episode 2
『バリアフリー』
『バリアフリー』
次女サユリが、小学2年生から地域の学校で副籍交流をはじめました。
学校は、自宅から歩いて1分。1か月に2回程度、2時間目と、
長い休み時間と、3時間目を一緒に過ごして帰ります。
児童のみなさんは… お世話好きな女子たち、
周りでわざとはしゃぐ男子たち、興味津々なレポーターたち、
気おくれして、遠くからチラ見する子たち、
と、それぞれの反応で、歓迎してくれました。
先生方の多くも、なるべくサユリが他のお子さんたちと一緒になれるよう
授業の中でも、いろいろと配慮をしてくださいました。
しかし、毎回の難関は、階段を昇ることと、降りることでした。
教室は、すべて2階より上で、エレベーターはありません。
交流をはじめるときに、学校の主事さんが、車いすの持ち運びを
快く引き受けてくださいました。私がサユリを抱いて上がり、
学校の主事さんが2人がかりで車いすを持ち昇ってくださいます。
教室が4階のときなどは、はじめはおしゃべりをしながら
上がっているのに、サユリを抱いている私も、車いすを担いでいる
主事さんたちも、最後には無言で、ハアハアと息を切らせていました。
それでも毎回、「こんにちは!待っていたよ」と迎えてくれて、
「風邪、引かないようにして、また今度来てね」と
見送ってくれた主事さんたちに、本当に感謝!です。
手を煩わすことに、サユリと私が遠慮したり気おくれしたりしないように
との心遣いがあったように思います。
エレベーターがあったなら、もっと楽に交流ができたけれど…
バリアフリーになっていた方が、いいに決まっているけれど…
でも、もしエレベーターがあったら、
主事さんたちとは、会う機会がなかったかもしれません。
上階に上がることができない子のために、
快く協力してくれる大人たちがいることを、
子どもたちに知ってもらう機会もなかったかもしれません。
設備のバリアがフリーではないために困難だったことを、
心のバリアフリーで解決できました。
エレベーターがなかったからこそ、できた交流です。
3時間目が終わるころ、車いすを運ぶために、主事さんが教室まで迎えに
来てくれます。
そんなある日、隣に座っていた子が、
「もう帰るの?給食を一緒に食べて行けば?」
と、まるで自分の家の食事のように、誘ってくれました。
「ここの学校での給食費を払っていないから、食べないで帰るわ」
と辞退しましたが…
本当は、誘ってくれて、うれしかったです!
執筆者:O
自宅で学習をしているサユリ
