〈ご報告〉
(文部科学省 令和2年度
「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究業」)
(文部科学省 令和2年度
「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究業」)
▶2020年11月13日開催
▶国立オリンピック記念青少年総合センター (報告:相澤)


標記のシンポジウムはハイブリッド方式で行い、会場参加は約50名、オンライン参加が約140名でした。訪問大学おおきなきも実践報告をさせていただきました。
平成29年に文部科学省の松野大臣の「特別支援教育の生涯学習化」のメッセージが出され、文科省にも生涯学習を推進する部署が立ち上がりました。同年、地域ケアさぽーと研究所理事長の飯野順子さんの声掛けで、「重度障害者・生涯学習ネットワーク」を立ち上げ、現在、全国の参加団体は11団体になっています。
ただ、文科省からも地方公共団体に働きかけているという報告がありましたが、障がい者の生涯学習活動に関する窓口を有する自治体は、都道府県5.7%、市区長村4.1%(文科省報告による)と未だに極めて少ない現状があります。
地域ケアさぽーと研究所の下川さんからは、「福祉」の制度の枠組みの中で、位置づけようとしていく方向性もあるが、その後の「障害者の権利に関する条約」等の法的な整備、社会の動きから「教育」の枠組みの中での障がいの重い方の生涯学習の制度化をめざす方向性が見えてきている、という報告がありました。
市区町村の中には、東京都日野市のように、市として市民団体に委託しているところもあり、「日野市障害者訪問学級」には、39年の歴史があります。できないわけではないのです。今回は、行政で携わっていた方、保護者の立場からの報告と両方があり、身近に感じることができました。すべての市区町村が日野市のようになることは無理なのでしょうか。
ちなみに訪問大学おおきなきの地元の東京都大田区でも、社会教育訪問学級が社会教育課を窓口にして平成25年頃まで実施されていました。

一人年間8回までで、過去5年間に2回以上受講していない方を対象とする極めて限定的な制度でしたが、公的に行われていたという意味は大きいです。打ち切りになった後にお聞きしましたが、障がいが重い方の申し込みはなかったとのことでした。私は、ニーズを行政側が把握できず、また、本当に求めている当事者には情報が届かなかったのではないかと想像しています。一方、東京都中野区にも同様の制度があり、こちらは今も続いています。中野区社会教育訪問学級です。
「訪問カレッジEnjoyかながわ」では、今後、県や市区長村の各行政団体の生涯学習課を回ってみることを考えているそうです。

一人年間8回までで、過去5年間に2回以上受講していない方を対象とする極めて限定的な制度でしたが、公的に行われていたという意味は大きいです。打ち切りになった後にお聞きしましたが、障がいが重い方の申し込みはなかったとのことでした。私は、ニーズを行政側が把握できず、また、本当に求めている当事者には情報が届かなかったのではないかと想像しています。一方、東京都中野区にも同様の制度があり、こちらは今も続いています。中野区社会教育訪問学級です。
「訪問カレッジEnjoyかながわ」では、今後、県や市区長村の各行政団体の生涯学習課を回ってみることを考えているそうです。
特別支援学校退職教員を生涯学習の講師に迎えるのは、多くの団体が取り入れていますが、「訪問カレッジEnjoyかながわ」の運営面の考え方は画期的です。立ち上げは、一人のニーズから始まったというのはおおきなきと同じですが、一人のニーズに応えることを積み重ねていくことで、居住する地域ごとに支援する方を見つけチームをつくり、それを全県に広げていきたいという考え方です。
学生の学びの支援は退職教員が中心になっている団体は多いです。学生との年齢差が40歳以上あることを重く考えて、同世代のかかわりを大切にしたいと考えているのは、多くの団体で共通している課題でした。「ひまわりHome College」からは、社会福祉専門学校とつながり、実習の場としてもらった事例の話がありました。「訪問カレッジEnjoyかながわ」は教員養成大学とコラボしていくことで、双方のメリットを考えています。
この考え方は、訪問カレッジ・オープンカレッジ@愛媛大学の苅田先生の話にリンクしていきました。苅田先生からは、大学は、そもそも多様な人にとっての学びの場であるという考え方が出され、正規の大学生だけでなく、多くの人に学びの場を提供することがミッションであるという話があり、目からうろこでした。特に教員養成大学が訪問型生涯学習を行う意義として、「教育の担い手(教員の養成)につながっている」ということが、提起されています。
この考え方は、訪問カレッジ・オープンカレッジ@愛媛大学の苅田先生の話にリンクしていきました。苅田先生からは、大学は、そもそも多様な人にとっての学びの場であるという考え方が出され、正規の大学生だけでなく、多くの人に学びの場を提供することがミッションであるという話があり、目からうろこでした。特に教員養成大学が訪問型生涯学習を行う意義として、「教育の担い手(教員の養成)につながっている」ということが、提起されています。
既存の大学が窓口を広げていく方向性とともに「大学」を作るという動きがあります。北海道の「みらいつくり大学校」は、「重症心身障害児である息子が高校を卒業した後も学ぶ場をつくりたい」というお母さんの夢を実現しようという想いで立ち上がっています。
「みんなの大学校」は、福祉的な就労移行支援事業に取り組む中でこの枠組みに入れない方に出会い、「学び」の場が必要と考え、開設されています。「高等教育」を行う場合、「大学」は名乗れないけれど「大学校」なら制度に触れないことから「大学校」とされています。オンラインの活用、訪問、通学という3つのスタイルを柔軟に取り合わせ、障がいの重い方の受け入れを前面に掲げています。
「みんなの大学校」は、福祉的な就労移行支援事業に取り組む中でこの枠組みに入れない方に出会い、「学び」の場が必要と考え、開設されています。「高等教育」を行う場合、「大学」は名乗れないけれど「大学校」なら制度に触れないことから「大学校」とされています。オンラインの活用、訪問、通学という3つのスタイルを柔軟に取り合わせ、障がいの重い方の受け入れを前面に掲げています。
主に、学校卒業後にベッドの上で長い時間を過ごすことになる障がいの重い人の「学び」への希求を支援することは、その一人ひとりが生きるよろこび(生きがい)を感じられるかどうかにつながっていきます。このフォーラムを通して、身近な人がつながり社会の機関の扉をたたく人が増えれば、全国各地に生涯学習の場ができていくのは夢ではないような気がしてきています。
★当日、会場で配布した理解推進パンフレットは以下よりダウンロードできます。
重度障害者・生涯学習ネットワークHP内の
★当日の記録動画は、YouTubeでご覧いただくことができます。
11時00分~ 主催者挨拶
飯野順子(重度障害者・生涯学習ネットワーク)
小林美保(文部科学省総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・
安全課 障害者学習支援推進室長)
11時20分~「訪問型の医療的ケア児者の生涯学習の実践と課題」
①「訪問大学おおきなき」 相澤純一(NPO 法人訪問大学おおきなき理事長)
②「訪問カレッジ Enjoy かながわ」 成田裕子
(NPO 法人フュージョンコムかなが わ・県肢体不自由児協会理事長)
③「みらいつくり大学校」 土畠智幸(医療法人稲生会理事長)
④「訪問カレッジ・オープンカレッジ@愛媛大学」 苅田知則
(愛媛大学教育学部特別 支援教育講座教授)
⑤「ひまわり Home College」 藤原千里(NPO 法人ひまわり Project Team 理事長)
13時30分~ シンポジウム 「『訪問型の医療的ケア児者の生涯学習』の持続可能な仕組みにむけて」
(1)話題提供 「東京都日野市の『日野市障害者訪問学級』」
①日野市教育委員会生涯学習課 白川和彦さん
②日野市障害者訪問学級学生の保護者 石坂有香さん
(2)シンポジウム
司会 飯野順子(NPO 法人地域ケアさぽーと研究所理事長)
シンポジスト 成田裕子(NPO 法人フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会理事長)
下川和洋(NPO 法人地域ケアさぽーと研究所理事)
引地達也(一般社団法人みんなの大学校代表理事)
苅田知則(愛媛大学教育学部特別支援教育講座教授)
(3)講評 宮﨑英憲(全国特別支援教育推進連盟理事長、東洋大学名誉教授、
文部科学省「学校卒業 後における障害者の学びの推進に関する有識者会議」座長)
小林美保(文部科学省総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・
安全課 障害者学習支援推進室長)
11時20分~「訪問型の医療的ケア児者の生涯学習の実践と課題」
①「訪問大学おおきなき」 相澤純一(NPO 法人訪問大学おおきなき理事長)
②「訪問カレッジ Enjoy かながわ」 成田裕子
(NPO 法人フュージョンコムかなが わ・県肢体不自由児協会理事長)
③「みらいつくり大学校」 土畠智幸(医療法人稲生会理事長)
④「訪問カレッジ・オープンカレッジ@愛媛大学」 苅田知則
(愛媛大学教育学部特別 支援教育講座教授)
⑤「ひまわり Home College」 藤原千里(NPO 法人ひまわり Project Team 理事長)
13時30分~ シンポジウム 「『訪問型の医療的ケア児者の生涯学習』の持続可能な仕組みにむけて」
(1)話題提供 「東京都日野市の『日野市障害者訪問学級』」
①日野市教育委員会生涯学習課 白川和彦さん
②日野市障害者訪問学級学生の保護者 石坂有香さん
(2)シンポジウム
司会 飯野順子(NPO 法人地域ケアさぽーと研究所理事長)
シンポジスト 成田裕子(NPO 法人フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会理事長)
下川和洋(NPO 法人地域ケアさぽーと研究所理事)
引地達也(一般社団法人みんなの大学校代表理事)
苅田知則(愛媛大学教育学部特別支援教育講座教授)
(3)講評 宮﨑英憲(全国特別支援教育推進連盟理事長、東洋大学名誉教授、
文部科学省「学校卒業 後における障害者の学びの推進に関する有識者会議」座長)