吉田育実さんの俳句<その4>
~季節の移り変わりを感じる~
暑い夏はつい最近のことだったようでもあり、遠い昔のことだったような気もします。今回は、夏から秋への移り変わりを詠んだ俳句と、冬の季語「炬燵」を使った俳句です。
*吉田育美は俳号です。
暑い夏はつい最近のことだったようでもあり、遠い昔のことだったような気もします。今回は、夏から秋への移り変わりを詠んだ俳句と、冬の季語「炬燵」を使った俳句です。
1句目です。「爽やか」が秋の季語だということを歳時記で確認します。寝たきりの育実さんは、歳時記をめくることはできませんが、季語は、頭の中でいつも的確に考えています。
家の玄関から一番近いところに育実さんの部屋があります。育実さんはほとんどの時間をベッドで寝て過ごしています。育実さんの部屋の扉は開いていることが多いので、玄関が開くたびに空気が動き、その温度や人の動きを肌で感じるそうです。
その風で季節も感じ取っています。季節は夏から秋に移行し、気温も下がり、湿っぽさもなくなってきていました。
その風で季節も感じ取っています。季節は夏から秋に移行し、気温も下がり、湿っぽさもなくなってきていました。
涼しくなってきた風に気付くのは特に夜になってからということでした。育実さんの家は、少し住宅地に入っていますが、商店街がまだ続いています。玄関から入ってくる風は「街の風」だそうです。
爽やかや 夜の玄関 街の風
2句目です。
夏井いつきさんのネット上の投稿サイト『俳句ポスト365』の次回の募集作品の題が「炬燵」で、考えておくことになっていました。Hさんの家では、猫を3匹飼っていて、作りやすかったようです。
夏井いつきさんのネット上の投稿サイト『俳句ポスト365』の次回の募集作品の題が「炬燵」で、考えておくことになっていました。Hさんの家では、猫を3匹飼っていて、作りやすかったようです。
動かない脚に猫達のる炬燵
冬は、Hさんが寝ている布団の上に猫が集まり、寝ているそうです。動かない脚に猫のぬくもりが伝わっていきます。「それはまさしく猫炬燵だね」という話になりました。

*タイプアートは、電動タイププライターで始め、その後パソコンを使って描いていました。
★スイッチ一つで広がるタイプアートの世界
文字や記号を組み合わせて、スイッチで1文字ずつ入力しながら描いた絵です。
~育美さんのタイプアートの作品や川柳集を見ることができます。
最後に、育実さんの最近の1句です。
長袖に替えるを待ちて秋の暮
ベッドに寝た切りで着替えも自分の想いのままにはならないのですが、半袖から長袖になる季節の移り変わりを待ち続けていたそうです。
日が短くなり、寒さも感じる秋の夕暮れに詠んだ句です。