ち会ったが、もちろん臓器提供を強要したり説得してりすることはなかった。しかし、臓器移植を待つ患者の存在を強調しすぎると、臓器移植コーディネーターの中立性を失い、家族の自由な意思決定を担保できないことがあるのではないかという懸念が生じた」としている。 朝居氏らによると、脳死宣告が終われば家族に臓器提供のオプション提示を行う。

同席した症例(70歳代、男性、黒人、脳梗塞)では、発症後約6時間での脳死宣告だった。当Web注:日本の脳死判定では、1回目の脳死判定から2回目の脳死判定まで、6時間以上経過後に行うとしているが、脳死判定から5日後に鼻腔脳波が測定された実例もあり6時間の規定にも疑義が呈されている。朝居氏らは、このような超早期の脳死宣告については疑問は書いていない。 
朝居氏らは「アメリカではニュージャージー州を除き、脳死はすべからく人の死であり、死亡宣告された後にオプション提示がなされる。患者は死亡しているので、家族は呼吸器停止または臓器提供の二者択一を迫られることになる。呼吸循環管理を継続する場合は、家族が医療費を負担せざるをえない。したがって、家族には意思決定に長い時間的猶予があるわけではない。家族が臓器提供を望めば、呼吸循環管理費用はドナー管理費用としてGLDPが負担する」と書いている。 

またGLDPでは、臓器提供後の家族フォローはソーシャルワーカーの担当。日本では、臓器移植コーディネーターが直接ドナー家族宅を訪問することも多いことを、GLDPのソーシャルワーカーに話したところ「大変驚かれた。安全性の問題もあり、家族宅を訪問してのフォローはまったく考えていないそうである」とのこと。
 
最後に朝居氏らは、わが国における実践について、院内臓器提供コーディネーターが臓器提供オプション提示を行うこと、救命不能と診断された患者家族へのオプション提示を法制度化すること。ドナー家族フォローは、カウンセリング技術を持つ専門家のフォロー、心理学の専門家のサポート体制を臓器移植ネットワーク内に確立する必要などを書いた。
http://www6.plala.or.jp/brainx/2006-11.htm

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> 家族が臓器提供を望めば、呼吸循環管理費用はドナー管理費用としてGLDPが負担する

質問。
GLDPが負担する呼吸循環管理費用とは、いつからいつまでに発生した分ですか? 脳死に陥るより前の、呼吸器を装着した時点からの分を見てもらえるのでしょうか。

一般的に、臓器提供は脳死状態で行われるものと理解していますが、
GLDPは脳死宣告以後の費用しか見ないというなら、移植実施までのごくわずかな時間だけで、家族にとってあまり旨味はないのではありませんか? 家族としては、お金がなければ、心臓死は諦めて脳死による死亡を受け容れ、その時点で呼吸器を切ってしまえばよいだけで、臓器提供まではする必要がありません。

しかし、それ以上にメリットを与え、例えば入院時に遡って全治療費を持つということなら、臓器提供を推進する効果があると思います。
これはお金で臓器を買うに等しい(アメリカのように医療費の自己負担が高い国ではなおさら)ことで、倫理的に問題があると思います。YUNYUN

〜YUNYUNさん、これはICUに入ってからの入院費用全てだと理解していいと思います。倫理的に問題があるといいますと緩和ケアの異常な早さも実は問題あります。
倫理上の問題を凌駕するほど高額な医療費、家計の圧迫が問題となります。つまりアメリカではいとも簡単に倫理的な問題が吹っ飛んでしまいます。先生のご指摘もっともです。コメントありがとうございました。Taichan
written by YUNYUN / 2007.08.12 02:04

YUNYUN先生
それは、私の明日のブログに書きました。
ご参照下さい。Atsullow's caffee

Atsuさん、明日の記事楽しみにしています。Taichan
written by Atsullow-s caffee / 2007.08.12 04:05

このままじゃ日本の医療は危ないと、アメリカ並み以下になりかねないと、なんとか、その「アメリカの医療の実態」をテレビに載せるべく修行を続けておりますが、今回のご指摘もお見事。
物事は表面だけ見てはいけない、の典型的なケースです。
これからも、貴重な情報をよろしくお願いします。ママサン

〜テレビの影響は大きく、アメリカでの移植医療というと日本から寄付金を1億円以上集めて渡米のニュースが出ているかと思います。では黒人の子供が移植が必要な時どこがお金を出すのか?マイアミ市の財政負担、寄付金活動については依然触れた通りです。
今回はあつかふぇさんに課題を与えてもらい調べてみました。
移植医療の光と影があります。Taichan
written by ママサン / 2007.08.12 12:01


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1. Posted by ガマ姫   2008年09月30日 02:14
はじめまして、こんばんわ。
私は来年一月に 腎移植を予定しています。
父からもらう予定です。

主人は人工心臓の治験の仕事をしてます。
心移植を待っている方たちへの一時的な処置ですが、でも、それを装着すると、みるみる元気になるようです。

でも、日本での移植件数は少ないですよね。

お金がある人は、それをつけて海外に行く人もいるみたいです。子供は寄付金もあつまりやすいようですが。日本で待つかたの気持ちはどんなんでしょうかね。。。

私は看護師として働いていたことがあります。
10年近く働いてきて、一人のかたの角膜提供に遭遇しました。

自分が移植をうけることになり、いろいろ考えることがありますです。
2. Posted by onizukam   2008年12月12日 14:21
ガマ姫さん、コメントへのご返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
来月の移植がうまくいくことを祈念申し上げます。

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