ざっくり商社の仕事内容(

April 03, 2014

投資に関わる人々色々

前回は事業投資の難易度について簡単に振れたのですが、どういう時に投資が行われるかというと、その状況によって4種類あると思います。

①新しく誰かが何か事業を始める際に資金を入れる。
②既にできている企業で新たに何か事業を始める等で資金が必要なところに資金を入れる。
③つぶれそうな会社が資金が足りなくなり、それを救済する時に資金を入れる。
④誰かの会社を買収する。

①~③の場合はその会社自体にキャッシュが入ってそれを燃料としてその会社はさらにエンジンをまわしていく、④の場合は既存株主にお金が入って、会社自体には入らない感じですね。場合によっては株主がうはうは。


まぁはっきりいって世の中のほとんどの人は直接関わることはないとおもいますが、これが世界中の色々な業界で起こっている訳です。普通の日本人が働ける企業(海外だとVISA等できびしいですから)でこのどれかに該当する業務を行う場合、どういうところがあるのでしょうか。


①のケース

個人が始めるベンチャーや、事業会社の新事業、国が主導する資源開発や各種プラントの建設だったりがありますよね。ベンチャー向けに投資をするのはエンジェル投資家(過去に成功した事業家)、また既存の事業会社もシナジーがあれば出資者として名を連ねますね。DeNAリクルートソネットが創業時から出資していましたし、m3もソネットの出資でしたね。事業会社の新事業はその親会社が出しますね。


国が関わるようなビッグプロジェクトはやはり総合商社なのかなと思います。で、役割は日本市場に売り先があるとか、日本の銀行の安いファイナンスを引っ張ってくるとかのサブ的な役割が多いように思います。メインどころはその事業のプロ達です。資源開発だったらリオティントBHPビリトンヴァーレ等の資源メジャー、プラント建設だったら例えばシーメンスとかアルストムや日本で言えば日揮三菱重工業等の重工各社です。彼らはエンジニアリング機能も投資機能も持ってて案件のメインどころを司る感じです。エンジニア部分だけやる場合もあるし、投資も合わせてやる場合もあります。会社にもよるし、地域にもよるけれども。途上国であればある程、投資はやらないというスタンスの会社が多いと思います。商社はそのリスクをどちらかというと取りにいっている方かな。


②のケース

この段階で投資を行っているのは、ベンチャーキャピタルがあります。エンジェル投資家はなりたくてもほとんどの人がなれないものですが、ベンチャーキャピタルはあり得ます。ほとんどは投資経験者を中途で取るスタイルですし、そもそも人の数が少ないので門戸は非常に狭いですが、新卒だとジャフコが募集をしています。最近はコーポレートベンチャーキャピタルといって事業会社がベンチャーキャピタル機能を持ったりしているので、こういう分野もあり得るかもしれませんね。googleも持ってますし、日本でいうとサイバーエージェントオプトなんかも持ってますね。ベンチャー企業に出資して将来的に上場等を目指して資金を入れて、経営のアドバイスや事業においていろいろとヘルプする感じです。

また実は新規に上場する企業の株式を買う機関投資家や個人投資家も該当します。上場とは株式市場から事業に使う資金を調達することなので当然ですね。もちろん一応目論見書には資金を○○に使用すると書かれてはいるものの、資金の使い道はわからないけどとりあえず上場できそうな業績で市場の状況もいいからとりあえず、というケースもたくさんあると思います。とりあえず資金を調達できるときにしておくというのは経営上とても大切なことなので、ありだと思ってます。会社はキャッシュがなくなったらつぶれてしまいますし、余力があるということはいざというときに力になりますからね。


③のケース

こういう事例で多くでてくるのはプライベートエクイティ•ファンド(PE)です。これはどういうものかというと、資産を運用しなければならない人たち(年金基金や生保、銀行等)から資金を出してもらって、そのお金で会社を買収して経営して立て直し、その後売り抜けて自分たちも報酬を得て、資金を提供してくれた人に運用益を還元するということをしてる人たちです。通称ハゲタカ です。国がバックアップしているファンド(もうなくなった産業再生機構や今もある産業革新機構)もあったりして、国益に関わるような案件はこの人たちがでてくることも多いです。(ほかにやってやろうという人がいないという事情もあるかもしれないが。。。。)プライベートエクイティの守備領域は広いので、こういうものだけをやっている訳ではもちろんないですよ。


④のケース

これはかなり幅広くありますよね。多くの場合事業会社が行います。ビール会社が新しくオーストラリアに進出する為にその国のビール会社買うとか、ゲーム会社がゲーム会社買うとか。いろいろですね。日本で相当活発に買収をしているのはソフトバンク楽天だと思います。はっきりいって尋常じゃ無いです。総合商社も関連する会社を買収したりしますね。


とここまでが事業投資の当事者側、として関わってくる可能性がある人たちな訳です。でも事業投資って結構ビジネスにおいては例外的なアクションだと思うので、上にかいたような当事者達はそれに慣れている訳でもなかったりするし、新しい領域に進出するような案件だと不安だったりする訳ですね。そこでそれをサポートするアドバイザー達がいる訳です。どういう人がいるのか一通り。


•弁護士(①~④)
この人たちは①~④まで全てにわたって関わってくると思います。もちろん①や②の場合お金が無いことも多いので雇えないこともあるとは思いますが。。(そういうときの為に誰かがテンプレート契約書を作りそれを自分たちでカスタマイズする。)  どういうことをやるかというと、投資をする会社に法務上の問題が無いかだったりの調査(法務デューデリジェンス )と契約書の作成 、法務的な手続きのアドバイス(独禁法に抵触しないかの確認や登記手続き等)です。弁護士も仕事の分野が相当広いのでそれぞれ専門に特化していくことが通例ですが、こういう分野に特化した弁護士もいるのです。弁護士の中でも一番儲っている人たちで数は少ないと思いますが。で、激務。


•投資銀行(③か④)
この人たちは会社を売る側に対してはどういうプロセスを踏めば買い手は安心して買えるか、やどういう買い手がいるか、等のアドバイスやそのプロセスを実際に実行するロジを一手に引き受ける、買い手に対しては資金調達や会社の価値、入札戦略等についてアドバイスし、報酬をもらう人たちです。ここが事業投資の世界に入るのに一番いい入り口なのかもしれません。人の出入り激しいので入る余地ありますからね。アドバイザーなので数を大量にこなせる(もちろん仕事をとれる会社であればですが)ので、経験は同年代の事業会社で投資を担当している人間に比べると数倍になりますし、給料も高いです。その後で色々な会社にみんなが別れていきます。ここを経て事業会社の投資担当になる人が多いですし、プライベートエクイティも何割かはここからだと思います。


•経営コンサルタント(③か④)
マッキンゼーやボストンコンサルティングサービス、ベイン&カンパニーに代表される経営コンサルタントも買収に関わることのある職種です。顧客は彼らの高額なfeeを出せる金持ちの事業会社もしくはPEです。お金がない会社は雇えません。商社はほぼ雇わないですねw 今後会社の事業を拡大するにあたってどういう企業を買収するべきかの検討や、買収をするかもしれない会社のビジネスデューデリジェンス をおこなってどのくらい業績の拡大余地があるのかだったり、どういうスタイルで会社を経営するべきか等を検証する役目です。


•監査法人(③か④)
会計事務所も関連するアドバイザーです。会社の財務税務状況の精査(財務デューデリジェンス )だったり、投資スキームの策定(どうやったら一番税金がかからずに投資できるかの検証)だったりをします。


•その他、専門分野で色々なコンサルタントがいたりします。
人事コンサルタント
技術コンサルタント
環境コンサルタント
ITコンサルタント
 

•銀行(③か④)
投資をするお金を自己資金でまかなうのか借り入れも合わせてまかなうのかにもよりますが、借り入れをする場合には銀行さんもでてくることになります。LBOのようなスキームを取る場合に社債で調達をする場合は証券会社が関わってきますね。


アドバイザーはみんな③か④にしかでてこないですが、みんな給料高いので金がない人は相手にしてられないのです。 逆に言うとベンチャー系はまた特殊な生態系を持っていて、上記のようなアドバイザーの役割をしている人たちもたくさんいますし、ベンチャーキャピタル自身にもこういうアドバイザー機能を持っていることが要求されているとも言えると思います。(投資される側から言うとそのコンフリクトあるので当然投資される側もちゃんとわかってないと自分が損する。なので磯崎哲也さん起業のファイナンス は必ず読んでおきましょう。必ずです。)


で、ざっと見てみると総合商社のやってる事業投資って言うのは相当限られた領域になってくるので、事業投資がやりたいから総合商社って言うのはなんか変。総合商社が手がけているこういう分野に興味がある、その中でビジネスを拡大していく手段として投資があるけどそこに興味があります、という感じじゃないとだめなのかなーと思います。なぜその領域のなかで投資がいいの??というところはそれぞれなのかなと思います。(あんまり書きすぎるとまた同じことばかり言う学生ばっかになりそうだし。)


こんなかんじかなー。

 

oodoo at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

March 15, 2014

事業投資にはちょいのりとがっつり、経営のセンスがそこまで問われない領域と問われる領域がある。


 事業投資の大部分って、何かを新しくやりたいけどお金が足りない人にその事業資金を出資してあげる場合と、高く買ってくれる人がいれば売ってもいいと思ってるマイノリティ既存株主から株式を買い取る、の基本的に2種類だと思います。どちらもそもそもその事業をやりたいとか、やっているという熱い人たちが先にいて、多くの場合その後にくっついていく人である訳です。これを<ちょいのり投資>としておきましょう。(ほとんどは取得株式は50%未満で経営の決定権を持たないかんじ)


もちろん既存株主から株式を買う場合に経営陣もいなくなってしまうような状況だったり、既存の経営層では業務がうまくいかず、その結果資金が足りなくなって会社を建て直さなければならないような場合だと自らが経営をしなければならない、もしくは違う優秀な経営者を連れてこなければならない訳なので、その場合は異なってきます。これを<がっつり投資>としておきましょう。数としてはレアなのだと思います。(ほとんどは取得株式は50%以上で経営の決定権を持つかんじ)


いずれにしても当初の事業の企画者、当事者では無いんですね。その人たちが火をつけようとしているところに燃料(多くはお金)を投下する役割。まぁ前者は燃料だけどかっとおいて「がんばってね」という感じで、後者は自らガソリンタンクにガソリン注いだり、薪をくべたり、自転車をこいで発電したりする感じですかね(効果が高い順)。商社が伝統的にやってきたトレードなんかも同じですね。だれかが生み出したものとそれをほしがる誰かをつないでやることがトレードです。商社は基本的に何も作り出していない。もちろん商品やサービスが使ってくれる人のところに届かないと何の意味も無いので重要な役割を担ってはいるのだけどね。


自分メタ的思考が結構好きなので、以前どうやっても失敗するだろうという案件を抱えててどうしてもやる気が出ない、だけど業務中に忙しいふりをしなきゃいけないときに、商社の仕事を難易度別に何となくまとめてみたんですよね。こんな感じなのかな、と思ってます。
これ実は2年前くらいに書いたやつなので、記述↑とことなっているのですが、<がっつり投資>が<リードする投資>ってかいてあります。windowsのpowerpointで書いてるので見た目汚くてすいません。windowsのデフォルトのfontって何とかなりませんかね。。。


スライド1

 


















トレードから派生して、工事案件等のプロジェクトコーディネート、それから投資と領域が広がっていった訳ですが、その投資にも内容に差異があると思う訳です。


一つは↑に書いたように、<ちょいのり>か<がっつり>か。
それからもう一つは投資先の事業内容に製品の製造開発(R&D)や消費者向けの売り方を考える必要があるかどうか(マーケティングが必要かどうか)かとおもってます。


商社が扱っている商品は多くの場合電気や石油といったものすごく産業のベーシックなものがおおいので、そこではあまりマーケティングなんかは必要ないのですよね。なんというか需要を見極めるのが比較的簡単なんです。なのでそこから外れると一気に難易度があがる気がします。そしてそれぞれの業界においてその難易度の深度がある訳です。以前商社とメーカーの違いという記事を書きましたが、やっぱりメーカーの経営って言うのは相当に高度だと思いますし、すごいことしていると思います。もちろんメーカーだけじゃなくてサービスの領域でも一つのものを掘り下げて提供している会社もすごいですよね。たとえばホテルチェーンとか。自分たちがどういう客層をターゲットにしているのか、その人たちを気持ちよくさせる方法はどういうことがあるのか、価格とサービスの兼ね合いは、等等いろいろなことを考えて考えて時間をかけて積み重ねてきているから今の姿がある訳です。


現状の商社のビジネスの領域って言うのは上の図のちょいのり投資(R&Dマーケティングなし)までの領域だと思ってます。その先は本当に事業の経営の能力やセンスが問われる世界で、その壁を越えられなかったと思ってます。三菱商事のローソン等、もちろん担当している個人の資質によって成功している事例もあると思いますが、例外ですよね。組織として再現性のある形でそれを成し遂げられる体制にはまだまだなっていないし、もしかしたら不可能なことなのかもしれない。


最近三井物産なんかが大々的に中途採用を行っていますが、これはこの壁を打ち破れるような人を外から持ってきたいという決意の表れだと思います。実際に友人も何人か入社しましたが、多くは経営コンサルタントやファンド、事業会社等でそれなりに実績をあげてきた人たちです。自分たちでは超えられないと自ら認めているといえるので、勇気ある決断だと思いますし、僕はかっこいい姿勢だと思ってます。出来もしないのにできるふりしてもしょうがないし、他にできる人がいるのであれば手伝ってもらえばいいんですよね。外注するなり、外部にいる人が来てくれるならこうして雇うなり。せっかくのブランドと財力があるのだからね。なので、その人達のポテンシャルと彼らを受け入れる器が総合商社にあるのであれば、今後は壁を打ち破っていく可能性もあると思います。いままでは基本的にみんなトレーダーで、新卒で同じような単一工をたくさん育てる感じだったけど、やっぱりDeNAの南場さんが言ってるみたいに多様性ある組織じゃないと複雑化した業務は無理なんだよね。そういう人たちを潰さずにいかせるかどうか、経営層が既存の社員に向けて発信するメッセージが重要になる気がしますね。結局経営陣の器なのかなー。


では商社の外側で、おなじような仕事をしている人たちはどのような人がいるのか。ここ考えておかないといけないですよね。そのなかで商社はどういうポジションだと言えるのか。次。
 

oodoo at 19:59|PermalinkComments(10)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

March 11, 2014

なんか投資をやりたいといって商社の面接に臨む学生が多いらしいが。。。なかなか響く面接官は少ないかもしれない。



どうも事業投資をしたいと総合商社の面接で言う学生が多いらしく、twitterでも「学生は商社に入って投資をやりたいを禁句にすべき。またか、と思う」という意見がながれていた。


総合商社では事業投資が収益の大半を占めるようになったと言われて久しいけれど、実際に働いている社員の比率で見ると、社内で事業投資に関わっているのは恐らく1割~2割くらいだと思う。残りの人は貿易や経理なんかの管理業務をやっていたりする。なので、学生を面接する人も8割~9割は事業投資に関わっていないことになる。学生の大半が事業投資をやりたいと言われるとうんざりするのもうなずける。


個人的には面接してても別にこんなこと思ったことも無かったのですが、今は「事業投資をしたいから総合商社に入りたい」というのは違和感があるかも。事業投資にも色々な種類があるし、それぞれの領域で投資をしている、そのアドバイスをしている組織はたくさんあるし、そこじゃなくてなんで総合商社なの?ってところを考えていないと相当おかしなことになってしまうし、運良く入社してもこんなはずじゃなかった、ということになりかねない。(入社しても上に書いた通り事業投資に関わっている人はわずかだ><新卒で配属になるのはさらに確率が低い。。。会社によっては全員管理部門。。。そんなことやるつもりじゃなくて配属になって辞めてしまったりする人もいたりする。。。)


以前も書いたけれど、今のところは総合商社の事業投資でそれなりに規模感をもってうまくいってるのってインフラ投資と資源権益投資な訳です。その他の分野もいることはいるとは思いますが、それなりに人数をかけて専門の部署を設けて投資をしているのはほとんどこの辺になってくると思います。


こういう分野って世の中の投資業務の中のほんの一部なんですよね。国家として重要なレベルのプロジェクトが多いですし、金額規模も莫大で、ある意味目立つことは目立つのですが、やることって言うのはもちろん専門的な知見や技術が必要な分野ではあるのですが、ある程度決まったことを淡々とこなしていく部分が非常に多く、ある種つまらないビジネスだとも言えます。


他にも色々な分野や立場からの投資業務を行っている組織がある中でなぜ総合商社なのか。これを考えてみる必要がありそうですね。

久しぶりに書いてみようかな。気合が足りるといいな。。。w


一応過去の商社の事業投資についての記事おさらい。
今読むとprimitiveな部分も結構あるかな。修正必要なのかも。
テクニカルな部分はほぼ書いてないけど、一般的なところだね。

商社の事業投資の範囲vol1
商社の事業投資の範囲vol2
商社の事業投資の社会的意義-インフラを通したCase Study-
商社の事業投資の種類-業種ではなく性質からみた分類- 
商社の事業投資の社会的意義-分類毎の分析-
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oodoo at 23:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加