カテゴリ: 活動紹介・活動報告

オンラインでNPO法人訪問大学おおきなき第1回総会実施!

 NPO法人訪問大学は、会員の皆様のご支援のもとに運営しています。会員の種類は3つあり、正会員(直接的に活動にかかわる支援)、賛助会員(資金面での支援)団体会員(団体として資金面での支援)で成り立っています。

 2020年6月20日(土)、第1回総会は、新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインでZoomミーティングを利用して開催しました。
 「ピンチをチャンスに」という言葉がありますが、オンラインにしたことで、多くの訪問大学の学生さんも参加することができるという大きなメリットがありました。また、遠方の会員も参加できたこともメリットでした。

総会写真2020.6.20
*写真は、仙台の阿部晃子さんがおおきなきの原点と言える阿部恭嗣さん(晃子さんの伴侶、筋ジス患者)の本「七転び八起き寝たきりいのちの証し」を紹介しているところです

<学生のご家族の声>
 総会に参加された学生さんのお母さんから願いや感想をいただきました。  



「自分の地域でも将来的に生涯学習の場が作れるようにつなげていきたいです。」
(Kさん、Sさん)
「おおきなきに関わっているみなさんのつながりをとても心強く感じました。成人となり、出会いが少なくなるばかり、と思っていましたが、おおきなきの仲間に入れていただき、世界が一気に開けたように感じます。」(Iさん)
「給付金で、子どもの好きな楽器を購入し、訪問大学の授業で演奏したいです。」
(Tさん)
「身体を使うことで、本人の反応が出やすくなるかもしれないので取り組んでみたいです。」(Nさん)

 
 画面越しの交流でしたが、心のつながりを感じることのできる温かい総会兼交流会になりました。

NPOとしての2年目は苦しいスタートに
 訪問大学2019年度を締めくくる修了式は、感染の拡大により3月中にできなかった学生もいるのですが、講師の判断でオンラインも使い、4月の初めに無事全員終えることができました。
 しかし、2020年度、NPOとしての2年目の春は、スタートを切れないまま、感染拡大による緊急事態宣言の間、活動を休止せざるをえませんでした。
 解除後は、一人ひとり個別に相談しながら、感染防止対策を確認し、訪問授業を徐々に再開しています。

来年度予定の文化祭の実施についても再検討
 少し先のことになりますが、4年に1回の開催を目指している文化祭についてです。2017年度に第1回文化祭を行いましたが、来年度(2021年度)に予定していた第2回文化祭は、結果として東京オリンピックの後の時期になってしまうことになり、予定通りオリンピックが実施されれば、世界の中で大きな数の人が動きますので、その後の訪問大学文化祭が実施できるかどうか見通せず不安を抱えざるをえません。
 訪問大学の学生生活は、「命に不安のない状態」を保持できたうえで成り立つことですので、文化祭の実施時期や開催方法については、延期やSNS上での発表等も含めて、あらためて検討していきたいと思います。

どんなに重い障がいがあっても伝えたい気持ちがある
 さて、先日、神奈川の津久井やまゆり園の判決が出ました。被告の刑が決まりましたが、被告一人の考えではなく、社会に似たような考えがまだまだ根強くあることが分かってきています。

「意思疎通のできない人間は、生きる価値がない」という考えに対して、私たちは
「重い障がいがあっても生まれてきたこと自体が祝福されることであり、ありのままの自分で生きていくことを支えることができる社会」
であってほしいと願っています。

 そして、これは第1回文化祭のテーマとしたものですが、「どんなに重い障がいがあっても伝えたい気持ちがある」ということを、私たちは、多くの方に知ってほしいと願っています。
 訪問大学の授業の中では、一人ひとりの「伝えたい気持ち」を表現することや「やってみたいこと」を実現すること、見えない心の中の想いを形にすることを目指していきたいと思います。

苦難の時代でも、変わらずに発信し続けたい!
 訪問大学おおきなきは、まだまだとても小さな団体ですが、支える仲間(会員)は少しずつ増えてきています。
 お一人お一人の心のこもったご支援に、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
 学生の生きている姿、学ぶ姿を知っていただき、皆さんとつながり続けていきたいです。
 細い糸でも束ね、織っていけば1枚の布になると考えて、地道な活動を続けていきたいと思っています。

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⋆「佳澄」大田区立下丸子公園「紫陽花の丘」で撮影

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⋆「てまりてまり」大田区立下丸子公園「紫陽花の丘」で撮影

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⋆「愛華」大田区立下丸子公園「紫陽花の丘」で撮影


(相澤純一)      

視線入力で好きな音が見つかる-岩崎倫治さん -
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 入院することが多くなって週1回の通所も厳しくなり、完全な在宅生活が始まりました。
 家族や介護の人だけでなく多くの 人とのかかわりを持ってほしい、自分の気持ちを何らかの形で表現してほしいという思いで、生涯学習に挑戦したいと入学を決断されたそうです。
 
 授業では、初めての視線入力に挑戦してみました。学生時代に白内障に罹患し、両眼とも水晶体を摘出してしまったため、 どのように見えているか、視線入力は難しいのではないかとい う危惧がありました。 もし、うまくいかなくても試してみることで、倫治さんの理解につながることが見つかるかもしれないという前向きな気持ちで試みてみました。

 水晶体がないとピントが合わない状態で、特に近くの物は形を捉えるのは難しいかもしれない、また色も見やすい色と見にくい色があるのではないか、とお母さんの話から予想していました。
 
 仰臥位で取り組み始めると強い緊張が入り、なかなか安定した姿勢で画面を見ることができませんでした。 お母さんが、左の背中の下にクッションを 入れ側臥位の姿勢で安定してから集中して 取り組めるようになりました。
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 センサリーアイ FX という視線入力の学習ソフトの<レベル1>の「画面上の見たところに変化が起きる」ソフトの中で、見たとろに変化が起き、音も出るもの5つ(下記の「反転移動」以外が音が出ます)を順番に試していきました。関心や興味を持てたかは、目を開ける大きさや表情で判断しました。

センサリーアイFXーレベル1


 明らかに反応の違いがありました。「感覚的な円」(鉄琴のような金属音が連続して出る)が特に気に入ったようなのです。お母さんに話を伺うと、学生時代にトーンチャイムの音が好きだったことや、女性の先生の高い声が好きだったことと結 びついたのですが、他のソフトの音だとすぐ目を閉じてしまうのに、このソフトのこの音だと目を見開き、自分で音を出し続けていました。そして、終了時には、初めて満足そうな笑顔に出会えたのです。
(冒頭の写真です)

 下は視線の軌跡をGaze Viewerで記録したものです。
ヒートマップ 視線プロット 2019-06-14 12.02.40

 YouTubeにも、自分の力で音を生み出しているいい表情をアップしましたので、ご覧ください。倫治さんのことが少しでも理解できたかもしれないという喜びが私にもありました。(相澤)



 


新しい仲間が2名、入学しました!
ー坂川亜由未さんー

 ハートネットTV(Eテレ)の「亜由未が教えてくれたこと」で、画面を通してですが、亜由未さんにはお会いしていました。その後には、お兄さんが書かれた同名の本(NHK出版)を読んでいたので、初対面の時にも、ずっと前から知り合いのような気がして、ご家族の明るい雰囲気の中に溶け込んで楽しく授業をさせてもらっています。


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お父さんやお母さんには、板橋区にも訪問大学を作りたいという夢があり、そのためにも支援者(講師)を育てたいというお気持ちがありました。おおきなきとしても、訪問大学のような活動が、いろいろな地域に広がっていくのは大賛成で、応援していくつもりです。
私が訪問した時には、亜由未さんの応援団の小学生や、OTの学校に通う剛司さん、生活介護施設の支援員さん等、必ずボランティアさんが同席してくださっています。

DSCN2020

 授業は、亜由未さん中心に進めていますが、同時に授業でやった内容を支援者が吸収し、私がいない時にも実践できるように説明しながら進行するというコンセプトが出来上がっています。

 入学式では、事務局4人の自己紹介や詩や本の朗読の後にYAMAHAのsonogenic(SHS-500)という楽器をワリバッシャーを使って1スイッチで演奏することに挑戦しました。
(アイデア提供は訪問大学講師の熊谷さんです。)

ayumiYAMAHAsonogenic


 写真は、訪問大学おおきなきの校歌をiPadで流し、抱っこスピーカーを脚に挟み、使い慣れている棒スイッチで伴奏しているところです。(YAMAHAのChord Trackerというアプリを使っています。
 今回、授業で練習している訪問大学おおきなきの校歌の演奏をYouTubeで発表しましたので、是非ご覧ください。



   NPO法人として新たなスタートを切ったこの春、訪問大学おおきなきに、2人の学生が入学しました。
   私たち訪問大学おおきなきでは、入学式は、その学生さんの授業を担当する講師と事務局が、学生さんのご自宅に伺って行っています。
  
   桜の木の柄の手拭いに、タペストリー用のバーをつけて「祝入学」という文字を貼った垂れ幕と「式次第」を持参し、まずはそれらを設置させていただくのです。

祝入学
式次第
   それだけで、生活の場である学生さんのお部屋が、一瞬で入学式の会場となります。
   そして、わいわいと準備をするにぎやかな様子から、開式の辞…
 「ただいまより、○年度○○さんの訪問大学入学式を行います」
と司会が言うと、一気に場の雰囲気が厳かになり、理事長の相澤から、
 「入学を許可します」
と伝え、入学決定通知書を受理するときには、学生の皆さんはキリリと引き締まった表情になります。

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2015年度の入学式の様子です。


  
 講師紹介でこれからどんな先生とどんな授業をするのか説明を受けたり、色紙の入学生に寄せられた他の学生さんを担当している講師などからのお祝いのメッセージを聞いたり、新入生の宣誓では
 「○○さん、大学生になる決意をどうぞ!」
と言われ、みんな「えっ!」という表情で固まってしまったり…短い時間の中でも、そんな風にして、ちょっぴりの不安と緊張、でも
 「これからなにがはじまるんだろう」
とか
 「大学生になったんだ!」
とか、そんな期待やワクワクした気持ちが入り交じった学生さんの輝きが、身体全体から溢れてくるのです。

りせ 入学式写真

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*2枚の写真は、2014年度の入学式の様子です。

 そして、学生さんと同じくらいうれしそうに見守ってくださっている親御さんの笑顔の中で、最後にみんなで訪問大学おおきなきの校歌を歌います。        
 この校歌は、第一期生の学生の皆さんとご家族から、校歌の中にどんな言葉を入れたいかを教えてもらい、それを繋ぎ合わせて歌詞を完成させています。

1 大地に芽吹く
  小さな命
  みんなで生きよう
  いっしょに進もう
  歌おう 語ろう
  勇気を出して
  伸びよう 育とう
  おおきなき

2 伝える瞳
  輝く笑顔
  心に届け
  生きる喜び
  笑おう 遊ぼう
  手と手つないで
  伸びよう 育とう
  おおきなき

3 不安な日々も
  夢を見つめて
  心つながる
  きっと大丈夫
  学ぼう 踏み出そう
  感謝を込めて
  伸びよう 育とう
  おおきなき

 手作りの、新入生1人ずつの小さくささやかな入学式ですが、訪問大学おおきなきの美しい新芽がまたひとつ輝きながら増えていくよろこびは、私たちにとっても大きな力を与えてくれる最高のひとときです。
 そして、このような活動のひとつひとつを継続していくために、ご支援くださっている会員の皆さまに、改めて心から感謝いたします。

★今年度の入学式の様子は、後日動画つきで更新します!

―報告―
2018.12.12 
大田区障がい者総合サポートセンター ピアカウンセリング事業
<学習会>
「障害の重い人たちの生涯学習とコミュニケーションの支援」
        
<企画>大田区重症心身障害児(者)を守る会
         <会場>大田区 さぽーとぴあ 5階 多目的室

2018年が幕を閉じようとしています。
この1年間、みなさんのご支援、応援なしには歩んでこられなかったと思います。
この場をお借りして、心よりお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

12月、私は、上記の学習会の他、支援学校のスイッチ教材製作講座があり、その合間をぬって京都で行われたATACカンファレンスに初めて参加しました。忙しかったのですが、とても充実した月になりました。

ATACに参加したことで、それまでの実践を見つめ直すことになり、新たな疑問や課題も湧き出てきて、とても貴重な月になりました。
その解決は2019年に持ち越していきますが、とりいそぎ12月12日のまとめをしておきたいと思います。

ブログ「おおきなき交流広場」は、12月は1回もアップできずにいましたので、滑り込み投稿になります。


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12月12日、訪問大学おおきなきを団体としてご支援いただき、個人的にも多くの方からご支援いただいている大田区重症心身障害児(者)を守る会から、話す機会を提供していただきました。

タイトルは、今まさに、おおきなきとして私が取り組んでいる内容なので、90分間、盛りだくさんの内容を用意して臨みました。
要望として、iPadや視線入力装置を活用した具体的な支援の内容も含まれていました。
駆け足で進めましたが、やはり時間が足りなくなり、iPadについては実演できないで終わってしまいました。ただ、視線入力については、実際に体験してもらうこともできたので、イメージを持つことができた方もいらっしゃると思います。

終了後、視線入力については、生活介護の施設の方から導入に向けての相談もありました。

今回の学習会では、最近、脚光を浴びている視線入力について、企画された守る会の会員の方のお子さんにモニターをお願いし、2回訪問させていただき、息子さん
(20歳)に体験していただいた感想をいただきました。

また、私が2年以上前から時々訪問している方(30歳)で、ご家庭で日常的に視線入力を取り組めるように環境を整え、2年間実践を積み重ねられたお母さんからの感想をお聞きする機会を得ました。

私からの一方的な話に終わらず、違う立場・視点から考えることができたことは学習会に厚みを加えることができて、よかったかと思います。
具体的な話は、今後あらためて書こうと思っています。

私の一番伝えたいことは、いつも「いのち」のことです。「今」ともに過ごす時間の重みを感じることや、目の前の「いのち」を持つ方が充実した時間を過ごせることが一番大事なことかと思っています。
写真は、その話をしている冒頭の部分になります。
アンケートから、一部を引用させていただきます。

・(障がいのある方にとっての)あたり前のこと(うれしいこと、認められること)を改めて感じる機会となりました。
 事業所に戻り、目の前の利用者の方と向き合いたいと思います。

・おおきなきを利用している障害者の家族からの話もよかった。
学習することが障がい者の生活を豊かにするだけでなく、家族の支援にも繋がっていると思った。
 おおきなきを運営することの困難さも分かった。
 少しでもお手伝いできたらと思います。

・視線入力は、言葉でのやりとりができることが基本かと思っていましたが、言葉が 話せない人にも、自分を表現するという使い方があるということがわかりました。
 支援の機器もローコストになってきているようなので、上手に取り入れていければと思いました。
 また発達に関するお話もあり、大変勉強になりました。日々の関わりに関して、見直したいと思います。

・私の子供は何も考えていないだろうと思っていたので、はずかしながら、これから接し方を変えて、尊重してあげたいと思います。

・「ひとりひとりの命をどれだけ自分が大事にできるか」という先生の言葉に力づけられました。

・コミュニケーションの支援(方法)を知ることが出来ました。その為には内に秘めら
れている思いを支援者側が引き出す、受け止めることが大切・大事であると改めて考えされられました。 施設職員として考えなければいけない事(関わり方)学びが 必要だと思いました。

学習会は、私自身が、これから学んでいかなければいけないことを教えていただく貴重な機会にもなりました。
企画してくださった大田区の守る会のみなさん、参加してくださった方々に感謝いたします。
2019年につなげていきます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
                                                                              (相澤純一)

 

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