おおきなき交流広場~言の葉(ことのは)~

「どんなに重い障がいがあっても伝えたい気持ちがある」ー障がいのある人の想いを形にする試みを続けています。就学前のお子さんから特別支援学校卒業後の生涯学習にいたるまで、障がいのある人の生き生きとした姿をお伝えしていきます。

光る玩具や手作りの装置
 初めて出会った4歳のひかりさんは、その名前から連想できる通りに、光るグッズが大好きで、お母さんは音楽のビートに合わせて光の演出をするBluetoothスピーカーを枕元に置いて、ひかりさんが音楽と光のコラボレーションを楽しめるようにしていることに目を見張りました。
 お母さんの創作意欲と想像力はすばらしく、加湿器のお釜と呼吸器の回路の廃材でひかりさん専用の光る装置(玩具)を作られていました。目に鮮やかに飛び込んできて光の色や動きが変化していきます。これにも驚きました。

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 ひかりさん用の玩具としてミラーボールガンや大きなアクションのアヒルのおもちゃも購入されていたので、キッズフェスタで購入されたスイッチが使えるように、ジャックをつけたりBDアダプターをつけたりしてひかりさんが自分で遊べる環境を早くから作ることができました。
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▲SINGING DUCKの歌と動きに注目するひかりさん

足を振り上げスイッチを押す
 お相撲の四股を連想させるようなパフォーマンスです。はじめは、おもりの上にアクセスエールのハーフスイッチをくっつけていました。
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 的を大きくし、よりフィードバックのはっきりするジェリービーンスイッチも今は使っています。
(INVADER GAMEをやっています)
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 足を振り上げてスイッチを押す場合、連打するのは難しいですが、いい運動になりますし、動きそのものを楽しむことができます。(YouTubeの一番最初で紹介しています)

指先の細やかな動きを活かし空気圧センサースイッチを試す
 細やかで柔軟な動きは、連続入力が可能で、音楽の演奏や、コミュニケーションアプリの操作も可能になっていきます。

 はじめは、中に空気が入っているひよこのヨーヨーを空気圧センサーとして使っていたのですが、手を動かすのでセンサーも動いてしまい位置関係が変わるため、親指とひとさし指の間に水風船を挟む方法も試してみました。
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 これもなかなかいいのですが、スイッチを1回ONにするのにエネルギーを使い、連続操作には向いていなかったので、もっと楽にスイッチを押せないかと考えたのが今の方法です。

指サックセンサー
 ダイソーの指サックに綿を入れた物を使っています。
PPSスイッチのシリコンチューブとの接続のため、シリンジの先の方を切ったもので指サックの蓋をしています。
 マイスイッチでも、作り方が紹介されています。(中に入れるものがスポンジか綿かという違いがあります)。ネット包帯で固定し、ひかりさんが手を自由に動かしても指先との位置関係が変わらないようにしてみました。

 空気圧センサーはフィードバックは分かりにくいのですが、戻りが早く、小さな動きを拾ってくれます。しなやかな指先の動きと空気圧センサーがマッチして、たとえばDropToneを使った演奏などに最適でした。
(YouTubeの中に動画を入れています)

からだ全体のパフォーマンスにつながる
 
ひかりさんの空気圧センサーを使ったスイッチ遊びは、改造した電子ドラム(Panasonicのボンゴボンゴ)をたたくことから始めました。とてもいいリズムで叩けています。
 そして、少しすると叩いている太鼓の音に合わせるように、ひかりさんの体が動き出すのです。
 リズミカルな音と手首や指先のしなやかで繊細な動き、脚のダイナミックな動きが織りなす、素敵なパフォーマンスになっています。
 スイッチ操作を起点にしてからだ全体を使ったひかりさんの表現の素晴らしさに気づきます。
 YouTubeに今までの取り組みをまとめてみました。
 是非、ごらんください。

 
(相澤純一)

ー見やすく・見つけやすくー
教室の表示修正

▲グループ教室での1日のスケジュール表は、ブラックボードを使っていました。(2011年頃)

初期は、みんなで同じものを作っていた 
 墨東特別支援学校の製作講座が始まったころは、私が考案した教材をみんなで作るという色彩が強かったです。構想はあったものの現職の教員時代には作れなかったものを形にしたいという思いが私に強かったのです。
 このときは、先生たちの担当されているお子さんののニーズに合っているかどうかお聞きしていなくて、今考えると本当に申し訳なかったです。
 
 たとえば木の板を何枚も用意し、ダイソーで見つけたブラックシートを貼って赤、黄、緑の色鮮やかなスイッチを1つ~3つまで並べられるようにしました。ビジュアル優先でした。
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▲15年間私が使っている選択スイッチボードです。

 上肢に不自由がないお子さんにはいいのですが、そうでない場合は、一人ひとりのからだの状態に合わせるのが難しく、実際にはあまり使えなかったのではないかと思います。

 教員時代は、教員全員が所属する東京都肢体不自由教育研究会というのがあり、私は、視機能支援部会に所属していました。(この部会は現在も視機能支援研究会として存続しています)。教材・教具が視覚的に「見やすい・見つけやすい」ということは、とても大事な要素だと考えていました。

   肢体不自由校は3校経験しましたが、教室の環境調整を意識し、生徒が見やすい掲示や表示にグループの教員で意思一致できて取り組めたのが最後の墨東特別支援学校でした。
 暗幕を雰囲気が暗くなり過ぎないように教室の3面に使って、日々の予定表もまぶしくて見にくいホワイトボードからブラックボードに替えました。(冒頭の写真参照)
 見やすいというメリットだけでなく、環境が整っていくことで心理的にも生徒が落ち着いていったという実感がありました。

 
見やすく・見つけやすい
 「教材・教具になかなか手が出ないのですが、どうしたらいいですか?」という質問をよく受けます。
 一番始めに私が考えるのは「触覚防衛反応」が残存しているのではないか、ということなのですが、それについては、あらためて触れることとします。

 目をうまく使えない子どもたちがスイッチに手が出せるとしたら、「見やすく・見つけやすい」ことは必要条件になります。
 光が好きなお子さんには、スイッチに目印としてLEDをつけるというのもアイデアとしてありますが、シンプルな工夫は、色のコントラストで目立たせることです。

 そこで頭に浮かんだのが、信号です。
 黒い背景でコンストラストを考えて、やがては選択(押し分け)もできるといいなと考え、信号の色がいいと考えました。ちょうど、ゲームスイッチで赤・黄・緑(青)の3色をそろえることができたので、
選択スイッチボード「信号」と名付けました。
 このスイッチは、はたして押しやすかったのかは、次回に触れたいと思います。
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▲スイッチはミニタッパーウェアにゲームスイッチをはめこんだものを使っていましたが、考えることがあって、今は、スイッチをジェリービーンスイッチに替えています。

 製作講座でメニューに必ず入れてきたのは棒スイッチです。私が初めての支援学校で、初めて出会ったスイッチが棒スイッチで、グループにこのスイッチがぴったり合うお子さんがいました。
 デフォルトは白いグリップなのですが、白は見にくいので、金色にしたり縞模様にしたりしていました。
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スイッチを見つけ、意識することから
 当たり前のことかもしれませんが、スイッチは「あてがう」ものではありません。
 また、文化祭などのイベントのためだけに使うものでもないと思っています。

 スイッチを子どもたち自身が見つけて、手を出そうとするかどうかが第1歩だと思っていました。スイッチは物を動かすための教具でもあり、道具でもあります。
 コミュニケーションを豊かにし、生活を変える可能性も秘めています。

 子どもたちがスイッチで何をするのか、わくわくするような目的を意識して、その手段であるスイッチを見つけて手を伸ばしていく、その過程が大事です。

 でも、手を出すこと自体が難しいお子さんにその後、たくさん出会います。
 今は、その手にじっくり触れ、手に合うスイッチを探したり作ったりすることも多くなっています。
★都立墨東特別支援学校のスイッチ教材製作講座15年から学んだこと<その1>は、こちらです。
(相澤純一)

ー感謝の気持ちをこめてー
 私は、54歳で早期退職したのですが、最後の学校が肢体不自由の子どもたちが通う東京都立墨東特別支援学校でした。
 2011年、現職の最後の1年の夏季休業中に、全校に声掛けして、初めてこじんまりと教員15人位が集まって、スイッチ教材の製作講座を行ったのが始まりです。

 2012年に退職した後も、毎年、初夏を迎える頃お声かけしていただき、1年に1回、1日、7月下旬から8月初旬の真夏の暑い時期にスイッチ教材製作講座を実施してきました。
 最近は半日が多くなりましたが、まだ継続していて、ついに15年になりました。

 猛暑の中でのはんだごて作業、担当しているお子さんが使えるものを作りたいという先生たちの熱い気持ちが熱いはんだごてに注がれて、まさに熱気あふれる時間になっていました。
 
 はじめは任意団体の「おおきなき」でお受けし、今はNPO法人訪問大学おおきなきでお引き受けして、先生たちの作りたいものの希望を参考にしてメニューを作り、下ごしらえして当日を迎えます。  

 スタッフは私1人でスタートし、2人になり、やがて3人に増やしていきました。ただ、年を重ねていき、あっという間にスタッフは男性高齢者集団になってしまっていました。
 最近やっと、男性2名に女性スタッフ1名が加わり、雰囲気が明るくなりました。

 いつも学校の担当の方とはやり取りを何度も繰り返し、時間内に完成できることを目指そうとしています。しかし、これがなかなか難しく、教材は未完成のまま私が持ち帰りになることが多かったです。

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▲15年間、製作の様子の写真は1枚も撮れていませんでした。今回、スタッフの渡邉さんが撮ってくれた貴重な1枚です。

 今年も、7月29日に半日、3人のスタッフで20人の参加者と熱い半日を過ごしました。あっというまの3時間でしたが、とても濃密な時間でした。 
 先生たちはかなり疲れているのではないかと思っていましたが、準備した玩具やスイッチを見る目が真剣で、「たくさん作るぞー」という勢いを感じました。
 私は「『3時間食べ放題』のつもりでどうぞ!」とつい調子に乗ってしまいました。 
 BDアダプターからスイッチ類、iPadのスイッチインターフェイスまで、たくさんの希望が出ていました。

 はんだごてを初めて手にする方もいるのですが、一人ひとり丁寧にサポートするのは困難なので、「手が3本ほしい先生は、隣の人の手を借りてください!」とお願いしました。

 製作したものについては、半日になってからは初めて!?ほぼ持ち帰り無しで終えることができました。

 墨東特別支援学校の年1回の製作講座があったからこそ、私の日常365日のスイッチについての問題意識が高く維持できていた気がします。15年間でも、まだ学び足りません。
 その足跡を振り返りながら、失敗談が多くなりそうですが、感謝の気持ちをこめて「墨東特別支援学校のスイッチ教材製作講座15年で学んだこと」の連載をスタートさせたいと思います。(1週間に1回程度の連載です。第1回は明日投稿します)

★都立墨東特別支援学校のスイッチ教材製作講座の15年から学んだこと<その2>はこちらです。
(相澤純一)


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