インフラビジネスは=民営化商社の事業投資の種類-業種ではなく性質からみた分類-

March 29, 2012

商社の事業投資の社会的意義-インフラを通したcase study-

*とりあえずささっと書いたので修正しちゃうかも。

前々回
前回と、長かった前振り(長くないか。本気で資料集めて書いたら一冊本書けそう)を終えて、商社の事業投資の社会的意義に徐々に挑戦。できれば何らかの形にしたいので議論に参加してくれるひと募集。

とりあえず今回はインフラ限定としておいて、そこから段階的に全領域に展開してみることにしよう。「事業投資」というのはその名の通り自分の金である程度長期間リスクをとってビジネスを行うこと。インフラにおいてはBOT(Build-Operate-Transfer)やBOO(Build-Own-Operate)といった新規に建設するタイプのプロジェクトと既に出来上がったインフラを買収する形がある。

新規建設に関しては政府や自治体が自分で作るお金がない、知識がない、human resourceがない等の理由で民間業者に建設をお願いし、その後住民から使用料を回収しながら建設してくれた民間企業にその投資に見合うリターンを含めて20年や30年といった長期間にわたって支払いを行うシステム。

ビジネスとは結局何かを求めている人にそれを持っている人がお金を介して求めるものを提供する行為で、お金のやり取りが発生するということはそれが既に意味があることだと思う。しかしお金っていう概念は人類が発明した概念の中で最も美しいものの一つだと思う。原始の物々交換なんて最低限のものしかなかったから成り立った訳で現在の複雑化した世界じゃとてもじゃないけど成り立たない。何にでも交換可能生をもったものがお金なんだよね。顧客が何を求めていて、商社はなにを提供しているのか、という点がその社会意義を紐解く鍵なんだろうと思う。

途上国はインフラを作ることがその国の将来の為に必要だとわかっていますが、その資金がありません。あってもインフラだけにまわしてしまってはその他のこと(教育だとか法整備だとか色々ソフトなこともありますよね)にまわすお金がなくなってしまいます。そのため、外部の民間の資金を導入してその必要な資金を外から持ってきてもらうことが重要になってきます。そのために生み出されたのがこのような仕組みなのです。(だれが作ったのかそういうの良くわかってないのでそのうち調べてみたいもの。)そして建設する技術もあまり良いものがない場合が多いです。

そこで建設できる会社とお金を持っている人、そして出来上がったインフラを運営する体制を作り上げられる企業が必要とされるんですが、全てを兼ね備えている企業っていうのは、なかなかないんですよね。建設できて運営もできる技術者を抱えた企業がさらにお金もかき集めてくるのが一つの例。それからお金を持っていて、建設できる人や運営できる人を引き連れてきても良い訳です。この後者が商社のポジションです。このポジションは何が良いかというと、それぞれの部分ではできるけどその全てはできないという人の組み合わせを自由自在に組み合わせることができる点です。そういうたくさんの会社とつながりを持ち、多数の銀行等とつながりを持っていて、それぞれの力量や価格競争力を把握しており、自分も出資できるだけの体力を持っている会社というのは世界中で総合商社以外にはあまりいません。そのため、商社内のこのビジネスを行うためのノウハウが洗練されてくるとともに、常に最適な組み合わせを選択できるだけの強さが加わり、強くなってきたのです。逆に前者の例だとファイナンスの組成の知識があまりなくこちらが弱くなる傾向が見られます。

お金をだすだけだったら 保険会社や年金ファンドなんかも考えられると思いますが、彼らは建設に付随するリスクをマネージすることができません。それは主に人的なリソースの不足からだと思います。商社は機械の納入から入り、建設プロジェクトを請け負うEPCと進んできたため、この部分のmanagementは逆に入りやすい要素として移るのです。

そしてそれを運営する体制を作ることがやはり仕事を発注する政府側には最も難しいのではないかと思っています。その部分を外部の人間に主導してもらうことで、自国内における甘えや政治との癒着等を排して効率的な運営体制を導入することができます。そしてその運営体制が当たり前だと感じる従業員がそこで育っていく訳です。そして20年後、自国の政府にそのまま引き渡される訳です。その政府が得られるものってかなり大きいと思いませんか。

インフラって言うのは出来上がってから人々の生活レベルの向上に貢献し、さらに人々が生産性の高い仕事をするためのツールな訳です。そのため、お金がなくても技術がなくても運営するノウハウがなくても外部から持ってきてもらって作ってきてしまえば将来それが副次的に生み出す富からその建設にかかった費用+企業の利益を支払っても割にあうわけ。この仕事はとても社会的に意義があると思う。途上国の発展という視点において。

買収の場合は既にできているものを買う訳です。その理由は政府自治体の財源が苦しい。流動性の供与ということになるかと思います。それから事業の効率化。公的機関である場合、リストラ等がその立場上しずらいのですが、民間が入ることでリストラや効率的な運営の導入がはかりやすくなる。利益が出ないと困るのでそのincentiveが働いてくるということです。

現在これが起きているのが危機にあるヨーロッパで、至る所で水道局や発電所が売りに出されています。これらを買える可能性があるのは結構少なくて世界中に多様な事業のportfolioを持っている日本の商社くらい(とはいえリスク高くて厳しいですけど)ではないでしょうか。平常時だったら買いたい会社いっぱいいるかもしれないけどね。

まとめてみると、お金が足りていないところにお金を供給する意義と経営のてこいれによる業務の効率化、それを行うことによるその地域の産業の活性化というのが大きいんじゃないでしょうか。(当たり前すぎてすいません。)

しかし、実際商社のfunctionとしてその経営手腕が特段期待されているのかと言えばあまりそうではないかもしれないな。ある意味で言えば、インフラなんかは経営に関してはカリスマ的な経営者が必要という訳でなく、決められたことをきちっとくみ上げていく能力がある人たちであれば誰でも良い訳です。商社はcommercialな部分は問題なく行うし、運営に必要な物資をどこから買えばよいか、なんかもよくわかっているし両者のいいところが合わさったビジネスだということができます。

これは資源投資でも基礎材料に関しても同様です。
ある程度定型化されて決められたことを淡々と行っていくようなタイプの仕事です。もちろん大規模だしそれを淡々と行うことだけでもものすごく大変なことなのだけどね。

だけどこのような経営能力がないとビジネスそのものが傾いてしまうものたち。それがITであったりする訳だよ。これは商社の今後の課題である訳だけど、それも含めて展開してみよう。


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