2015年07月

☆ 訪問大学おおきなきのひととき ☆
Aさんの前回の授業こちら

 Aさん
重いてんかんを持つ生徒さん。
気管切開をしているので声を出しての会話に不自由がありますが、
明るくてチャーミングなAさんです。

~講師のある日の記録より~ 

朝からしっかりと覚醒をしていないようで、酸素をあてていた。
ベッドサイドに行くと、私のネックレスを指差し、
「きれいね」
「お友達が作ってくれたの。Aさんも同じネックレスを持っていると思うよ」
…「あっ、スエーデンのお友達!」
そう言って、窓辺にかけられたネックレスを指差す。
「Aさんと私でネックレスのお店を作って、みんなに買ってもらおうか?
社長さんになっちゃう?」
で、二人で大笑い。
 
「ルーマニアの写真、持ってきた?」
と、よく覚えていてくれる。
ベッドから身体を起こすことを望まなかったので、
タブレットを見える位置に置きながら、写真を見る。
風景や食事、街中の様子などを1枚ずつ説明しながら、
次への写真に移る操作はAさんが担当。
 
「この写真でちょっと不思議なところがあります。何だと思う?」

イメージ 1
 

Aさんはじっくりと写真をみながら、考えている。
「車があって…、なんだろう。わからない」
としっかりと答える。




正解は、歩道の真ん中に駐車している車。
「それは危ないよね。おまわりさんに言わなきゃ」
「そうなの。パトカーも止まっていたよ」
で、Aさん大笑い。
 


途中、昨日テレビで放映されていた映画「ハリーポッター」の
ストーリーが入ることもあったが、1時間以上も集中して
写真の説明を聞き、疑問点を投げかけてくる。
「ハリーポッター」も全く脈略がないわけではなく、
ルーマニア=ドラキュラ伯爵=幽霊やお化けを見たことはあるか
=魔法使い=ハリーポッター…へと、つながっている。
 
オーストリア航空の車椅子対応や移動の際のリフト車、
街中で利用したポータブルスロープの話なども興味を持って
聞いていた。
 
つばを飲み込んだので、
「喉渇いたね。お茶にしようか」と誘うと、
「なんでわかったの?」と不思議がっていた。

☆☆☆    ☆☆☆    ☆☆☆
 
訪問大学『おおきなき』とは・・・
障がいや病気のために、通所施設などに毎日通うのが
難しい方のご自宅を講師が訪問して、生涯学習を支援します。
自分の思いが伝わる喜びを感じながら、
自分に合った方法で学ぶ機会を持ち続けてほしいと
思っています。
そして、
自己実現に向かって進みながら、社会とのつながりを
深めていってほしいと願っています。
詳しくはおおきなきHPの訪問大学のページをご覧ください。
 


☆ 訪問大学おおきなきのひととき ☆
Aさんの前回の授業こちら
 
Aさん

重いてんかんを持つ生徒さん。
気管切開をしているので声を出しての会話に不自由がありますが、
明るくてチャーミングなAさんです。

~講師のある日の記録より~ 

元気そうな表情で出迎えてくれる。
Let's study English!」前回の復習でCDを視聴する。
操作が不得手な私があれこれ言いながらボタンを押していると、
おかしそうに声を出して笑っている。
前回の曲を流すと、小声ながらリズムに合わせて歌う。
 
では、「今日は…」とこちらからの提示の前に、Aさんが
スケッチブックを出してきて、一ページずつめくっていく。
一ページずつテーマのある絵が描かれている。
自室の様子、海の中、森の中…。
その絵を見ながら
「What is this?
と問うと、
「ドッグ、メイちゃん!」
How cute!」と答えるという形で会話を進めていく。
自室の様子ではベッド、テーブル、テレビが描かれ、
ゲージについてた水飲みを説明するのに、じっと考えて、
「メイちゃん、のむ」
「What does MEI chan drink?
「ウォーター」
I See. MEI chan drinks water.
「イエス!ゴクゴク!」
で大爆笑。
伝えようする様子が伝わってきた。
 
今日は数字の学習。
CDで数字の歌を歌い、前回と同様のタッチペンの教材を使用。
絵を見ながら
How many pens?
の問いを理解し、ペンの個数を数えて確認する。
Apple、dogなどは日本語に言い換えなくても答えることができる。
 
「ルーマニアってどこにあるかな?」
世界地図が入っているタブレットを操作して、私が仕事で、
日本からルーマニアに行くことを伝える。
飛行ルートを指で示すと面白そうに笑い、ヨーロッパを拡大すると
知っている国名を見つけては話が広がる。
ちょうど「ベルサイユのばら」のアニメを見ているので、
フランス、オーストリアからマリー・アントワネットやオスカルの
名前が出てくる。
「オーストリアのウイーンで飛行機を乗り換えます」と説明すると、
とても嬉しそうな表情。
スエーデンも見つけて(以前の授業参照)
「シャスティン!」

 
講師メモ:
1時間30分集中して取り組んでいた。
会話がスムーズに成立し、英語の学習という意識が高いのか、
どうやったら伝えられるかを考えている様子が見られた。
話は急に広がるが、全く脈略のないものではなく、
Aさんの中では関連性が高く、意味のあるものだと感じた。
「そうきたかぁー!!」と、リアクションをすると、おもしろさと
おかしさで表情がほころぶ。
 

☆☆☆    ☆☆☆    ☆☆☆
 
訪問大学『おおきなき』とは・・・
障がいや病気のために、通所施設などに毎日通うのが
難しい方のご自宅を講師が訪問して、生涯学習を支援します。
自分の思いが伝わる喜びを感じながら、
自分に合った方法で学ぶ機会を持ち続けてほしいと
思っています。
そして、
自己実現に向かって進みながら、社会とのつながりを
深めていってほしいと願っています。
詳しくはおおきなきHPの訪問大学のページをご覧ください。
 

 トックンのアート館49 



『 イルカ 』


イメージ 1
                                                                                               絵:トックン

トックンのイラストが絵はがきになりました
ご注文方法はこちらになります


 トックン ♪
 
べッドの上で、左手でトラックボール(☆)
右手でスイッチを使い、描いています。
Windowsのアクセサリの中の「ペイント」
というソフトを使っています。
インターネットで見つけた素材を参考にしたり、
オリジナルキャラクターを考え出したりしながら、
時間をかけて一つの作品を仕上げていきます。


パソコンのマウスの役割のものが土台に乗った球状になっており、
その土台の上で球を転がすと、その方向に
カーソルが
動くようになっています。



「ちゃんとわかっているんだよ」

私の職場にパソコンを習いに通っている知的障害の男性と話をするのが、
ちょっとした私の癒しの時間になっている。
冷凍食品の会社で働いている彼は、シフト制で自分の平日の休みの日は
必ずパソコンをしにやって来る。
「昨日はどんな仕事をしたの?」
「どんなテレビが好き?」
私がパソコンの合間にそんな質問すると、どもりながらも一生懸命に
答えてくれる。
「生の魚が入っていた、においのついた青いかごを、洗剤を入れた
大きな水槽の水の中で洗います。
朝行くと、最初にその水槽に水をはります。」
「テレビは、相棒が好きです。」「私も相棒好き!」

年明け初日の来場のときには、歌が大好きでYoutubeでいろんな曲を
聴くのをたのしんでいる彼に、「大晦日は、紅白歌合戦を見たの?」
と聞いてみた。
「はい。全部見ました」というので、
「私はこれから録画を見るけど、○○くんのおすすめは、誰のステージ?」
と質問を重ねたら、長~い時間真剣に考えて、首をかしげながらも
「五木ひろしかな…」
と答えてくれた。
彼は41歳だが、演歌が大好きなのだ。
 
「選挙は行ったの?」と聞いたときには
「はい。○○○○に入れました」
と、投票した議員の名前を周りに人がいる中で大きな声で答えてくれて、
こちらがびっくりすることも。
でも、「どうしてその人がいいと思ったの?」と、私の興味は止まらない。
「同じ歳だからです!」と即答。
「(笑)そっか。ということは私とも同じ歳だから、私もその人を
応援しないといけないかなぁ」
「はい!」
私が彼の回答に思わず笑ってしまうのを、彼はときどき不思議そうに
している。
しかし、彼も私からすればとっても不思議なタイミングで笑ったり
することも多いので、お互いさまなのである。
 
そんな和気藹々とした会話の中でも、ときどき何気なく聞いた彼の回答に、
とても切ない気持ちにさせられることがある。
一般企業に採用され、「社会の中で共に生きている」はずの彼。
しかし、本当の触れ合いを持てていないということがわかってしまうときだ。
「お昼休みは、会社のみんなと食べているの?」
と聞いたときのこと。
「はい。みんな同じ食堂で、一緒に食べています。」というので、
「どんなお話しするの?テレビの話?仕事の話?」と聞いたら、
「みんなはおしゃべりしているけど、自分は誰にも話しかけられないので、
一緒にはいるけど、俺は、誰ともおしゃべりはしていません」
という答えが返って来た。
 
彼が会社での自分の状況を、他人にそういう風に説明しているなんて、
そして、時間がかかってどもりながらも、そういう説明ができるなんて、
きっと、彼の周りの人は、わかっていないだろうなぁと思う。
もしかして、彼のご家族でさえも。
「知的障害だから、自分たちの話もわかっていないだろう」
「話しかけても、会話にならないだろう」
「なーんにも考えずに黙って座っているだけで、彼が
“自分だけは誰にも話しかけられていない”という状況自体、
認識してはいないだろう。」
「もしわかっていたとしても、それをなんとも思ってはいないだろう」
そう思っているのではないだろうか。
知的障害は、なにもわからない障害ではない。
わかっていることも、うまく表現することが難しい、という障害なのだ。
そして知的障害の方は、愛想や社交辞令もなく、自分をよく見せようとか
相手よりも上に立ちたいとか、そんないやらしい感情はない。
彼らとのおしゃべりは、すごく一生懸命で、そして、やさしい気持ちを
全部見せてくれるので、とってもたのしいひとときなのだ。
 
そういう偉そうなことを言う私も、昔は障害者の施設で働いていた友人が
「健常の職員としゃべっているよりも、施設を利用する知的障害の人たちと
しゃべっているときの方が私はずっとたのしいし安心できる。
彼らはよっぽど人として信用できるんだよ」
と言うのを聞いたときは、その意味や感覚が、まったく理解できなかった。
今はわかる。
今は私もそう思っている。
知的障害と言われる方たちと交わす会話のたのしさを、
多くの人に知ってほしい。


                                執筆者:事務局Y



 

☆ 訪問大学おおきなきのひととき ☆
Nさんの前回の授業「お好み焼きパーティー3」こちら
 
さん
盲ろう(視覚障害と聴覚障害)の障がいがあります。
意思のしっかりした、笑顔のかわいいNさんです。
地域のセンターで学習しています。
   

~講師のある日の記録より~

私が通訳の仕事でルーマニアを訪れることを題材とし、
文章を作成する。
私の日程、日本とルーマニアの時差、
「日本で12時にNさんがお昼ご飯を食べている時に、
ルーマニアは何時でしょうか?」
今まで私が仕事で行ったグアム、ニューヨーク、インドも
過去に授業の題材にしたこともあり、時差や往復の飛行時間の差などは
よく理解している様子。


でも、ちょっと他のことが気になる様子で、私の左手を右手で
ぎゅっと握り締め、何かを言いたそうに指をもぞもぞと動かしている。


「お好み焼きパーティーのことをお話しようか?」
「はい」


先日行われたお好み焼きパーティーで私が感じたことを、
指文字でNさんに話す。


「部屋が狭くて、たくさんの人がいたので驚いた(50人くらい)」。
「お好み焼きを作ろうと思って言ったら、焼きそばを最初に食べるように言われて驚いた。」
「他の盲ろうの人たちもちょっと困っていた。」
「Nさんは上手にキャベツや天かすをボウルの中に入れることが
できたと思う。」
「Nさんが困ったときにお皿や机をひっくり返すのではなくて、
他の方法で伝えてもらっても、私はわかると思うよ。
でも、私はNさんはがんばったと思うよ…」
と言い終わるや否やNさんはトイレへと走っていった。
その後ろ姿が可愛くて、微笑ましかった。


お皿や机をひっくり返したことはNさんも反省をしていたようで、
ずっと心に引っかかっていた様子。
後日、母から「Nもすっきりしたらしく、また行きたいと言っている」
とのメールが届く。


講師メモ:


お好み焼きパーティーは、お好み焼きの準備が遅れていて、
最初に焼きそばを食べることになったため、私も戸惑ったが、
それ以上にNさんも戸惑っていた。飲食をした部屋も狭く、
焼きそばを数口食べたあとにお皿をひっくり返してしまう。
そのあと、お好み焼きの調理に入ったのだが、
盲ろう参加者には「焼く」工程しか準備されていなかったので、
個別にお願いをしてNさんとは一連の流れを押さえた。
ホットプレートの台数が多すぎるためにブレーカーが何度もおりて
しまう。Nさんはボウルに具材を入れ、フライパンにお玉で
おとしいれてどうにか焼くことができた。
ちょっと後味の悪いパーティーとなってしまった。




☆☆☆    ☆☆☆    ☆☆☆



 
訪問大学『おおきなき』とは・・・
障がいや病気のために、通所施設などに毎日通うのが
難しい方のご自宅を講師が訪問して、生涯学習を支援します。
自分の思いが伝わる喜びを感じながら、
自分に合った方法で学ぶ機会を持ち続けてほしいと
思っています。
そして、
自己実現に向かって進みながら、社会とのつながりを
深めていってほしいと願っています。
詳しくはおおきなきHPの訪問大学のページをご覧ください。





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