2014年09月

 
 
摂食指導について ~その3~
 
 
では、一つ一つの要素をつなげるために、大人はどうしたらいいのか。
学校の教職員であれば研修会に出かけたり、専門の歯科医師や
療法士から助言を受けたりもします。

でも、その知識や技術、助言内容を活かすのはやっぱり一番そばにいる
大人(学校であれば教職員)なのだと感じています。
子ども一人ひとりに合わせて、知識、技術、相談内容をまとめて、
今よりもちょっとベターな方向に進んでいけたらなと。
そのために、多くの人が協力し合える関係を作っていきたいですね。

そんな摂食指導から子どもたちが「安心感」「信頼感」を育んでほしい
と思っています。
「食べること」はあくまで目的であって、
「食べることで人とよりよい人間関係を作っていくこと」
が目標であってほしい。
だから
「安全に」「楽しく」「美味しく」食べてほしいのです。

そんな願いを持ちながら、日々の摂食指導に携わっています。

まだまだ力不足、経験不足の身です。
今回の発表を聞いていただいた方々、
この文章を目にしていただいた方々、
そして多くの子どもたちから、たくさんのことを学びながら、進んでいきたいと
思っています。

 

 
 
摂食指導について ~その2~
 

さて、前置きが長くなりましたが、830日(おおきなき)と97
(学術大会)で発表で伝えたかった内容を簡単に説明します。

私が考える学校における摂食指導で大切にしたいことは、
「安全に」「楽しく」「美味しく」食べることです。
これはどの学校でも言われていることだと思います。
でも、一つ一つがバラバラになっているのではと感じてしまうこと
がありました。
そこに「上手に」「正しく」「たくさん」「時間内に」などの要素も入ってくると、
収拾がつきませんね。

食べるのが苦しいなんて、誰だって嫌ですから、
「安全に」食べることはとても大切です。
でも「安全に」ばかり傾いてしまうと「上手に」食べるチャンスを
逃してしまうかもしれません。
以前の私のように「正しく」ばかりに囚われて怖い顔をしていては、
「楽しく」にはつながりません。
しかし、丸飲みばかりしていたら、「美味しく」味わうことは
難しいと思います。
じゃあ、やっぱり「上手に」「正しく」食べられるようになることも大切ですよね。
でも、それだけになってしまっていいのでしょうか?
「たくさん」食べてお腹いっぱいになったら嬉しいですよね。
だけど、子どもにだって食べたくない日があってもいいと思うのです。

このように摂食指導にはいくつも要素があって、どれか一つだけを
とればいいというものではないと思っています。
 
つづく。
 
 
~次回は摂食指導についてのお話その3です~

 
第二部は、
重度の障がいにより、自分で食べることや飲み込むことが難しい
お子さんの、食事(摂食)について、東京都立多摩桜の丘学園の
小林真一郎さんに話してもらいました。
 
お話のタイトルは
 「小児の摂食嚥下リハビリテーションの課題‐脳性麻痺を中心として‐」
<肢体不自由特別支援学校現場での摂食指導について考える>
です。
 
   ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆
 
 
摂食指導について ~その1~
 

95日~7日に行われる日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会で
シンポジストを務めることとなり、そのプレ発表を「おおきなき」でやらせて
いただきました。

私が特別支援学校(当時は養護学校でした)の教員になった当初、摂食
指導に関する知識は0でした。
そこで初めて担任した生徒は「むせ」ました。
当時の私自身は食事でむせることなどほどんどない若者でしたから
(最近はむせることが増えました(笑))、
どうしてその生徒がむせるのか「??????????」でした。

そこで、周囲の先輩教員や研修会で教わったことを実践に移していくの
ですが、今度は「正しく食べさせること」ばかりに目が向いてしまい、
上手に食べてもらえなかったり、全部食べてもらえないと悩んでいました。
今思い返せば、怖い顔をして給食を食べてさせていたのかもしれませんね。
子どもにとっては、一緒に食べたくない教員だったろうなと、反省しきりです。

そんな私が子どもからいろいろなことを教わり、ある程度経験を重ねる中で、
その経験をまとめ、発表する機会をいただけたことはとても幸運だと思います。
 
つづく。
 
 
 
~次回は、摂食指導についてのお話その2です~

 
 
マイトビーのデモンストレーション ~その2~
 
 
 デモンストレーションでは、おおきなきにかかわりの
あるお子さん2人に協力してもらいました。その中の
1名が、特別支援学校の教員の時代に相談を受けて
いたお子さんです。

 今回は特にマイトビーを使って「センサリーアイFX」
ソフト(下記の写真参照)にしぼっての体験を行いました。
 見ることでわかりやすいリアクションが起きるので、
さらに見ようとするというしくみになっています。
5段階のステップが考えられていて、それぞれの
ステップの中に6種類のソフトが準備されています。

 例えば、第1段階では、何もない画面を「見る」だけで
画面に動くものが現れ、音もついているので、因果関係
の理解が促されます。
 第2段階では、注視する(「見つめる」)ことで、対象物に
変化が起きる(例えば水玉が割れる等)ので、注視する
ことを学んでいくことができます。
 
 
*詳しくは、下記をご参照ください。
http://www.tobiiatj.com/jpn/Sensory_Eye_FX.html
 
 
  2人が、どれだけ見えているだろうか、どのくらいの
距離なら見やすい だろうか等、確証が持てずにいました。
 専門の眼科でも、障がいの重さから、2人はかなり厳しい
診断を受けていました。
 それは、視神経の束が細いので見る事には困難が伴う、
視神経の委縮が見られるから追視(目で物を追いかける)は
厳しいかもしれないというような診断です。

 今回のデモンストレーションを通して、2人が確実に見よう
としていることと、リアクションを受け止めてさらに見ようとして
いたことが、はっきりとわかりました。
 コミュニケーションの成立に向けての手掛かりをつかむこと
もできそうです。
 

 マイトビーは、あったらいいな、と思える「ドラえもんの道具」
でした。
 なぜなら、子どもたちの見ようとする力と興味や関心のある
ものに積極的に働きかけようとする意欲を確実に感じ取れる
機械だったからです。

 
(A)
 
 
★センサリーアイFXの画面(第3段階:狭い領域を見る練習)
視線をウシにむけると「モー」となき、ブタにむけると「ブー」となきます。
 
イメージ 1
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
~次回は摂食指導のお話についてお届けします~

 

8月30日(土)に、おおきなきのおもちゃと絵本の部屋で
研修会を行ないました。
今回はその報告です。
数日に分けて載せていきます。
 
 
    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆
 
 
普通の話し言葉での会話が難しい、重度の障がいの
お子さんが、意思や思いを伝えることができるように
なるかもしれない方法として、
『視線入力装置(マイトビー)』というものがあります。
研修会の第一部は、
マイトビーのお試し体験(デモンストレーション)です。
 
第二部は、
重度の障がいにより、自分で食べることや飲み込むことが
難しいお子さんの、食事(摂食)についてのお話です。
 
 
    ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆
 
第一部
 
マイトビーのデモンストレーション ~その1~
 
 
 特別支援学校の教員をしていた時代に、他の方法は
難しいけれど、もしかしたら視線入力なら可能かもしれ
ないという相談を、担任の先生から受けていたお子さん
がいました。
 主に神経系に障がいが現われ、全身に障がいが及び
進行していきます。既に発声・発語はなく、表情も乏しく
なっていて、やがては難聴になってしまうかもしれない
ということで、できるだけ早くコミュニケーション手段を
確立させてあげたい、という相談でした。普通のスイッチ
操作は難しそうでした。
 
 私は、この相談をきっかけに、視線入力装置のマイトビー
の可能性に関心を強く持ち始めました。
 マイトビーを一言で表現すると
「見つめるだけでクリックできるパソコン」
です。スウェーデン生まれのハイテクな機械です。
 
 マイトビーは、主にALS(筋委縮性側索硬化症、最近、
マスコミでは、アイスバケツチャレンジが脚光を浴び、
名前だけは知られるようになってきているようです。)の方の
意思伝達装置として、広く使われるようになってきています。
ALSは進行性の病気で、障がいは全身に及びますが、
目を動かす筋肉が最終的には残っていくからです。
 
 マイトビーに内蔵されているトビーコミュニケーター」(下記の
写真参照)は、コミュニーションの初歩の段階(たとえば、
絵や写真の選択)から使えるソフトです。それに加えて、
最近、マイトビーの操作に必要な「見る」「見つめる」
こと自体を促す感覚学習から可能な「センサリーアイFX」
が使えるようになりました。
(「センサリーアイFX」については、そのに詳しく書きます)
 
★トビ―コミュニケーターの画面★
最初に、使う人の視線に合わせてカーソルが動くように調整したあと、
このような画面で、はい、いいえ、すき、きらいなどの意思を伝えたり、
絵を選択して思いを伝えたりすることができます。↓
 イメージ 1

 
障がいが重度の方への有効性は、マイトビーを持ち運んで
使いこなしている、地域ケアさぽーと研究所の下川和洋先生
の実践から明らかになってきています。
 *「重症心身障害児(者)の視覚の把握における視線入力意思伝達装置
の有用性について」
(日本重症心身障害学会誌第391号 2014年)

 マイトビーはあまりにも高額なので、「おおきなき」としては
手の届かない「道具」と思い込んでいました。それでも、
助成金の応募を試しにしてみることから始めて、現実的に
購入することも視野に入れて、デモンストレーションを実施
してみることにしました。

つづく。
 
~次回は、マイトビーのデモンストレーションその2です~

 

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