May 2007

May 30, 2007 03:39

 彼はとてもスマートな人だった。初めて見たのは、10月が夏を置いて行き始めた頃。どこか寂しそうな笑顔と、男の汚さを感じさせない出で立ちは、架空の世界の人物に見えた。一目彼を見た時、私は体の奥底から得体の知れぬ何かが湧き上がるのを感じた。
 彼はモノクロの映画に出てくる、ハンサムな俳優の様に見えた。

 毎年この季節になると町には沢山の枯葉が溢れ、至る所が色付けられる。彼は焦げ茶色の公園の、焦げ茶色のベンチに座って、焦げ茶色の景色に溶け込んでいた。私は彼の隣に座ると、同じように景色の中に溶け込み、何度も頭の中で繰り返した言葉を吐き出した。
「何処から、来たんですか?」
「遠いよ。とても遠い所さ。」
 彼は視線を目の前から動かさずに答える。
「そう……そこは良い所だった?」
「良い所だったよ。常に緑に溢れて、常に光が射して。」
「じゃあ何故ここに?」
「辛かったから。」
「…そう。」
 触れてはいけない所に触れたようで気まずい私に気を使ってか、彼は話を続けた。
「常に緑に溢れて、常に光が射して。それが眩し過ぎた。何も死なないんだ。どんなに季節が巡ろうとも、何も死なない。そんなのって辛いだろ?」
 私には解らない。
「辛いの、かしら。」
「とても、辛いよ。」
 彼はベンチに腰掛け直し、深く呼吸をした。
「生きる事に前向きな人ばかりで、それが僕には耐えられなかった。どんなに心が枯れていても、生きる事が目の前にあって、いつもいつも急かされていたよ。」
 頬を涼しい風と落葉が撫でた様な気がして、少しくすぐったい。
 スマートな彼と、グレーの風景が混ざり合って、そこには映画の世界が広がっていた。
「ここにある無数の枯葉が元は生きていたんだ。でも、今は命を失って溢れている。言わば死体だ」
 あなたは、生きているわ。
「でも、あなたは生きているわ。」
 彼はいつか見た映画俳優の様に少し微笑む。
「僕は少しずつ、死んでいるよ。」
 あなたは、生きている。
「枯れるのは怖くないさ。既に僕の心は枯れた。後はこの町に埋もれていくだけだ」
 本当に彼が消えてしまいそうで、私は思わず彼の頬に触れた。白く冷たい頬はひんやりと私の指を冷やし、体温を奪う。
「冷たいのね。」
「冷たいよ。」
「いつまで、待つの?」
「さあ。僕が枯れるのはいつだろう。」
 何度も彼の頬を撫でながら、どうか私の体温が伝わりますように、と願う。


 秋が名残惜しそうに別れを告げて、冬がやってきた。
「今日も、来たのかい。」
「ええ。」
「君は、何をしてるんだい。」
「私は何をしてるんでしょう。」
 あの頃から少し厚着になって、マフラーもつけて、手袋もつけて、それでも何ら変わりなく彼の隣に座った。
「あなたを初めて見たとき思ったわ。まるで映画俳優の様だって。」
「へえ、映画俳優って言ったら…ジェームス・ディーンとか?」
 彼は少し頬を緩ませながら私にそう言った。
「ううん、誰とかじゃなくてね。あと、あなたは間違いなくモノクロだ、とも思ったの。」
「ずいぶんおかしな表現を使うね。」
「いえ、あなたはモノクロなのよ。」
 いつのまにか、私は毎日彼の隣に来るようになった。焦げ茶色の特等席。目の前に広がる風景を私は彼と共有している。
 彼は最初こそただ座っているだけだったが、そのうちカメラを片手にベンチからの風景を収めるようになっていた。
枯れ木、落ち葉、ブランコ、ジャングルジム、戯れる子供達。
「何が写るの?」
「この町の景色さ。本当に素晴らしい。」
「そうね、素晴らしいわね。」
「僕はね、勘違いをしていたんだ。木も、花も、何もかも冬になれば死ぬと思っていた。でもね、彼らはこのレンズ越しに生きているんだ。美しい景色としてね。素晴らしいよ。何らかのフィルターを通すだけで、 彼らは永遠に生き続ける。」
 彼にしては饒舌だな、と思った。
「現像したら焼き増ししてくれる?」
「現像はしないんだ。記録の為の手段じゃなくて、撮る事自体が目的だからね。」
 そう、と一言だけ呟いて私はマフラーに顔を埋めた。魔法のカメラを持った映画俳優は頬を赤くしながら風景を生き返らせている。
 足元の落ち葉が、少しだけ緑色に見えた気がした。


 彼が彼で無くなったのはトナカイが空を飛ぶ練習を始める頃。画家が一年分の白を使う季節。私がいつものように公園へ行くと、彼はベンチに腰掛けて、カメラを抱き締めていた。 いつか彼は言った。
「僕は、何もかもを捨てて来た。僕は、緑に包まれた、本当に綺麗な世界に息が詰まってこの場所に来たんだ。」
「愛する人も、愛してくれた人も、ねえ、バカだろう? 本当に僕は、バカなんだ。」
「だからせめて、最後は、自分の大事な物と共に消えたい。」

 とても冷たい。あなたの肌は冷たいのね。ねぇ、あなたの大事なカメラで切り取った風景は、何処に消えるのかしら。この焦げ茶色の景色であなたはどう枯れたかった?あなたは知っていたんでしょう、 自分がもう枯れ始めている事を。
「何らかのフィルターを通すだけで、彼らは永遠に行き続けるんだ。」
 私は彼からカメラを取り上げて、映画のラストシーンを撮影する。最高の演技ね、って言ってみたりして。

 サンクスフォーサンタクロース。彼がサンタに連れて行かれてから一週間後、私は彼を生き返らせた魔法のフィルムを現像した。ベンチを中心に作られている景色は、決して上手く撮れていないが、とても綺麗に見える。
 空と、木と、ブランコと、彼の横顔。だから、あなたは生きている。
 そして何度も写真の中の彼の頬を撫でながら、どうか私の体温が伝わりますように、と願った。

May 28, 2007 02:16

 言葉の羅列に美しさを感じる、故に文を書きます。もう季節は次のドアを開けました。木が蒸されて流れる匂いと、あの日壊したブリキのおもちゃは何処に行くんでしょうか。溶けたアイスクリームの様にべったりした、マイナーコードの夏の、過剰な優しさはすぐそこ。

 企画の出演バンドが決定しました。

・nenem(ex-3cm tour,journal spy effort,saladabar,ピリカ)
 HP http://homepage3.nifty.com/nenem/
 視聴 http://www.myspace.com/nenemmusic

・cinema staff(from 岐阜)
 HP http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=TTWINSB
 視聴 http://www.audioleaf.com/cinemastaff/

・slowpe
 HP http://id8.fm-p.jp/16/slowpeweb
 視聴 http://www.audioleaf.com/slowpe/
    http://www.purevolume.com/slowpe/

・ene
 HP http://ene.dee.cc/
 視聴 http://www.audioleaf.com/eneaudioleaf/

・クラムチャウダー(reunion. ex-amo.k)

・The cabs



 視聴出来るバンドはURLを載せたので是非。全バンドカッコいいです。今出しうる最強のラインナップです。8月4日は是非渋谷屋根裏へ。


May 27, 2007 02:52

 昼間から強かった風が少し穏やかになり、太陽は西へ逃げ始めていた。
 ある知人から「記憶を売る少女」の話を聞いた。町外れの小さなアパートで、記憶を切り売りして生活する少女。涙にろ過され、ガラス細工の瓶に注がれたそれは、七色に光ってとても綺麗だと言う。知人から話を聞き終わると俺は好奇心のままそのアパートへと足を向けていた。

 アパートの2階、角にある部屋にその少女は住んでいるらしい。階段を昇り、部屋の前まで来ると、ドアが全開になっている。中が見えないようにカーテンらしき物が付いているが、余りに不用心ではないか。その光景に少し戸惑いながらも意を決してチャイムを鳴らした。
「どちらさまですか…?」
 中から出てきたのはワンピースを身に纏った白い肌の綺麗な少女、年の頃は18、9くらいだろうか。一見すると普通の少女に見えるが、俺はすぐに彼女の体に違和感を感じた。彼女にはあるべきはずの両腕がない。
「あ、あの、俺、ここで記憶を売ってるって…。」
 ああ、という顔をすると彼女は俺を中まで招き入れた。そこで、初めて全開になったドアの意味に気付いた俺は、気持ちが重く沈んでゆくのを感じた。
 予想通りというか何と言うか、彼女の部屋は殺風景だった。白いベッドに、クローゼット、小さなテレビに冷蔵庫、まるで単身赴任の会社員の部屋に思えた。1つだけ不自然なのは、机の上に並べられた綺麗なガラス細工の瓶。
「随分と簡素な生活をしてるんだね。」
「うん。必要無いから。」
 素っ気無く返事をすると彼女は早速記憶の売買について説明を始めた。買い取った記憶はどの様に使おうと構わないという事、記憶の指定は出来ないと言う事、代金は気持ち次第という事。説明が終わると彼女は俺にガラス細工の瓶を持たせて、あなたが集めて下さい、と言った。
「なあ。」
 瓶を持ったまま俺は彼女に問い掛けた。
「腕、どうしたんだい? 言い難かったらいいんだ、ただ、さ、気になって。」
「…生まれた時から無かった。」
「こんな所で一人で暮らして、お父さんとお母さんは?」
「お父さんは居ない、お母さんはずっと前に死んじゃった。」
 何の感情も見せずに答える彼女に少し薄気味悪さを覚えたが、端正な容姿がそれを打ち消す。昔読んだ本にこんな悲しい女の子の話があった。その本の中の女の子も両親が居なかったが、最後はハンサムな王子に見初められて幸せになっていた。
 特に急かす様子もなかったが、そろそろお互い気まずいだろうと判断した俺は彼女の顔の下にガラス瓶を寄せた。それに反応した彼女は目を閉じる。俺には分からない『涙を流す準備』って奴だろうか。目の当たりにした事の無い状況に多少身構える。
 ポタッ。ポタッ。
 美しい瞳から生まれた水は、頬を伝い、白い顎に向かって楕円を描いてガラス瓶に落ち始めた。なんて不思議な絵だろうか。不自然極まりない構図を自覚すると、自らの羞恥心と罪悪感が首を擡げる。俺は何をやっている?彼女は泣いて、俺はそれを集めている。耐え切れなくなった俺は目を逸らした。
 その間も絶えず涙は流れ続け、彼女は目を閉じている。何を考えて涙を流し、どの記憶を忘れているのか、俺には分からない。忘れる記憶も無いのかも知れない。そう思うと妙に切なくなった。薄気味悪さはとうに消えて、あの本の女の子よりも目の前の彼女の方が悲しくて仕方が無い。
 どれくらい経っただろうか。
「ねえ、もう。」
 終わりにしよう。言い終わる前に俺はガラス瓶を置いた。3分の1程度入った綺麗な液体はゆらゆら揺れながら窓から注ぐ光を反射させてキラキラ光っていた。
「どうして?」
「もう、良いんだ、俺は、欲しくない。」
 理解が出来ない、と言いたげな彼女の目にはまだ涙が流れている。アンバランスな状態は彼女の美しさをより際立たせた。目を奪われた俺は思わず彼女の頬を拭う。指についたそれはひんやりしていた。
「どうしてあなたが泣いてるの?」
「だって君は、自分の涙すら拭えないんだろう?」
 彼女の過去も、今も、これからだって知り得ないが、その事実が俺にとっては何より悲しかった。
「だから、売るの。拭えないから。誰かに渡さなきゃ、涙で溺れちゃうから、だから売るの。」
 流れ続ける涙を拭い続けて、俺も泣き続ける、窓の外は暗くなり始めていた。
「もう随分と沢山の事を忘れたんだろう。」
「何を忘れたのかも、忘れたから。もう分からないよ。」
「なら、もういい、もう止めるんだ。理由のある涙よりも、理由のない涙の方が悲しいから。」
 人は悲しい記憶を忘れる事は出来るが、その傷を無くす事は難しい。そんな言葉を昔聞いた。そしてその傷は誰かと共有する事でしか救われない、とも書いてあった。もしそうなら、彼女はもう救われないのだろうか。
「悲しいって気持ち、分かるかい?」
 彼女は少し首を傾げると、床にペタンと座り直し、思い出した、と言った。
「なら、さ、その悲しいって気持ちをさ、少しだけ分けてくれないかな?」
 あの本の女の子は幸せになった。同じ様には彼女を救えないかもしれない。俺はハンサムな王子ではないから。
 それは好奇心で訪れた罪滅ぼしなんて大層な物ではなく、かと言って恋なんて純粋な物でもない。適当に混ぜた絵の具のような気持ちを抱えたまま、俺は彼女を抱き寄せた。特に何の反応も無く、腕の中にすっぽり収まる白い肌。
「目が痛い。」
「泣き過ぎたんだよ。」
「ううん、ずっと前から痛かった。」
「いつから?」
「お母さんが死んだ日からずっと。」
「そっか。」
 
 ふと窓の外に目を向けると陽が落ちていた。星や月なんて気の利いた物は見えない。見えるのは街灯と、反射して映る俺と彼女の姿。泣き疲れてしまった。こんな生活を続けて良く目が腫れないな、なんて下らない事を考えながら腕の中の彼女を見ると目を閉じている。また少し涙が流れていた。だから拭って問い掛ける、その涙に理由はあるかい?すると頷いて、顔を埋めてしまった。七色に光るそれは夜でも綺麗に見える。少し間を置くと、彼女は今日初めて感情を見せて言った。
「だって、わたしはあなたの事を抱き締められないから。」
 穏やかな風は消えて、太陽は東を追いかけ始める。


May 22, 2007 04:22

 さしたる意味も無い、彼女のその右瞼を掻く癖に視線を奪われている間に電車は過ぎ去って行った。十七時四十三分、もう行かなければいけない。さようならの「さ」を吐き出そうとした時、彼女が歪んだ笑顔を浮かべて、僕は諦めた。十七時四十四分、時間は早い、そして人間はいつも遅い。だから、その白い手を隠してみたいと思って、いつまでだって此処に居られる。

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 帰り道に長い砂利道があって、それは自衛隊の基地の関係で殆ど整地もされてなくて、街灯も全く無い少し寂しい通り。あまり利用する人も多くないから、22時以降は長く暗い道に俺一人なんて事もザラで少し寂しかったりして。考え事をしたりして、いや、しないかなぁ、もう当分何かを真剣に考える事を止めている気がする。
 もう五月はその半身を消しました。去年の五月も、一昨年の五月も、苦い想い出しか無い。それでも俺は砂利道を歩いて帰る事において何も変わらないから、人生みたいだねえと一人で思って笑う、空は紺色。

 きっと俺はこの街を出て行きます、いや、街じゃないな、町か。そうしたらこんな微々たる体験も忘れていくんでしょう、忘れて生きます。だからさ、今度歩く時は立ち止まってみようかなぁなんて考えてね、今日も歩いた。ああ、そうそう雑草が生え始めました、脇道に。
 普通ならば心地良く無いエピソードでしょう、こんな事。だけど俺はすがってしまう。いつか懐かしい懐かしいって咽び泣いてしまう気がするんです。長い砂利道、ただの道なのに、俺はたぶん悲しい。
 寂しさに意味はありますか?ちっぽけな事の方が無くした時儚いんです。俺が、小さい頃に失ったイルカの置物の事を今でも覚えているように、それを忘れていく事が怖いように。
 それは200mくらいの人生に見える。月は稀に赤く見える。雑草とタンポポは南風に揺れる。そして、俺はきっと明日立ち止まる。携帯電話、財布、イヤホン、紐の解けた白い靴で、いつまでだって此処に居られる。


 次のライブは6月12日下北沢ガレージです。たぶんビデオに撮って一部をyoutubeにアップするかと。

May 19, 2007 13:04

 我ながら最低なライブをしたなぁと反省しております。覚えてはいない。きっと明日の事も覚えていない。そういう曖昧な感覚で毎日過ごして、きっと次のライブの日になっている。時間の使い方が下手だね、って昔誰かに言われました。俺はゆっくり生きている。だって時間はいつも早いから、追い付けそうにない。暖かい日々が続いて、それに慣れたら夏、嫌気が差したら冬、そうして一年経って、俺はきっと変わりそうもない。気付いたら三十歳くらいになって、底辺を這っていそう。

 激アツメンツによるV.A「Article of Parade」を中古940円でゲットしました。やっすー。しかも結構みんな新録なのね。ヘブニーが「鉄線とカナリア」やってたのはビックリした。folioは前のバージョンの方がいいねえ。とは言え内容と収録曲に関してはかなりの親切設計なので、ガンガン友達に貸そうと思います。
 

 dry as dustはやっぱりすごかった。ホントに加藤さんはギタリストとして尊敬します。次東京来る時も行こう。行って良かった。いつか企画に呼べたら良いなぁ。

May 14, 2007 11:46

今日はライブ。やってきます。皆さんよろしく。

最近余り睡眠時間がとれなかったのですが、昨日今日で良く寝れたので体の調子が良いです。このままを維持したいと切に。幸いながら五月病の兆候は出ず。毎日必死です。

May 09, 2007 19:15

0fc1b47c.jpg 右脇腹に鈍痛を抱えて、目が覚めたのは深夜3時。くらくらした視界に飛び込む電灯、それ即ち眩し過ぎ。テレビからは胡散臭い通信販売の番組が垂れ流し。おはよう自分、そしておやすみ自分。こうして約2分間の覚醒は終了を遂げたのです。


 そんなこんなでライブが近付いてますね。みんなおいでおいで。腐れ縁バンドセカハンとの何度目か分からない対バン。必ず良いものになると思います。彼らのアッパーかつブライトネスな感じとは対照的に僕らはネチネチした気持ち悪いライブをするつもりなので、一粒で二度美味しい感覚を味わえるのではないでしょうか。新曲等は無いですが、今まで以上に良い物にする気持ちと努力は衰えてません。たぶん。いや、やっぱり自信無いです。だって俺たち埼玉一惰性で活動しているバンド、ダルそうな奴は大体友達。

 
 少しだけ寝苦しい夜が続いています。折れたギターは剥き出しのまんまベッドの隣。手を伸ばして弾いてみたら最悪の不協和音で、それはちょっと懐かしい感じもして、でも気持ち悪かった。なんとなくセルフポートレイト。毎日そんな感じ。夜はそんな感じ。


 んで、企画の詳細決定しました。8月4日(土)渋谷屋根裏にて。激熱なメンツが集まり始めてます。まだ決定してないので何とも言えないのですが。しかし、企画名どうしようかなぁ。Vol.2の事とか考えると適当な名前に出来ないなぁ。好きな画家の名前とかでいい?「egon schiele」って人。オーストリア人で、28歳で死んだ悲しい人。絵の技術とか難しい事は分からないけど、この人が描く人間は妙に生々しくて好きです。ぞっとするような色気と汚らしい感じ。そりゃレイチェルズも取り上げますわ。






Schwarzhaariges Madchen mit hochgeschlagenem Rock/Egon schiele

May 01, 2007 11:03

 色んな事がだるいのはもうすぐ5月だから?ジャズマスターが欲しい。ダイナソージュニアの影響です。新譜かっけーなぁ。

 たまに誰も俺の事を知らない所で暮らしたいと思う。遠くに行きたいねえ。1から全てを、いや、0から全てをやり直してみたい。だって人間っていつもめんどくさいから。じゃあ、そして、だから、でも、なぜ、どうして、ねえ。

 昨日、家のアルバムを漁ってたらセピアの写真を見つけました。笑いながら手を振ってた人、俺の知らない髪の長い女の人。空は青そう、肌は白そう、滑稽な感じで鯉のぼりが揺れてたりする5月のベランダ。別段綺麗ではない人で少し微笑ましかった。俺はあなたの事を知らないし、あなたは俺の事を知らないって、当たり前。飽きてアルバムを閉じたら埃が飛んで、そういうの、ちょっと心地良いなって思った。でっかい本棚にアルバムを戻してボーっとする。
 うちの親が集めた良く分からない小説が大量に並んでる大きな本棚。昔、良く適当に手に取っては読み漁ってた大量の小説。8ページ目3行目冒頭の「あなたの優しい左目の向こう側はフラフラしたモンシロチョウの終着点」って文章が好きだった。廊下に並ぶ本棚の中に青い背表紙赤い背表紙黄色い背表紙。窓から急な角度で光が差し込むと酷くレトロな風景に見える。宗教と神について書かれた本に光がかかってたから左手で遮った。

 昔、小学校高学年くらいの頃かなぁ、なんかの授業で「将来なりたいもの」って話になった。その流れで先生に「君は何になりたいの?」って訊かれた時、俺は確か「神様になりたい」って答えた。少し苦い顔で「人は神様になれないんだよ」って言う先生を見て、自分の考えがおかしいという事実に、その時初めて気が付いた。結局「そうなんですか」とか言ってその日も普通に帰って、飯食って、風呂入って、テレビ見て、寝た。
 でもね、今でも思うんです、俺は神様になりたい。今生きているこの瞬間も俺は神様になりたいと願ってる。そうすれば辛い事は誰かに押し付けられるから、嫌な事は全部誰かのせいにしたいから。俺の事を残酷だと思うでしょう、卑怯だと思うでしょう、許せないと思うでしょう。じゃあ、どうしてあなたはやさしい人?

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