2019年07月

明らかに眼球運動が改善した!

masaya20190720ブログ用

 
お母さんが、メールに書かれていました。

「皮質盲と言われていましたが、可能性にかけてみました。視線センサーとの出会いで、私は文字通り盲目的に画面を見せ始めたわけですが、驚くことに雅也の眼球運動が改善しました。」

 皮質盲であるとすると、たとえ網膜上で見えていても、その像を視覚中枢で解析できないので、見えないということになります。年齢的に厳しいとは承知しながら、脳の可塑性にかけてみたということになります。
 見えていない、あるいは目を使えていないのではないか、ということは、視線入力を始めてから時々、キャリブレーションを試みてきたのですが、2年間は成功しなかったこともあり、否定しきれませんでした。でも、日常的な取り組みの成果が徐々に表れ始めました。
(キャリブレーションについてはMEMO参照)

 視線入力に取り組む前の目の状態と、取り組んで3年たった今とのお母さんの比較です。
細かい分析をされています。
 それでも、印象による主観的な評価を含んでいると言われています。

***当初の目の状態***
1、瞳孔の収縮
  受傷後より20数年をかけて改善。

2、眼振<眼球振盪(しんとう)=自分の意思と関係なく眼球が動く現象>
  従来発作パターンのひとつであり一日に頻回に発生していた。

2、斜視
  左目が外斜視

3、視覚認知
  動くものは見付けやすいが、静止画にはとても気付きにくい。

4、運動との協応
  人影を追うために首を動かすが、その時、眼球の動きのみで追う様子は見られない。

**2016年から3年間にわたり視線入力にとりくんでみた変化**

1、眼振<眼球振盪(しんとう)=発作のひとつの形>の変化

 視線入力の取り組み時に一時的に顕著になったが、現在は落ち着いている。

2、けいれん発作の変化
 脳波の検査でわかったことだが、けいれんが始まる脳の場所が、視線入力を始めたのと同じ時期に変化した。(視線入力との因果関係を証明するのは難しいが…)

3、眼球運動のコントロールの向上
 従来は右左どちらかに寄っているか、ふらふらと動き回って中央で止まることがなかったが、眼振の軽減後に中央で止まるようになってきた。
  
*********
 
 残念なのは、3年間にわたる取り組みの成果を比較・検証できる十分なデータ(記録)を私自身が十分残せていないことです。
 今回は、継続して取り組んできたセンサリーアイFXの「色を塗る」で描いた絵を3年前と比較して見ていただきたいと思います。

masaya20160412-2
2016年4月

masaya20160511-irowonuru
2016年5月(右上がりの不随意な眼球の動きが特徴的でした)
 
masaya20160824-1
2016年8月

⇒2年~3年後の視線での描画には、明らかな変化が感じられました。

masaya20180830pool
2018年8月

masaya20190625-dendenmushinokanashimi
2019年6月

MEMO・・・・・
 キャリブレーションとは、画面上の見ているところがより正確に反応するようにするためにする補正・調整です。右目と左目の間の距離が大きく関係します。
 雅也さんの場合、主にマイトビーの「Gaze Interaction Settings」をカスタマイズして、ターゲットを見やすく大きいものにし、動きも遅くし、ステップスキャン(自動ではなく、対象を見ているを確認しながら動かしていく)にして試してきましたが、まったく成功しないので、支援者のキャリブレーションを使って、取り組んできました。2年間は、キャリブレーションに成功することはなかったのです。
 それが、4年目の最近はキャリブレーションに成功することが多くなっています。
 そのこと自体が眼球運動のコントロールの上達を証明しています。
 3段階のレベルの真ん中<中品質>で成功することが増えています。

masaya201903キャリブレーション
2019年3月

masaya201904キャリブレーション

2019年4月
                 
(相澤純一)

視線入力で好きな音が見つかる-岩崎倫治さん -
DSCN2445


 入院することが多くなって週1回の通所も厳しくなり、完全な在宅生活が始まりました。
 家族や介護の人だけでなく多くの 人とのかかわりを持ってほしい、自分の気持ちを何らかの形で表現してほしいという思いで、生涯学習に挑戦したいと入学を決断されたそうです。
 
 授業では、初めての視線入力に挑戦してみました。学生時代に白内障に罹患し、両眼とも水晶体を摘出してしまったため、 どのように見えているか、視線入力は難しいのではないかとい う危惧がありました。 もし、うまくいかなくても試してみることで、倫治さんの理解につながることが見つかるかもしれないという前向きな気持ちで試みてみました。

 水晶体がないとピントが合わない状態で、特に近くの物は形を捉えるのは難しいかもしれない、また色も見やすい色と見にくい色があるのではないか、とお母さんの話から予想していました。
 
 仰臥位で取り組み始めると強い緊張が入り、なかなか安定した姿勢で画面を見ることができませんでした。 お母さんが、左の背中の下にクッションを 入れ側臥位の姿勢で安定してから集中して 取り組めるようになりました。
DSCN2426


 センサリーアイ FX という視線入力の学習ソフトの<レベル1>の「画面上の見たところに変化が起きる」ソフトの中で、見たとろに変化が起き、音も出るもの5つ(下記の「反転移動」以外が音が出ます)を順番に試していきました。関心や興味を持てたかは、目を開ける大きさや表情で判断しました。

センサリーアイFXーレベル1


 明らかに反応の違いがありました。「感覚的な円」(鉄琴のような金属音が連続して出る)が特に気に入ったようなのです。お母さんに話を伺うと、学生時代にトーンチャイムの音が好きだったことや、女性の先生の高い声が好きだったことと結 びついたのですが、他のソフトの音だとすぐ目を閉じてしまうのに、このソフトのこの音だと目を見開き、自分で音を出し続けていました。そして、終了時には、初めて満足そうな笑顔に出会えたのです。
(冒頭の写真です)

 下は視線の軌跡をGaze Viewerで記録したものです。
ヒートマップ 視線プロット 2019-06-14 12.02.40

 YouTubeにも、自分の力で音を生み出しているいい表情をアップしましたので、ご覧ください。倫治さんのことが少しでも理解できたかもしれないという喜びが私にもありました。(相澤)



 


新しい仲間が2名、入学しました!
ー坂川亜由未さんー

 ハートネットTV(Eテレ)の「亜由未が教えてくれたこと」で、画面を通してですが、亜由未さんにはお会いしていました。その後には、お兄さんが書かれた同名の本(NHK出版)を読んでいたので、初対面の時にも、ずっと前から知り合いのような気がして、ご家族の明るい雰囲気の中に溶け込んで楽しく授業をさせてもらっています。


DSCN2046

 
 
お父さんやお母さんには、板橋区にも訪問大学を作りたいという夢があり、そのためにも支援者(講師)を育てたいというお気持ちがありました。おおきなきとしても、訪問大学のような活動が、いろいろな地域に広がっていくのは大賛成で、応援していくつもりです。
私が訪問した時には、亜由未さんの応援団の小学生や、OTの学校に通う剛司さん、生活介護施設の支援員さん等、必ずボランティアさんが同席してくださっています。

DSCN2020

 授業は、亜由未さん中心に進めていますが、同時に授業でやった内容を支援者が吸収し、私がいない時にも実践できるように説明しながら進行するというコンセプトが出来上がっています。

 入学式では、事務局4人の自己紹介や詩や本の朗読の後にYAMAHAのsonogenic(SHS-500)という楽器をワリバッシャーを使って1スイッチで演奏することに挑戦しました。
(アイデア提供は訪問大学講師の熊谷さんです。)

ayumiYAMAHAsonogenic


 写真は、訪問大学おおきなきの校歌をiPadで流し、抱っこスピーカーを脚に挟み、使い慣れている棒スイッチで伴奏しているところです。(YAMAHAのChord Trackerというアプリを使っています。
 今回、授業で練習している訪問大学おおきなきの校歌の演奏をYouTubeで発表しましたので、是非ご覧ください。



   NPO法人として新たなスタートを切ったこの春、訪問大学おおきなきに、2人の学生が入学しました。
   私たち訪問大学おおきなきでは、入学式は、その学生さんの授業を担当する講師と事務局が、学生さんのご自宅に伺って行っています。
  
   桜の木の柄の手拭いに、タペストリー用のバーをつけて「祝入学」という文字を貼った垂れ幕と「式次第」を持参し、まずはそれらを設置させていただくのです。

祝入学
式次第
   それだけで、生活の場である学生さんのお部屋が、一瞬で入学式の会場となります。
   そして、わいわいと準備をするにぎやかな様子から、開式の辞…
 「ただいまより、○年度○○さんの訪問大学入学式を行います」
と司会が言うと、一気に場の雰囲気が厳かになり、理事長の相澤から、
 「入学を許可します」
と伝え、入学決定通知書を受理するときには、学生の皆さんはキリリと引き締まった表情になります。

IMG_7372

2015年度の入学式の様子です。


  
 講師紹介でこれからどんな先生とどんな授業をするのか説明を受けたり、色紙の入学生に寄せられた他の学生さんを担当している講師などからのお祝いのメッセージを聞いたり、新入生の宣誓では
 「○○さん、大学生になる決意をどうぞ!」
と言われ、みんな「えっ!」という表情で固まってしまったり…短い時間の中でも、そんな風にして、ちょっぴりの不安と緊張、でも
 「これからなにがはじまるんだろう」
とか
 「大学生になったんだ!」
とか、そんな期待やワクワクした気持ちが入り交じった学生さんの輝きが、身体全体から溢れてくるのです。

りせ 入学式写真

064

*2枚の写真は、2014年度の入学式の様子です。

 そして、学生さんと同じくらいうれしそうに見守ってくださっている親御さんの笑顔の中で、最後にみんなで訪問大学おおきなきの校歌を歌います。        
 この校歌は、第一期生の学生の皆さんとご家族から、校歌の中にどんな言葉を入れたいかを教えてもらい、それを繋ぎ合わせて歌詞を完成させています。

1 大地に芽吹く
  小さな命
  みんなで生きよう
  いっしょに進もう
  歌おう 語ろう
  勇気を出して
  伸びよう 育とう
  おおきなき

2 伝える瞳
  輝く笑顔
  心に届け
  生きる喜び
  笑おう 遊ぼう
  手と手つないで
  伸びよう 育とう
  おおきなき

3 不安な日々も
  夢を見つめて
  心つながる
  きっと大丈夫
  学ぼう 踏み出そう
  感謝を込めて
  伸びよう 育とう
  おおきなき

 手作りの、新入生1人ずつの小さくささやかな入学式ですが、訪問大学おおきなきの美しい新芽がまたひとつ輝きながら増えていくよろこびは、私たちにとっても大きな力を与えてくれる最高のひとときです。
 そして、このような活動のひとつひとつを継続していくために、ご支援くださっている会員の皆さまに、改めて心から感謝いたします。

★今年度の入学式の様子は、後日動画つきで更新します!

27歳からの視線入力への挑戦―その2―
<視線入力の取り組みのために用意した物>

  雅也さんの視線入力の体験は、おおきなきが所有しているマイトビーC15Eye(後継機は、マイトビーI-15)で、センサリーアイFXやLook to Learnで行いましたが、私の訪問は不定期であてにならないものでした。私自身、可能だったら日常的にできる環境を作ってほしかったのですが、私がそのことを口にする前に、お母さんは、ご家庭で日常的に取り組める環境を整えていかれました。

  まず日常生活用具給付制度を使い、トビーPCEyeえくすぷろあというセンサーを購入し、視線入力を上達させるためのソフトウエアとして定評のあるセンサリーアイFX等をそろえていかれました。

  一方、ローコストの視線入力装置にも着目し、Tobii EyeX Controllerから、
Tobii Eye Traker 4Cもそろえ、ソフトウェアは、今一番多くの人にシェアされているフリーソフトのEyeMoT(開発:島根大学伊藤史人さん)も有効に活用されていました。

 さて、伊藤史人さんが「視線入力は固定具が7割」と言われていますが、雅也さんのお母さんは、固定具にもこだわっていて、特にオリジナリティがあります。

MEMO------------
★以前使っていたスタンドとアーム。ノートPCの固定には、100均のサッシロックを4つ使っています。インターネット上の情報をもとに作られたたそうです。
イメージ 1

イメージ 2


★最近の視線入力装置の固定具です。VIVOの三脚、Manfrottoのベーシックドーリー、サンワサプライのディスプレイ用のアーム等6つ位の部品を組み合わせているそうです。
ノートPCにEyeTrackerを装着する方法から、ノートPCをモニターにつなぎ、
Eye Trackerをモニターに装着する方法を取り入れています。

固定具には、iPadも固定し、iOAKというアプリでモーションヒストリーを撮ることができます。
ビデオカメラも設置でき、眼球の動きを前から録画できます。
イメージ 3

次回-その3-は、<明らかに眼球運動が改善した>です。
                                                  (相澤純一)

↑このページのトップヘ