今回は私の体験した、驚くような話をしたいと思います。
あれは、九月の始めだったでしょうか…。雨の降る夜で、私バイクで家に帰ってったんですね。帰り道の途中に、今は使われなくなったT病院の前を、いつも通るんですよ。その日もね、同じように病院の前を通ったんですが、何かいつもと様子が違いましたね。まぁ、疲れてるんだろうと思ってね、気にせず通り過ぎました。
しばらく行くとね、信号があるんですが、いつもなら青信号でね、そのまま行けるんですよ。でもなぜかこの日は赤だったんですよ。雨は降ってるし、すぐ後ろには、あの廃病院があるじゃないですか。しかも誰もいない…。いやー、早く帰りたかったですねぇ。でも、信号無視するわけにはいかないですから、私待ちました。
それで、信号をみてたら、ふっと、気配を感じましてね。その方を見たんですよ。するとね、居たんですよ女が…！雨なのに傘もささずに女が近づいて来るんです。私ぞっとしました。信号は、まだ赤だったので前には逃げられない。後ろに逃げようにも、この道、一方通行で戻れない。どうしたものかなんて考えていると、もう目の前に女が来ていました…！凍り付いて動けなかったですねぇ。するとね、ずぶぬれの女が言うんですよ。
『…追い掛けてください』
息も絶え絶えで、そう言ったんですよ。で、私、意を決してきいてみました。何を追い掛けるんですかって。そしたらね、
『彼氏と喧嘩したので、逃げる彼氏を追い掛けてくれ』
私、びっくりしましたよ。無視して帰ろうと思ったんですけどね、その女の子がね、こう言うんですよ。
『い、息ができないんです』
尋常じゃないと思いました。まぁ、今、思えば息が切れてただけなんでしょうけど。その時は、すぐ彼氏を追い掛けないとって思いました。で、あわてて彼氏が行った方向に行くとですね…。
居たんですよ！彼氏が！しかも、びしょぬれで！それでね、彼氏の前にバイクをつけて、止めようとしたんですが…
『関係ないでしょう』
一蹴されましたよ。確かにそうだと思ってね、追い掛けるの止めたんですよ。で、帰ろうと思ってね、ぱっと後ろを振り返ったらですね………………………。
いるんですよ、女が…。いやー、さすがに勘弁してくれって思いました。それで、また女が言うんですよ。追い掛けてくれって。私、面倒臭くなってね、こう言っちゃったんですよ。
『後ろ乗って』
いやー、男前でしたねぇ。で、女を後ろに乗せて、彼氏を追い掛けたんですよ。彼氏、びっくりしてました。そりゃ、彼女がバイクで追い掛けて来たんですからね。無理もないです。それでも、彼氏は逃げるのを止めなかったんですよ。もちろん女も追い掛けて行きましたよ。そして二人は夜の闇に、消えていきました。
あれはなんだったんでしょうか？今になっては知るよしもありません。というか知りたくもありません。
長話しになりましたね。お付き合いありがとうございました。それでは、また会いましょう。
終わり
あれは、九月の始めだったでしょうか…。雨の降る夜で、私バイクで家に帰ってったんですね。帰り道の途中に、今は使われなくなったT病院の前を、いつも通るんですよ。その日もね、同じように病院の前を通ったんですが、何かいつもと様子が違いましたね。まぁ、疲れてるんだろうと思ってね、気にせず通り過ぎました。
しばらく行くとね、信号があるんですが、いつもなら青信号でね、そのまま行けるんですよ。でもなぜかこの日は赤だったんですよ。雨は降ってるし、すぐ後ろには、あの廃病院があるじゃないですか。しかも誰もいない…。いやー、早く帰りたかったですねぇ。でも、信号無視するわけにはいかないですから、私待ちました。
それで、信号をみてたら、ふっと、気配を感じましてね。その方を見たんですよ。するとね、居たんですよ女が…！雨なのに傘もささずに女が近づいて来るんです。私ぞっとしました。信号は、まだ赤だったので前には逃げられない。後ろに逃げようにも、この道、一方通行で戻れない。どうしたものかなんて考えていると、もう目の前に女が来ていました…！凍り付いて動けなかったですねぇ。するとね、ずぶぬれの女が言うんですよ。
『…追い掛けてください』
息も絶え絶えで、そう言ったんですよ。で、私、意を決してきいてみました。何を追い掛けるんですかって。そしたらね、
『彼氏と喧嘩したので、逃げる彼氏を追い掛けてくれ』
私、びっくりしましたよ。無視して帰ろうと思ったんですけどね、その女の子がね、こう言うんですよ。
『い、息ができないんです』
尋常じゃないと思いました。まぁ、今、思えば息が切れてただけなんでしょうけど。その時は、すぐ彼氏を追い掛けないとって思いました。で、あわてて彼氏が行った方向に行くとですね…。
居たんですよ！彼氏が！しかも、びしょぬれで！それでね、彼氏の前にバイクをつけて、止めようとしたんですが…
『関係ないでしょう』
一蹴されましたよ。確かにそうだと思ってね、追い掛けるの止めたんですよ。で、帰ろうと思ってね、ぱっと後ろを振り返ったらですね………………………。
いるんですよ、女が…。いやー、さすがに勘弁してくれって思いました。それで、また女が言うんですよ。追い掛けてくれって。私、面倒臭くなってね、こう言っちゃったんですよ。
『後ろ乗って』
いやー、男前でしたねぇ。で、女を後ろに乗せて、彼氏を追い掛けたんですよ。彼氏、びっくりしてました。そりゃ、彼女がバイクで追い掛けて来たんですからね。無理もないです。それでも、彼氏は逃げるのを止めなかったんですよ。もちろん女も追い掛けて行きましたよ。そして二人は夜の闇に、消えていきました。
あれはなんだったんでしょうか？今になっては知るよしもありません。というか知りたくもありません。
長話しになりましたね。お付き合いありがとうございました。それでは、また会いましょう。
終わり
