おおきなき交流広場~言の葉(ことのは)~

「どんなに重い障がいがあっても伝えたい気持ちがある」ー障がいのある人の想いを形にする試みを続けています。就学前のお子さんから特別支援学校卒業後の生涯学習にいたるまで、障がいのある人の生き生きとした姿をお伝えしていきます。

カテゴリ: スイッチ・玩具・教材・便利グッズ

ーついにともきさんにDropToneを試してもらう日がやってきたー
                 訪問大学おおきなき 講師  渡邉 貴子

リズム感のよさを生かしたい
 ドロップレット・プロジェクトから、DropToneのアプリ概要が発表されたとき、
「これは、まさにともきさんのためのアプリだ!」と感じ、早く使ってみたいと心待ちにしていました。
 
 これまでも、改造したCASIOの光ナビキーボードに外部スイッチをつなぎ、メロディの演奏に取り組んできましたが、演歌にとても詳しいともきさんの、やりたい曲がラインナップにないこともあり、選べる曲に限りがありました。
 
 また、YAMAHA SHS-500Rでの演奏は、合奏するのが難しかったり、自分のペースでメロディを奏でることができなかったりと、一長一短がありました。
 特に、ともきさんはリズム感がとても優れていて、その持ち味を活かしきれないことが、本当にもったいなく感じていました。

もっと自然に、もっと楽しく 
 もっとともきさんの持っている力を、もっと自然に、もっと楽しく発揮できる方法はないだろうか…と、日ごろから思っていました。
 
 そんな中で飛び込んできた朗報が、DropToneのアプリのリリースでした!
発売日を心待ちにし、さっそくダウンロード。そして、翌週の授業でともきさんと一緒に演奏に取り組みました。
 
 初めてのチャレンジとは思えないほど素晴らしい演奏を披露してくれました!
 その様子を、ぜひ動画でご覧ください。
 
▼演奏の動画はこちら

 ********************************
  この素敵なアプリを開発してくださった青木先生、鈴木さん、そしてドロップレット・プロジェクトのみなさま、本当にありがとうございます!
 DropToneは、障害のある方が音楽をもっと身近に楽しめる、素晴らしいアプリです。

 今回のメロディ演奏以外にも、DropToneを使ってともきさんと一緒にやってみたいことが、次々と頭に浮かんできてワクワクしています。
 そして、授業が終わった後、ともきさんから次に取り組みたい曲のリクエストを早速もらいました。
 これからの取り組みも、またご紹介していきたいと思います。お楽しみに!(渡邉)
 ********************************



 ドロップレット・プロジェクトから、また新たなアプリが公開される日が間近に迫ってきました。
 その名前がDropToneであることを聞いてから、私の心はずっと弾んでいます。
 すでに日々の支援に欠かせない道具になっているDropTapDropKitのボードや教材がどれだけ作りやすく、子どもたちとの日々の出会いを楽しみにしてくれているかは、簡単には語り尽くせません。

 実は、DropToneの話をあっきーの教材工房の鈴木さんに伺ってから、「スイッチとの対応はどうなるのだろう?」と気になっていました。それは私にとってとても大きなことでした。私が出会う方は、9割方、スイッチで演奏することになるのでは…と予想していたからです。

 スイッチは「Space」でも「Enter」でもつなぎさえすれば(つまり特に設定画面をいじる必要はなく)すぐ操作できるようになるとお聞きしました。スイッチインターフェイスは必要ですが、私はどのようなスイッチ(道具)が目の前の方に合うかを考えることに専心することができました。

 DropToneはまさにユニバーサルデザインで「好きな曲をその方に合った方法で演奏できる」待望の音楽アプリだったのです。

クラウドファンディングの応援よろしくお願いします

本格的な音色を搭載! 誰もが演奏を楽しめる、新しい音楽アプリの開発(青木高光 2025/03/21 公開) - クラウドファンディング READYFOR

すぐれたアプリ(教材)は、子どもたちのチャレンジを支える
 テスターとして開発途中から、使わせていただきました。 
 私が訪問している子どもたち、訪問大学おおきなきの学生さんは、直接タップしての操作が難しく、スイッチやペンで、好きな曲を演奏することに取り組んでみました。

 DropToneは、楽譜を見て音符の順番に音を入力さえすれば「どこを触っても正しく演奏する」モードで、選んだ曲をタップやスイッチ、ペン等で演奏することが出来ます。
 楽器の音も選ぶことができます。

 今回、特にご報告しようと思ったことは、アプリの良さがモチベーションになってスイッチやペンの操作、つまり手の動きを導き出したのではないかということです。

 障がいの重いお子さんはもともとスイッチを連続して小刻みに押すことは苦手ですし、楽譜の音符の長さで表現することも難しいです。
 でも、音楽が大好きで、自分も好きな曲を演奏してみたいという気持ちを持っている方が多いです。
 そのモチベーションが、今まであまり経験していなかった連続してスイッチを押すことにつながることがありそうです。

 もう1つモチベーションにつながることは、音や響きの良さと楽器の種類が豊富であることでしょうか。音楽ですから音色の良さが心に染みたり、心を弾ませることがあるのではないかと思っています。


DropToneで音楽を楽しむ5人
 以下の動画では、5人の方に登場してもらっています。一人ひとり1曲通して演奏しているのですが、その一部を紹介します。

Tさんは、いつも私の想定した使い方ややり方だけではなく、「こういうのはどう?」という気持ちからなのか自分で考えたアイデアや遊び方を示してくれます。今回は音をかなり伸ばしたり短くしたり、スイッチもこうすれば簡単という押し方を見せてくれています。音で楽しんでいることが表情から分かります。
 好きな曲の「ハッピーバースデイ」を演奏しました。


Kさんは、今までは寝た姿勢で空気圧のスイッチを使い、センサー部は水風船を使ってコミュニケーションの練習をしていました。今回はOTさんやPTさんと一緒に端坐位を取り、親指の動きに合わせて初めてピエゾセンサーを使ってみました。
 「にじ」の歌の演奏ですが、姿勢がよかったことの意味も大きくて、今まで見られなかった親指の連続した動きが見られたのです。音符通りに演奏するのは初めてかもしれません。


Nさんは、瞬きでYes/Noのコミュニケーションの練習をしています。そこで、顔スイッチの「目を閉じる」を使って、「小さな世界」の演奏にトライしてもらいました。
 手指だと連続した動きは難しいのですが、得意な方法で音楽を奏でる喜びを感じとっているのかとても真剣な表情で取り組んでいます。


Mさんは音楽が本当に好きで耳が鋭いのです。なじみのあるおおきなきの校歌ですが、フルートの柔らかないい音が、やわらかな手の連続した動きを導き出し、いい音色で演奏できたのではないかと思っています。

Hさんは、手指を伸ばすのは難しいのですが、ペンを持つとかなり自由に動かせます。
 iPadの操作には普段からペンを使っています。
 リクエスト曲の「365日の飛行機」を自信満々に軽快なリズムで弾いています。


(相澤純一) 

 小学4年生になったばかりの時にわたしが親戚のおばさんへのプレゼントとして、作ったお話です。学校の先生にも大好評だったので、ちょっと長いのですが、是非、読んでください。
ブログ用PINKURIN2D
*この絵は、わたしが「ペイント3D」でかきました。


いちご大好き ピンクリン!

  「いちご大好きピンクリン」は、友達のりえちゃんが図工の作品用に作ってくれたくつ下のハムスターぬいぐるみ「ピンクリン」を主人公にしたお話です。
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0001
 

🍓あらすじ(プロフィール説明)  🍓

 ピンクリンは、ハムスターのいちご大好き女の子!
いちごがどれだけ好きかというと、

    テレビのマークがいちご!
毎日流しているテレビ番組は、いちごにかかわる番組といちごの通販宣伝だけ!

アニメは見ません!
1日に食べるいちごの数は、「生き物フルーツ会社」の1パック10こ入りを
10パック!!
合計100このいちごを食べている!
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0002
ケーキもいちご!
アイスやソフトクリームもいちご!
クレープもいちご!

というようにピンクリンはとってもいちごが大好きなのです!



🍓いちごと、ピンクリンの友達🍓
 
 ピンクリンはとってもいちごが大好き!そして今日もいちごをたくさん食べるためにテレビ通販を見ています。

「今日のおすすめおいしいいちごは……、「ミルキーフルーツ会社」のいちごショートケーキ!さあて、「このケーキのみりょくは何ですか?」会社の方にインタビューしてみましょう。

「このケーキはしたがとろけるようなおいしさを出すために、スポンジにはいちごをとろとろににつめたジャムを混ぜて、さらに!デコレーションにはしんせんなとれたていちごを使っています。」
 さすが「ミルキーフルーツ会社」さん!
フルーツのみりょくをそこから作れるもので、フルーツ自らをおいしくする料理をたくさん作っていますね!
 このケーキを実さいに会社がけいえいするお店で販売してみたところ、いろいろな方からおいしいという声が上がっているようです。

 こちらの30代のグルメインフルエンサーによると、「このケーキはまさに!心のハートからいっしょにとけていくような〜…とってもあま〜いいちごを使っているんだと心から思います。何だかこいをしたみたいな感じのおいしさです。」という意見が上がっていました。

 この通販を見て、実さいに食べてみたいなと思った方はこの電話番号にぜひ電話をしてみてくださいね。電話番号は0120-150-141、「いちごおいしい」でご注文お待ちしております。」
 

 通販が終わるとピンクリンは「ふむふむ」と言って、さっそく通販電話をかけてみました。

「もしもし、通販を見て食べたいと思ったので電話をしました。
スターシティ ハム花町のハムスターで、ピンクリンと申します。「ミルキーフルーツ会社」のいちごケーキを50こ…ううん、100こください!」

とピンクリンが言うと、通販の電話係に出ていた結美夢町の人間のお姉さんは、
「お買い上げいただきありがとうございます。でも、申し訳ございません。ご注文のケーキの注文が、あの通販を流してからハンパないのですみません。少し待って下さい。ご注文の量がなくても、かならずお届けします。」

ピンクリンが少し待つと、お姉さんは、「100こ…お届けできますよ!、会社の方たちが300こ通販用に手配してくれたので今から100こ届けます!」

 それを聞いて、ピンクリンはとてもうれしい気持ちです。だってたくさん大好きないちごが食べられるんですからね。


 ところで、ピンクリンには、とっても仲のいい友達がいます。
ピンクリンの家から約5分ほどの、スターシティ ミラクルレインボータウンにある、ホテル「S本屋」のむすめのハムスター、ミミちゃんです。
 ピンクリンはたまにミミちゃん一家のホテルにとまることがあり、そういう時は、たいてい、予定が合えば、ミミちゃんと遊んだりおやつを食べたりするために行きます。今日も、さっき注文したおやつのケーキを持って、ミミちゃんのところへ遊びに行きます。

 「ピンポーン!」とドアのチャイムが鳴り、さっき通販で注文したケーキが届きました。「お待たせいたしました。」とお姉さんの声がして、ピンクリンがケーキを受け取るとすぐにホテルS本屋に行きました。
「ピンポーン!」とピンクリンがチャイムをおすと、中からミミちゃんのお母さんのハムスター、トトちゃんが出てきて
「いらっしゃいませ、ピンクリン。ミミは今ならいっしょに遊んでもいいわよ。」
とピンクリンに言うと、ホテルに入って行きました。
 ピンクリンも後をついて行きました。
 
 33号室、ここはミミちゃんのためにのこしているミミちゃんの部屋です。
 ピンクリンがケーキを持って部屋に入るとミミちゃんはちょうどお手伝いから休けいに入るところでした。ピンクリンがケーキのことを話して「食べる?」と聞くと、ミミちゃんはケーキをフォークですくおうとしながら、「うん。」とうなずき、ケーキを食べました。それから2人でたくさん遊びました。
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0004



🍓 動物も人間⁉︎ 🍓
 
 「ピンクリン!そろそろ幼稚園行く時間でしょ!早くテレビを消しなさい!」
お母さんにそう言われたピンクリンは、仕方なく、テレビを消してお母さんのいるドアのところへ行きました。
「もう少し時間ないの?ピンクリン、まだいちご見ていたいよ。」とお母さんに文句を言ってみると、お母さんは「文句は幼稚園に言って!」とこまりながら言いました。
 そう、ピンクリン、実は幼稚園に通っているのです!もちろん、生活や教育も全て、人間界と同じです。だからスターシティも、ピンクリンのようなハムスターたちのために、がんばっています!

 幼稚園に着くと、園長先生の雪乃原 美雪先生がが出むかえてくれました。
「おはようございます。今日もピンクリンをお願いしますね〜」
お母さんはそう言うと、家に帰って行きました。

 ピンクリンは園長先生について行って、幼稚園に入りました。
 幼稚園に入ればもう楽しいこといっぱい!友達のミミちゃんもいるので、とっても楽しく遊びます。

 幼稚園が終わると、ピンクリンはミミちゃんといっしょにお母さんたちと合流して、スターシティ ドグウタウンにあるランドセル専門店に行きました。
 そろそろピンクリンたちは小学校に入る時期だからです。

 ドグウタウンはミミちゃんが前に住んでいた町で、ハム花町より5つおとなりの町です。なのですごく遠い所ですがスターシティのどの町よりも、生活用品や食べ物屋さん、いろいろな道具が売っているお店もたくさんあります。
 レンタカーをかりて、1時間かけて車を走らせ、ランドセル専門店につきました。中に入るとまわりはかわいいランドセルでいっぱいです。

メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0006
 ピンクリンはピンク色のランドセルを、ミミちゃんはむらさき色のランドセルをえらびました。それを買い終わると次はペンケース。好きな色の筆箱をえらび、えんぴつとけしゴムも好きな物を買いました。

 そのばん、ピンクリンはフルーツタルトを買って食べました。
 今日はミミちゃんがピンクリンの家におとまりするので、帰りに二人が好きなタルトを買ってきたのです。おいしすぎてあっという間に半分を食べ切り、おなかいっぱいになりました。もう半分は、ピンクリンとミミちゃんのお母さんたちが半分のこして食べます。
 それでも食べきれない場合は、ラップをかけて明日のおやつごろに食べることになります。のこした分も、子ども分を取り分けてからそれぞれのお宅へ持ち帰ります。そうしないとミミちゃんはいいとして、ピンクリンがおこるからです。
 なぜならいつも買うタルトは、ピンクリンの好きないちごが入ったタルトなのでないとなぜか、ピンクリンがこまる物なのです。



🍓 初めての学校! 🍓

 さくらがさく春、この日、ピンクリンとミミちゃんは入学式をむかえました。
 12年生がピンクリンたちを6年生の教室へ案内してくれました。この学校では、年れいごとに、6才の6年生から学年が上がって行きます。だから、ミミちゃんがピンクリンより先に7才になってしまったら、クラスがはなれてしまいます。だけど帰る時間はいっしょなのでいっしょに帰れます。 

 人間の男の人の校長先生がたんにんの人間の女の人の先生といっしょに出てきました。
 校長先生は黒板の前に立つと話し始めました。

 「えぇ、わたしはこの「桜ヶ丘学校」の校長、「桜
 友」と言います。今年新たに加わった、さくらの子どもたちよ!よろしくお願いします!」

 校長先生に続いてたんにんの先生も話し始めました。
「わたしは今年からあなたたちの先生になる、「花畑 美花」といいます。みなさん、これからよろしくお願いします!」

 先生たちの自己紹介が終わると、学校探検が始まりました。まずは、教室から説明され、2階の教室と校庭、3階の教室と音楽部屋、4階の教室とトンボの住むビオトープ、5階の教室と図書室、6階の教室と屋上と理科室、最後に地下の体育館という順番で案内されました。
 次の日から、さっそく授業が始まります。ランドセルに国語と歌の本を入れて、ペンケースも入れます。それから、お弁当にフルーツサンドを持っていきました。学校への道はもうおぼえました。
 今は7時55分で学校までは約5分です。きのうは、8時に家を出て8時5分に着きました。学校は8時15分までが登校時間で、8時20分から授業が始まります。
 
「おはよう!」
ミミちゃんが話しかけると、ピンクリンは
「おはよう!」
と返しました。

「初めまして!わたしユキって言います!」
元気よくピンクリンに話しかけたのは、雪げっしょうのヘアピンをつけた、ユキという女の子のハムスターです。
 ピンクリンはあいさつに答えます。
「よろしくね!えっと…ピンクリンと申します…!」

ピンクリンに続いてミミちゃんも、
「わたしはミミです。よろしくお願いいたします。」
とあいさつをすると、また別のハムスターの男の子が友達になろうと思って話しかけました。

「あっ、あの〜、ぼく、アオといいます。友達になってほしいです!」

 それを聞くと、ピンクリンとミミちゃんが声をそろえて
「もちろん!」
とよろこびました。というわけで、入学早々、友達が二人できました。



🍓 初めての授業 🍓

 「1時間目、始めま〜す!」

 美花先生の声を聞いてクラスのみんなは「し〜ん」となりました。そして、始めの言葉をかけると、「ひらがな練習帳」を出して、2ページ目を開きました。
 2ページで練習するひらがなは、「あいうえお」、3ページで「かきくけこ」、4ページからは、2時間目に入ってから始めました。
「さしすせそ」、5ページのひらがなは、「たちつてと」を習い、合計20文字のひらがなを習いました。
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0008

「6ページからは、明日やりましょう。それでは、みなさんで「ありがとうございました。」」

 美花先生が合図をするとクラスのみんなは続いて、「ありがとうございました!」と元気な声で言いました。



🍓 トンボの観察絵日記 🍓

「3時間目から4時間目までは、ビオトープでトンボを見てみましょう、そして観察し、絵日記をかいて、これから夏までトンボの成長を見ます。それでは行きますよ!水とうを持ってついてきてください!」
 
 美花先生の後をピンクリンたちがついて行き、みんなそれぞれトンボを観察してその場でレポートしました。その中でピンクリンはこう書きました。
「おおきくなったら、いちごみたいにあかくなるのかなとおもいました。」


 これを見て、先生は少しわらいました。
 
 5月だって、6月だって、毎日観察をしました。そして、6月のある日、ピンクリンたちは夏の成虫のトンボを見つけました。
「先生!せんせー!夏のトンボがいる!」
という子どもたちに、先生は引っぱられて、写真をとりました。それから、教室にもどるとみんなはのこりの18分間、夢中でレポートしました。
 ピンクリンは、
「ふしぎなとんぼのはねでとんでいるとんぼをみて、おもしろいな、かっこいいな!とおもいました。」
と書いて、ミミちゃんは、
「からだがきれいなあかで、とてもきれいでした。」
と書きました。
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0009

 美花先生は、2人のレポートに大きい花丸をかいてあげました。



🍓 ピンクリンの誕生日 🍓

 夏休みの半ばから、ピンクリンは「あっ」と何かを思い出した後、ため息をつき始めました。
 だって夏と言ったらミミちゃんの誕生日なので、学校のクラスと階が違くなってしまうのです。でも、学校の決まりですので仕方がありません。

 ミミちゃんが7才になり、クラスがはなれてしまってから、ピンクリンは少しさびしくなりました。 けど、家が近いので安心感があります。
 しばらく時が立って、春になり、今度はピンクリンの誕生日が来ました。
「ピンクリン!ごちそうは何がいい?もちろんいちごかしら?」
とお母さんがたずねると、
「もちろん!この間、テレビでいちごのプリンを作っていたんだ。ろく画したから、作ってほしいな!後、ケーキはいちごとブルーベリーの組み合わせね。ぜっ対ね!それといちごクレープに、いつものタルト!」
とピンクリンが返すと
「OK!」とお母さんが返し、話をつづけました。

「それぐらいのごちそうを食べるなら、パーティーをした方がいいと思うわ。
ねぇピンクリン、パーティのしょうたいじょうを書くとしたら、だれに来てほしい?」
と言いました。
 でもお母さんは、ピンクリンはかならずミミちゃんはパーティーによんであげると思うなと思いながら聞きました。すると、ピンクリンは、うれしそうに返事をします。
「あのね、まずはミミちゃんに、それから学校で新しく友達になったアオくんとユキちゃん!そういえば、お母さん、ピンクリンの家族にパパはいるの?いるのだったら、きっとお仕事がいそがしいんだよね?申しわけないけど、いるならしょうたいする!」

 それを聞くとお母さんは申しわけなさそうに話してくれました。
「ごめんね、ピンクリン、この家族には、パパはいないの。わたしね、好きな人が全員、きれいなお姉さんだったから、男の子とあまりかかわらないまま、あなたが生まれたから、パパ、いないのよね。
ほら、ミミちゃんの家族にも  パパがいなかったでしょ?あれはミミちゃんのお母さんが、パパをほしがっていなかったからなんだって。このように、パパがいない家族もあるのよ。あっ、ピンクリンごめん!しょうたいするお友達わすれちゃった!もう一度教えて!」
 少し長かったお母さんのお話の後にピンクリンが言いました。
「話をそらしちゃってごめんなさい。お友達は、ミミちゃんに、ユキちゃんに〜、後、アオくんね!」
その後お母さんはさっそくピンクリンの友達に、手紙を書いて切手をはり、ポストに入れました。

 誕生日当日、しょうたいした友達、ミミちゃん、ユキちゃん、アオくんたちと、そのお母さんやユキちゃんとアオくんのお父さんが来てくれました。
 みんな、手に手にプレゼントを持って来てくれて、ピンクリンはうれしい気持ちになりました。


 ケーキのろうそくに火がつけられ、それをピンクリンが息でふき消すと、みんなが
「お誕生日おめでとう!」
と言ってくれました。
 そして、プレゼントをさし出してくれした。
 ミミちゃんは、
「ピンクリン、お母さんといっしょにいちごだいふくを作ったよ。はい、プレゼント。」
「わーい!さすがミミちゃん!ピンクリンの好物よくわかってるー!」
ピンクリンはもう食べ終えてしまいました。

 次はユキちゃんのプレゼントです。
「ピンクリンちゃん、いちごが好きだったの?言ってくれれば、もう少しいいものをえらべたのに。わたしからのプレゼントは…、うふ、わたしのヘアピンと同じブランドのハートのヘアピンです!ピンクリンちゃん、ピンク色だから、それににあう赤にしてみました!」
「わぁ、ありがとう!かわいいね。」
とピンクリンが言いました。
 ちなみにユキちゃんのお母さんからは、ヘアピンと同じブランドのいちごのペンダント(お母さんはすでにピンクリンの好きなものを知っていた。)、お父さんからは、おかしのマシュマロをもらいました。


 つづいてアオくん一家からのプレゼントは、
「はい、どうぞ。ぼくのお父さんがはたらいてる会社さんにおねがいして、持って来ました。この紙ぶくろを受け取ってください!ピンクリンのお母さんの分もあります。」
 ピンクリンが紙ぶくろを受け取ると、最初にピンクリンのお母さんが、お礼をしました。
「わたしの分まで……、ありがとうございます…!ほら、ピンクリンもお礼して!」
 お母さんにそう言われて、
「ありがとう、これはなんだろう?」

そう言ったプレゼントを開けると、中にはゆびわと  ハムスターのぬいぐるみつきのめざまし時計が入っていました。

「これで朝、気持ちよくめざめてね。お母さんには、1月が誕生日だったみたいですから、ゆびわを。でもハムスター族は、ゆびわを使えないので、かざって見るのはどうですか?」
「そうですね。本当にありがとうございます!」
とお母さんが言いました。

 そしてピンクリンも、
「ありがとう!ピンクリン、これで気持ちよく起きたいよ!ありがとう!」
とアオくん一家にお礼を言って、みんなにも「ありがとう!」
と言いました。


 それからみんなでいちござんまいのごちそうパーティーをしました。
 いちごがいっぱいで、おまけにフルーツサラダとフルーツヨーグルトもあるので、ピンクリンは幸せな気分です。


「ピンクリン、7才の誕生日おめでとーう!」

メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0012



🍓 いちご大好きピンクリンがえらんだ道  🍓

 ピンクリンは、大好きないちごから、いちご農業の道をえらび、毎日町のみんなの分と自分の分を作り、自分の分は持ち帰ります。

 ところでミミちゃんたちはあの後どうなっているのでしょう?
 ミミちゃんは、家がホテルだから、あとをついで元気にはたらいています。
 ユキちゃんは、子どもを産み、今はアクセサリー工場ではたらいていて、毎日すてきなアクセサリーのアイディア出しています。
 アオくんは、あれから車にきょうみを持ち、車を作る会社の社長になっています。

 でもみ〜んなずっと友達!(です!)

    おしまい!
メモ 20240602 9_49_01_pages-to-jpg-0013
恵子ピンクリンIMG_3103
*ぬいぐるみのピンクリンです。

(古川恵子)
★「恵子さんの思いがあふれ出す絵のない「えにっき」(その6)はこちらです。

Flex Controller+トラックボールマウス+スイッチー
IMG_5425
▲奥のテーブルに並んでいるのが、モニター、Flex Controller、ノートパソコン。
 テーブルの下にNintendo Switchやビデオキャプチャーを置いています。

 Kくんは、肢体不自由があることで、お兄ちゃんと一緒にできないことがかなりあったのですが、ゲームだけは一緒にできていました。
手に合うゲームコントローラーを見つけ、すべてのボタンを動かすのが難しくても、くふうして一緒にプレイすることもできていました。
 この頃は、ゲームコントローラーを文房具として、小学校に持っていくことを考えていました。
スクリーンショット 2024-05-20 134922
▲ゲームコントローラーを操作する(就学前) 
    しかし、小学校に入学する前に、コントローラーの操作が難しくなってきてしまい、他のポインティングデバイスを探すことになりました。前回報告したようにトラックボールマウスがよさそうだということになり、Kくんに一番合うトラックボールを探していました。アシスティック・オコの小林大作さんにもアドバイスをいただき、Elecom製の人差し指用を試し、位置設定の工夫で自由に動かせるようになっていきます。(前回のブログ「肢体不自由の子どもが自由を感じられるとき」で報告)

マウスでNintendo Switchを操作する
 Nintendo Switchの操作については、2019年に発売されたFlex ControllerがKくんに救いの手を差し伸べてくれます。もし、Flex Contorollerが発売されていなかったら、Switchで遊ぶのは諦めていたかもしれません。このタイミングでの発売はラッキーそのもので、小型のトラックボールマウスが徐々に馴染んでくると同時に、ノートパソコンの購入に踏み切ります。
 パソコンはゲームが大好きなので、ある程度スペックのいいものがいいということから、お母さんが2度、電気店に赴き、お店の人にもよく相談して購入しました。当初は新しいiPadの購入を考えていたのですが、方針を変更したのです。

 同時に、テクノツールさんにも相談し、Flex Controllerとビデオキャプチャーをそろえ、Nintendo Switchにつなぎ、専用のソフトをインストールします。
 音声トラブルもありましたが、私がいなくてもお母さんが解決できるようになりました。
スクリーンショット 2024-05-21 130425
▲右手には、Elecomの人差し指用のトラックボールマウスを設置
 位置は微妙なので、時々修正が必要な時もあります。

スクリーンショット 2024-05-20 134712
▲左手にはアクセスエールのハーフスイッチを設置
 当時、視線入力でゲームをする方が大人でも子どもでも増えていましたが、KくんはFlex Controllerをマウス操作に設定して、プレイすることにしました。

 各ボタンの位置や大きさはお母さんと相談しながら決めています。
 Flex Controllerは、視線入力でもマウス操作でも、画面上に置くボタンの配置や大きさを自分に合うように専用ソフトでカスタマイズできるのが最大の特徴です。
スクリーンショット 2024-05-21 131501
▲2023年11月頃のPCの操作画面(ポケモンバイオレット)
IMG_5420
▲2024年3月のPCの操作画面(星のカービィ ディスカバリー)
 最も操作しやすい位置設定に、Kくんがお母さんと相談しながら徐々に改善してきました。
 画面全体が見やすく、操作ボタンは上の方に固めて、とてもすっきりしたものになっていきました。
 トラックボールマウスは、当初から改造し、左クリックをスイッチでできるようにしてきました。

マリオカートを微細な手指の動きで楽しむ
 Nintendo Switchをプレイするときは、Flex ControllerのAボタンにスイッチをつなぎ、長押しはBボタンの設定にしていますが、マリオカートの時は、アクセルのAボタンを押し続けることが必要なので、長押し設定無しのモードにしています。
 画面の上に配置した左ジョイスティックの<←>と<→>とZL<アイテム>の3つだけの操作で十分遊べることにKくんとお母さんは気づいたそうです。(下写真)
 まっすぐ前進するときは、ボタンに触れずにボタンの間にカーソルを置き、右に曲がるときは<→>ボタン、左に曲がるときは<←>ボタン、アイテムを投げるときはZLボタンに移動するだけ、指の動きとしては1ミリくらいの動きで操作できています。
 
 見ている人には、「手指はほとんど動かしていないように見える」と言われることが多いそうです。Kくんが楽しんでいる様子を見れることは、本当にうれしいことです。
 実際の様子は下のYouTubeをご覧ください。
OIP
Flex Controller(販売はテクノツール)
IMG_5659
▲マリオカートの50㏄クラスなら、この3つのボタンをうまく操作すれば、ほぼトップを走れるようです。


(相澤純一)

ー入力デバイス・位置の決め手になったことー
IMG_5418

ゲームコントローラーを文房具に…
   
Kくんはお兄さんと一緒に、3歳からゲームを始めました。動かせないボタンもありましたが、ゲームコントローラーを使いこなしていて、お兄さんとNintendo Switchでゲームを楽しむことができていました。
 「ゲームは肢体不自由の子どもが自由を感じられる最高のアイテムです」
 これは今春、小学校の2年生になったKくんのお母さんの言葉です。2人のお子さんは、ゲームが大好きで、ゲームで兄弟仲良く遊んでいました。

 ちょうど、私がKくんを訪問するようになったときに、iPadがiOS15にアップデートしゲームコントローラーに対応するようになったことは、絶好のタイミングだと感じていました。
IMG_0573
 *ただ初期は対応していないコントローラーがほとんどで、満足できるように動かせたのはXbokワイヤレスゲームコントローラーだけでした。


 訪問時には、手になじんでいるコントローラーで、iPadもPCもゲームコントローラーで動かせるように練習していました。
 PCの方はJoy To Keyを利用すれば、どのゲームコントローラでも動かすことができていました。
   そして、「Kくんは小学校にも文房具の1つとしてゲームコントローラーを持っていければいいね」と話していたのです。

株式会社ともあ「小児リハビリテーション」vol.15「肢体不自由の子どもたちのコミュニケーション支援とツールの活用」参照

成長とともに障がいの状況が変化し、できていたことが難しくなる
    しかし、ある日の訪問の時、いつも手にしているゲームコントローラーを手に持っていないことに気が付きました。成長とともに以前のように自由に手が動かせなくなってきてしまったのです。
   ゲームコントローラーに替わる入力装置を探すことにしました。ジョイスティック、タッチパッド、トラックボールマウス等を試しました。
  トラックボールマウスについては、機種によってだいぶ使い勝手が変わるので、昨年のKids Festaで、アシステック・オコの小林大作さんに貴重なアドバイスをいただきました。

お母さんのリードで位置設定の試行錯誤
 さて、人差し指対応のトラックボールマウスで、ある程度、マウスポインタを動かせるようになってきていたのですが、設置の決め手はお母さんが購入していた100均商品でした。この商品は現在廃番になってしまい、もう手に入りません。
IMG_4327
▲動かないことで、大活躍する猫のドアストッパー
IMG_4317
▲右手にELECOMの人差し指用のトラックボールマウス、左手にアクセスエールのハーフスイッチ
 
 100均の商品については、直感的に「いい」と感じたものは、無駄になることもあるのを覚悟の上、複数購入しておくほうがよさそうです。もちろん、同じような物を手作りすることも可能かと思うのですが、既製品が活用できることにこしたことはありません。

 Kくんがトラックボールを動かすために活躍したのは、ドアストッパー(見た目でこの用途が分かる人はなかなかいません)だったのです。自重から解放され、この上に手首を載せることで手が安定し、自由に手指を動かせる位置設定になるのです。

自由に動かせた時の喜び
 Youtubeでダイジェストに試行錯誤の過程をまとめましたのでご覧ください。

 Kくんの自由に動かせた時の喜びの声を聞けたことが、訪問していて一番うれしいことでした。
 右手でトラックボール、左手でスイッチの使い方が、現在のKくんには一番合っているようです。

*ちなみに私は、トラックボールマウスを改造しないと左クリック用のスイッチをつけられないと思っていたのですが、小林大作さんには、左クリック用のマウスは別に100均で購入して、安価なものを改造すればいいのでは、とアドバイスいただきました。2つのマウスを同時にiPadにつなぐことが可能ということに気づいていなかったのです。実は、高価なマウスを改造ミスで壊してしまったことがありましたし、精巧な作りであるため分解するだけで、トラックボールの動きが微妙に変わってしまうことがあるのです。

 現在、Kくんは自分専用のPCを購入し、メインの支援機器はiPadからPCになっています。
 次回は、一番好きなSwitchのゲームをPC上で楽しむ様子をご報告したいと思います。
「K君の微細な動きを最大限、活かす」へ。
(相澤純一)

↑このページのトップヘ